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「りさこ……!」
「そう、私は梨沙子、仮面ライダーリィサーコ。」

Berryz工房の菅谷梨沙子が突然現れたのでパレットは衝撃を受ける。
以前貰った仮面ライダーのリストを思い返してみるが、
リィサーコという名前は存在しなかったはずだ。
というより、そんな名前が書かれていたらすぐに梨沙子だと分かっだろう。
なんせイクタ並に名前が分かりやすいのだから。

「なんで?……どうして梨沙子がライダーなの?」
「なんでって、選ばれたからに決まってるでしょ」
「でもリストには……」
「それは私が途中から追加された仮面ライダーだから。」
「え、え、それって……」

途中参加なんて不公平じゃないかとパレットは言いたかった。
これまで多くのライダーが生き残りをかけて戦ってきたのに、
こんな終盤にきてポンと追加されるのはあんまりでは無いだろうか。
敗退したライダー達が気の毒になってくる。

「誰が決めたの?りさこの参加を……」

パレットは気づいていないが、変身後は会話も出来ぬほど滑舌が悪くなるのに
何故かリィサーコとはコミュニケーションが成立していた。
それは菅谷梨沙子が人並み外れた超感覚を持っているから、
なんとなく会話を理解しているのかもしれない。
もしくは、長年鈴木愛理の親友を続けてきたので心が通じているのかもしれない。
詳しい理由はともかくリィサーコには分かるのだ。

「決めたのは偉い人だけど……ひょっとして不公平とか思ってる?」
「そ、そんなことは……」
「じゃあ納得するまで教えてあげる。私が参加することになった理由を。」

生き残っているライダーのもとに、今回の件に関するメールが届けられる。
早朝であったので衣梨奈は寝ぼけまなこでケータイを確認したが、
文面を見るなり一気に目が覚めてしまう。

「な、なんねこれ!!」

まず、そこに書かれていたのは今朝の敗退者のリストだった。
衣梨奈が寝てる間に何体ものライダーが敗退していったのでひどく驚いたのである。
今回のデスメールの文面は以下の4つだ。

「仮面ライダーゲンキックンホッパー」が「仮面ライダー裂鬼」に敗北したことをお伝えします。
「仮面ライダー910」が「仮面ライダーBigW」に敗北したことをお伝えします。
「仮面ライダー裂鬼」が「仮面ライダーパレット」に敗北したことをお伝えします。
「仮面ライダーBigW」が「仮面ライダーパレット」に敗北したことをお伝えします。

BigWが約束通り910を倒してくれたことに喜んだが、
そのBigWがパレットという謎のライダーに敗北したことに悲しんでしまう。
それにしても何故これらのライダーが一斉に戦いだしたのだろうか、と衣梨奈は疑問に思う。

(こんど徳永さんに聞いたほうがよかね、パレットのヒントも教えてくれるかもしれん。)

ここで、衣梨奈はメールに続きがあることに気づく。
それはいつものデスメールとは異なった雰囲気を醸し出していた。

「仮面ライダーリィサーコについて?……」




仮面ライダーリィサーコについて。

我々タチバナはライダーバトルの停滞を解消させるため、
一人の仮面ライダーを追加参加させることを決定しました。
仮面ライダーの名前は「仮面ライダーリィサーコ」です。
装着者は「菅谷梨沙子さん」です。
彼女には他の仮面ライダーと積極的に戦ってもらうことで、
ライダーバトルを活性化してもらいます。

また、他の参加者と同じ条件ではフェアではないため、
仮面ライダーリィサーコには数々の条件を設けています。
詳細は以下の通りです。

  • リィサーコは優勝してもモベキマスのセンターに
 なることは出来ません。優勝特典は本人にのみ
 通知しています。
  • リィサーコの装着者の名前を全参加者に通知します。
  • 同様にリィサーコには全参加者の装着者の名前を
 通知しています。
  • リィサーコは我々タチバナの設定する条件を満たしても
 最強フォームに変身することは出来ません。
 並列フォームには変身することが出来ます。
  • リィサーコの投入はライダーバトルの活性化であるため
 1週間に1体の仮面ライダーを倒すことが出来なければ
 リィサーコは強制的に失格となります。

以上



リィサーコは一歩だけパレットに迫り、自身の目的を明かしていく。

「愛理とか他の仮面ライダーが優勝したらモベキマスのセンターになれるんだってね?」
「うん、だからみんな頑張ってるんだよ。」
「でも私は他のみんなとは優勝特典が違うんだ。
 私が優勝したらね、センターをつんくさんに決めてもらえるの。」
「え?……」

