第30話「かっちょ良い歌」・前
愛理が聖を誘うのを見た娘。メンバー達は驚愕していた。
帰り間際なのでどこかに行くこと自体は問題無いのだが
鈴木愛理がわざわざ来て、連れて行ったことがショックなのだ。
事情を知らないメンバーはもちろん戸惑っているし
元ライダーの春菜と香音も、決着の時を感じて落ち着かないようであった。
「パレットって鈴木さんだったんですね……」
「ねぇはるなん、二人の戦いを見にいかない?」
「えっ!でも透明になったら見えませんよ。」
「見えなくてもいいの、応援だけでもしにいこう!」
香音は春菜の細い腕を強く引っ張った。
そして、部屋の隅にいた衣梨奈にも声をかける。
「えりちゃんも、行こう!」
香音は衣梨奈が聖を気にしていることに気づいていた。
それでも今の衣梨奈は自分から行きたいとは口が裂けても言わないだろう。
だから香音から誘ったのだ。
「でも、えりは……」
「応援だけでもいいから、行こうよ!」
「……うん!」
賛同の声を聞いた香音はニッコリと笑い、衣梨奈の腕もしっかりと掴む。
直前で気が変わったとしても決して離さないつもりなのだ。
これから聖を追いかけようとするところで、春菜がケータイを取り出す。
「せっかくだからスマイレージのライダーも誘いましょう。」
「はるなん、タケちゃんのアドレス知ってるの?」
「いえ、でも和田さんに頼めばなんとかなると思います。」
「え?はるなん?決勝?とにかく伝えればいいの?」
スマイレージのリーダー和田彩花は春菜からの謎の電話に困惑していた。
意味が分からなさすぎて頭の上にクエスチョンマークがたくさん浮かんでいる。
何がなんだか理解出来ないが、言われた通りにスマイレージに伝言を伝える。
親友の頼みは断れないのだ。
「みんなーはるなんが、決勝戦が例の公園で始まるって言ってるよー」
彩花の発言を聞いてもほとんどのメンバーがキョトンとしていた。
だが、朱莉と里奈だけがキャッキャとはしゃいでいる。
「やばい!行かなきゃ!!」
「例の公園ってどこ?知ってるの?」
「ここから近いよ!ついてきて!!」
朱莉は里奈の手を掴みながらあっという間に出て行ってしまった。
事務所で行う取材はもう終わったので別にいいのだが
二人の奇妙な行動に彩花はまた頭を悩ませる。
「うーん……若い子たちの行動は分からない…」
彩香が混乱しているところに、暇していた真野恵里菜がやってきた。
なんだか騒がしかったので興味を持ったのだ。
「あやちょどうしたの?」
「あ、真野ちゃん。あのね、はるなんから電話があって」
「うん」
「決勝戦が例の公園であるってみんなに伝えてって言ってたから」
「ほぉ」
「伝えたらあの二人がどっか言っちゃったの」
「ふんふん」
「スマイレージもそうだけど、はるなんたまに変だよね……」
彩花の話を聞いて、恵里菜はライダーバトルの決勝が始まることを確信する。
早期に敗退した恵里菜だったが、優勝者が誰なのかは興味があった。
(どこでやるんだろう?よし、タケちゃんを追いかけるか)
Berryz工房たちはモキマスとは異なり、中部地方でイベントを行っていた。
仕事が終わったところで梨沙子のケータイが鳴り響く。
電話の相手はタチバナの青年であった。
「ノブアキくん、どうしたの」
「決勝戦が始まるよ」
「!」
「二人が接近しているという反応が出たんだ。
僕もこれから現場に向かうよ。」
梨沙子は青年に対してあらかじめ注文をつけていた。
それは最終決戦が始まりそうになった場合、すぐに連絡させることだった。
彼女は自分の知らないところで決着がついてしまうのが嫌だったのである。
そして、梨沙子はさらに注文を追加する。
「教えてくれてありがと、じゃあ生中継して」
「……は?」
「現場で戦いを見るんでしょ!だったら私たちも見れるようになんとかしてよ!!」
「そんなぁ、無茶言わないでよ」
「タチバナの技術は凄いんじゃなかったの?」
「うぅ……」
数分後、とあるアドレスが書かれたメールが梨沙子に送られてきた。
それは青年が撮影した映像を生で見ることが出来る動画サイトのアドレスであった。
青年の持つカメラは透明のライダーも映すことの出来る高性能カメラだ。
これでベリーズの面々もストレスなく決勝戦を見ることが出来るだろう。
(これ本当はお偉いさん向けの映像なんだけどなぁ……バレたらえらいことになりそう)
「なにこの人数……」
早貴と舞は目を丸くしていた。
愛理にここで戦うと聞いていたのでいざ応援しに来てみたら
元ライダーがほぼ揃っていたので驚いたのだ。
「なによ、せっかく特等席で見れると思ったのに」
「あ、サングラス配ってる!」
舞は青年が特製グラサンを配布しているのを発見する。
それは萩原舞のみが所持していた、透明の物も見ることが出来るサングラスだ。
ハロメンからのクレームを予測した青年が用意していたのである。
早貴はすぐにサングラスを受け取り、決戦の開始に備える。
このようにして皆がスポーツ観戦気分でやってきたので
当事者の愛理と聖は緊張してしまう。
「なんか凄いことになっちゃったね……」
「なんか恥ずかしいです……」
口ではそう言ってはいるが、聖はとても喜んでいた。
今にも小躍りでもしてみたい気分だ。
特に、衣梨奈が見にきてくれたのがとても嬉しい。
(えりぽんありがとう、みずきね、絶対に鈴木さんに勝つよ。)
ディエッグは変身用の生写真を取り出し、銃へと挿入する。
最後の勝利をみんなに見せるために
聖は仮面ライダーディエッグに変身する。
「変身!」
早貴と舞はディエッグの変身を見て、思わず息を呑んだ。
早い段階から優勝候補と呼ばれたライダーを目の当たりにして緊張しているのだ。
周りのギャラリーも同様ではないかと思った舞は辺りを見回すが
想像に反して他の元ライダーらは平然としていた。
「ちょっとなっきぃ、なんであの子たち普通なの?
