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芸術のための手立て

「誰かって?おかしな子だな。それでもアースセイバーか?」
「!?」
反射的に身構える冬也。
眼の前に現れた男は、こげ茶色のコートのようなマントを羽織り、ベレー帽を被っていた。

「何で、僕がアースセイバーって…!」
「僕が知らないわけないだろ?…あ、でもそうか。お前は戦闘員じゃないから姿はしらないのか。」
男はそう言うと、くすくすと笑った。

「教えてやる。僕はパラボッカ・アーティ。『怪盗一家』の一員だ。」
「『怪盗一家』…!」
その名前は冬也も聞いたことがあった。
当然だ。それは、ホウオウグループの一派なのだから。

「…さて、こんな所で知和話もつまらないだろう。」
そう言うと、男は冬也のすぐ後ろに回りこんだ。
「静かに話ができる場所に行こうか。」
クロロホルムをしみ込ませたタオルをあてがい、冬也を深い眠りにつき落とした。

「…何よ、パラボッカ。また何か考えたわけ?」
冬也が眠りについたのを見計らい、建物の陰から女が出てきた。
青いドレスを模したようなその服は、日常の中ではかなり浮いていた。
「その通り。今回も協力してもらうからね、アリア。」
「どうせまた『芸術作品』なんでしょ。いいわ。協力してあげる。」

女は冬也を抱えると、そのまま男と共に飛び上がった。
音もなく電線に飛び乗り、そのまま動きだす。
「僕に興味あるのは『芸術』だけだからな。」
「知ってるわよ。もう何年の付き合いだと思ってるの。」
「…それもそうか。」

その二人の行方は、誰にも分からない。

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最終更新:2011年06月25日 23:02