リィサーコの優勝特典は「通常通りつんく♂にモベキマスのセンターを決めてもらう」というものだった。
まさにライダーバトルに参加する全ライダーのやる気を削いでしまうような特典だ。
この特典を受け入れて、かつ仮面ライダーとしての活動も真面目に行うメンバーはごく少数だろう。
パレットもリィサーコが受け入れていることが不思議でならなかった。

「りさこ、なんでそんな条件引き受けちゃったの!?
 苦労して優勝してもいつも通りなんて、見返りが無いんじゃ……」
「見返りならあるよ、遊びでセンターを決めるような馬鹿みたいなシステムを壊せる。」
「!?」

リィサーコの声のトーンが一段低くなったのを感じて、パレットは背筋を凍らす。
こんな怒ったような梨沙子の声は久々なので驚いたのだ。

「愛理にはガッカリしたよ、なんでこんなゲームに乗っかってるの?
 仮面ライダーになるのは別にいいよ、運動になるし、ちょっと面白いし
 でもね、センターとは関係ないじゃん。
 私たちはアイドルだよ?センターを決めるのは歌とダンスと顔と人気とオーラでしょ。
 つんくさんに決めてもらえばいいじゃない、なんで仮面ライダーで勝ってセンターなの?
 ほんっっっっとにくだらない!こんなのでセンターになろうとする人軽蔑するもん!
 なんで愛理はライダーになったの?
 このシステムおかしいと思わなかった?潰したいと思わなかった?
 私は潰さないといけないと思ったよ。だから偉い人に言ったの。
 センターをつんくさんに決めさせてくれるなら仮面ライダーになっても良いってね。」

リィサーコの熱論にパレットはビリビリとした刺激を感じる。
実際、鈴木愛理もライダーを打診された時は同様のことを思っていたのだ。
アイドルに関係のない要素でセンターが決まるのはおかしいし、
戦いの才能のないメンバーがそれで道を断たれるのは悲しくもあった。
なので出来ることならライダーバトルなんて無くなれば良いと思ったのだ。
しかし、最終的に愛理が辿り着いた地点は梨沙子とは違っていた。
愛理は、パレットは、バトルを逆手に取ろうと思ったのだ。

「確かにりさこの言う通りだね、優勝者がセンターなんて馬鹿げてるかも。」
「そう思うでしょ!だったら愛理も私に協力を……」
「だめ、私はそれでも勝たないといけないの。」
「なんで!?愛理なら実力でセンター取れるのに!」
「りさこ言ってたよね、自分からつんくさんに決めてもらうよう偉い人にお願いしたって……」

リィサーコが自らタチバナに条件を突きつけてOKを貰ったことにパレットは注目していた。
それが出来るなら、自分の計画は実現可能だと悟ったのだ。
難しいお願いなら却下されてしまうだろうが、
パレットの願う夢くらいなら叶えてくれるはず。

「それがどうしたのよ、何が言いたいの?」
「私は優勝して、優勝特典を変えたい。りさこみたいにね。」
「あ!愛理もつんくさんに、とか?」
「違うよりさこ、私はつんくさんにも決めてもらうつもりはない。
私が優勝したら、モベキマスのセンターは私が決めるんだ。
そう、私じゃない他のメンバーを選ぶの。」
「……は?」

鈴木愛理は当初、ゲンキックンや910のような「自分以外の℃-uteメンバー」が優勝すれば良いと考えていた。
そのためにゲンキックンを助けたり、910と取り引きを交わしたりしていたのである。
では何故愛理は自分でなく他のメンバーをセンターにしたかったのか。
その理由のウラには愛理の心の葛藤があった。

(私はずっと思ってた。本当に私がセンターで良いのかって。)

