紛争地域で想像を絶するストレスフルな経験をしても、健康を維持しているばかりか、それを人間的な成長の糧にさえしている人々が持つ健康要因とは何か?

 

 

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第2回日本ヘルスプロモーション学会の抄録から



旧ユーゴ紛争生存女性のSOC
~紛争に伴う心理的なプロセスおよび心理社会的抵抗資源と人生経験について~

グローバルヘルスコミュニケーションズ 蝦名玲子




紛争地域で想像を絶するストレスフルな経験をしても、健康を維持しているばかりか、それを人間的な成長の糧にさえしている人々が持つ健康要因とは何か?

この答えを求めて、旧ユーゴ紛争を生き抜いた女性の体験、SOCの強弱とその関連要因について、2年がかりの調査分析を行なってきた。紛争を13 歳から23歳までに体験した生存女性17名の協力を得て、SOCスケールとインタビュー・ガイドに基づいた半構造化インタビューの設問に沿ったin- depth interviewおよび参与観察から成るfocused ethnographic study を実施した結果、SOCの形成・成熟化に影響を与えたと考えられる紛争に伴う心理的なプロセスおよび心理社会的抵抗資源とそれが提供する人生経験について 解明したので報告する。

青少年期に紛争という巨大ストレッサーにさらされる体験をした女性たちが、紛争勃発から現在にいたるまでの心理的なプロセスとして、①戸惑いと怒 りの段階、②不安と結束の段階、③喜びとアイデンティティの探求の段階、④失望をもたらした現実の受容と調整の段階、の4つの段階をふんでいたことを解明 した。その上で、SOCの形成や成熟化に影響を与えている心理社会的抵抗資源と人生経験として、①仕事に対する意義の実感、②信頼できる他者の存在とその 関係の一貫した継続性に対する確信、③自己の受容、④幸せの実感、⑤幼少期の安定性、の5点を推論した。

今後、これらの心理的プロセスと心理社会的抵抗資源および人生経験の影響についての検討を中心に、分析解明を更に進め最終結論を出すとともに、紛争生存者のニーズを明確にし、今後の生存者支援に活かすことが急務であると考える。

The 18th World Conference
on Health Promotion
and Health Education
(4, 2004, Australia)
第2回日本ヘルスプロモーション学会
(2004年11月、国立国際医療センター、東京)
日本国旗の前が蝦名玲子
最終更新:2008年11月25日 01:00
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