PowerShot TX1

 

 

 

 

av.watch.impress.co.jp/docs/20070307/zooma298.htm

 

【バックナンバーインデックス】

“Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語”

第298回:キヤノンが繰り出す動画デジカメ!? PowerShot TX1
~ ビデオカメラとは全く違った方向の動画撮影 ~

 


■ 注目高まるデジカメ動画

 デジカメで動画を撮る、という行為が考えていくと、どうも二派に分かれていくような気がする。一つは、普段は写真で十分なんだけど、何か動きが大事なものを記録するときにちょっと動画で撮れるといいよね、といった補助ユース派。これはケータイユーザーも入るだろう。

 もう一つは、デジカメの論理でビデオカメラを作ったら斬新なのができるんじゃないか、という動画探求派。三洋電機の「Xacti」なんかは、最初はやはり動画も撮れるデジカメのあたりから始まったわけだが、気がつけばユーザーのほとんどがビデオカメラのつもりで使っているという、マーケットがジャンルを作っていった流れである。

PowerShot TX1

 

 今月発売予定のキヤノン「PowerShot TX1」(以下TX1)は、そのビデオカメラ然としたルックスから、後者の期待が高まっている商品である。VGAサイズの動画が撮れるデジカメは多いが、1,280×720ドットというハイビジョンサイズで撮れるところに注目が集まっている。店頭価格で5万円前後と、実売ではXactiのHDモデルよりも安くなりそうだ。

 いくら動画が撮れるとは言っても、「PowerShot」はデジカメのブランドである。本来ならば写真機能を中心に取り上げるべきなのだろうが、若干無謀とは思いつつも今回はいつものパターンに載せて、ムービーカメラとして扱ってみた。

 TX1はムービーカメラの新しい潮流を作れるのだろうか。早速テストしてみよう。

 


■ シンプルに徹したデザイン

 まずいつものようにデザインから見ていこう。このカメラの場合、まずは形からして「写真を撮るためのデジカメが欲しい」というユーザーは手を出さないであろう。撮影スタイルが、縦型ビデオカメラと同じなのである。ただし寸法が今どきのデジカメ並みに小さく、ソリッドかつシンプルなラインで構成されることもあって、ガジェット好きのするルックスに仕上がっている。

 

電源OFFではシンプルな箱形 撮影時はビデオカメラスタイル

 

 

レンズが飛び出してくるのは、デジカメ的

 

 前面にはレンズカバーがあり、電源を入れるとズームレンズがせり出してくるスタイル。シャッターボタンが上部、ビデオ録画ボタンとズームレバーは背面にある。従って人差し指と中指をかなり大きく開いて、間にレンズを挟むような持ち方になる。

 ホールドしたまましばらく放置すると省電力機能でレンズが引っ込むのだが、そのとき指が触れていると、引き込まれるような感じがしてびっくりする。形状がシンプルなだけに、ホールド感はかなり各人の手の大きさに左右される感じだ。

 レンズは光学10倍ズームで、ビデオ用ではなく静止画用に設計されたもののようだ。ビデオカメラで10倍ズームは最低限のスペックだが、デジカメ側の理屈に振られずここまでの倍率を確保した点は評価できる。ただしF値は3.5~5.6と、結構暗い。

 画角は35mm換算で39~390mmとなっているが、これは4:3での数値だろう。高解像度で動画を撮る場合は16:9になるが、画角 としてはこのまま上下が切れるだけである。また本機にはデジタルテレコンという機能がある。デジタルズームの倍率を固定して、均等に拡大するモードで、 1.5倍と1.9倍がある。ただしこれは、4:3画角でないと使用できない。

 

撮影モードと画角(35mm判換算)
撮影モード ワイド端 テレ端
動画16:9
-

-
動画4:3
39mm

390mm
テレコン1.5倍
58.5mm

585mm
テレコン1.9倍
74.1mm

741mm
静止画16:9
-

-
静止画4:3
39mm

390mm

 

手ぶれ補正は静止画用の流し撮りモードを備える

 

 手ぶれ補正は光学式で、静止画ではカメラの上下方向だけを補正する「流し撮り」モードも備える。走る被写体を撮るときのための機能だ。ただし動画撮影時は、自動的に「常時入」モードに変更される。

 撮像素子は1/2.5型740万画素CCDで、有効画素数は710万画素。静止画の最大解像度である3,072×2,304ドットとほぼ 一致する。動画の最大解像度は1,280×720ドットだが、フレームレートは30Pである。放送規格として規定されている720Pは60Pなので、フ レームレートとしては半分である。ただ、コマーシャルなどは30コマのフィルム撮影を行なうのが普通で、コマの感じとしては違和感はないはずだ。

 液晶モニタは1.8型TFTで、画素数は約11.5万画素。デジカメのモニタとしてはこれぐらいのサイズはあり得るが、ビデオカメラとしてはかなり小さい部類に入る。

 

モニタはかなり小さいが、デザインのバランスからすれば妥当 電源ボタンは出っ張っていないため、若干押し辛い

 モニタ側の側面には電源ボタンがあるが、あまり出っ張っていないので押しにくい。またスイッチもかなりクリック感のある堅いものなので、 爪を立ててしっかり押し込む必要がある。またビューファインダはないのに、液晶を閉じても電源がOFFにもスタンバイにもならず、さらには液晶バックライ トがOFFにもならないというのは、電力の無駄であろう。

