今日もまた車にはねられた。
でも気にしてないよ。
だってこれが僕の日常だし。
【僕の日常】
「おはよ~」
「「ぎゃあああああ!?」」
僕、浅木旺花が教室に入った瞬間、教室にいたほとんどの人が叫び声をあげた。
人の顔見て叫ぶなんて失礼な。
とか思っていると、今にも鬼と化しそうなユウイが机を跳び箱のように飛び越えながら僕の方に向かってきた。
「お、おおおおーちゃん!どうしたんだよその怪我!?」
「あ~、あはは、ひかれた☆」
「 ☆ じゃない!!」
バシッ、と頭を叩かれた。
結構痛い。
「今すぐ病院行きなよ!」
「いや、擦り傷程度だし大丈夫だよ。……制服ちょっと破れたけど。それに日常茶飯事なんだし」
「まあ…そうか…日常茶飯事だし…って納得するかバカ!!保健室に行くだけでもっ……リオッ、リオトー!」
「…なんでオレ?」
一体どこからどう出てきたのか、隣のクラスであるはずのリオトがユウイに名前を呼ばれ、眉間にシワを寄せながらも僕達の方へ向かってきた。
なんだか申し訳ないなあ…。
「いいじゃん、おーちゃんとリオの仲なんだから、連れていってあげてよ」
「オレはそんなに暇じゃ…」
「
スペシャルクレープ」
「行ってきます」
リオトが目をキラッキラに輝かせながら僕の腕を乱暴に握って保健室へと歩み始めた。
なんか…単純だなあ。
もしかしたら僕よりバカなんじゃ…。
「それはない」
あ、心読まれた。
─────
「失礼しまーす」
「あれ、おーちゃん…うわっ!?」
教室にいた皆とはさすがにリアクションは薄いけど、玉置先生も僕の姿を見て目を見開きながら驚いた。
「どうしたのその怪我!」
「車にはねられたんっすよ~」
「は、はねっ…!?」
「擦り傷だけだから大丈夫だって皆にも言ってたんすけど保健室保健室ってうるさくて……?」
少し遠くから視線を感じた。
僕は先生との話を中断してそっちを見る。
……長い白髪の女の子と目が合った。
少しだけだけど、見覚えがある。
隣のクラスの氏型 環さ…
「取り敢えず、消毒だけでもしておこう。頭は打ったりしてないよね?」
「あ、あ、はいっ!大丈夫っす!」
先生の声でハッと我に帰った。
反射的に問いかけに頷きながら、僕は椅子に腰掛けた。
手当てを受けながら、さっき目が合ったあの子のことを考える。
見たって言ってもほんの一、二度だ。
確か不登校になってたとか聞いてたんだけど…。
ここにいるってことは保健室登校か何かかな?
ちらりとあの子に視線を向ける。
もうあの子は僕に興味はなくなったらしく、ただ淡々と棚の整理をしていた。
「はい、終わったよ」
「あ、ありがとうございました」
机の上には大量の絆創膏のゴミが。
僕そんなに怪我酷かったのかなあ。
「おーちゃん、なんですぐに此処に来なかったの?というか普通車にはねられたら病院に直行…」
「日常茶飯事なんすよ~」
「にっ…日常茶飯事!?」
ガタッと玉置先生が椅子から腰を浮かせた。
僕は苦笑いしながら答える。
「なーんか昔から何もないところで転ぶとか、買ったものがすぐ壊れるとか、カラオケ行ったら曲が流れないとか、そういうの多いんすよ。所謂不幸体質ってやつっすかね~」
そう言った瞬間、その場の空気が変わったような気がした。
あの子がびっくりしたような顔でこっちを見てたんだ。
でもすぐに下向いちゃった。
「そうか…大変だね」
「でもこれが僕の人生であって日常っす、だから気にして……あああ!」
「!?」
僕が突然声を上げた理由。
それはただ一つ。
僕のクラスが体育の授業でクラス対抗ソフトボールをやって、負 け て い る ん だ 。
「た、大変だっ!先生、手当てありがとうございました!」
「も、もしかして授業に出るきじゃ…」
「当たり前っすよ!体育は僕の一番得意な教科っすから!」
僕は玉置先生と氏型さんに手を振り、保健室を飛び出した。
外に出るまでに一回転んで時間かかったけど…。
でも、これが僕の日常。
嫌だなんて思わないよ。
最終更新:2011年07月01日 22:12