前々日はロゼに頼み込んで服装のコーディネイトをして貰って、
前日はたまたま出会ったやーさんにわがまま言ってデート場所の下見をし、
そして今日、いよいよ鳥さんとデートをするのだ。
「……って、もう待ち合わせからだいぶかかってるんですけどー!」
待ち合わせした公園の入り口で、私は十分以上の待ちぼうけをくらっていた。
ドジっ子鳥さんのことだから、おそらく寝坊したんじゃないかなぁって思うけど、
流石に一人だけでこんなに待たされると不安になってくる。
連絡を取りたいところだけど、私の持っている携帯は
ホウオウグループ専用の携帯だから、
鳥さんの番号もアドレスも載ってる筈がない。だから直接本人が来てくれないと、
私が間違っているのか、鳥さんが間違ってるのか分からない。
「…まぁ、焦ってても仕方ないよね…別にサーカスまで時間あるし、もう少し気長に待ってようっと。」
私はそう呟いて、中にある自動販売機で飲み物を買いながらこれから行くサーカスについて確認をすることにした。
ポリトワルサーカス。
いかせのごれ内を移動しながらショーを行っている雑技団で、その所属団員はそれなりの人数に及ぶ。
普通のサーカスでは見られないような、まるで人間離れした曲芸を平気でやってのけており、
老若男女問わず絶大な人気を博している。あまりの熱烈っぷりに、その活動をメディアに取り上げられることも
しばしばあるらしい。
…と、ここまでは表向きの噂。
この
ポリトワルサーカス団、団長含め全員が能力者という情報がホウオウグループにも入ってきたのだ。
おそらくウスワイヤはすでに感付いて調査に乗り出しているだろうけど、今のところ保護はまだしていないらしい。どんな存在か、
何を目的に活動をしているのか、そういった素性調査を
サイナから引き受けた私は、今回サーカスに赴くことにしたのだ。
…サイナに「デートするならどこがいいかな?」なんて相談しなきゃよかった。
「鳥さんには秘密にしておこうかな…そんなこと言ったら、私と仕事どっちが大事なのよ状態になっちゃうかも。」
いや、まんまそうはならないと思うけどね。
少しだけほろ苦いココアを呑みながら二枚のチケットを眺めていたら、遠くから足音が聞こえてきた。
「っトキコ!」
「あ、鳥さん!こっちこっちー!」
現れたのはいつもの制服姿じゃなくて私服の鳥さん。
全力で走ってきたみたいで、私の元にたどり着くと膝に両手をついてぜぇぜぇ、と息を吐いた。
私は分かりきってる質問をあえて投げてみた。
「寝坊した?」
「っごめん…目覚まし、の、タイマー…一時間後に設定してたみたいで…」
「もー、何分待ってたと思うのさー!鳥さん、来ないかと思ったじゃん!」
「悪かった、はぁ…」
やっと息が整ったのか、ようやく鳥さんは顔を上げてくれた。
今日の鳥さんはいつもとまったく違う。
ボーイッシュな格好で髪は一角君みたいに一つに束ねてて、傍から見れば絶対男の子と見間違えてしまうほどかっこいい。
じーっと鳥さんを見つめてたら、鳥さんは恥ずかしそうに顔を背けた。
「へ、変だったか・・・?」
「え、そんなことないよ!いつもと違ってかっこいい!」
「アオイにコーディネイトを手伝ってもらったんだが・・・そうか、かっこいい、か・・・」
そう言ったら鳥さんは、嬉しいんだか悲しいんだかよく分からない複雑な表情を浮かべた。
なんだか、「その格好可愛いよ!」って言われた時の
ハヤトくんの表情とそっくりだ。
「鳥さんは可愛いよりかっこいい方が似合うよ、騎士ってイメージもあるからね!」
「騎士、ね・・・トキコにそう言われたら、なんか良い気がしてきた。」
惚れた弱みかな、なんて苦笑して鳥さんが呟けば、つられて私も笑う。
そうだよ、周りが何を言っても今の鳥さんはどんな男の人にも負けないぐらいかっこいいもん。外だけじゃなくて、中身もね!
「じゃ、鳥さん行こっか!」
「ああ、行こう。」
私が鳥さんに手を差し出せば、鳥さんは快く握ってくれた。
なんだか今日は一日中幸せになれそう!
そんなことを思いながら、私達はポリトワルサーカスを目指すのであった。
朱鷺と朱雀がデートするお話
「待ち合わせ」
最終更新:2011年07月08日 20:38