 操作ボタン類は背面に集まっている。基本設定は「MENU」ボタン内部、細かく切り替える機能はジョイスティックのセンター押しで出現 する「FUNC.」メニューに集められている点は、昨今のキヤノン製ビデオカメラの構成に近い。上部のダイレクトプリントボタンは、撮影時にはよく使う機 能を割り付けることができる。

 

操作ボタン類はほとんど背面に配置 上部のボタンは、撮影機能が割り付けが可能

 

 FUNC.メニューはレイアウトが良くできており、撮影時に表示されるアイコンの位置で、そのままにメニューが広がるよう合わせ込まれている。これならマニュアル撮影でも、各設定が把握しやすい。

 

撮影中の画面表示 撮影時アイコンとFUNC.メニューの位置が揃えてある

 

 ズームレバーは背面の出っ張った部分にある。スピードはバリアブルではなく、定速2段階となっている。モードダイヤルもこの部分に合わせ てある。ダイヤル表示が完全に側面を向いているので、設定変更は横を覗き込まなければならないが、モードはそう多くないので、使っているうちに覚えるだろ う。

 

モードダイヤルは完全に横向き 端子類は底面にまとまっている
バッテリは内部に差し込むタイプ SDカードは背面から差し込む

 

本体充電ではなく、バッテリチャージャが付属

 

 本機は本体充電ではなく、別途バッテリチャージャが付属している。本機をAC駆動する場合は、別途ACアダプタキットを購入する必要があ る。このときはバッテリと併用はできず、バッテリ収納部にAC駆動用ユニットを入れることになる。またACケーブルが底面にささることになるため、別途三 脚を使用しないと自立できなくなる点は注意が必要だ。

 


■ ちゃんと撮るには手間がかかる動画

 では早速動画撮影を行なってみよう。動画の撮影は画素数で3段階あり、それぞれに対してノーマルとLPモードがあるという区分けになる。ただFUNC.メニュー上の見え方としては、画角が16:9か4:3かで分けられている点が、多少ややこしい。

【動画サンプル】

1,280×720ドット/ノーマル

1,280×720ドット/LP
ezsm1.avi (51.3MB) ezsm2.avi (29.3MB)

640×480ドット/ノーマル

640×480ドット/LP
ezsm3.avi (21MB) ezsm4.avi (11.6MB)

320×240ドット/ノーマル

320×240ドット/LP
ezsm5.avi (13.9MB) ezsm6.avi (7.53MB)
編集部注:全ての動画サンプルは、TX1のMotion JPEGフォーマットとなります。再生環境はビデオカードや、ドライバ、OS、再生ソフトによって異なるため、掲載した動画の再生の保証はいたしかねます。また、編集部では再生環境についての個別のご質問にはお答えいたしかねますのでご了承下さい。

 

 記録フォーマットとしてMotion JPEGを使用している点は、MPEGが主流の昨今では珍しい。Motion JPEGは、以前アナログキャプチャのノンリニア編集システムなどでよく使われていたコーデックだが、DVカメラ台頭以降は、デジタル転送したコーデック のままでネイティブ編集するのが一般的となり、あまり使われなくなった。

 フレーム間圧縮を行なわないため、編集時にはメリットが大きいが、ファイルサイズが大きくなるのが難点だ。しかもTX1の場合は音声もWAVで記録されるため、最高画質では4GBのSDHCカードを使用しても、13分半ぐらいしか記録できない。

 撮影サンプルをご覧になれば、いろんな点に気付くことだろう。TX1は最近コンパクトデジカメで流行りの、フェイスキャッチテクノロジーを装備している。そのため、動画の撮影中でも顔を検出してフォーカスや露出を追いかけていく。

 もちろん今回のように手前に近づいてくる場合は、フォーカスのフォローが間に合っていないケースも出てくる。ただマニュアルのフォーカス リングもないような機種で、このような動きフォローが上手く撮れるものはほとんどない。アルゴリズムをもう少し練り込めば、動画ユースとしても期待できる 技術だ。

 もう一つ動画カメラとして気になるのは、細かくフォーカスを追いすぎるという点だろうか。三脚で安定した絵を撮っているつもりでも、 フォーカスロックしないと絵がふらふらする。ハンディで気楽に撮る分には気にならないかもしれないが、落ち着いた絵をちゃんと撮るのが難しい。

 

【動画サンプル】

ezsm7.avi (56.2MB)

ezsm8.avi (47.2MB)
フォーカスロックなし フォーカスロックあり

 

 画質としては、増感しない程度の光量がある場合はなかなか良好だが、暗くなってくるとS/Nが悪くなる。ISO感度を変えて撮影してみたが、どうも動画撮影時には自動的にオートになってしまうようだ。

 これらはデジカメの発想が動画としてジャマしている一面だが、一方でデジカメの感覚を取り入れた良い面もある。例えばカラーモードでは、くっきりカラーやすっきりカラーはビデオのほうにもあるが、白色肌や褐色肌、ポジフィルムカラーといったカラーモードは、面白い試みだ。これらのモードは、動画でも撮影できる。

【カラーモード 静止画サンプル】
カラーモード サンプル カラーモード サンプル
OFF くっきり
カラー
すっきり
カラー
あざやか
グリーン
あざやか
レッド
ポジ
フィルム
白黒 セピア
白色肌 褐色肌

 また非常に強力なマクロモードを備えているのも、これまでのビデオカメラにはない強みだろう。レンズ前0cmから撮れるスーパーマクロを使えば、これまで見たこともない動画が撮れる。

