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医療提言 石川の現場から:「家庭医」養成し総合診療

 

www.yomiuri.co.jp/e-japan/ishikawa/feature/kanazawa1234925391751_02/news/20090222-OYT8T00396.htm

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(3)「家庭医」養成し総合診療

心電図を見ながらディスカッションを進める吉岡センター長(左)と研修医の飯塚医師(右)

 七尾市の恵寿総合病院の家庭医療学センターの診察室には、頭痛やけがなど様々な病態の患者が訪れる。研修医1年目の飯塚崇医師(25)は「立ちくらみで倒れてしまった」という50歳代の女性を診察し、過去の病歴、体調面の不安、家庭環境に至るまで次々と質問していった。

 指導医の吉岡哲也センター長(37)との、最終的な診断を導くための議論では、脳神経や循環器に関することから薬剤、内分泌系、呼吸器系について、さらに、健康に影響を与えるストレスなどの精神面まで、幅広く意見を交わした。

 内科、外科、小児科、産婦人科、精神科など総合的な診療にあたる「家庭医」が、患者や総合病院の負担軽減や医療費削減につながるとして注目を浴び ている。従来は専門科で扱ったような様々な病気のほか、「どの科に行けばいいかわからない」「なんとなく具合が悪い」といった患者も診療することが多い。

 同病院では昨年10月、「家庭医療学センター」を開設し、診療と共に研修医の指導を行っている。米国で家庭医療を専門的に学んだ吉岡医師をセン ター長に招き、飯塚医師ら4人の研修医が学ぶ。家庭医のプログラムは学生にも人気があり、研修医の確保に頭を悩ませてきた同病院の研修医の応募倍率は、今 年度の選考で初めて3倍となった。

 「家庭医はすべての病気を診られる“スーパードクター”ではなく、健康に関する“よろず屋”」(吉岡センター長)だ。専門的な検査や治療が必要となれば専門科に紹介する。

 ただ、本当に専門医が必要なのは2割とされ、多くの患者は家庭医で事足りる家庭医が最初に診察すれば、患者は各科のたらい回しが避けられ、病院も専門科の勤務医の激務を緩和できる。

 同病院の神野正博理事長は、家庭医の普及が医師不足と高齢化が進む能登地域の医療の切り札になると話す。「これまで育てられてきたのは専門医。医師不足の奥能登に行っても、専門としてきた病気の患者はいない。様々な症状の患者を診られる家庭医が必要だ」

 一方、「専門医でないと信頼出来ない」という声があるのも事実で、家庭医の認知度を高めるのが目下の課題だ。新年度からは病院外にセンターを移し 診療所を設け、地域住民の理解を深めるという。神野理事長は「将来は家庭医を能登地域の医療機関に派遣する新たな医療体制を構築していきたい」と話してい る。

◆提言要旨

 医療の質や安全を確保するため、勤務医の待遇改善や、専門医と開業医の役割分担の見直しが急務だ。

 勤務医は、36時間連続勤務が常態化するほどの厳しい労働環境にある。しかし、医師を大幅に増やすことはすぐにはできない。せめて給与の大幅アップなど待遇改善で激務に報い、今の勤務医にとどまってもらうことが欠かせない。

 勤務医と開業医の役割の見直しは、早急に行う必要がある。開業医は、病院勤務時代の専門診療の経験を踏まえて独立するケースが多いが、それでは幅広い症例に対応できない。患者が病院に集中し、勤務医の疲弊も加速する。

 まず、複数の診療科にわたる症例を診察でき、必要なら専門医に紹介する能力を持つ「家庭医」(総合診療医)を育てることが必要だ。また、高い手術能力などを持つ勤務医については、技術料など、より手厚い報酬を用意すべきだ。

(2009年2月20日   読売新聞)
最終更新:2009年03月27日 19:41
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