振り下ろされ―――――なかった。
振り下ろされる前に機械兵が何らかの力によって吹き飛んだのだ。
「あ……れ………?」
「ヒトミコ先輩!!しっかりしてください、ヒトミコ先輩!!」
「マイク……くん?」
「ごめんなさいっ、僕がもうちょっと早く着いたならっ…!!!」
ヒトミコの前には涙でぐちゃぐちゃになったマイクの顔があった。
あんまりにもひどい顔過ぎて、つい笑ってしまった。
「な、何笑ってるんですか!」
「いや…ちょっと、ね。ところで、何で、トラユキがいるの…?」
「そりゃねぇっすヒトミコ先輩!!急いで駆けつけたのに!」
「…何があったか、説明して?」
「実は―――――」
恐る恐る影を覗き込んだ。そこには、
「…あれ、トラユキ先輩と…ノセ先輩!?」
「!、マイク!!お前こそどうしてこんなところに?」
「今はそれどころじゃないんです!!ヒトミコ先輩が、ヒトミコ先輩が!!」
「……ヒトミコが、どうかしたのか?」
「ノセ先輩、あんまりしゃべったら、」
「いい、一体何があった。」
マイクからすべてを簡潔に聞いた後、ノセは立ち上がった。
そして、くるりと走り出そうとした。…のをトラユキがとめた。
「ちょっと、どこにいくんすか!?」
「兄さんたちを探しにいってくる。このことを伝えないと、」
「そんな体でどうするって言うんすか!ノセ先輩はここで休んで――」
「俺のことはいい!!いいからお前はヒトミコのところに行ってくれ!こうしている間にもあいつは一人で戦っているんだ!!」
「、トラユキ先輩!早く!!」
「――――~わかったっす!早くしてくださいよ!!」
「あぁ。」
「…ってことで、ノセ先輩はイチスケ先輩を探しに、トラユキ先輩は助けるためにきてくれたんです。」
「そうだったの、…ありがとう。」
「そんなのいいんです。っと、あいつまだ生きてるし。どんだけ頑丈なんだよ。マイク、ヒトミコ先輩を守れよ?」
「はい、わかってます。…気をつけてください。」
先ほどの攻撃でへこんでいる体で起き上がった機械兵を容赦なく蹴る。
ものすごい音を立てて転がっていく機械兵を冷たい目でトラユキは見つめる。
ばたばたと別の足音が聞こえた。
「俺たちの仲間をこんなになるまで痛めつけた分、きっちり払ってもらうっす。いいっすよね、イチスケ先輩!!」
「………あぁ!!跡形もなくしてやらぁ!!」
イチスケの目に映ったのは、ぼろぼろのヒトミコだった。
ふつふつとどす黒いものが溢れ出てくるのがわかった。それほどに今、怒りがわいていた。
「俺たちの仲間をこんなになるまで痛めつけた分、きっちり払ってもらうっす。いいっすよね、イチスケ先輩!!」
「………あぁ!!跡形もなくしてやらぁ!!」
吼えるように叫び、機械兵に向けて手を振り上げた。そして、無数の釘が出現する。釘は大きく、いつもより長かった。
機械兵は、先ほどトラユキから受けた攻撃が堪えたのかかくかくと立ち上がる。
そして、立ち上がった瞬間釘の雨が降り注ぐ。
「トラユキ、ノセの能力をコピー!」
「はいっす!能力複写(コピー)、威力10倍!!」
釘の速さが異常なほどにあがった。
ノセの悪夢は「衝突の悪夢」。何かに向かって進んでいるものすべての威力を自由自在にあげる。
トラユキの悪夢は「激突の悪夢」。死への回避能力が大幅に上がり、技をコピーすることさえできてしまう。
そんな釘はいともたやすく機械兵に突き刺さった。何個も何百個も。
すべての釘が突き刺さり、機械兵の動きが止まった。そして、
「やった……のか?」
「やった、やったっす!!」
がしゃん、と音を立てて倒れた。
すぐに動かないことを確かめるとイチスケはすぐさまヒトミコに近寄った。
裂傷の傷はすでに血が止まっていたが、いまだにヒトミコの顔色は悪かった。
「急いで病院に!!」
ヒトミコを抱きかかえ、急いで出入り口へと走り出す。
そのとき、リナの叫び声が聞こえた。
「イチスケ先輩っ、避けてぇぇぇぇっ!!」
「は……………?っ!?」
先ほど、あっさり倒したと思った機械兵がすぐそこまで近づいていた。
蹴りが繰り出されるまでの間、すべてがスローモーションに見えた。
「(あー…、もうちょっと確かめておけばよかった。)」
蹴りがぶつかる。わき腹に衝撃が来た。
壁際まで吹き飛ぶ。一瞬だけ、意識が飛んだ。しかしそれもすぐに戻る。
「がっ…、………っ!!?」
「イチスケ先輩!っこのぉ!!」
「だめっ、トラユキ先輩!逃げてっ!」
機械兵はくるりと反転するとそのままトラユキにも蹴りを入れた。
トラユキも、ものすごい距離を吹っ飛ぶ。
「トラユキ先輩!!こうなったら、僕が」
「駄目、マイク君には危なすぎる。だからあたしが」
「何言ってるんですか!?ここは僕が行きます、リナ先輩はヒトミコ先輩のところに!」
「(はっ)マイク君、後ろっ!」
「ちっ、すいません!!」
「へ?きゃあ!!」
リナを巻き込んで前に倒れる。ひゅんと空気を薙ぐ音が聞こえる。
そしてそのまま機械兵は足を振り下ろし、ぐしゃっと音が鳴った。
「…威力100倍。……仲間を痛めつけた分と、あのときのお返しだ。」
ぐしゃぐしゃに、機械兵はなってしまった。
今度こそ、機械兵の動きは止まった。
リナとマイクは、呆然とそれを見てそして思い出したかのように周りで倒れているヒトミコたちを起こしに行った。
最終更新:2011年06月25日 23:01