 さらにボケ味の表現では、ビデオカメラ特有の菱形絞りではないため、動画でも綺麗な形のボケが表現できている。これはビデオカメラの弱点として再三指摘してきた部分だが、デジカメから発想すれば、こういった形でクリアできるわけである。ビデオカメラ開発側としても、この点は刮目すべきだろう。

【動画サンプル】

ezsm9.avi (25.3MB)

ezsm10.avi (25.8MB)
スーパーマクロモードで、レンズ前1cmから撮影 複数羽根絞りでボケの形が綺麗な動画が実現できる

ezsm11.mov (271MB)

ezsm12.mov (60.4MB)
動画サンプル 室内光でのサンプル
movファイルは、アップルの「Final Cut Pro」で編集し、QuickTimeの「モーションJPEG A」で出力

 

 


■ 動画と同時に静止画も撮れるが……

 本機は元々デジカメなので、静止画を撮る分にはまず問題らしい問題はない。撮影スタイルがビデオカメラライクではあるが、シャッターボタンだけは上にあるという変則的なスタイルに馴染めるかどうかがポイントになるだろう。

 このスタイルの恩恵は、無理なくバリアングル液晶が使えるということである。バリアングル液晶はコストの問題か、コンパクトデジカメに採用されなくなって久しいが、その点ではバリアングルを突き詰めていったら行き着いたデザイン、という考え方もできるだろう。

 動画と静止画のモード切替がない点は、デジカメの動画対応としてはアピールポイントの一つである。動画を撮影中に高解像度の静止画も撮影可能だが、動画の方はその間、絵と音が途切れる。絵が途切れるのはある程度しかたがないが、音はそのまま撮って欲しかった。

動画撮影中の動画/静止画サンプル
撮影していた動画
ezsm13.avi(19.6MB)
同時撮影した静止画

 

 また動画撮影中であっても、静止画のシャッターボタンを半押しするともう一度フォーカスを取り直すため、映像がふらふらする。これもまあ動作として正直といえば正直なのだが、もう少し動画の立場を考えて欲しかった。

 またビデオスタイルでの静止画撮影の難点は、縦構図が撮りにくいということである。Xactiはそのままでも縦構図が撮れるモードを備え たが、なんかそういう問題でもないような気がする。やはり最近のケータイのように、液晶が縦にも横にもなるとか、縦構図で押しやすい位置にシャッターボタ ンがあるといった「構造の工夫」で、なんとか面白くできないだろうか。

 


■ かなり考えられた再生機能

 続いて再生環境を見てみよう。Motion JPEGはWindowsではAVIファイルとしてOS標準の「Windows Media Player」で再生可能な上に、ビデオ編集ソフトでもまず対応済みなので、PC上での扱いには困ることはないだろう。一方本体での再生機能はどうだろう か。

 本機では、動画も静止画も区別無く一元的に扱われる。ズームレバーをワイド方向に倒すと、サムネイルで全体が見渡せるようになる。ジョ イスティックで見たいカットを選択して、センターボタンで決定……はできない。選択した状態でズームレバーをテレ方向に戻すことで、そのカットが全画面表 示となる。

 

動画も静止画もサムネイルで一覧できる センターボタンでコントローラを出して再生

 

 確かにロジックとしては正しいのだが、せっかくジョイスティックで選択までしているのだから、センターボタンで決定、そのまま再生、とい う操作でも良かっただろう。動画の再生は全画面表示にしたあと、ジョイスティックのセンターで操作画面を出し、そこで初めて再生となる。

 

編集機能は使いやすい

 

 動画も静止画も、各カットはジョイスティックの左右で移動することもできる。動画は連続して再生せず、そのカットで再生が終わるスタイルとなっている。

 本体には、動画の編集機能もある。クリップの前半カット、後半カットポイントを指定して、その間が使う範囲、というやり方だ。1カットず つ決め打ちで撮っていく場合には、なかなか使いやすい。また1ショットの中からいくつかのカットを抜き出す場合も、指定範囲の新規保存が可能なので、問題 ないだろう。

 

動画もスライドショーで連続再生可能

 

 動画を連続で見るには、スライドショー機能を使う。内部的には各クリップをフォルダやカテゴリで分けることができるほか、動画だけ、静止画だけという選択も可能。「カスタム」では、選択したクリップ順に再生されるため、プレイリスト的な使い方もできる。

 またスライドショーであるから、動画であっても各ファイル間のつなぎ目でエフェクトをかけることもできる。変わり目は止まった絵になってしまうが、それでも効果的ではある。

 本体からは、D3出力とコンポジット出力、アナログ音声出力が可能だ。動画では元々720/30Pの解像度を持ちながら、D3の 1080iに変換されて出力することになり、画質的には劣化することになる。静止画の出力に合わせて解像度の高いD3に合わせたのか、D4対応テレビの少 なさを懸念したのかもしれないが、せっかくここまでできてD4出力ができないというのは、実に惜しい。

 


■ 総論

 ビデオカメラは、ハイビジョン世代になって飛躍的な進歩を遂げた。その一方でデジカメ派生型のムービーカメラは、三洋のXacti、松下電器産業の「D-Snap」あたりで行き詰まってしまった感がある。

 今回TX1を試用してみて、デジカメの動画と静止画の機能バランスをどう取るべきかを、いろいろ考えさせられる結果となった。写真は瞬間 的につじつまが合ってればいいが、動画はあまりすぐに反応しないほうが映像のショックが少ない。動画と静止画をモードレスにした場合、フォーカスや露出の 取り方をどのように条件付けて作り分けていくかが、ポイントとなるようだ。

