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ずっといっしょ

ユウイは幼馴染みであるリオトの言われるままに共にとある場所へと足を運んでいた。

「り、リオ…此処どこなんだ…?」
「待って、後で教えるから」

すたすたと軽い足取りで道を歩く少年を不安げに見つめながら、
ユウイは彼の手を握る力を強める。
遊園地にあるお化け屋敷等とはまた違った不気味さ。
その不気味さに耐えきれず、ユウイは無意識ながらリオトにぴったりと寄り添っていた。

「ひっ…!!?」

突如、ユウイがリオトの腕から離れ後ずさった。
彼女の前には自分よりもずっとずっと背の高い男が立っていたのだ。
紫をそのまま纏ってしまったような男性。
彼の全てを見下すような、見透かしてしまいそうな鋭い眼光に
ユウイは何もしゃべれなく動けなくなる。

「………う…うぁ…」
「ただいま戻りました、ホウオウ様」
「えっ…」

きっちりとした礼をするリオトに、ユウイは困惑した。
いつものリオトなら考えられないような行動だ。
しかも人のことを『様』を付けて呼ぶだなんて…。

―――ホウオウ?

どこかで聞いた事のあるような名に、ユウイはふと考え込む。
リオトと例の男が話しこんでいる間ユウイは頭をフル回転させた。
そこで、思い出す。
自分の目の前にいる男、リオトがきらきらとした表情で話しかけているこの男は
自分のクラスメイト、ケイイチが話していた『悪者』だということに。


恐怖で何も言葉に出来ない。でも、なんだろうか。
逃げたい、という気持ちには一切ならない。
むしろ、此処にいた方がいいのではないかというような感覚にまで襲われる。

「……では、そういうことで」
「……ああ」
「失礼しました。…ユウイ、行くぞ」
「うぁっ!?は、はい!!」

ユウイが一人で考え込んでいる間に、二人の会話は終了していたらしい。
ユウイは突然声をかけられ声を上げるが、移動し始めた彼にそそくさとついていった。



――――――


「ユウイッ!!!」
「うぎゃっ!?」

あの場所から出ると同時にリオトがくるりと方向転換し、ユウイに抱きついた。
勿論ユウイはバタバタともがくが、女子が男子の力に勝てるわけがない。

「ホウオウグループ仲間入りおめでとう!」
「ホウオウグル…へ?」
「だから、これからずっと、ずーっとオレと一緒にいれるんだぜ!」
「へ?へ?」

抱きしめられたままのユウイは彼の腕の中で「へ?」「は?」等の言動を繰り返す。
数分ほどその状態であったユウイだが、嬉しそうなリオトの表情を見ては
自然と笑みが溢れた。

「よくわかんないけど…リオと一緒にいれるのは悪くないな…」
「あ、デレた」
「デレてねぇっ!!」





すっ、とリオトがユウイから離れながら話す。

「このグループに入ったからにはさ、守ってもらいたいことがあんだよね」
「え、何?」
「その一、オレから離れたりしないこと」



沈黙。



「それ、なんか関係あんの…?」
「ありありだ!!」

ごぉおっ!!とリオトの瞳が燃え盛る。
ユウイのこととなるとすぐ炎の妖精に変化するのだ。
ごほん、と咳払いを一つした後リオトは話を続けた。

「その二、オレ達の仲間になったことは誰にも言わないこと!」
「なんでだよ?」
「なんでって言われてもな…」

リオトは困ったように笑いながら頭をガシガシと掻いた。
ここで全てを話してしまっても良いのだが、一度に全部話してしまったら
ユウイの心に傷が付くだろう。
表情には出さないが、とてもデリケートな彼女のことだから。
ここは少しづつ、話していこう。

「むやみやたらと『ホウオウグループ』って口にすると、異常に反応する奴がいるんだよ」
「…ケイイチのことか?」
「アイツもそうなんだけどさ…もっと、なんつーのかな…と、取り敢えず学校で言ったりしたら駄目だからな!」
「へいへい」


眉間に皺を寄せながらも、ユウイはコクリと頷いた。
リオトはそっと胸を撫で下ろす。
あの学校に『アースセイバー』に所属している人間がいるなんて言えるわけがない。
というか『アースセイバー』から説明しなくてはならなくなるから
面倒なことこの上ないのだ。

「で、最後だ」
「まだあるのか」
「ケイイチが『ホウオウグループ』について何か話していたら、さりげなく情報を聞き出してオレに報告してくれ」
「なんで?」
「アイツ、オレら『ホウオウグループ』を『悪』として見てるみたいでさ
いつどんなことが起こるか分かったもんじゃない。
オレはちょっとアイツらに怪しまれてるみたいだし…。
同じクラスのユウイなら聞き出すのだってカンタンだろ?」
「………」

ユウイは下を向いて黙り込む。
この話を聞いていて、自分は「彼ら」の敵になってしまったとわかったからだ。
それでももう後には引けない。
自分には、『この人』がいれば大丈夫だという自信もある。

「…アタシ、頑張るよ」
「よーし、えらいえらい」
「やめんか!!」

リオトがまるで小動物でも扱うかのようにユウイの頭をわっしゃわっしゃと撫でる。
ユウイはすぐさまその行動を止めさせて、少しだけ不安げに彼を見上げた。

「も、もし…アタシがケイイチ達に『リオ達の仲間だ』っていうのが
バレたらどうなるんだ…?」
「そうだな…」

リオトは空に飛んでいる鳥を見つつ、数秒間だけ黙り込んだ。


「最悪、殺されるかな」
「ウェ!?」

想定していなかった答えを出され、ユウイは驚愕する。
そんな彼女をリオトは「大丈夫だって」と励ましの言葉を送った。

「ユウイには「あの能力」があるんだし、もしそんなことになったら、
オレがアイツを殺してやるよ」

そう、笑顔で告げる。
その言葉を聞いたユウイはぞくっと背筋が凍るような感覚に襲われながらも
こくこくと頷き、「帰るか」と差し出された彼の手を再び強く握った。

―――アタシ、これでよかったんだよね。
―――ほら、リオトと一緒にいれるわけだし。
―――……よかったんだよね。

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最終更新:2011年07月08日 20:37