アットウィキロゴ



第09話「オーデンの時間」


『クロックオーバー』

「ぎゃ!……なんなの!もうっ!」

クロックアップが解除されるなり、オーデンは膝から崩れ落ちてしまう。
スーツへのダメージが限界近くまで来ており、
オーデンはもう立つことすら難しくなってしまったのだ。
ここまで来たらさすがのオーデンも、ゲンキックンの能力がただのワープではないことを理解はじめる。

(瞬間移動じゃない、物凄く速く動いてるんだ!)

しかし、それが分かったとしても対策を練る時間が無い。
このペースで攻撃を受けていたらスーツはあっという間に全損してしまからだ。

(カードを使ってる暇なんてない!とにかく今は安全なところに逃げないと!!)

ベルトに収納されているカードを使えば逆転の可能性が生じるが、
いちいちカードを取り出して、杖に挿入するまでの間にゲンキックンに攻撃されてしまう。
オーデンに必要なのはカードを使うための時間稼ぎだ。
瞬間移動で飛べるギリギリのところまでいって、例のカードを使わねば勝ち目は無いのである。

(そうだ、木の上!)

オーデンは瞬間移動で遠くの木の上に逃げる。
ここならばすぐにはバレないと踏んだのである。
そしてその考えは正解だった。クロックアップしたゲンキックンはオーデンの捜索に無駄な時間を費やしてしまう。
クロックアップの直後に連続してクロックアップすることは出来ないため、
ゲンキックンは時がゆっくりである間にオーデンを蹴らなければ反撃を受けてしまう。

「タケちゃんいた!もう時間無いけど、一発くらいなら蹴れるよ!」

クロックアップがあと少しで終わるというところでゲンキックンはオーデンを蹴っ飛ばすことが出来た。
時間が無かったのであまり強く蹴ることは出来なかったが、オーデンを木から落とすくらいは可能だ。
落下している最中にクロックアップが解除されてしまったために、
オーデンにはいつの間にか落ちていたように感じられる。

「!?」

気づけば宙にいたので、オーデンは受け身をとれるはずも無かった。
痛々しくも背中を地で打ってしまう。
装着者は柔らかい素材で包まれているため無事だが、スーツはもう全壊寸前だ。
一発蹴られるだけで大破すると言っても決して言いすぎではない。
だがこれまでのオーデンの戦いは無駄ではなかった。
ゲンキックンのクロックアップの特性をしっかりと掴んでいたのである。

(萩原さんの能力はやっぱり高速移動だ!あの葉っぱがたくさん落ちてるところから上がってきたんだ、きっと。
あと、萩原さんは腰を叩いたら早くなるみたい。そして、ずっと速くなることは出来ないんだ!)

オーデンのクロックアップに関する考察は完璧だった。
彼女は勉強が得意なほうではないが、自らの感覚で能力のヒントを手に入れたのである。
この時発揮した状況判断力はスポーツに欠かせない能力だ。
スポーツ好きの彼女はこれまでの運動経験から、戦いに必要な判断力を培ってきたのだろう。

オーデンが勝つための鍵はその手に握られていた。
ゲンキックンは連続してクロックアップをすることが出来ないために、
どうしても大きな隙が生まれてしまう。
オーデンはその隙を利用して、カードを黄金杖に挿入したのだ。

『タイムベント』

オーデンの所持する数あるカードの中でもこのタイムベントは特別中の特別。
ゲンキックンホッパーのクロックアップが時をゆっくりにするのに対し、
このタイムベントは時を戻す効果がある。
自分の意思に反し、身体が巻き戻っていくその現象にゲンキックンはひどく驚く

(な、なにこれ~!!)

ゲンキックンも、オーデンも、ボロボロになっていたスーツがみるみるうちに回復していく。
戻るのはスーツだけではない、二人の立ち位置さえも戦う前に戻ってしまったのだ。
時のロールバックが終わったと認識したゲンキックンは、
ずっと前に変身したばかりの時の位置に立っていた。

「えっ…ええ?」
「タイムベントですよ、時間が戻ったのは私と萩原さんしか知りません。」
「……本当に戻ったの?」
「はい!戦う前に戻しました!」

仮面ライダーオーデンはタイムベントカードを使うことで一度だけ時を戻すことが出来る。
だからと言って戦いが振り出しに戻ったというわけではない。
オーデンはクロックアップの対処法を知りながら、この時に戻ってきたということになるのだ。