 一方で静止画の論理を動画に持ち込むことで、新しい表現の動画が生まれてくる可能性は、TX1で示すことができたのではないだろうか。テレビに出すことを絶対条件にしなければ30Pというフレーム数はアリだし、複数羽根絞りをちゃんと使えば、高級機顔負けのボケ足の綺麗な映像になる。またレンズ前0cmのスーパーマクロは、デジカメ的な発想がなければ実現しなかった世界だろう。

 ただ、動画フォーマットがMotion JPEGであるメリットは、今回の画質からはあまり感じられなかった。もっともそれで製品コストが下げられるのだ、と言われれば、それで納得するしかな い。容量の問題は時間が解決するかもしれないが、今度はバッテリの持ちが問題となるだろう。今回は約1時間かけてテスト撮影を行なったが、バッテリはかな りギリギリだった。

 今デジカメ業界は一眼レフ盛況の影で、コンパクトデジカメの生き残り策が急務となっている。単にユニークさを狙ってビデオカメラ的デザインになっただけならばいただけないが、今後も真剣に動画をやろうという動きの最初の一歩であれば、ムービーカメラとして今後、注目すべきラインナップとなるだろう。


□キヤノンのホームページ
http://canon.jp/
□ニュースリリース
http://cweb.canon.jp/newsrelease/2007-02/pr-ixyd10.html
□製品情報
http://cweb.canon.jp/camera/powershot/tx1/index.html
□関連記事
【2月22日】キヤノン、720p動画撮影が可能なデジタルカメラ
-光学10倍ズーム、光学手ぶれ補正搭載。D3出力対応
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070222/canon1.htm

(2007年3月7日)

 


= 小寺信良 =  テレビ番 組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「ややこしい話を簡単に、簡単な話をそのままに」をモットー に、ビデオ・オーディオとコンピュータのフィールドで幅広く執筆を行なう。性格は温厚かつ粘着質で、日常会話では主にボケ役。

[Reported by 小寺信良]



 dc.watch.impress.co.jp/cda/review/2007/06/13/6396.html

 

デジカメ Watch

【伊達淳一のデジタルでいこう!】キヤノン PowerShot TX1

~スタイリッシュなハイビジョン対応デジカメ
Reported by 伊達 淳一

銀塩コンパクトカメラと比べると、今のコンパクトデジカメは非常にスリムで、デザイン的にも洗練されたスタイリッ シュなボディになった。周辺画質もそれほど悪くはないし、液晶モニターのライブビュー表示は視野率は100%なので、マクロ撮影時にパララックス(視差) の影響でフレーミングがずれてしまう、なんて失敗をすることもなくなった。ボテッとした黎明期のデジカメに比べれば、非常に完成度は高くなっている。

とはいうものの、個人的には“スタイリッシュスリム”なデジカメは、正直、食傷気味である。画素数が多少増えようが、顔認識機能が入ろうが、カタログスペックを飾るだけの最高感度がアップしようが、光学3~5倍ズーム機という時点で、もはや物欲がわき上がってこないのだ。

もちろん“スタイリッシュスリムなんて不要だ”、とはまったく思っていない。最初に買うデジカメは、スリムでカッコいいデザインがいいし、液晶 モニターも大きく見やすく、それでいてバッテリーの持続時間も長いほうがいい。もちろん、トレンドの手ブレ補正や顔認識機能は入っていたほうがポイントは 高いし、高感度にも強いほうがいいに決まっている。それでいて、28mm相当の広角をカバーしていたらバンバンザイだ。しかし、そんなデジカメは、自分なりに気に入った機種が1台あれば十分で、ちょっとばかり画素数やおまけの機能が増えたからといって、1年や2年で買い換えようとは思わない。

では、ボクが今心惹かれるコンパクトデジカメとはなにか? それは“動画撮影にも強い高倍率ズーム機”だ。それも、できればポケットに入るコンパクトな高倍率ズーム機だ。ボクがこういう思いを明確に抱くようになっ たのは、2006年2月にこの連載でレビューした“三洋電機Xacti DMX-HD1”を使ったときから。光学10倍ズームを搭載し、5メガピクセルの静止画とMPEG-4のハイビジョン(720p)動画を撮影できて、それ でいて手のひらサイズのスリムな縦型ボディ。まさに、ボクが理想とする高倍率ズーム機に近かったのだが、惜しむらくは逆光でフレアが盛大に発生し、絞りも 菱形だったのでボケ味や光芒の出方が不満だった。そういう意味では、カシオEXILIM ZOOM EX-V7もなかなかイイ線行っているのだが、欲を言えばズーム倍率が7倍とあと少し望遠に強ければと思うし、Xacti同様、菱形絞りというのも気に なってしまう。

動画機能は充実も記録形式には疑問

そんなとき、キヤノンからちょっと気になる高倍率ズーム機が発売された。35mm判換算39~390mm相当の画角をカバーする光学10倍ズームを装備した“PowerShot TX1” だ。ワイド端の画角が39mm相当と広角に弱いのが残念だが、それでも初代IXY DIGITALサイズのボディで、デジタルズームを使わずに390mm相当の超望遠撮影ができるのはスゴイ。もちろん、レンズシフト式の手ブレ補正も装備 しているし、(画質はともかくとして)ISO800まで感度アップする高感度オートを併用すれば、手ブレだけでなく被写体ブレも抑えることができる。

