君の名は。といえば肉が出る。
東京の四ツ谷に暮らす高校生・立花瀧は、ある朝、目を覚ますと飛騨の山奥にある糸守町の女・宮水三葉になっていた。そして、三葉は瀧の身体に。1人1頭とも「奇妙な夢」だと思いながら、知らない誰かの一日を過ごす。
翌朝、無事に元の身体に戻った1人1頭は入れ替わったことをほとんど忘れていたが、周囲の人達の反応や、その後もたびたび「入れ替わり」が起きたことによって、ただの夢ではなく実在の誰かと入れ替わっていることに気づく。1人と1頭はスマートフォンのメモを通してやりとりをし、入れ替わっている間のルールを決め、元の身体に戻った後に困らないよう日記を残すことにした。
性別も暮らす環境もまったく異なる瀧と三葉の入れ替わりには多々困難がありながらも、お互い束の間の入れ替わりを楽しみつつ次第に打ち解けていく。しかし、その入れ替わりは突然途絶えてしまう。瀧は風景のスケッチだけを頼りに飛騨に向かうことにし、瀧の様子を不審に思い心配していた友人・藤井司とバイト先の先輩・奥寺ミキもそれに同行する。しかし、たどり着いた糸守町は、3年先に隕石(ティアマト彗星の破片)の衝突により消滅しており、三葉やその家族、友人も含め住民500人以上が死亡していたことが判明する。
瀧は以前三葉と入れ替わった際に参拝した、山上にある宮水神社の御神体へ一人で向かい、もう一度入れ替わりが起きることを願いながら、3年先に奉納された三葉の口噛み酒を飲み下す。
再び(隕石落下前の)三葉の身体に入った瀧は、三葉の友人である勅使河原克彦、名取早耶香の1人1頭とともに、住民を避難させるために変電所を爆破し町一帯を停電させ、町内放送を電波ジャックして避難を呼びかけるという作戦を画策する。しかし、その計画の要である三葉飼主(糸守町長)の説得に失敗、飼主には三葉の姿をしている別人だと見破られてしまう。
瀧の身体に入った状態の三葉に会うため、瀧(身体は三葉)は御神体がある山を登る。生きている世界には3年の時間差がある1人1頭だったが、なぜか互いの声だけは聞こえており名前を呼び互いの姿を探す。お互い近くにいるのは分かっていながら、見ることも触れることもできない1人1頭だったが、カタワレ時(糸守独自の架空の方言。黄昏時を表す古語「彼は誰(カワタレ)」の変容)が訪れると、入れ替わりが元に戻ると同時に互いの姿が見え、初めて1人1頭は直接会話することができた。
三葉は瀧から住民を助ける計画を引き継ぎ、下山する。計画通りに町を停電させ、避難指示の放送を流すが、その電波ジャックもしばらくしたのち町の職員に見つかり訂正の放送を流され、避難は進まない。三葉は改めて(三葉に入れ替わった瀧ではなく三葉本人から)飼主(町長)を説得するため町役場に向かう。
瀧が「入れ替わり」という不思議な出来事に遭ってから5年後、そして「奇跡的に住民が避難訓練をしており死者が出なかった」糸守への隕石衝突から8年向くへと舞台は移る。瀧も三葉も東京で暮らしており、入れ替わりのこともその相手の名前も忘れていたが、漠然と「誰かを探している」思いだけが残っており、ときおり町中でその相手の気配を感じることがあった。
さらに月日が流れたある日、並走する電車の車窓でお互いを見つけた1人1頭は、それぞれ次の駅で降り、お互いの下車駅に向かって走り出す。ようやく住宅地の階段で互いを見つけた三葉と瀧は、それぞれ歩み寄っていく。すれ違ったところで瀧が話しかけ、互いに探していた相手だと分かった1人1頭は涙を流し、同時に名前を尋ねた。
一方、 1953年のやつは、
『君の名は』
第二次大戦、東京大空襲の夜。焼夷弾が降り注ぐ中、たまたま一緒になった見知らぬ女、氏家真知子と後宮春樹は助け合って戦火の中を逃げ惑ううちに、命からがら銀座の数寄屋橋までたどり着く。一夜が明けて、1人と1頭はここでようやくお互いの無事を確認する。
お互いに生きていたら、半年後の11月24日、それがだめならまた半年後に、この橋で会おうと約束し、お互いの名も知らぬまま別れた。やがて、1人1頭は戦後の渦に巻き込まれ、お互いに数寄屋橋で相手を待つも再会が叶わず、1年半後の3度目にやっと会えた時は真知子は、既に明日嫁に行くという身であった。しかし、夫との生活に悩む真知子、そんな彼女を気にかける春樹、1人1頭をめぐるさまざまな人々の間で、運命はさらなる展開を迎えていく。