フクちゃんがディエッグだったなんて、マイ、ビックリなんだけど」
「最近の若い子たちはしっかりしてるからねぇ……」
この2人以外はほとんどがモーニング娘。とスマイレージだったので
普通にディエッグの正体を知っていただけなのだが、舞たちは勝手に驚いていた。
℃-uteの中で冷静なのは鈴木愛理だけのようだった。
「やる気十分だね、私も行かせてもらうよ……ヘシン!」
『ターンアップ』
愛理はベルトのバックルを回転させ、前方に長方形の壁を発生させる。
その壁を通り抜けることで愛理はパレットへと姿を変えるのだ。
パレットの姿を見たことのある元ライダーはごく少数であったので
今回のギャラリーの反応はなかなかだった。
この歓声を利用してディエッグはパレットに挑発をする。
尊敬する先輩を茶化すのは不本意だが、相手のペースを乱すにはかなり有効な技だ。
「さすが鈴木さん、大人気ですね」
「フガフガ!フガフガフガ!(茶化さないでよ!もう戦いは始まってるんだよ!)」
「え?ええ?」
パレットのあまりの滑舌の悪さにディエッグは一瞬フリーズしてしまう。
何を言っているのか全く分からないので、逆に精神を乱されてしまったのだ。
その隙をつき、パレットは大剣でディエッグに斬りかかる。
(しまった、出遅れた……)
ブンと振られる大剣をディエッグは銃で受け止める。
武器のスケールが違いすぎるため当然防ぎきれるわけもなく、
ディエッグは後ろに大きく弾き飛ばされてしまった。
斬られるよりはマシだが、これでは幸先が悪すぎる。
ギャラリーとして参加している衣梨奈もハラハラしながら戦いを見ている。
(何やってるっちゃん!鈴木さんをしっかり見ないと!)
出来ることならアドバイスをしてあげたかった。
例によってパレットの対策もちゃんと思いついていたからだ。
それでも衣梨奈は何も喋らない。
聖が一人で戦うつもりならば、何も言わず任せてあげたいのである。
衣梨奈は両方の手を組んで祈りのポーズをしてみせる。
(えりぽん……ごめん、不甲斐なかったね、もうあんなヘマはしないよ。)
ディエッグは立ち上がって1枚の生写真を取り出す。
その生写真は以前、衣梨奈の前で使ったことがあったが
出来ることならば香音にも見せてあげたいと思っていた1枚なのだ。
ディエッグはさっそくその生写真を銃に挿入し、召喚する。
『ハローライド・サヤシリホ!』
呼び寄せたのは9期メンバーの一人、鞘師里保だった。
ダンスの妙技で敵を翻弄させることの出来る頼れる同期だ。
衣梨奈も、香音も、聖と同じようにこの里保の映像に期待している。
「里保ちゃんいっしょに戦おう、今日はみんなが応援してくれてるみたいだよ。」
ディエッグはエネルギーを極力節約しようと考えていた。
基本は鞘師里保のような同期や後輩の生写真を多用し、
いざというところで消費の激しい、先輩の生写真を使うという作戦なのだ。
最強フォームは確かに強力だがひどく消耗してしまう。
出来れば必要に迫られる時以外は使わないほうが良いのだろう。
この判断には衣梨奈も評価していた。
(みずきそれで良いと。鈴木さんの手の内が分からんうちは様子見がいいっちゃね。
まぁ、里保の強さは省エネとは思えんレベルっちゃけど)
里保の映像は得意のステップであっという間にパレットとの距離を縮め、
ターンとともに蹴りを入れてくる。
その動きのキレはもちろん凄かったのだが、
パレットはどちらかと言えば生身の人間が突然襲い掛かってくる事実に驚愕してしまう。
「ウェッ!?」
目の前の里保の映像を斬って良いものなのか分からず、とりあえず大剣で蹴りを受け止める。
ズシンと来る蹴りの振動はもはや人間のものではない。ライダーのそれと同等だ。
やっぱりこの映像は斬るべきだと思ったその時、パレットの腹に光弾が撃ちこまれていく。
それはディエッグの銃から発せられたものだった。
「2対1です。里保ちゃんばっかり構ってると私が撃っちゃいますよ。」
「!」
撃たれたのでパレットは自然とディエッグの方に視線を送った。
そうなると今度は里保からくるりくるりと背後に回って上段蹴りを入れてくる。
両方を意識しなくてはならない状況にパレットは困惑していた。
(困った……譜久村ちゃんの能力はとても厄介……
でも、そこまで強い感じじゃない、かな?)
「なんで鞘師ちゃんがいるの!?」
「鞘師ちゃーん!そんなとこにいたら危ないよ!」
ディエッグの能力を知らない舞と早貴は大慌てだった。
この2人があまりにも大きな声で叫ぶので、
仕方ないと思った朱莉が1から説明することで場を収めた。
2人ほどでは無いが、パレットも能力に困惑している。
(この鞘師ちゃんは本物じゃないのは分かる。だから斬っても大丈夫。
でもこの鞘師ちゃん、本人以上に動きが機敏すぎる!