デザインもなかなかクールだ。黎明期のDVカメラに多く見られた縦型スタイルで、収納時にはレンズは完全にボディ内に沈胴する。自動開閉式のレンズバリアも装備しているので、無粋なレンズキャップが不要なのもイイ。キヤノンのコンパクトデジカメと しては珍しく光学ファインダーは省かれており、1.5型のバリアングル液晶モニターがファインダー代わり。横位置撮影ではハイアングルやローアングル撮影 が楽な姿勢で楽しめる(縦位置撮影方向には液晶モニターが動かないのはちょっと残念だが……)。最近の大画面液晶モニターを見慣れていると、かなり画面が 小さく感じるが、コントラストが高い表示なので屋外での視認性もまずまずだ。

ちなみに、液晶モニターの開閉で電源もON/OFFできれば便利だと思うが、そのような仕様にすると、カメラを握っている右手人差し指の一部レ ンズ部にかかってしまい、電源ONで伸びてくるレンズユニットと指が当たってしまう可能性があるので、あえて電源ボタンを押させる仕様にしているそうだ (しかし、液晶モニターを閉じたら自動的に電源がOFFになるようにはしてほしいところだ)。

PowerShot S3 ISと同様、静止画撮影モードと動画撮影モードの区別はなく、ボディ上面にある静止画撮影用のシャッターボタンを押せば静止画が記録され、ボディ背面の動 画撮影用のトリガーボタンを押すと動画が記録される。動画記録時に静止画用シャッターボタンを押せば、静止画も同時記録される。動画記録中にもズーミング が行なえ、音声もステレオ、640×480ピクセルのVGA動画だけでなく、1,
280×720ピクセルのハイビジョン動画も撮影でき、D3出力対応のコンポーネント端子を装備するなど、一般的なコンパクトデジカメに比べるとかなり動画撮影機能は充実している。

ただし、動画記録方式は“Motion JPEG”方式で、動画から静止画を抜き出す場合には画質面で有利ではあるものの、その代償として、記録時間に対しファイルサイズが非常に大きくなるのが 最大の弱点。512MBのSDメモリーカードに記録できる動画は、640×480ピクセルの高画質モードで3分48秒、1,280×720ドットの高画質 モードではわずか1分42秒。最近はSDHC/SDメモリーカードも安くなってきたとはいえ、2GBのカードを奢っても15分程度のVGA動画しか撮れな いのでは、ボクが求める“動画撮影に強い”とはほど遠い。やはり、ビデオカメラも作っているメーカーのデジカメは、高圧縮率の動画コーデック採用に消極的、という法則は、キヤノンにも当てはまってしまうようだ。

広角端は弱いが水準以上の写り

では、“動画に強い”という条件はさておき、一般的な高倍率ズーム機としてTX1を評価してみるとどうだろう。ちょっと大きめのポケットなら何とか入るボディサイズで、DMX-HD1と並べてみると、厚みは似たような感じだが、TX1の ほうが高さがかなり抑えられている。やはり、この小ささは魅力だ。ただ、くどいようだがワイド端の画角が39mm相当とビデオカメラ並みに狭くなってし まっているのは、評価が大きく分かれるところ。このボディサイズを実現するためにはやむを得ない選択だったのかもしれないが、個人的には、ワイド端が 35mm相当の画角よりも狭くなってしまうのは、メインで常用するコンパクトデジカメとしては大きなマイナス点だ。

画質は“1/2.5型CCD搭載のコンパクトデジカメとしては”という枕詞付きで水準以上の写りだ。ピントがわずかに外れた部分の描写に少し不 快な乱れを感じるものの、それ以外はビシッとキレのよい描写で、色や階調もメリハリがあって一般受けする絵作りだ。もっとも高感度ノイズについては、 ISO80でも空などにざわつきが認められるくらいなので、ISO200になるとかなりノイズが目立ってくる。ISO400以上になるとカラーノイズが盛 大に発生し、もはやお世辞にもキレイな絵とは言えない。ただ、強引に輝度ノイズを低減していない分、解像感の低下は少なく、細部が溶けたような描写にはな らないのが救いだが、カラーノイズはもう少しノイズリダクションで抑えても良いのではないかと思う。

前玉の小ささが動物園での撮影を有利に

PowerShot S3 IS(左)との比較。S3 ISは、36mm相当からの光学12倍ズーム機だ
操作性はちょっとクセがある。右手人差し指をボディ上面のシャッターボタンに、右手親指を背面のズームレバーに添える と、自然と残りの右手の指でボディ前部を握り込むように構えるスタイルだ。さらに、液晶モニターの左下を左手でつまむようにすると、望遠撮影時などにホー ルディングが安定する。

ズームレバーの上には、ジョイスティック型の十字キーがあり、上方向キーにISO感度、右方向キーにストロボモード、下方向キーにドライブモー ド、左方向キーにマクロモードの切り換えが割り当てられている。また、この十字キーを真下に押し込むとFUNCキーとして動作し、露出補正やホワイトバラ ンス、画質モード、撮影モードなどを切り換えられる。ボタンやレバーが小さいので指先の細やかな動きが求められるが、メニューや機能の操作はキヤノンのほ かのコンパクトデジカメと同じなので、操作に戸惑うことはなかった。

また、他の高倍率ズームにない特徴がレンズ前玉の小ささだ。ほかの高倍率ズーム機は、一眼レフの望遠レンズほどではないものの、それなりにレンズ前玉が大きいので、動物園などで檻の格子の間隔が狭いとどうしても周辺に写り込んでしまう。その点、TX1は前玉が小さいので、檻やフェンスの隙間にレンズ鏡胴がスッポリと入り、カンタンに檻抜き撮影ができてしまう。これは大きなアドバンテージだ。

