【FINAL ATTACK RIDE DEEGG】
「はあああああ」
光の粒子を掻き集めたその銃型のドライバーが収集したエネルギーを一気に放出し敵を一掃する
シュゥゥゥ
・・・
一瞬で辺り一面が空虚なものになった
「ふぅ・・」
その日聖は公園で透明な敵相手に鍛練を積んでいた
ここに来てますます過酷さを増して行くライダーバトルで確実に生き残るためこの所毎日のようにトレーニングを重ねている
以前ならばこのような考え方は絶対にしなかった
自身の持つ特殊能力が他のライダー達より圧倒的に有利だと確信ていたためだ
しかし先日、自身の持つ力を解放しすぎて動けなくなる状況に陥ったことがあり一時絶体絶命の状況まで持ち込まれた
その時初めてライダーバトルに置ける「恐怖」というものを知ったのだ
例え他を圧倒する程の「力」を持っていても制御出来なければ意味がない
その事を身を持って知った聖はその後トレーニングに明け暮れるようになった
・・えりぽんには負けない
聖の目的はズバリ同期の生田衣梨奈に勝つ事 ただそれだけだ
優勝の特典としてシングルのセンターになる事が出来るのだがそれにはあまり拘っていない
ライダーバトルの決勝の舞台で衣梨奈を徹底的に潰したい 力の差を見せつけてやりたい
それだけが今の聖の原動力だ
しかし衣梨奈はライダーに関する知識が豊富で手強い事は重々分かっている
「・・」
残りのライダーも数少なくなってきた
恐らくここからが正念場だろう
「・・」
変身を解いた聖は自らの掌を見つめる
幾つかの戦いを乗り越えて手応えを掴んだのは間違いない
勝てる
これは以前のような過信ではない
経験によって得た自信だ
「・・」
「さて、帰って録画したジュエルペット見なきゃ」
聖が帰ろうとしたその時突然何者かに背中を押された
「きゃあ」
思わず体勢を崩しした聖は「生写真」をばらまいてしまう
「あわわ」
急いで生写真を掻き集める聖
聖にとってこれらはただの生写真ではない
いや、そのままでも十分大切なのだがライダーバトルにおいては重要な武器となるのだ
「!」
その内の何枚かを何者かが拾った
「へぇ、結構いいカード持ってますねぇ」
それは聖が最も出会いたくない人物、いやライダーだった
「・・デレード!あなた何故ここに!」
仮面ライダーデレードだ
「酷いじゃないですか譜久村さん、私の生写真は無いんですか」
「返して!」
「えーどーしよっかなぁ」「返せ!」
聖はデレードの持つ生写真を掴もうとするがひらりとかわされてしまう
デレードはケラケラと笑っている
「むっかぁ」
実際聖はデレードの事をよく知らない
以前透明生命体を相手に苦戦している所を助けてもらった事があるがその後執拗に聖を付け狙っている
恐らく倒してディエッグの能力を得るためだろう
異世界のライダーのカードまでをも扱うデレードを敵に回すと厄介なので今まで逃げていたのだ
ライダーバトルに参加していないためかそれらしい正体も特には思い浮かばない
マスク越しなため声も籠っていて分かりづらい
デレードは人差し指を立て得意げに語り出す
「貴女と私は双璧の仮面ライダー
でも貴女は所詮映像を生み出すことしかできない・・私はその人物に成り切る事ができる
その意味が分かります?」
「は?」
デレードはくすねた生写真を一枚取り出し不器用な手つきでベルトに読み込ませた
【HELLO! RIDE YAJIMA MAIMI】
「!ちょっ!?」
電子音声と共にデレードは矢島舞美の姿になった
「どうですか?」
声まで舞美そのものだ
デレードの変身能力は知ってはいたがまさか生身の人間にも変身できるとは思わなかった
何処からどう見ても舞美本人にしか見えないので聖は驚いてしまう
「私はこんなことも出来るんですよ?」
「!!?」
「ほら」
「ぶっ!!(鼻血)」
「ほらこんなことも」
「ぶーーーーーーーーーーーー」
くねくね
「やめてええええええええ!!いや、やめないでええええええええ」
顔に手を当てながらぼたぼたと鼻血を垂らす聖
その顔はアイドルと言うには余りにも情けない
神よ・・・・・!!!