私の重い剣じゃ当たらない……かも)
パレットは最強フォームになれば鞘師里保の映像なんて軽く倒すことが出来た。
何故変身しないのかと言うと、ディエッグと同様にエネルギー切れという問題を抱えているからだ。
出来ることなら最強フォームだけでなくラウズカードも使いたくはない。
だが、さすが決勝進出者なだけあってディエッグの実力は本物だ。
力を温存していては勝てそうにない。
カードを切らねば道は開けないと思い、パレットはトランプを剣に読み込ませる。
『スパークリング』
大剣から桃色の電撃が発生し、周囲に放電されていく。
スパークの速度は映像よりもずっとずっと速い。
結果、里保の映像は電撃に耐え切れず消滅してしまった。
これはディエッグにとっては大きな痛手だったが、彼女はさほど悔しそうなそぶりを見せなかった。
(里保ちゃんありがとう、おかげで鈴木さんのこと分かったよ)
パレットはカードを使うライダーであることが分かった。
なかなかそのカードを使いたがらなかったことから、
パレットもディエッグ同様にエネルギーに関して気を使っているということも分かった。
その2つを示してくれただけでも、鞘師里保の仕事は十分だと言える。
(えりぽんだったら最初っからこのことに気づいたのかもしれないね。
みずきは馬鹿だから、里保ちゃんを犠牲にしないと分からなかったよ。
でも、おかげで鈴木さんを倒す方法を思いついたんだ。)
決勝まで残っているのだから、パレットは最強フォームになれるはず。
ならばその最強フォームにならざるを得ない状況を作れば良いのだ。
そうすればエネルギーを大きく削ることが出来る。
正攻法からは少し外れるが、これも立派な作戦だ。
ディエッグは新たな生写真をもう1枚読み込ませる。
『ハローライド・クドウハルカ!』
召喚されたのは工藤遥の映像だった。
鞘師里保以外のメンバーを召喚したわけだが、パレットは特に驚かなかった。
自分も複数のカードを所持しているので、これくらいは当然だと思っていたからだ。
(工藤遥ちゃんか……喧嘩が強いって聞いてるけど、ガチンコ対決なら負けないよ!)
工藤遥は鞘師里保ほど華麗に舞うことは出来ない。
ステップの速さも並であり、当たって砕けろ精神でぶつかりに来るだろう。
パレットはそう思っていたし、その推測は正しかった。
だがそれはあくまで工藤遥単体の性能だ。
ディエッグが生写真をさらに1枚追加させるだけで状況は劇的に変化する。
『シングルライド・レンアイハンター!』
工藤遥の衣装が恋愛ハンターのものに変化し、さらに右腕に巨大なボウガンが取り付けられる。
大人気ゲームのハンターのような風貌になった工藤遥はとても強そうだ。
ボウガンを装備したことで工藤遥の戦法は大きく変わる。
従来の近接での殴り合いから、遠距離からの狙撃へと変化するのだ。
ディエッグも、工藤遥も、各々の武器で射撃をしながら距離をとっていく。
パレットは飛び道具を持たないので、このような戦法にめっぽう弱い。
光弾と矢を剣で必死に防ぎながら、次の手を考える。
(シングルライド……そんなことまで出来るの!?
本当に譜久村ちゃんの能力は底知れない……でも様子見なんてしてる暇ないよ。
使わなきゃ、もっと強いカードを使わなきゃ)
パレットはこの状況を打破する方法を何個か思いついていた。
しかしそのどれもがカードを用いた、エネルギーを消費するものだった。
まるで大量のエネルギーを使うよう誘導されているようだと感じながら、
パレットは比較的消耗の少ないカードを使用する。
選んだのはスペードの8だった。
『エヌエス』
名前: ◆YVkAG1cfOM [] 投稿日:2012/09/23(日) 21:07:30.76 i
「なんで鞘師ちゃんがいるの!?」
「鞘師ちゃーん!そんなとこにいたら危ないよ!」
ディエッグの能力を知らない舞と早貴は大慌てだった。
この2人があまりにも大きな声で叫ぶので、
仕方ないと思った朱莉が1から説明することで場を収めた。
2人ほどでは無いが、パレットも能力に困惑している。
(この鞘師ちゃんは本物じゃないのは分かる。だから斬っても大丈夫。
でもこの鞘師ちゃん、本人以上に動きが機敏すぎる!