バッテリーは、IXY DIGITAL 10なども採用されている薄型のリチウムイオンバッテリーで、CIPA準拠の撮影可能枚数は160枚とやや少なめだ。実際、TX1を使っていると、望遠で撮るのが楽しくて、いろいろな被写体を撮影してしまうので、なおさらバッテリーの持ちが悪く感じてしまう。できるだけ予備バッテリーを用意しておいたほうが安心だ。


※作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。

※強調のため一部の項目を1行目に抜粋した場合もあります。

※プライバシー保護のため★印のある作例は加工を施しています。


画角変化


1倍
3,072×2,304 / 1/640秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.5mm
3倍
3,072×2,304 / 1/640秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 20.19mm

7倍
3,072×2,304 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 41.96mm
10倍
3,072×2,304 / 1/640秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 65mm

デジタルテレコン1.5倍
3,072×2,304 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 65mm
デジタルテレコン1.9倍
3,072×2,304 / 1/640秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 65mm

デジタルズーム4倍(40倍相当)
3,072×2,304 / 1/640秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 65mm

感度による画質変化

最低感度のISO80でも、背景のグレーにカラーノイズが目立つ。ISO200になると、少し輝度ノイズリダクションがかかるようで、ノイズの粒がボケ 気味になり、解像感もわずかに低下する。ISO400になると、カラーノイズリダクションがしっかりとかかり、背景のカラーノイズも消えるが、輝度ノイズ が多く、人形の布目が徐々に不鮮明になってくる。ISO800以上になると、全画面にノイズが乗って砂目状になり黒浮きもしてくるが、高感度フィルムで撮 影したようなテイストで、むしろこれを逆手にとって素粒子効果として表現に活かせそうだ。

限度を超えた輝度ノイズは、下手にノイズリダクションをかけないほうが写真として素直だと思う。そういう意味では、TX1のISO800以上の画質は確かに砂の嵐でザラザラだが、違和感が少ない描写だ。

ISO80
3,072×2,304 / 1/8秒 / F4.5 / 0EV / WB:オート / 15.43mm
ISO100
3,072×2,304 / 1/10秒 / F4.5 / 0EV / WB:オート / 15.43mm

ISO200
3,072×2,304 / 1/20秒 / F4.5 / 0EV / WB:オート / 15.43mm
ISO400
3,072×2,304 / 1/40秒 / F4.5 / 0EV / WB:オート / 15.43mm

ISO800
3,072×2,304 / 1/80秒 / F4.5 / 0EV / WB:オート / 15.43mm
ISO1600
3,072×2,304 / 1/160秒 / F5 / 0EV / WB:オート / 15.43mm

パノラマ合成

ワイド端の画角が39mm相当と狭いので広 々とした風景撮影には不利だが、パノラマモードで撮影し、付属のPhotoStichで合成してみた。キヤノンのパノラマモードは、直前に撮影した写真と の継ぎ目に当たる部分が半透明で表示されるので、どれくらいカメラをパンニングしたらいいのかわかりやすい。ただ、カメラを縦位置にして水平にパンニング すれば上下をもっと広く写せるので、パノラマモードに縦位置撮影モードを追加してほしいと思う。

●パノラマ素材

3,072×2,304 / 1/250秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 8.21mm
3,072×2,304 / 1/250秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 8.21vmm


3,072×2,304 / 1/250秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 8.21mm

3,072×2,304 / 1/250秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 8.21mm


3,72×2,304 / 1/250秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 8.21mm


PhotoStichでパノラマ合成した写真(リンク先は3,158×800ピクセルに縮小した画像です)

PhotoStichでパノラマ合成中の画面。パノラマモードで撮影した写真を読み込み、開始ボタンを押すだけで、カンタンにパノラマ合成できる

動画

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※編集部では再生についてのお問い合わせを受けかねます。あしからずご了承ください。


640×480ピクセル/30fps/15秒/約30MB
カワセミの求愛給餌を撮影。デジタルズームを併用しないと大きく写せなかったので、画質の劣化が目立ちにくいVGAサイズで撮影。1,000mmを軽く超える超望遠撮影となるので、手ブレ補正があっても結構画面が揺れる。そのため、カメラバッグの上にTX1を置いて、なんとかブレを抑えようと努力してみた。カワセミの声も非常にキレイに撮れている
1,280×720ピクセル/30fps/22秒/約93MB
16:9 のハイビジョンモードの動画。ハイビジョンの高精細さを出すには、小さくても構わないので、とにかく三脚撮影が基本。録画中にズームしても動作音がほとん どしないのは立派だ。最後にシャッター音がして一瞬静止画に切り替わるが、これは動画撮影中に静止画用のシャッターボタンを押したため。同時記録された静 止画は3,072×1,728ピクセルで、動画から静止画を切り出すよりもかなり高解像度だ

実写作例

桜の花びらや細い枝までしっかりと解像している。1/2.5型CCD搭載機としては、なかなかの描写だ。露出レベルもほぼ適正
3,072×2,304 / 1/320秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.5mm
これくらい引きで撮影すると、少し細部がにじんだような描写になってくるが、デジイチ(デジタル一眼レフ)でもシャープに写すのはむずかしいので仕方がないところか
3,072×2,304 / 1/400秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.5mm