時が戻るなんて嘘みたいな話だが、実際に二人のスーツが回復しているので信じる他なかった。
それに信じる信じないに関係なく戦いは継続中だ。
時が戻る前に優位に戦いを運んだように、クロックアップを駆使して戦えば良いのである。

「チョトマテクダサイ!今度はこれ使いますよ」

『キャッチャーベント』

ゲンキックンがクロックアップをする直前にオーデンは1枚のカードを使用していた。
それに気づかないゲンキックンは以前同様に蹴りまくろうとする。

「えいっ!えいっ!……って、なにこれ」

オーデンは野球のキャッチャーがつける防具で全身をガチガチに固めていたのだ。
もちろんそのプロテクターも金色である。
これはオーデンのキャッチャーベントによるものであり、かなりの防御力を誇る。
スーツの上から防具をつけるために見た目は不恰好だが、
ゲンキックンの蹴りを数発もらってもへっちゃらな耐久性は目を見張るものがある。
結局有効な攻撃を与えられないまま、クロックアップは終了してしまう。

「あっ……終わっちゃった。」
「やっぱり!いくら速く動けてもプロテクターは壊せないみたいですね」

オーデンはまたもやゲンキックンの背後に瞬間移動し、黄金杖で背中を叩く。
バットベントのような威力で攻撃することは出来ないが、
キャッチャーベントで防御しつつ杖で叩けばいつかは勝つことが出来るのである。

その後もゲンキックンは時を止めてはオーデンを蹴ることを繰り返した。
しかしいくら蹴ってもプロテクターにヒビを入れるのが関の山。
オーデン本体にはほとんどダメージを与えることが出来ていないのである。
むしろ、クロックアップとクロックアップの合間に受けるダメージの方が大きくなっている。

(せっかくあそこまでいったのに、このままじゃ負けちゃうよ……
 やっぱり、どうせマイなんて戦えるわけなかったんだ……)

もうオーデンに勝つのは不可能だと悟ったゲンキックンは、
クロックアップをしたかと思えばオーデンに背を向けて、猛ダッシュで走りだす。
クロックアップが切れるころにはゲンキックンはオーデンから100m以上離れることが出来た。
このペースで行けば十分逃げ切ることが出来るが、オーデンには瞬間移動がある。
せっかく稼いだ距離もあっという間に縮められてしまう。

「なんで逃げるんですかぁ!そんなのだめですよっ!」
「追ってこないでってば!マイはもう諦めたの!」

何度クロックアップを繰り返して逃げようとしても、オーデンはすぐに追いつく。
いくら全力で走っても、労せずワープされてしまうのだ。
このようなやり取りを長時間繰り返しているうちに、二人はとある場所に到着していた。
追いかけるのに必死だったオーデンはやや遅れて現在地に気づく。

(あれ、ここは今夜泊まるホテル……)
「やっと気づいた?もうさっきからずっとこの近くをグルグルしてたんだけどね
 マイは負けたよ、タケちゃんにはどうあがいても勝てない、一人じゃ、ね。」

ゲンキックンは賭けていたのだ。
自分達が宿泊するホテルの近辺で戦えば絶対に目立つはず。
ライダー自体は透明なので姿は見えないだろうが、リアルタイムで現れる足跡や音には誰か気づくだろう。
モベキマスのセンターを狙う血気盛んなライダーならば、敵がいると知るや否や参戦してくるかもしれない。
1対1よりは1対1対1のほうがカオスになりやすく、逃げる暇が生まれるかもしれない。
あわよくば参戦したライダーが自分を味方してくれるかもしれない。
それがゲンキックンの狙いだったのだ。

そしてその狙いはゲンキックンが想像していた以上に良い方向へと転がっていく。

「ウェーーーーイ!」

ホテルの2階から何者かが飛び出し、そのままの勢いでオーデンに蹴りを入れたのだ。
落下のスピードも加わったキックの威力は凄まじく、金のプロテクターを大きく凹ませる。
たまらず転んでしまうオーデンを見て、ゲンキックンのテンションは急上昇だ。

「本当に誰かきた!で、でも誰?」
「マイヂャン、イアタズケゥヨ!」
「えっ、その声、まさか」







 仮面ライダーイクタ / 生田衣梨奈
 仮面ライダーオーズッキ / 鈴木香音
 仮面ライダーなでしこ / 真野恵里菜 敗退
 仮面ライダーゲンキックンホッパー / 萩原舞
 仮面ライダーオーデン / 竹内朱莉
 仮面ライダー??? / ? ? ?
















最終更新:2012年08月31日 15:45