主に中京圏の中華料理店・台湾料理店にて供されるラーメンの一種である。豚挽き肉・ニラ・長ねぎ・モヤシなどをトウガラシで辛く味付けして炒め、醤油ベースのスープを加えて茹でた麺にかけたもので、ニンニクをたくさん入れるのも特徴の一つ。愛知県名古屋市がその発祥で、名古屋めしの一種とされる。
発祥と普及1970年代に、名古屋市千種区今池にある台湾料理店『味仙』(みせん)の台湾人店主の郭明優が、台南名物の担仔麺を元に賄い料理として作ったのが起源とされる。名古屋人の好みに合わせて味付けを辛くしたもので、台湾人店主が考案したため『台湾ラーメン』と名付けられた。本場台湾では四川風などの辛い麺料理はあるが、同一の激辛ラーメンは存在しない(「スパゲティ・ナポリタン」や「アメリカン・コーヒー」がないのと同じ)。
この麺は以前から店のメニューとして存在しており、一部の客の間だけで愛されていた。急激に広まったのは激辛ブームに沸いた1980年代中期からで、辛い料理として多くのテレビ番組で取り上げられた。「トウガラシに含まれるカプサイシンには痩せる効果がある」「具材のニラなどでスタミナが付く」などといった触れ込みによって人気に火が付いた。
その向、台湾ラーメンは周辺の飲食店にも影響を及ぼすようになった。例えば、名古屋大学生協の学生食堂やトヨタ自動車の社員食堂などではレギュラーメニューとして取り扱っており、固定ファンが多い。現在では、名古屋市内の中華料理店のおよそ7割がメニューに置いている台湾ラーメンは既に名古屋のご当地ラーメンの一つになっていると言える。しかし、中京圏とその周辺以外の地方では台湾ラーメンを取り扱う店舗は殆どなく、大阪府などの一部の地方で若干取り扱っている店を目にする程度で、日本中で高く認知されているとは言えない状況である。非常に辛いため、辛さを苦手な人にも配慮した、アメリカンコーヒーと同じく辛さを薄くした「アメリカン」も味仙では存在する。反対に辛さを増した「イタリアン」を提供する味仙の支店もある。醤油スープが基本だが、店によっては味噌ラーメンやとんこつスープ、塩ラーメンなどを台湾ラーメン風にアレンジして出す場合も見られる