私の重い剣じゃ当たらない……かも)
パレットは最強フォームになれば鞘師里保の映像なんて軽く倒すことが出来た。
何故変身しないのかと言うと、ディエッグと同様にエネルギー切れという問題を抱えているからだ。
出来ることなら最強フォームだけでなくラウズカードも使いたくはない。
だが、さすが決勝進出者なだけあってディエッグの実力は本物だ。
力を温存していては勝てそうにない。
カードを切らねば道は開けないと思い、パレットはトランプを剣に読み込ませる。
『スパークリング』
大剣から桃色の電撃が発生し、周囲に放電されていく。
スパークの速度は映像よりもずっとずっと速い。
結果、里保の映像は電撃に耐え切れず消滅してしまった。
これはディエッグにとっては大きな痛手だったが、彼女はさほど悔しそうなそぶりを見せなかった。
(里保ちゃんありがとう、おかげで鈴木さんのこと分かったよ)
パレットはカードを使うライダーであることが分かった。
なかなかそのカードを使いたがらなかったことから、
パレットもディエッグ同様にエネルギーに関して気を使っているということも分かった。
その2つを示してくれただけでも、鞘師里保の仕事は十分だと言える。
(えりぽんだったら最初っからこのことに気づいたのかもしれないね。
みずきは馬鹿だから、里保ちゃんを犠牲にしないと分からなかったよ。
でも、おかげで鈴木さんを倒す方法を思いついたんだ。)
決勝まで残っているのだから、パレットは最強フォームになれるはず。
ならばその最強フォームにならざるを得ない状況を作れば良いのだ。
そうすればエネルギーを大きく削ることが出来る。
正攻法からは少し外れるが、これも立派な作戦だ。
ディエッグは新たな生写真をもう1枚読み込ませる。
『ハローライド・クドウハルカ!』
召喚されたのは工藤遥の映像だった。
鞘師里保以外のメンバーを召喚したわけだが、パレットは特に驚かなかった。
自分も複数のカードを所持しているので、これくらいは当然だと思っていたからだ。
(工藤遥ちゃんか……喧嘩が強いって聞いてるけど、ガチンコ対決なら負けないよ!)
工藤遥は鞘師里保ほど華麗に舞うことは出来ない。
ステップの速さも並であり、当たって砕けろ精神でぶつかりに来るだろう。
パレットはそう思っていたし、その推測は正しかった。
だがそれはあくまで工藤遥単体の性能だ。
ディエッグが生写真をさらに1枚追加させるだけで状況は劇的に変化する。
『シングルライド・レンアイハンター!』
工藤遥の衣装が恋愛ハンターのものに変化し、さらに右腕に巨大なボウガンが取り付けられる。
大人気ゲームのハンターのような風貌になった工藤遥はとても強そうだ。
ボウガンを装備したことで工藤遥の戦法は大きく変わる。
従来の近接での殴り合いから、遠距離からの狙撃へと変化するのだ。
ディエッグも、工藤遥も、各々の武器で射撃をしながら距離をとっていく。
パレットは飛び道具を持たないので、このような戦法にめっぽう弱い。
光弾と矢を剣で必死に防ぎながら、次の手を考える。
(シングルライド……そんなことまで出来るの!?
本当に譜久村ちゃんの能力は底知れない……でも様子見なんてしてる暇ないよ。
使わなきゃ、もっと強いカードを使わなきゃ)
パレットはこの状況を打破する方法を何個か思いついていた。
しかしそのどれもがカードを用いた、エネルギーを消費するものだった。
まるで大量のエネルギーを使うよう誘導されているようだと感じながら、
パレットは比較的消耗の少ないカードを使用する。
選んだのはスペードの8だった。
『エヌエス』
パレットの使用した「エヌエス」は磁力効果を持つカードだ。
自分自身をN極、相手をS極に設定すればお互いを引き寄せることが出来る。
両方を同じ極にすれば離れさせることも可能だ。
パレットは接近戦が得意なので、位置関係を操れるこの能力を重宝している。
工藤遥の映像も簡単に引き寄せて倒すことが出来るだろう。
だがパレットは磁力の指定先を工藤遥にはしなかった。
どうせ引き寄せるのならば、もっと良い相手がいるからだ。
(譜久村ちゃん!離れてないでこっちにおいでよ!)
パレットが指定したのはディエッグだった。
召喚された映像よりは、本体であるディエッグを斬るのが最善と思ったのだ。
銃ライダーであるのならば接近戦は苦手なはず。
とは言っても一撃斬られてやられるほどヤワな装甲とは考えにくいので
パレットはもう1枚、別のカードを読み込ませる。
『ドットドットスラッシュ』
使用したのは斬撃を強化させるドットドットスラッシュのカードだった。
これにより、パレットの大剣の威力は大幅に上昇する。
後は勝手にこちらにやってくるディエッグを思いっきり斬れば良いだけだ。
パレットは足、腰、腕に力をいれて次の攻撃に備える。
ズッシリと構えたパレットに対して、ディエッグは相当焦っているようだった。
(わ、やだ、身体が勝手に……!)