鈴木愛理は人気、実力ともに高く、℃-uteを引っ張る存在だと知られている。
愛理もはじめは自分が認められていくのが嬉しかったし、
センターで活躍することでユニット全体が飛躍することにも喜びを感じていた。
今でも℃-uteをより多くの人に知ってもらいたいと心から思っている。
それだけユニット愛は強かった。
しかし、最近になってから愛理は違和感を覚えはじめていた。
センターにいることが当たり前になりすぎてしまったのである。
愛理自身は℃-uteメンバー五人のスキルは拮抗していると考えている。
それぞれ得意不得意はあるだろうが、全員が全員光るものを持っている。
そのため、その気になれば誰もがユニットの顔になれると信じていたのだ。
しかし、実際はセンターになりたいと表明する者はいなかった。
もちろん心の底ではなりたいと思っているのだろうが、
愛理に任せておけば間違いないとも思っているのも事実だ。
他のメンバーや大人たちが、愛理が中心にいて当然と思うことが彼女には苦痛だったのである。
一人だけがセンターを続けていたらそのユニットのカラーは固定されてしまう。
だが、曲ごとに異なるメンバーがセンターになればユニットの幅が広がる。
そうすれば℃-uteはもっと多くの人に見てもらうことが出来る。そう考えていたのである。
舞や早貴がセンターのためにライダーバトルに燃えていたのを見た時は思わず心が震えた。
きっかけさえあればセンターになりたいのだと確信したのだ。
だから愛理は優勝特典を変えたいと思っている。
自分以外の℃-uteメンバーをモベキマスのセンターにして貰おうと考えているのである。

「……ということなの。だから私は優勝しないといけない。」

愛理は自身の思いを正直に梨沙子に伝えた。
親友である梨沙子なら分かってくれると思ったのだ。
さすがに勝利を譲るなんてことは無いにしても、
愛理がパレットとして戦うことの意義を認めてくれるはず。
そう思っていたのだが、リィサーコは逆に機嫌を悪くしてしまったようだ。

「馬鹿でしょ!」
「え?え?ええ?」

大声で怒鳴られたのでパレットはびっくりする。
「本当に仲間思いだね、愛理は愛理の道を行きな」的なことを言われると期待していたので、
もう何がなんだか分からなくなってしまう。

「愛理さ、残酷なことをしてるって自覚あるの?」
「ひどいよ!そんな言い方……」
「ひどくない!そんなおこぼれでもらったセンターが嬉しいわけないでしょ!
 苦労して苦労して、なったとしてもすぐ外されて……それがセンターなんだよ。
 センターの資格を持ってない人がセンターになっても虚しいだけでしょ。
 そうなったらその人、愛理を恨むと思うよ。」
「そんなことないよ!みんなセンターになれる力を持ってて……」
「だったらなおさら自力で頑張るのを待てばいいでしょ!愛理が何かしちゃだめ!
 なんでそうして変なことをしようとするの!メンバーを信じてないの!?」
「……っ!」

パレットはリィサーコの言うことが分からない訳ではなかった。
早貴に優勝を譲ると言ったときはビンタされたし、
なかなか舞に計画を打ち明けられなかったのも後ろめたい思いがあったからだ。
そのせいもあってかパレットはリィサーコに強くは出れなかった。

「本当にガッカリしたよ、愛理だけは優勝してもいいかなって思ってたのに。」
「えっ、どういうこと?」
「愛理はダメダメだけど、他のライダーはもっとダメってこと。
 イクタとディエッグは経験が浅すぎるし、G3-Mはそもそも論外。
 あの3人には絶対優勝させてあげない。
 まぁ、愛理も入れて4人になったけどね、優勝しちゃいけない人。」

他のライダーのことをよく知らないパレットは、梨沙子の話がとても気になった。
イクタはそのまま生田衣梨奈なのだろうが、ディエッグとG3-Mはいったい誰なのだろうか
経験が浅いということはディエッグも最近入った新人なのだろうか
G3-Mが論外というのはいったいどういうことなのだろうか
パレットがあれこれ考える間もなく、リィサーコが攻撃をしかけてくる。
いきなり横っ腹に蹴りを入れてきたのだ。

「だから私は絶対優勝しないといけないの。
 ライダーバトルには優勝しちゃいけない人が多すぎるんだから。」

リィサーコはやる気だ。
話し合いの結果、パレットを倒すべき敵だと認識したのである。
お得意の魔法を使うため、リィサーコは右手に指輪をはめる。
そして、その右手をベルトのバックルへと持っていく。

『ルパッチマジックタッチゴー!』
『コネクト』
『プリーズ』

ベルトが指輪に反応し、空中に魔方陣を呼び出した。
リィサーコはその魔方陣に手を突っ込み、片手用の銃を取り出す。
「コネクト」の指輪は武器や道具を収納する魔方陣を呼ぶ効果を持つのである。
さっそくリィサーコは銃で撃ちまくる。

(まずい、ここは防御を固めないと!)