見ていいのか悪いのか分からない
しかし聖は今生きている事にとても感謝した
「このままあなたを出血多量で気絶させるのは簡単ですがここはやはりライダーとして決着をつけましょうか」
再びライダーの姿に戻ったデレードは戦う構えを見せる
「ちょっと!生写真返しなさい泥棒!」
【KAMEN RIDE DEEGG】
すかさず聖も変身する
両者がじりじりと出方を伺っている最中、遠くから足音が聞こえてきた
「あ、あれって」
「は、萩原さん!?」
やって来たのは萩原舞だ 手にはアタッシュケースの様な物を持っている
ゲンキックンの萩原さんは既にバトルで負けている筈・・・・どうしてこんな所に?
それにどうも様子が普通じゃない
「な、何・・この感じ・・」
舞から途轍もないオーラを感じ取ったデレードは身震いした
「・・・」
舞はゆらりとディエッグの前に立つと無言のまま見つめている
その瞳は何処と無く虚ろだ
「は、萩原さん・・?」
聖が変身を解こうとした所で舞は口を開いた
「フクちゃん、勝負しようよ」
「は、はい?」
突然勝負を挑まれた事、そして自分の正体がバレていることに驚いてしまう
「舞はもうライダーバトルで負けちゃったけどこれがあればもう一度復活できるんだよ」
そう言うとアタッシュケースからある物を取り出した
聖は思わず目を剥いた
それは紛れも無くライダーベルトだ
「これは910のベルトだよ」
「・・910の?でもそれは前回の戦いで壊された筈じゃあ・・」
「そう、でもね・・その後ベルトが再生したの」
「!!?」
言っている意味が分からない そんな事が本当にあるのだろうか
舞は更に続ける
「この910ギアは特別で℃の記号を持つ者なら誰でも変身できる
なっきぃがね?舞にセンターになって欲しいからって
前の戦いで皆のために犠牲になった舞はセンターになる資格があるって言ってくれたの
もう一度センターの夢を見られるんだよ」
恍惚とした表情を浮かべる舞
聖は背筋がゾクリとした
・・怖い・・何を言っているの?
舞の言っている事は無茶苦茶だ
聖はなんとか舞を諭そうとする
「萩原さん!萩原さんは既に負けています!この戦いに敗者復活は無いんですよ!」
「嘘だ!このベルトはなっきぃが私にもう一度チャンスをくれる為に渡してくれたの
フクちゃんはセンターになりたいから私を騙そうとしてるんだ!」
「は、萩原さん・・」
正気とは思えない
センターへの執着心が人をこうも変えてしまうのだろうか
「残りのライダーもあと僅か
フクちゃん達から確実に倒させてもらうよ!」
ここでデレードが初めて口を開く
「達!?いやぁ私は通り縋りの仮面ライダーでして・・この辺で失礼させて頂きたく・・」
舞は910ギアを身体にセットし携帯電話に変身コードを入力する
9,1,0,ENTER
【 STANDING BY....】
「・・・譜久村さん、ここは手を組みますよ」
「え?」
デレードの言葉は少し意外だったが聖にとってはかなりありがたい
デレードは以前完敗を喫している舞が更に凄みを帯びているので二人掛りでないと勝つのは厳しいと考えたのだ それに上手くすれば910の能力も手に入るかもしれない・・・と
「変身!」
910ギアに携帯を刺すと光の線が舞の身体を識別するように包んで行く
【COMPLETE】
ベルトに認証された舞は仮面ライダー910になった
「これが910・・」
聖が呆気に取られているとデレードが注意を促した