本当に磁石になったみたいに身体が引っ張られるのを感じて、ディエッグは混乱してしまう。
はやく次の手を打たねばならないのは分かっているが、思いつかないのだ。
省エネで使用出来るカードはごく僅かしか残っていなかった。
石田亜佑美、佐藤優樹、中西香菜、田村芽実、あとは切り札として取っておきたい1枚だ。
これらのカードを使ってこの状況をなんとかする方法がまったく分からない。
結局ディエッグは省エネに反し、先輩の生写真を使用してしまった。
『ハローライド・オカイチサト!』
『シングルライド・ダンスデバコーン!』
岡井千聖の映像が突如現れ、ディエッグとパレットの間に入っていく。
そして両方の掌を思いっきり地面に叩きつけるのだった。
掌と地面は激しく衝突し、凄まじい爆音とともに爆発していく。
あまりに規模が大きいため、パレットどころかディエッグまで爆破に巻き込まれてしまった。
スーツの表面が焦げたが、おかげで磁力を遮断することが出来た。
ドットドットスラッシュによる斬撃も勿論中断されている。
多少の負傷なんて二枚のカードを無駄にした功績に比べれば軽いものである。
ディエッグは次の攻撃にもノリノリで移ることが出来た。
せっかく先輩を呼んだのだから有効活用すべきと思ったのだ。
「くどぅーは引き続き鈴木さんを撃って!岡井さんはこれを使ってください!」
『シングルライド・ショック!』
千聖の右手が眩く光り輝き、その手をパレットの胸にバシーンとぶち込んでいく。
ショックは衝撃波を相手の内部に叩き込む凶悪な技だ。
これだけでもかなり強力だというのに、
ショックを受けて立ちすくむパレットに更に光弾と矢が撃ち込まれていく。
それは言うまでもなくディエッグと遥の援護射撃だ。
三方向からの攻撃を同時に受けて無事に済むはずがない。
萩原舞は、本物の岡井千聖じゃないと分かっていても叫ばずにはいられなかった。
「ちさとぉ!!どうして愛理にひどい事するの!!」
「やったね!みずきちゃんおめでとう!」
「さすが譜久村さんですね!」
香音と春菜は抱き合いながらディエッグを祝福する。
その喜びはまるで自分たちが優勝したかのようだった。
だが衣梨奈だけは冷静な目をしていた。
パレットの様子がおかしいことに気づいてたのだ。
「喜ぶのはまだはやいっちゃん」
「「え?」」
「ボウガンの矢が、鈴木さんに刺さっとらん。」
衣梨奈の言うとおり、矢はパレットに刺さっていなかった。
どういう訳か、全ての矢が地面に転がっていたのだ。
一同が不思議がっているところに、パレットが大剣を振り出した。
さっきまで静止していたパレットがいきなり動きだしたので
千聖の映像は避けきれず消滅してしまう。
「どうして!?確かに決まったと思ったのに……」
見事な波状攻撃をしたと思っていたので、ディエッグのショックは大きかった。
このような事態になったのも、パレットがまた新たなカードを使用したからだ。
今回のカードはスペードの7、「ロックンボーノ」だ。
身体を鋼鉄のように硬くすることで全ての攻撃に耐えきったのだった。
以前に裂鬼の音撃や、BigWの猛攻も防いだのだからその効果はお墨付きだ。
副作用で身動きが取れなくなるのが気にならないくらい有効なカードである。
(良かった、このカードを使わなかったら今頃やられてたかも。
でも、またエネルギーを使っちゃった……)
極力節約しようと思っていてもどんどん使わされてしまう。
このペースではそのうちカード自体を使えなくなるかもしれない。
だが、代償を払っただけあってパレットはある成果を得ていた。
それはディエッグの能力を知る有効なヒントだったのだ。
(千聖は強かった、でもどうして最初から千聖を使わなかったの?
鞘師ちゃんとか、工藤ちゃんとか、若い子ばかり……
ひょっとして、年が上になるほどエネルギーを使うとか!?)
少し違うが、パレットの推理はだいたい合っていた。
ディエッグの身体が心なしか重たそうに見える。
それを見て、やはり年上を呼ぶと消耗するのだとパレットは確信する。
(じゃあ、若い子を全員倒したら年上ばっかり使うのかな?)
パレットは戦い方を変えることを決意した。
これまでは節約しながら相手がエネルギー切れするのを待っていたが
これからは積極的に相手を消耗させにいくつもりなのだ。
そのためには若い子の映像を薙ぎ倒すほどの強さが無いといけない。
(私には出来る。若い子たちが束になってかかってきても、私は勝てる!)
『フュージョンジャック』
『アブソーブキング』
パレットはスペードの11と13を使用してジャックフォームに変身した。
鳥のように羽根が生えてる姿に変わったのを見て、パレットは驚愕する。
「まさか最強フォーム!?」
「フガフガ(さぁ、どうでしょう)」
パレットは翼を広げ、超高速で遥の映像に突進していく。
遥もボウガンで応戦するが、全てパレットの剣で弾かれてしまう。
パレットは飛行の勢いで工藤遥を切り裂き、更に高くへと上昇する。
ジャックフォームは自由自在に空を飛ぶことが出来るのだ。
「くっ……高く逃げても無駄ですよ!」
『ハローライド・タムラメイミ!』
ディエッグは芽実のまゆげビームでパレットを撃ち落とすつもりだった。
だがジャックフォームはビームよりも速く、
急降下したパレットにあっという間に映像を斬られてしまう。
次々と召喚するメンバーがやられていくので、ディエッグは軽いパニックに陥る。
(優樹ちゃんとかななんでも鈴木さんを倒せそうにない……やっぱり先輩方の生写真を使うしか……)
(違う、最強フォームじゃないっちゃん!)
ジャックフォームは最強フォームではないことに衣梨奈は気づいてた。
確かに強力な変身ではあるが、最強の名を冠するほどには強くない。
そのため、消費エネルギーもそれなりだ。
少なくはないが、べらぼうに高いわけでも無い。
(みずき、勘違いして早まったらいかんよ……)
残念ながらディエッグは衣梨奈が危惧した通りの勘違いをしていた。
完全にパレットを最強フォームと思って対策を取ろうとしているのだ。
ディエッグはタッチデバイスを取り出し、指でなぞって行く。
「鈴木さんがそう来るなら、私も最強の姿でお相手します!」
ディエッグはジャックフォームに対抗するため、コンプリートフォームになろうとしていた。
コンプリートの強さはジャックフォームを圧倒するだろうが、
もし逃げ切られたら無駄に大量のエネルギーを失ってしまう。
だというのにディエッグは変身動作を完了させてしまった。
『サエキサヤ!』
『キリシマアユミ!』
『ヤブサメツルギ!』
『ミドリ!』
『ヒサコ!』
『クロハネヒナコ!』
『ホンダチエミ!』
『ミサキ!』
映画主人公らをズラリと並べた様を見て、ギャラリーらは騒然としてしまう。
こんなに大勢召喚したのを見たのは衣梨奈と里奈くらいだったから無理もない。
そして、パレットも動揺してしまっている。
自分とまったく同じ姿をしたミドリを見て、気味悪く感じているのだ。
パレットを恐怖させたのはミドリだけでは無かった。
王様ゲームの本田智恵美は刃物を握りながら睨んでいるし
無害に見える人物の背後にもゾンビやら赤い人やらが控えている。
そして何より、黒羽比那子に見つめられているのが恐ろしい。
彼女は特に睨んでいる訳ではない。
ただパレットを見ているだけだ。
それだけなのに、パレットは心臓を握り潰されるような感覚を感じてしまう。
黒羽がスッとノートを取り出した時は声まで出てしまった。
「ヒイッ!!」
これまでディエッグの呼んだ映像は本人よりずっと強くなっていた。
それならば、元から恐ろしい映画主人公達はどれほど強くなっているのだろうか
人を殺す能力より上位の力とはいったい何なのか
パレットはもう発狂してしまいそうだった。
(怖い!……すぐになんとかしないと!)
