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第11話「秘密のY/あいつらを探せ」

「なんねこれ……」

ホテルの部屋の中で香音と作戦会議をしていたところに、
オーデンがディエッグにやられたというメールが届いたので衣梨奈は戦慄する。

「ねええりちゃん、オーデンってきっとタケちゃんのことだよね?……」
「うん、それは間違いないと思う。でもディエッグって誰やろ?」
「元エッグだとしたら……みずきちゃんやどぅーかな!?りなちゃんや和田さん福田さんの可能性もあるよね。」

香音がエッグの候補をあげるのを聞きながら衣梨奈は天を仰ぐ。
そして頭を抱えながら自分の考えを述べだした。

「かのんちゃん、研修生の子たちってハロプロに入るんやったっけ?……」
「え?そりゃもちろん入るに決まって……あ!」
「研修生の子たちは大半が元エッグっちゃん、そこまで候補に入れたらもう特定なんか出来んけん、どないしよ……」

もしもハロープロジェクト研修生が仮面ライダーに選ばれていたとしたら大問題だ。
デビューを夢見る彼女たちの前にモベキマスのセンターの座をチラつかせたら、
それはもうやる気が出るどころの話ではないだろう。
それに、衣梨奈はもう一つの仮定を考えていた。
研修生がカウントされるとしたら、他の集団も仮面ライダーの資格を持っているのかもしれない。
衣梨奈がその集団の具体的な名前を出すのをためらってるのを見て、香音はおもむろに立ち上がる。

「今は出来ることをやろう!二人で知恵を出し合って分かるライダーだけでも特定しようよ!」
「かのんちゃん……うん、そやね」

香音に勇気付けられた衣梨奈は資料と携帯を駆使してライダーの正体暴きを開始する。
なでしこを倒したように、相手が孤立しているうちに倒すためには正体を知ることが大事なのだ。

現在正体が判明していないライダーは以下の9体だ。

仮面ライダーハウガ
仮面ライダーG3-M
仮面ライダー910
仮面ライダーパレット
仮面ライダー裂鬼
仮面ライダーゲンキックンホッパー
仮面ライダーめん王
仮面ライダーディエッグ
仮面ライダーBig W

香音はこれらの名前が載っているタチバナの資料とにらめっこをしながら考える。
分かりそうで分からない名前ばかりなので香音はうんざりしてきてしまう。

「わかんないなあ……えりちゃん、この字なんて読むと思う?"れっき"かな」
「えー?ああ、それは"さき"っちゃよ」
「えっ、どうして?」
「響鬼に出てくるライダーは響鬼"ひびき"、威吹鬼"いぶき"、轟鬼"とどろき"のように訓読みが多かと。
例外もあるっちゃけどたぶん裂鬼"さき"やね。」
「そっかあ」

香音は改めて衣梨奈は凄い人物だと感じる。
仮面ライダー響鬼の例をあげて推理をするメンバーが他にいるだろうか?
香音はつくづくチームを組んで良かったと再認識するのだった。
いつかは決着をつけるのだと分かっているが、せめてそれまでは仲間でいたい。

「あ、このBig Wって熊井さんかな?だってビッグだし!」
「うん、えりも熊井さんだと思う。でもそれだけじゃ足りんと。」
「足りない?なにが?」

「だってBig WのモチーフはWやん」
「?」
「じゃあまだ足りんに決まっとぉやろ」
「そ、そっか」

正直言って香音には何なことだか全くわからなかったが、
衣梨奈がさも当然のことを言っている風だったので質問することが出来なかった。

「キーワードは"Big"、"W"、"熊井さん"……検索を開始する。」

衣梨奈は仮面ライダーWの登場人物になりきりながらケータイをいじくり回す。
少しでも手がかりになりそうなことを探しているのだ。
衣梨奈以上にケータイを打つのが速い香音もiPhoneを手にする。

「でもえりちゃん、ハロプロのことを調べるんだったらみずきちゃんに聞いた方が速いんじゃないかな」

香音が話題に出したのは二人と同じ九期メンバーの譜久村聖だ。
彼女はエッグとして他の九期よりいち早くハロプロに加入しているし、
産まれた時からハロプロファンだと自称するくらい、ハロプロ知識には定評があるのだ。
衣梨奈も聖に聞くことを考えなかったわけでは無かった。