「気を付けてください!なんかヤバそうです・・・・・よ!!!?」
910はいきなり武器のブレイガンで斬りつけてきた
「は、速っ!」
慌てて応戦しようとするがそのスピードが異常すぎてで目が追いつかない
斬れ味抜群のその長柄刀で確実にスーツにダメージを蓄積する
「ややややばいって!」
二人を相手にしながら910は速さで圧倒している
カードを使う隙を与えてくれない
デレードもディエッグもカードを使えなければ身体能力は並のライダー以下だ
大した抵抗も出来ないままどんどん鎧に皹が入って行く
「ふ、譜久村さん!距離をとって戦いましょう!このままだと共倒れしちゃいます!」
「そそそんなこと言ったってーーきゃあああああああ」
ディエッグに的を絞った910は一気に畳掛けようとする
「ぐっ・・」
長柄刀を目の前にして聖は反射的に防御の構えを見せた
「譜久村さん!ガードは駄目ーーーー!!!」
ディエッグに攻撃の意思がないと判断した910は力強く踏み込み滅殺の如く鎧の奥深くまで一気に貫いた
「きゃああああああああああ」
猛攻を逃れたデレードはなんとかカードを使う事が出来た
「借りますよっ・・」
【KAMEN RIDE HAUGA 】
デレードは先程聖から頂いたカードでハウガに変身した
しかしこれだけでは終わらない
【FORM RIDE HAUGA 】
キュィィィィィィ
「超変身!」
910のスピードに対抗するためにハイウェイスターにフォームチェンジする
【ATTACK RIDE DRAGON ROD】
更に武器を呼び出し910に襲いかかる
「おおおおおお」
「!!」
不意を突かれた910だったが何とか初手の一撃をブレイガンで受け止めすぐさま反撃する
ブレイガンとドラゴンロッドの応酬・・・耳を塞ぎたくなるような高い金属音が連続して響き渡る
両者のスピードは互角、ハウガになったデレードはロッドを巧みに操り910に隙を与えない
「アァ・・・アァ・・・」
一方、910の斬撃を諸に喰らってしまったディエッグは既に満身創痍だった
鎧は既に殆どが崩壊していてボロボロだ
・・・このままじゃ負ける・・
桁外れな強さを誇る910に立ち向かうためディエッグはデバイスを取りだした
強化フォームになり鎧の再生&パワーアップを図ろうとしているのだ
ハウガが910を引き付けている隙にディエッグはタッチパネルをなぞっていく
【SAEKI SAYA】
【KIRISIMA AYUMI】
【YABUSAME TURUGI】
【HISAKO】
【MIDORI】
【HONDA CHIEMI】
【KUR・・・・・・・・
・・ガクッ・・・・
黒羽比那子を召喚しようとした所で聖は膝から崩れ落ちた
先程透明生命体相手にエネルギーを大量に消費していたためもう人を召喚する分が残っていないのだ
「くっ・・・・・・こうなる事を防ぐために特訓してきたのに・・・!」
聖は悔しさの余り地面を殴りつける
手の甲の鎧がホロリと崩れた
ハウガは一方で910と一進一退の攻防を長く続けたため集中力が散漫になってきた
910は正確無比な攻撃と無駄の無い動きで少しづつ自分のペースに持って行く
これだけ長時間の攻防を繰り返しても全く息を切らした様子もない
まるで精密機械のようだ
「・・・あーもう!」
業を煮やしたハウガがロッドを大振りした
その隙を910は見逃さなかった
地面をグッと踏み込むと勢いを付けてハウガの懐に飛び込みブレイガンの柄をドラゴンロッドに引っ掛ける
「い!?」
ドッ!