このままジャックフォームで遠くに逃げていれば
ディエッグを消耗させることが出来たかもしれない。
だが、恐怖が愛理の判断を狂わせてしまったのだ。
大勢の映像を一瞬でねじ伏せるにはジャックフォームでは力不足だという考えに達したのだ。
『エヴォリューションクィーン』
『アブソーブキング』
パレットは女王になる二枚を使用してしまった。
全身の鎧が黄金に輝く姿、キューティークィーンフォームに変身したのだ。
彼女の能力の一つ、高速移動で映像たちのもとへと突っ込み
剣を思いっきり振り下ろす。
『Café Buono!』
『Buono!2』
『We are Buono!』
『partenza』
『SHERBET』
『ロイヤルボーノフラッシュ』
パレットの剣から衝撃波が発生して5枚のアルバムジャケットを突き破っていく。
1枚ぶち破るごとに威力は増していき、直線上にいた映像らを消し去ってしまった。
裂鬼をも軽くひねり潰した技なのでこれくらいは当然だろう。
最も懸念すべき黒羽を一撃で倒したのは良かったが、敵はまだ残っている。
一歩進んではヒサコを斬り、
さらにもう一歩進んでは流鏑馬剣を薙ぎ払う。
蚊でも殺すかのように続けて映像を消滅させるその強さは本物だ。
パレットは自分と同じ顔をしたミドリの前に立ち、
他の映像にやったようにあっさりと斬ってみせた。
(さよならミドリ……許して、ね)
これで全ての映像を撃破し、残りはディエッグだけだと思われた。
しかし、何かがおかしい。
今斬ったばかりのミドリの映像がゆらゆらと揺れだし、
鈴木愛理ではない他のメンバーの姿へと変わっていったのだ。
変化後の姿を見て、朱莉と里奈が叫びだす。
「福田さん!?」
「どうして福田さんが!」
ミドリは福田花音の姿に変わってしまった。
花音の映像は一瞬だけ姿を現したかと思えばすぐに消滅する。
意味も分からずうろたえるパレットに向かってディエッグが話しだす。
「鈴木さんごめんなさい、私、嘘をついてました。」
「!?」
「みずきは最強フォームになんかなっていません。」
ディエッグがそう言った瞬間、その姿が通常のものに変わっていく。
全身に貼り付けられた生写真がスッと消え、
普段通りのシアンカラーのライダーへと戻ったのだ。
「みずきが使ったのはこの2枚です。」
ディエッグが見せ付けたのは「福田花音」の生写真。
そして「ぁまのじゃく」のジャケ写だった。
勘の良い愛理はその2枚を見ただけで事態を理解する。
(化かされたの?私……)
ハローライド・フクダカノン
シングルライド・ァマノジャク
ディエッグはこの2枚を使ってパレットを騙していたのだ。
ァマノジャクの効果は「全部嘘」
最強フォームになったという幻影を見せ付けていたのである。
つまりパレットは偽者相手に無駄なエネルギーを使ったことになる。
この作戦は相手が最強フォームになった時のために前々から温めていたものだった。
ジャックフォームを最強フォームだと勘違いしたのは大きな誤算であったが
結果的にキューティークィーンになってくれたので結果オーライだ。
騙されたパレットは自分が情けなくなる。
(失敗した……簡単に変身した時点で怪しむべきだったんだ。
後輩の掌の上で踊らされちゃって、本当に馬鹿みたい。)
ここでパレットは二択に迫られることになる。
最強フォームのまま戦うか、それとも解除して通常フォームに戻るかだ。
天下無双の強さを誇るキューティークィーンなら簡単にディエッグを倒すことが出来る。
強烈な斬撃を一回でも当てたらその時点で勝利が確定するだろう。
しかしディエッグに他の手が残されている可能性は非常に高い。
得体の知れない能力を持つディエッグ相手に、確実な勝利などありえないのだ。
ところが、ここでパレットはディエッグの異変を発見する。
先ほどより身体が重そうだし、肩で息をしているように見えたのである。
ディエッグと同じカードライダーであるパレットにはよく分かる。
エネルギーを使いすぎると自重を支える機能がパワーダウンし、
スーツがズッシリと重くなるのだ。
つまりディエッグのエネルギーは大分消耗しているということ。
そして他にも、ディエッグが強力な技を使えない根拠を掴んでいた。
(譜久村ちゃんもギリギリのところで戦っているんだね、
わかった、私は最強フォームのまま相手をしてあげる。)
ディエッグが強力な技を使えない根拠とは何か?