ISO200になるとカラーノイズがかなり目立ち、細部の描写も多少甘くなってくる。テレ側のボケ味は悪くない
3,072×2,304 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 50.3mm
木の枝の周りに多少パープルフリンジが生じているが、この程度なら優秀な部類。散った花びらも非常にくっきり描写されている
3,072×2,304 / 1/250秒 / F5 / 0EV / ISO80(オート) / WB:オート / 6.5mm

露出オーバーになってしまうので-2/3EVの露出補正をかけて撮影。TX1で露出補正をかける必要がある場合、たいていマイナスの露出補正だった
3,72×2,304 / マニュアル / 1/320秒 / F5 / -0.7EV / ISO200 / オート / 24.4mm

縦位置ではちょっとカメラを構えにくいが、液晶モニターを左手で包み込むように支えるとフレーミングが安定するし、液晶モニターも見やすくなる
3,072×2,304 / 1/500秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.5mm

TX1の最短撮影距離はワイド端で10cm(マクロ時)だが、撮影モードをスーパーマクロモードに変更すると、レンズ直前まで被写体に近寄れる
3,072×2,304 / 1/400秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.5mm
桜と菜の花のコラボ。被写界深度が深いコンパクトデジカメなので、カメラまかせのオートでも手前から奥までしっかりとピントが合っている
3,072×2,304 / 1/500秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 9mm

ワイド端は39mm相当とさほど広角ではないが、撮り方によっては十分広がり感を見せることができる
3,072×2,304 / 1/800秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.5mm

菜の花の黄色が非常に鮮烈だ。もっと花びらが不鮮明になりそうなものだが、結構解像しているのにはビックリ
3,072×2,304 / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 42.7mm


こういう芝目を撮ると、細部が溶けたようにベッタリとした描写になるコンパクトデジカメが多いが、TX1はかなり健闘している描写だ
3,072×2,304 / 1/640秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.5mm
被写界深度の深いコンパクトデジカメは、背景がどうしても煩雑になりやすいが、300mmを超える超望遠で一部分だけを切り取ると、シンプルな画面構成にできる
3,072×2,304 / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 61.9mm

桜の花は少し白トビ気味ではあるが、手前のチューリップが日陰になっていることを考えると、絶妙な露出レベルだ
3,072×2,304 / 1/200秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 10mm

みずみずしい芝生の緑に伸びた樹の影を切り取ってみた。半逆光気味に撮ると、花や葉っぱに光が透けてとてもキレイに写る
3,072×2,304 / 1/250秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 14mm

バリアングル液晶モニターの特徴を活かし、ローレベルで撮影。楽な姿勢で低い位置から撮影できるのは便利だ
3,072×2,304 / 1/800秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 65mm
チューリップのような高彩度の被写体を撮影すると、色が飽和して階調が失われてしまうことが多いが、しっかり赤の階調が残っているのは見事
3,072×2,304 / 1/200秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 65mm

かなり桜が散ってきていても、状態のいい枝を探してアップで切り取れば、まだまだ絵になる。こういうとき望遠があると便利だ
3,072×2,304 / 1/400秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 65mm
逆光気味なので露出補正が必要になるかと思ったが、補正なしで大丈夫だった。液晶モニターを上に向け、ウエストレベルで構えると威圧感なしに撮影できる
3,072×2,304 / 1/125秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 59.6mm

チューリップを中望遠で造形的に切り取ってみた。ド・順光での撮影だが、影の部分もそれほど暗くならずに済んでいる
3,072×2,304 / 1/800秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 12.4mm
チューリップの葉っぱはうるさいボケになりやすいが、比較的素直なボケだ。花に光の当たっている部分で色相が変わっていないのも上手な信号処理だ
3,072×2,304 / 1/200秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 65mm

桜の花を引き立てるには暗い背景で撮るのが基本。花が一部白トビしているが、むしろ白トビすることでハイライトの冴えになっている
3,072×2,304 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 65mm
川の中州で休憩するカワウをテレ端で狙ってみたが、あまり大きく写せなかったので、やむを得ずデジタルズームで撮影。3倍のデジタルズームだがやはり画質的にはきびしい
3,072×2,304 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 65mm

菜の花を望遠で切り取ってみた。細い茎までくっきり写っている。こんなに小さなボディでこれだけ望遠で撮れるのはすばらしい
3,072×2,304 / 1/200秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 57.6mm
神代植物園にて。桜の花だけだと色彩的に単調なので、桃の花や樹木の緑が背景になる位置まで下がって撮影。桜を引き立てるアクセントにしてみた。
3,072×2,304 / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 51.5mm

高感度オートにすると、ブレを抑えるため積極的に高感度で撮影されるようになる。ただ、ISO400はカラーノイズがもっとも目立つ感度だ
3,072×2,304 / 1/640秒 / F5.6 / 0EV / ISO400(高感度オート) / WB:オート / 55.9mm
ISO800まで感度アップすると、カラーノイズはノイズリダクションでほとんど目立たなくなる。しかし、輝度ノイズで画面はかなりザラザラになる
3,072×2,304 / 1/640秒 / F5.6 / 0EV / ISO800(高感度オート) / WB:オート / 65mm

例によってお散歩ついでのカワセミ撮り。しかし、対岸のカワセミは390mm相当の望遠程度では焼け石に水。点にしか写らないのが悲しい
3,072×2,304 / 1/100秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO200 / WB:オート / 65mm
そこで、デジタルズームを「入」にして、デジタル4倍で撮影。1560mm相当の画角でやっとこの大きさ。液晶モニターではなんとか見られるが、ピクセル等倍ではこの画質だ
3,072×2,304 / 1/100秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO200 / WB:オート / 65mm