そのまま鳩尾に蹴りを入れハウガを吹き飛ばした
「ぐはっ!」
ハウガはそのままジャングルジムに打ちつけられてしまった
910はディエッグに向き直ると槍投げの要領でドラゴンロッドを投げつけた
ディエッグはそれをかわそうとはせずただへたり込んでいる
しかし思念体には指示を受けずとも防衛本能がある
佐伯小夜が両手を広げ聖の前に立ちはだかり身体を張って一撃を食い止めた
衝撃に耐えきれず佐伯小夜はそのまま消滅する
910はブレイガンの引き金を入れる
ピピ・・
【BURST MODE】
銃にもなるそのブレイガンを使って思念体を狙撃していく
あっという間に桐島あゆみ、流鏑馬剣が倒されてしまう
- もうだめだよ・・最初からこの戦いは聖には荷が重すぎたんだ・・・
聖は既に絶望していた
もう疲れた、楽になりたいと考えている
しかし思念体達は諦めていない 必死に聖を守ろうとする
ナイフを持った本田智恵美は「来ないで!」と言わんばかりに震える足で立ち塞がった
ヒサコは瞬間移動で910の後ろに回り込むと首筋に牙を刺し込んだ
「~~~」
言葉にならない声を上げる910
ミドリは聖の横で膝を着くと優しく微笑みかけた
どうして皆もう戦う意思のない主人を必死に守ろうとしてくれるのか
聖は心が苦しくなる
「諦めちゃ駄目!」
何処からか声がした
・・・えりぽん?
そうだ・・・聖は・・・・
バスッ!
「!?」
遠くからハイエロファントグリーン・ハウガにフォームチェンジしたデレードがハウ・ボウガンの矢を910に突き刺した
痛みに耐えられず力任せにヒサコと矢を振り払う
目に生気を取り戻したディエッグはドライバーにカードをセットする
人を召喚するエネルギーは残っていないが呼び出した映像を強化する力は残っている
「田中さん、頑張って!」
【ATTACK RIDE ILLUSION】
瞬間移動で攪乱を始めたヒサコは更に分身し910を翻弄する
銃弾の的を絞らせない
「鈴木さん!」
【SINGLE RIDE SHOCK!】
ミドリは両手を前に翳すとゆっくりと目を閉じ口をパクパクさせ何やら詠唱の様なものを始める
次第に辺りの空気の流れが変化しミドリの髪が靡いて行く
一定の質量を体内に溜め込んだミドリはなんと衝撃波を放った
「!!!」
波動を喰らった910は怯んでしまい今日初めて片膝をついた
「今です!熊井さん!」
【SINGLE RIDE RYUSEI BOY】
智恵美はフワリと浮かび上がると空中で回転し流星の如き勢いで頭から910に突っ込んだ
グオン!
衝撃で910はけたたましい音と共に吹き飛びそのままフェンスに激突する
そのまま910は倒れてしまった
「やった!?」
ディエッグは全てのエネルギーを使い果たし三人の思念体は消滅した
会心の攻撃の筈だった しかし910はむくりと起き上がり何事も無かったかのように首元に手をやりゆっくりと頭を回す
まるで準備運動を終えたかのように
「そ、そんな・・」
もう聖には立つ気力さえ残っていない 万事休すか・・
「譜久村さん!今助けます!」
頼みの綱はデレードだ 今は彼女を信じるしかない
【KAMEN RIDE ORDEN】
聖のカードでオーデンに変身したデレードは910に向かって一気に距離を詰める
しかし闇雲に突っ込んでいる訳ではない 戦いの中で学習しているのだ
【TRICK VENT】
オーデンは先程のヒサコの様に分身しそこに瞬間移動を巧みに織り交ぜ910を攪乱する
【BAT VENT】
オーデンの掴み所のない動きに戸惑っている隙に背後に回り込み武器のバットで脳天を直撃させる痛恨の一撃をお見舞いする
さすがにこう何度も集中力を掻き乱されては910の動きも流石に荒っぽくなる
正確だった攻撃も空を切る回数が多くなる
【FAINAL VENT】
オーデンはここぞとばかりに一気にキメようとする