パレットはBigWの攻撃を防いだ時のように装甲を硬化させる。
キューティークイーンフォームは念じるだけでトランプ能力を使うことが出来るのだ。
おかげでリィサーコの銃弾を跳ね除けることが出来たが、
パレットはいきなりスーツがズッシリと重くなるのを感じ、地に膝をついてしまう。

「な、なに……りさこ、いったい何をしたの……」

裂鬼やBigWと戦った時はほぼ全ての攻撃を受け止めてみせたのに、
今回はあっさりと正体不明の攻撃を受けてしまったのでパレットは戦慄する。
リィサーコが魔法使いだと言うのなら重力操作の魔法でも使ったのかと思ったが、
実際はそのようなものではなかった。

「私は何もしてないよ。悪いのは愛理でしょ」
「わ、わたし?……」
「最強フォームは強いけどすぐエネルギーが切れるんだってさ。
 私も愛理も長話をしたけど、愛理はずっと変身したままだったよね。
 もう、空っぽなんじゃない?」
「そんな!」

最強フォームは強い。他のフォームとは一線を画している。
だがディエッグの例からも分かる通り、燃費が最悪なのだ。
特にカードなどのアイテムを使うライダーは普段から消費が激しいので、
こうしてエネルギー切れに陥ってしまうことが多々あるのだ。
もっとも、この状況でも戦う方法は残されている。
それはエネルギー消費の少ない通常フォームに戻り、省エネを意識して戦うというものだ。
パレットは誰に教えられるでもなくそれを実行したが、
キューティークイーンでないフォームでリィサーコと戦えるかは疑問だ。
なんせリィサーコは体力がフルに残っているのだから。

「ごめんね、キャプテンや千奈美、熊井ちゃんと戦った後で疲れてるのは分かるけどさ」
「……」
「こうでもしないと後から参加した私は勝てないんだ、大人しく負けてよ。」

リィサーコは弱っているパレットに向けて銃口を突きつけた。
最後のトリガーを引こうとする時、ケータイが鳴り始める。
その着信音にリィサーコはうんざりしたが、仕方なく魔方陣からケータイを取り出す。
そして銃口をパレットに向けたまま、通話を開始する。

電話の相手はあの青年だった。

「カズキくん、今すごく良いところだったんだけど?」
「梨沙子ちゃんやりすぎだよ!残り5体になるとこで止めてって打ち合わせしたじゃないか!
 とにかくすぐに攻撃を止めてよね!今ならギリギリセーフなんだから。」
「……私まだ誰も倒してないんだけど」
「あれ?おかしいな、車から降りた時はまだ残ってたような……」
「それもパレットが倒したの!ていうかなんで倒しちゃいけないの?」
「それはね、あの、僕の予言が当たらないと困るっていうか……」
「意味わかんない、そんなの関係ないから倒しちゃっていいかな」
「ダメだよ梨沙子ちゃん、君に役立つ情報を教えたのは誰だと思ってるの?」
「う……」
「他にも教えてあげようと思ったんだけどなー梨沙子ちゃんいらないのかなー」
「もう、分かったわよ!疲れたから車用意してよね!」
「それは無理だよ~だって別の現場に向かってるとこなんだもん」
「はぁ?別の現場ってなんなの」
「ほら、僕はG3-Mの担当もしてるし」
「うわっ……もう切る」

リィサーコはケータイの電源を切るなり魔法陣に思いっきり投げ入れた。
そして銃をしまい、パレットに話しかける。

「ごめん愛理、なんかね、戦っちゃダメって言われちゃった」
「???」
「でも絶対倒すからね、愛理の目的は絶対許されないんだから」





 仮面ライダーイクタ / 生田衣梨奈
 仮面ライダーオーズッキ / 鈴木香音 敗退
 仮面ライダーなでしこ / 真野恵里菜 敗退
 仮面ライダーゲンキックンホッパー / 萩原舞 敗退
 仮面ライダーオーデン / 竹内朱莉 敗退
 仮面ライダーパレット / 鈴木愛理
 仮面ライダーディエッグ / 譜久村聖
 仮面ライダーBig W  / 熊井友理奈&徳永千奈美 敗退
 仮面ライダーハウガ / 飯窪春菜 敗退
 仮面ライダー裂鬼 / 清水佐紀 敗退
 仮面ライダー910 / 中島早貴 敗退
 仮面ライダーめん王 / 勝田里奈 敗退
 仮面ライダーリィサーコ / 菅谷梨沙子
















最終更新:2012年09月04日 07:43