
www.kanto.meti.go.jp/seisaku/kikaku/dentsudai7.html
今回も、第6回に引き続き「地域に賑わいや健康をもたらすサービスの展開」というテーマで講座を進め、外部講師として、株式会社 つくばウエルネスリサーチ 代表取締役 久野 譜也氏をお招きし、地域の健康増進に向けた同社の取り組みについてご講演いただきました。受講生によるグループディスカッションでは、この取り組みを題材に「講義における事例の成功要因は何か」、「自己の地域における健康増進の取り組み、特にサービス産業と連携した取り組み」について受講生に討議いただき、白熱の議論が展開されました。
【日 時】 2008年12月18日(木) 17時30分~20時20分
【会 場】 電気通信大学 80周年記念会館『リサージュ』Forum(3階)
〈ワークショップ〉
◆「健康増進ビジネスで地域のパワーアップを図れ」
つくばウエルネスリサーチ社長 久野 譜也氏
(1)講師:久野譜也氏 筑波大学大学院准教授 ㈱つくばウエルネスリサーチ代表取締役社長
日本は少子・高齢・人口減少社会に突入しており、生産年齢人口減少と高齢者の爆発的増加による医療費の増加がこのまま進めば、社会保障は確実に崩壊に至ることになる。将来世代に社会保障をつなぐためには、「健康維持」を個人ではなく社会全体の課題として捉え、予防による健康づくりから全体医療費の抑制につなげる必要がある。
かたや、保険者が行う健康教室への参加者は少なく、医療費抑制を目的とした税金の効果的な使い道にも課題がある。双方の課題を解決するには、より多くの住民を継続的に「科学的根拠に基づいたプログラム」に参加させることが重要である。
プログラムを推進するには、①大学ならではの信用と知の蓄積、②民間企業への市場創出と技術力の享受、③資金回収が確実な保険者での着実な成果(多くの参加者に若返り効果があり医療費も抑制)達成、等が成立するWin-
Win循環型B to B to
Cモデルを継続する必要がある。それらを確実にするために、地域で継続的な活動を行うウェルネスマネジャーの育成と地域から集まる全国データを集約するIT基盤導入が行われている。
また、プログラム成功の必要条件としては、参加モチベーションを挙げる地域コミュニティーの存在が挙げられる。気心の知れた参加者と切磋琢磨する中で、肉体維持だけでなく精神面にも大きな効果をもたらしている。保険者目線ではプログラム卒業者を地域の民間サービス事業者へ誘導し、自身の健康維持への投資を継続させるとともに新たな参加者を常時集めることで全体の健康指数を高めていく必要がある。
新たな取組としては、規制緩和により小規模薬局の減少に悩む医薬品卸と連携を進める薬局を核とした地域密着型保健指導モデルや、信用金庫とパートナーを組むことによる中小企業経営者の健康づくりモデルなどが始まっている。また、時間や場所にとらわれないライフスタイル型も試行しているが、キーであるコミュニティーの存在が皆無なため、当初プログラムと比べて継続性維持という点での課題を抱えている。
(2)ワークショップ討議の内容(1班から抜粋)
≪意見≫
● 科学的データの活用
→ 健康産業と一口に言っても、様々なものが存在するが、大学の研究成果に基づいたデータを効果的に活用し、サービスへの信頼性の向上に繋げた。
● WinWinの関係づくり
→ 医療費抑制を図りたい保険者、健康を志向する住民など、つくばウエルネスリサーチのサービスに関わるもの全てにメリットをもたらした。
● 社会時流の的確な把握
→ テレビゲームでも、流行るほどの「健康づくり」という現代社会の時流を的確に把握し、ビジネスチャンスを逃さなかった。
● 顧客の選択
→ 保険者である公的団体等を直接の顧客とすることで、確実な収益源を確保した。
● 広報活動の有効活用
→ 健康産業が国民に認識される以前から、全国各地での講演活動等を通じ、自社のサービスの認知度向上を行ってきた。
≪方策≫
● 健康増進のための取り組みにおいて、民間企業を活用している例は、今のところなく、その結果、イベントなどでは、参加者が少ないというのが現状。通り一辺倒のPR等が原因でもあると考えられるので、今後、PRに注力していく必要性を感じた。
● 今回の事例では、如何に対象者を外に引き出すかがポイントであったが、逆に、訪問ビジネス的な手法もあり得ると思った。しかし、人員等コストの問題はクリアしなければならないだろう。
● 健康増進ビジネスは、ビジネスモデル的にも、一朝一夕には軌道に乗らないであろうし、つくばウエルネスリサーチさんと契約することも一つの手段であると思った。
● 現在でも、大学の先生の協力、監修を得て生み出された製品には、購入者に対する格段の訴求力を有しているという肌感覚である。筑波大学の例でも明らかなように、今後も連携を強化していきたい。
・ つくばウエルネスリサーチ久野社長の講義からは次の①から③までの3点の学ぶべきことがあった。
①
大学発ベンチャーの希有な成功事例であること。売上高4億円で利益1億円を計上しているということからも、久野社長は教員としての素晴らしさと経営者に求められる資質の両方を兼ね備えているということ。関東経済産業局でもつくばウエルネスリサーチ取り組みを深く研究すると新規施策につながってくるのではないか。
②
久野先生の話からあったように、医療費の上昇が自治体の財政にどのように影響するのかを把握できているかという点はとても大事。一般会計からこの関連に補填されているかについて、ある市は20億円強を補填しているという事である。このような財政面での負担を軽減するために何を行うことが必要であるか考えることが重要である。先月の和光市東内補佐のように介護や病気にならない「予防」の取り組みは非常に重要である。研修生も地域に帰って、自己の自治体の一般会計の補填状況と財政削減の取り組みを是非確認して欲しいと思う。
③仙台の社会実験について、個人商店の薬局が参画しているということであるが、個人商店は商店街に立地するところも多いのではないか。そうであれば、商店街活性化のヒントにもなるのではないかと考えられる。ナショナルチェーンのドラッグストアにはできないことを個人商店が担うのであれば、地域の住民を巻き込んで商店街が活躍できる成功事例に持っていけるのではないかと思う。地域にコミュニティーが大切であると思うが、地域の住民が名前を呼びあえるコミュニティーづくりを個人商店や商店街ができるような政策を考えて欲しい。