「みずきはおらんよ。どっかに出かけてたみたいっちゃん」
「えっ!じゃあ今りほちゃんは一人ってこと?」

香音は同室の鞘師里保を作戦会議のために追い出したことにひどく罪悪感を感じる。
今現在、里保は衣梨奈・聖ペアの部屋に一人取り残されているのである。

「そうなるっちゃねー」
「あわわわ、あたしなんてひどいことを……」
「戦いに犠牲はつきものっちゃん」

ホテルでの作戦会議から数日経ったある日の夜。
衣梨奈は事務所近くの公園に香音と、今夜の相手を呼び寄せていた。
香音はその相手が誰かすら聞かされておらず、
今回使うべきメダルの説明だけメールで受け取っていた。

(コブラメダルかあ……頭から蛇が出るらしいけど強いのかな?)

初めはヒヨコ・ヒョウ・トノサマバッタで様子を見て、
衣梨奈の合図でコブラを使うという作戦らしいのだが、
少し説明不足な感じが否めない。
それでも衣梨奈を信じれば勝てるのだと思い、作戦を頭の中で繰り返す。

「あ、かのんちゃん来たと。」

すでに公園に着いていた衣梨奈が香音のほうを向いて、大きく手を振っている。
そして、衣梨奈の後方には香音が予測していた通りの人物が立っていた。

「こんばんは香音ちゃん、負けるつもりはないからね。」
「熊井さん……やっぱり熊井さんがBig Wなんですね。」

そこにいたのはberryz工房の熊井友理奈だった。
腰にベルトを巻いているので、仮面ライダー確定だろう。
大きなその身体に、香音は威圧感を感じてしまう。

「私?仮面ライダーBig Wは私じゃないよ。」
「ええっ!?じゃあどうしてここにいるんですか?」

熊井友理奈の性格は生真面目で几帳面。
彼女は物事を正しく言わないと気が済まないのだ。

「私じゃない、私たち、だよ。」

「遅れてごめんな、サイ!」

いきなり後ろから謝罪が聞こえてくるので香音は驚く。
こんなに声が高くて、ダジャレがつまらないメンバーはあの人しかいない。

「徳永さん!」

徳永千奈美も熊井友理奈と同じくBerryz工房の一員である。
自称176cmの友理奈ほどではないが、彼女もなかなかの高身長だ。

「ちぃ遅いよ、せっかく後輩が誘ってくれたのに」
「だってさっき起きたんだから仕方ないじゃん!メイクもしてないんだよ」
「なんで戦いの前に寝るの、それにメイクも戦いには関係ないと思うよ」
「うぅ……熊井ちゃんうるさいなぁ」

先輩二人のやり取りを前にして、衣梨奈と香音は入り込むことが出来なかった。
高身長だからという理由もあるが、やはり芸暦からくる威圧感が二人の動きを封じているのだ。
友理奈と千奈美の会話を止めるのは諦め、香音が衣梨奈に質問をする。

「仮面ライダーBigWって2人組のライダーだったの?2対2ってこと?」
「あれ、かのんちゃんWのこと知らんかった?えりが好いとったやん」
「えっ、あ~、そういえばそんなこと言ってたような」
「Wは2人組やけど2人組じゃないっちゃん、2人で1人の……」
「「わ~~~~!!言っちゃだめ!!」」

衣梨奈が全てを説明しようとしているのを聞いて、友理奈と千奈美が必死に静止する。

「そこから先は私たちが言うんだから!」
「決め台詞を取ろうとするのは生田ちゃんの罪だよ。」

二人はUSBメモリのようなものを取り出す。
友理奈は緑色のメモリ、千奈美は紫色のメモリを持っている。

友理奈と千奈美は二人とも同じ形のベルトを装着していた。
そのベルトには、今持っているメモリが入りそうなスロットが2つ搭載されている。
仮面ライダーBigWはメモリをベルトに差し込むことで変身することの出来るライダーなのだ。