日も暮れ始め、家に帰る途中でネコがいるのに気づいた。よく見ると黒猫もいる。白黒のコントラストがおもしろい。手ブレ補正の効果で手ブレなしに撮影できた
3,072×2,304 / 1/40秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 65mm
カワセミを探しつつ、のどかな春の風景をパチリ。菜の花の黄色と緑、桜の薄いピンク色、そして青空の青の対比が実にキレイに写っている
3,072×2,304 / 1/500秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.5mm

少しかすんだ青空だったので、カラーモードを「くっきりカラー」にして撮影。彩度とコントラストがアップし、メリハリのある描写になった。佐倉ふるさと広場にて撮影
3,072×1,728 / 1/400秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 65mm

フォト・イン・ムービー
動画撮影中にシャッターボタンを押して記録した静止画。ISO80としては少し青空のノイズが多めだが、動画と同時記録した静止画としては高解像度だ。くっきりカラーで撮影
3,072×1,728 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO80(オート) / WB:オート / 6.5mm

アスペクト比を16:9に設定して撮影。4:3の画面の上下をカットした「なんちゃってパノラマ」だが、不思議と広がり感のある絵が撮れる
3,072×1,728 / 1/200秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 65mm
通常の4:3で撮影すると左右が間延びしてしまうシーンだが、16:9で撮影するとぴたりと収まりが良くなった
3,072×1,728 / 1/100秒 / F4 / 0EV / ISO100(オート) / WB:オート / 11.4mm

4:3で撮影する場合は、このようにテレ側にズームして部分的に切り取ると間延びしない構図になる
3,072×2,304 / 1/160秒 / F5 / 0EV / ISO200(オート) / WB:オート / 37.2mm

柏市あけぼの山農業公園にチューリップ撮影のハシゴ。少しかすんだ青空だったので、くっきりカラーで彩度を強調してみた
3,072×1,728 / 1/500秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 8.2mm

赤、白、ピンク、黄色、紫と並んだチューリップを望遠で撮影。16:9の横長の画面が非常にマッチする。くっきりカラーで撮影
3,072×1,728 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 65mm
チューリップと菜の花の色の帯をアスペクト比16:9で撮影。逆光気味に撮影しているので花の色がキレイだ。くっきりカラーで撮影
3,072×1,728 / 1/200秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 65mm

あけぼの山農業公園の風車。佐倉ふるさと広場の風車は風で動く本物の風車だが、こちらは電動風車だ。くっきりカラーで撮影
3,072×1,728 / 1/640秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.5mm
多摩動物公園のレッサーパンダ。レッサーパンダの個体識別に自信はないのだけど、たぶんこの娘は富山市ファミリーパークに嫁いでいったひまわりちゃん
3,072×2,304 / 1/80秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO200(オート) / WB:オート / 65mm

多摩動物公園では午後2時がレッサーパンダのおやつタイム。ブーブーくんは両手でリンゴを持って食べるのが特徴。レッサーのお腹は黒いのでマイナスの露出補正が基本
3,072×1,728 / 1/60秒 / F5 / -0.3EV / ISO200(オート) / WB:オート / 31.4mm
せっかくのおやつタイムなのに樹の上から降りてこない人見知りのコタロウくん。だからいつもリンゴをもらい損ねる損な性格
3,072×2,304 / 1/100秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO200(オート) / WB:オート / 65mm

同じく多摩動物公園のユキヒョウ。普通なら檻が写り込んでしまうところだが、TX1はレンズ前玉が小さいので、檻を抜くのが比較的簡単なのが強み
3,072×2,304 / 1/160秒 / F5.6 / 0EV / ISO200(オート) / WB:オート / 65mm
オランウータンがいる場所には檻がないので撮影が楽だが、390mm相当の画角ではまだ望遠不足。シャドー部のカラーノイズがかなり目立つ
3,072×2,304 / 1/200秒 / F5.6 / 0EV / ISO200(オート) / WB:オート / 65mm

手ブレ補正が付いていても過信は禁物。アムールトラの動きを追ってあわててシャッターを切ったためか、少しブレてしまった。でもこれ以上感度は上げたくない
3,072×2,304 / 1/200秒 / F5.6 / 0EV / ISO200(オート) / WB:オート / 54.3mm
被写体が静止していて落ち着いてシャッターを切れる場合は、手ブレ補正の効果がはっきりと実感できる
3,072×2,304 / 1/80秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 52.8mm

【お詫びと訂正】記事初出時、高感度モードでISO1600まで増感すると記載しておりましたが、正しくはISO800までです。お詫びして訂正いたします。

URL
キヤノン
http://canon.jp/
製品情報
http://cweb.canon.jp/camera/powershot/tx1/

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キヤノン、縦型スタイルの手ブレ補正10倍ズーム機「PowerShot TX1」(2007/02/22)



伊達 淳一
1962年生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業。写真、ビデオカメラ、パソコン誌でカメラマンとして活動する一方、その専門知識を活かし、ライターとしても活躍。黎明期からデジタルカメラを専門にし、カメラマンよりもライター業が多くなる。自らも身銭を切ってデジカメを数多く購入しているヒトバシラーだ。
2007/06/13 10:18

 


 

 plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0706/08/news046_5.html

 

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最終更新:2008年11月14日 06:10
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