それはこれまで召喚されたメンバーの強さに関係している。
鞘師里保の映像はダンスを活かしながら攻撃してくる程度だった。
ボウガンを手にした工藤遥には苦戦したが、それほど強い訳ではない。
田村芽実のまゆげビームなんてかすりもしなかった。
これら若い子の映像に対して、年上メンバーの能力は目を見張るものがある。
岡井千聖の「Danceでバコーン!」「SHOCK!」はまともに喰らってたら危なかった。
福田花音の「ぁまのじゃく」はバトルそのものをひっくり返すとんでもない能力だ。
つまり、判明している限りでは年上メンバーの方がずっと強いのである。
その年上メンバーの燃費が悪いことは、ディエッグがなかなか使わなかったことで証明されている。
消耗している今、ディエッグはこれ以上年上メンバーを使うことが出来るだろうか?
(そんなことない、消耗の辛さは私だってよく知っている。)
年上メンバーを使用することは無いとパレットは予測した。
それに、今のパレットはキューティークイーンフォームである。
仮に年上メンバーの一人や二人を召喚されても乗り切る自信があったのだ。
そういった思いで、パレットは堂々とディエッグのもとへと向かっていく。
変身を解除せず進軍してくるパレットを見て、ディエッグは冷や汗を流す。
(凄いプレッシャー……足が震えちゃいそう。)
ディエッグは本当に体力を消耗していた。
ぁまのじゃくが強力であった分、多く消費してしまったのだ。
つまり、パレットの推測は当たっていたのである。
今のディエッグにはそう簡単に先輩メンバーを召喚することなど出来ない。
だが、手がまったく無い訳では無かった。
こんな時のために、切り札となる生写真を取り寄せていたのである。
(上手くいくかは分からないけど……みずきは信じる!)
パレットが迫ってきてもディエッグは逃げなかった。
逃げて時間を稼ぐよりはガチンコでいった方が勝てると踏んだのだ。
そのためには切り札の活躍が必要不可欠となる。
ディエッグは新たな生写真を銃に読み込ませる。
『ハローライド・オダサクラ!』
ディエッグの放った光がいつものようにハロプロメンバーの形に変わっていく。
ディエッグが切り札として呼び出したのはモーニング娘。11期メンバー小田さくら。
最近加入したばかりの新人中の新人だ。
あまり馴染みのない映像が現れたので、パレットは思わず動きを止めてしまう。
(あれは小田さくらちゃんだっけ……どうしてここで小田ちゃんを?)
年上メンバーを呼ぶと思っていたところにド新人を召喚してきたので
パレットにはその意図が分からなかった。
鞘師里保や工藤遥、田村芽実らのレベルを考えると今更若い子を出しても足しにならないはず。
それに、これまで登場してきた映像はそのメンバーに対応したシングルライドを使っていた。
岡井千聖の「Danceでバコーン!」や、福田花音の「ぁまのじゃく」と言った具合にだ。
工藤遥には過去の歌でなく「恋愛ハンター」を使ったことから
そのメンバーが参加した楽曲でないといけないと推測出来る。
(小田さくらちゃん、まだCD出してないよね?)
この理屈で行くと小田さくらに対応したシングルライドはゼロだ。
元研修生なのでたくさん歌ってきたのかもしれないが
シングル発売枚数ゼロ枚という事実は変わらない。
(ということは何かの罠?)
何も出来ないメンバーを召喚するとは考えにくい。
ひょっとしたら小田さくらには逆転可能な能力が備わっているのかもしれない。
だが、今ここでそんなことを考えても仕方が無い。
パレットはそう思っていた。
分かり得ぬことに悩んで足を止めるくらいならば
前に走って剣を振ったほうがずっとマシだと考えたのである。
小田さくらの映像ごとディエッグを斬れば勝てるのだ。
(前進あるのみ!一歩でも退いたら勝ちが逃げちゃうよ!)
「ウェーーーーーイ!!」
パレットはダッシュで小田さくらに斬りかかる。
映画主人公らを薙ぎ払った時のように蹴散らしてやろうと思っているのだ。
本格的なピンチのように見えるが、ディエッグは冷静にジャケ写を銃に挿入した。
パレットが来るかどうかなんて彼女には関係なかったのである。
(鈴木さん、私たちの新たな仲間を紹介します。
この子、凄いんですよ。)
『シングルライド・コイノジュバク!』
前後左右あらゆる方向から出現した太い鎖がパレットを縛りだす。
「恋の呪縛」の曲名通りの効果なので別段変わったことは何も無いが
問題なのはそれを使ったのがベリーズでは無く小田さくらだということだ。
呪縛自体は力を入れれば切れてしまう程度の強度しか無い。
だと言うのにパレットは二、三秒は静止したままだった。
想定外の攻撃に対応仕切れなかったのだ。
(CDを出して無くてもシングルライドを使えるの……?)