【FAINAL ATTACK RIDE ORDEN】
ゴルドフェニックス”楽天”の加護を右足に受け炎を纏いつつ910に飛び掛かった
「はああああ」
「!」
しかしその瞬間分身の中から本体の気配を感じ取った910は寸前の所で身を翻した
「きゃああ」
銃口から発せられたエネルギー弾を喰らいオーデンは網に掛かった様に動きを封じられてしまう
910はブレイガンを構えると自身をX形の光に変えオーデンに向かって突っ込みそのまま反対側へと貫いた
「・・!?」
しかし貫いた筈の手に感触が残らない よく見ると持っていたブレイガンが無くなっている事に気づいた
【STEAL VENT】
実は間一髪の所でカードをリードさせたオーデンがブレイガンを盗み出すことに成功したのだ
「・・・」
そしてここまでの戦闘でオーデンもといデレードは悟ったのだ
910には勝てない やるだけ無駄だと
【ATTACK RIDE INVISIBLE】
「か、勘違いしないでよねっ!べっ別に逃げるとか・・・そんなんじゃないんだからねっ!」
潔く負けを認めたデレードは別の空間に消えてしまった
「ちょっ・・おまっ・・」
この状況で胆を冷やしたのはディエッグだ 自分の為に体を張ってくれていると思ったデレードがあっさり去って行ったので驚いてしまう しかも聖の逃走用のカードを使って
【READY.....】
武器を失った910だったがベルトに備え付けてあるポインターを取り外し足に装着する
ピピ・・
【EXCEED CHARGE......】
ベルトからのエネルギーが足に流れ込む・・・
ディエッグに蹴りを繰り出すとポインターから放たれた光の線がディエッグをスコープし線が円錐形の形を帯び出しディエッグを突き刺す
「アァ・・・アァ・・・」
聖はもう掠れるような声を出す事しか出来ない
わざわざそんな事しなくても普通に倒せるのに・・・
もうここで終わりなのね・・・
パパ・・ママ・・・こんな聖をどうか・・・・・・
910は全身を光に纏わせて綺麗なアクロバットで円錐に向かって飛び込む
「!!!!?」
しかし留めを刺そうとした瞬間910に異変が起こる
「!! !! ?」
全身に身体を焼くような電流が走りとても辛そうにもがき始める
「・・ ・・ !!」
その後ショートしたベルトが身体から外れ吹き飛んで行き910はそのまま地面に突っ伏して動かなくなった・・
ーー
ーーーー
ーーーーーーーー
はぁ・・はぁ・・・
中島早貴は猛烈な勢いで階段を駆け上がる
エレベータなど待ってはいられない
403・・・403号室は・・
「あった!」
早貴は音を立てて病室の扉を開ける
そこには眠っている舞と付き添う聖の姿があった
「・・・」
早貴は舞の元へ歩み寄りそっと手を握る
「中島さん・・・」
「ごめんなさい」
早貴はまず第一声にそう言った
聖は早貴に詰め寄る
「中島さん、これは一体どういうことなんですか?説明して下さい」
「それは・・・」
「中島さんのせいじゃありません、きっとあのベルトのせいです」
「生田ちゃん・・」
衣梨奈は一人では不安だと思った聖が呼んだのだ
「910ギアはもうタチバナさんに返しました もう人の手が届かないように厳重に保管してもらうつもりです」
「ありがとう」
「ねぇえりぽん・・」
聖は色々と聞きたそうだが衣梨奈はそれを手で制し順番を辿る
「・・きっとあのベルト・・910ギアは戦いに飢えた 戦いの無い毎日が耐えられなかった
恐らくBigWの潰し方が甘かったのかもしれん
だから壊されても自らを再生させ次の戦いの時を待った・・」
「ベルトが意思を持っていたってこと?」
「うん・・・多分変身すると脳の信号を微妙に誤作動させて人の感情を書き換えるんやろ
諍いを求めるように・・