「「変身」」

まず友理奈が緑色のメモリをベルトの右側のスロットに挿入する。
このスロットには転送装置が搭載されており、
緑色のメモリは千奈美のベルトの右スロットへと移動するのだった。
それを確認した千奈美は紫のメモリを左スロットへと差し込む。
今現在、千奈美のスロットには緑と紫のメモリが挿入されていることになる。
これでBigWへの変身準備が完了する。

『Chacha!』
『Jingisukan!』

やたらとテンションの高い機械音がメモリの名称を叫ぶとともに、千奈美はライダーへと変身していく。
変身したその姿はとても奇抜であり、身体の右半身が緑色、左半身が紫色と綺麗に分かれていた。
まるで半分こ怪人、まるでキカイダー、通常のデザインとは大きく異なるBigWに香音は戸惑う。
そして香音はここからさらに困惑することになるのだった。

「危なか!」

BigWの変身が完了するやいなや、衣梨奈はダッシュで友理奈のもとへ駆け寄っていく。
なんと友理奈は気を失い、フラッと地面に倒れるところだったのだ。
すんでのところで衣梨奈は友理奈を抱きかかえ、危機を脱する。

(う、おもい……)
「生田ちゃんありがとう!助かったよ」

香音は友理奈がいきなり気絶したことにも驚愕したし、
その気絶したはずの友理奈が衣梨奈に感謝の言葉を述べたことにも腰を抜かすほど驚いた。
本来ならそのようなことはありえるはずが無い。
しかしBigWにならそれが出来るのだ。

「えっと、ちぃ早くあれ言おうよ」
「そだね熊井ちゃん、せーの」
「「私たちは、2人で1人の仮面ライダーだ。」」

友理奈の声、千奈美の声、二人の重なった声、それら全てがBigWから聞こえることに香音は気づいた。
そしてだんだんと仮面ライダーBigWの特性を理解しはじめてきたのである。
そう、仮面ライダーBigWは千奈美と友理奈が合体したライダーなのだ。

「えーっと、つまり熊井さんの魂が徳永さんの身体に入ってるってことですか?」
「香音ちゃん頭良い!熊井ちゃんなんか理解するのに1時間くらいかかってたからね」
「ちょっと!ちぃだって分かって無かったでしょ」

人の魂や精神がどこかに移るなんてありえないし、ましてやそれが人間の技術ならなおさらだ。
それでもここはそう信じるしか無いと香音は悟る。

「理解したよえりちゃん、でもどうしてBigWの正体が熊井さんと徳永さんって分かったの?」
「"でっかいW"ちゃん。熊井さんと徳永さんのコンビ名っちゃよ」
「へぇーそうなんだ。」

でっかいWを単純に英語にしたらBigWになる。そこから衣梨奈は暴いたのだった。
ベリーズの二人が相手なので楽な戦いになるとは思えないが、
衣梨奈はこの戦いを避けるわけにはいかなかった。
出来ることならば一番最初に戦いたかった、衣梨奈はそう強く思っていたのだ。

(えりちゃん真剣な目で徳永さんと熊井さんを見つめてる……本気で勝ちたいと思ってるんだろうね。)
(はぁ~~~んっ!やっぱりWはかっこいいっちゃん!!!)

衣梨奈は仮面ライダーの中でも特にWが好きなのだ。
いち早く出会いたいと思っていたのも大半がそれである。もう、夢が叶ってテンションMAXだ。
そして、Wが好きだからこそ誰よりもWの弱点を知っている。
BigWがWをモチーフにしている以上、衣梨奈の負けは無いと思っても良いだろう。






 仮面ライダーイクタ / 生田衣梨奈
 仮面ライダーオーズッキ / 鈴木香音
 仮面ライダーなでしこ / 真野恵里菜 敗退
 仮面ライダーゲンキックンホッパー / 萩原舞
 仮面ライダーオーデン / 竹内朱莉 敗退
 仮面ライダーパレット / 鈴木愛理
 仮面ライダーディエッグ / ? ? ?
 仮面ライダーBig W  / 熊井友理奈&徳永千奈美
















最終更新:2012年08月31日 16:08