パレットはモヤモヤした気分のまま自分を縛る鎖を引きちぎった。
心のブレが身体に影響を与えてしまったのか、その動きはややスローだ。
おかけでディエッグは新たな生写真を使う猶予を獲得出来た。
それも二枚。
『シングルライド・キミハジテンシャワタシハデンシャデキタク』
『シングルライド・ブギートレインオースリー』
今回のシングルは℃-uteと藤本美貴のものだった。
スマイレージとスマイレージと思う人もいるかもしれないが、
シングル扱いなので℃-uteと藤本美貴が正しい。
そして今回も歌を使ったのは小田さくらだ。
疑問点はたくさん有るが、悩んでる暇はない。
二台の電車が右から左から迫って来ているので
急いで回避しなければ正面衝突に巻き込まれてしまう。
そう思ったパレットはキューティーサーキットの能力を発動する。
ベリキュー大戦でも使用した、マッハの速度で移動出来る技だ。
クィーンフォームなら念じるだけでトランプの力を使えるので
なんとか電車から逃れることが出来た。
(ふぅ、電車に挟まれたらさすがのキューティークィーンでも危なかったかも……)
マッハで移動し終えたパレットは思わず膝をついてしまう。
もうかなり疲労が溜まっているのだろう。
ディエッグはパレットがそうなることを見越して
さらにもう一枚、ダメ押しの生写真を用意していた。
ブギートレインもそうだが、小田さくらが味方になることで使える歌の幅が広がったのだ。
『シングルライド・ラヴマシーン』
LOVEマシーンと言えば誰もが知っている大人気シングルだ。
シングルライドとしてもその人気に恥じぬ力を持っている。
パレットは次の瞬間、その凄さを目の当たりにすることになる。
(飛行機……?)
ピンク色のジェット機が空からやってきた。
この飛行機内部にある制御装置こそがLOVEマシーンなのだ。
電車とは比べものにならないほどスケールの大きい攻撃なので
パレットは夢と現実の区別がつかないくらいに取り乱す。
本能的に逃げようとしたが足が動かなかった。
キューティーサーキットを使って消耗したところを突かれたので
簡単には身体が動いてくれないのだ。
完全無防備なパレットにLOVEマシーンは容赦なくぶつかっていく。
「あああああああああああああ!!!」
LOVEマシーン自体はディエッグの作り出した映像であるため
本物の飛行機と同じ質量を持っているというわけではない。
それでも、イメージの作り出す破壊力は馬鹿にできないレベルだった。
直撃したパレットのスーツがバチバチと鳴り響き、
立派だった黄金の鎧が次々と剥がれ落ちていく。
キューティークィーンフォームの防御力はとても高いのだが
天下のLOVEマシーンの前ではそれすら無力に等しかった。
10秒も経たないうちに金の装甲がすべて弾け飛び、通常のパレットの姿に戻ってしまう。
出来ればそのまま大破まで持っていって欲しかったが、
最強フォームの証である黄金の鎧をブチ壊しただけでも意義があったと言えるだろう。
「ありがとう!さすがさくらちゃん!」
ディエッグは小田さくらの映像に感謝をしていた。
それは、小田さくらが「どんな歌でも歌える」という特殊能力を備えていたからだ。
抜群の歌唱力と、声マネをする技術。
この2つがあるからこそブギートレインでもLOVEマシーンでも
本人そっくりに歌うことが出来たのである。
ディエッグの活躍に、多くの元ライダーたちが湧き上がった。
最終決戦ゆえにディエッグは手の内を隠さず全てを出し切っている。
その戦い方の派手さがハロメンたちを興奮させたのだろう。
しかし、衣梨奈の表情だけはなんだか寂しげだった。
ディエッグが勝つのが嫌だと言うわけではない。
嫌だったら朱莉のように苦虫を噛み潰したような顔をするはずだ。
衣梨奈はディエッグが優勢であることにはむしろ喜んでいる。
それでも衣梨奈はとてつもない不安感に押しつぶされていた。
(えりがアドバイスなんかせんでも、みずきは十分に強かね)
ディエッグが活躍をすればするほど、衣梨奈は自分が不要な存在に思えてならなかった。
元から今日は助言をせず黙って観戦するつもりだったが
こうもディエッグが順調すぎると逆に悲しくなってくる。
(みずきはなんでもえりより上っちゃん。可愛いし、性格良いし、歌上手いし、ダンス上手いし
セクシーだし、おっぱい大きいし、面倒見良いし、慕われとるし、ハロプロのことなんでも知っとるし
こんなえりでも、せめて仮面ライダーのことならみずきを助けられると思っとったのに
あんなに強いなんて、聞いとらんよ……)
衣梨奈はこのようなやりきれない気持ちとずっと付き合っていた。
もちろんこんな考えをするのは良くないと分かっているが
だからこそますます「素直に応援しない自分は性格悪い!」と自責してしまう。
衣梨奈は完全にドツボにはまっているようだった。
タチバナの青年も、戦いを撮影しながら衣梨奈の異変に気づいていた。
(生田ちゃん、あんなに譜久村ちゃんと仲良さそうだったのに……
なんとかして、勇気付けてあげなきゃ!)
青年はいつの間にかおせっかいな性格になっていた。
ずっと梨沙子のワガママに付き合ってきたからかは分からないが
とにかく衣梨奈をなんとかしたいと思い始めたのである。
(でも、僕に何が出来る?)
仮面ライダーイクタ / 生田衣梨奈 敗退
仮面ライダーオーズッキ / 鈴木香音 敗退
仮面ライダーなでしこ / 真野恵里菜 敗退
仮面ライダーゲンキックンホッパー / 萩原舞 敗退
仮面ライダーオーデン / 竹内朱莉 敗退
仮面ライダーパレット / 鈴木愛理
仮面ライダーディエッグ / 譜久村聖
仮面ライダーBig W / 熊井友理奈&徳永千奈美 敗退
仮面ライダーハウガ / 飯窪春菜 敗退
仮面ライダー裂鬼 / 清水佐紀 敗退
仮面ライダー910 / 中島早貴 敗退
仮面ライダーめん王 / 勝田里奈 敗退
仮面ライダーリィサーコ / 菅谷梨沙子 敗退
仮面ライダーG3-M / 新垣里沙 敗退
最終更新:2012年10月01日 21:38