913(カイザ)のベルトは基本性能が他のベルトに比べて飛躍的に高い分、身体に掛かる負担が大きいから長時間変身を続ければ確実に使用者の身体を蝕んでいくけん
使用者が本人以外であれば特に」
「え?」
「萩原さんは確かに変身出来た・・・でもライダーベルトは本来本人以外は基本的に適合しないようになってるっちゃん
- 萩原さんが目を覚ましても副作用で身体に影響が出ていないとは言い切れん」
「そんな!ライダーバトルで日常生活に支障が出るなんて聞いてない!」
聖は病室にも拘らず大声を張り上げてしまう
「ごめんなさい・・私のせい」
「中島さん?」
「ライダーバトルが始まる前タチバナさんから強く言われていたの 使い方を間違えたら危ないから気を付けろって・・」
「じゃあどうして・・・?」
「・・・・」
「中島さん!」
「みずき」
「・・・・だって」
「・・・・・・・・・・・」
暫くの沈黙の後早貴はようやく口を開いた
「・・ほんの冗談のつもりだったの」
「・・え?」
「だって舞、これでセンターになれるかもって言ったら凄く喜んじゃって・・・後に引けなくなっちゃって・・・」
「そんな・・・」
「ごめんね舞・・・早貴の人生全部上げるから・・・だから目を覚まして・・」
このまま目を覚まさない状態が続けば舞の両親に何も説明しない訳にはいかなくなる
その時何と言えばいいのか衣梨奈には分からない
こんな深刻な事態に発展するなど誰が想像できただろうか
衣梨奈はこのライダーバトルを遊びの延長の感覚で始めた
自分の身体が人間のそれを超えることに浮かれこのところいつもふわふわした毎日を送っていた
恐らく他の皆だってそうだろう 己が強くなったことに自惚れを感じ多少性格が変わったメンバーも少なくないはずだ
きっとみずきも・・・
「・・・・・・・・」
衣梨奈は舞の手を額に当て無事を願う早貴をじっと見つめた その姿は香音を騙し討ちにした時とはまるで別人のようだ
自分がもしも今の舞のような状況に陥ったら・・・・同じように心配してくれる人はいるのだろうか・・・
「・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・なっきぃ?」
「舞!」
「「萩原さん!」」
「良かった!本当に良かった!」
「・・あれ舞何でこんな所に?」
呑気な声を出す舞に一同はホッとした どうやら大丈夫のようだ
早貴はこれまでの経緯を説明した
「・・舞はライダーバトルで力を使いすぎてしまったのよ・・私のせい、本当にごめんなさい」
早貴は故意に舞を危険に晒した訳では無い 舞自身の責任も有るし衣梨奈はきっと許してくれるだろうと思った
しかし舞から返ってきた予想外の言葉で三人は凍りついた
「・・ライダーバトル?ねぇ何言ってんの」
「・・え?」
寝起きで意識が朦朧としている訳ではない
目を覚ました舞はライダーバトルに関する記憶を無くしていたのだ
センターの事も、仲間と共に戦った事も
ライダーに関する事柄だけ綺麗サッパリ忘れてしまっていたのだ
「ねぇ、さっきから何言ってんの?どういう事?」
「い、いや何でも・・・何でもないよ」
3人は取り敢えず落ち着くまでは何も言わない事にした その方がいいと思ったから
それよりも無事でいてくれて、自分の事はしっかりと覚えていてくれて良かったと早貴は思う
「舞・・・・・・」
早貴はギュッと舞を抱き締めた 「え?」と舞は思わず目を丸くする
「みずき」
「うん・・」
二人は静かに病室を後にした 衣梨奈は普段空気を読まないが今だけは二人きりにしてあげた方がいいと思った
「舞・・・・・・・」
早貴は更に強く抱き締める
「え?ど、どうしたのマジで?い、痛いよなっきぃ」
「・・・・・・・・」
「なっきぃってば!」
・・・
・・・・・なっきぃ・・?
・・・
・・・・・・・泣いてるの・・・・?
おわり
最終更新:2012年09月09日 22:53