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とある巨木の願い事

人になりたいと願う音は

正義を闇に閉じ込めて

人間の幻想に一時をゆだねた

黒猫は音の変化に

涙を流したそうな

にわかに騒ぎたす幽霊たち。
理由は主から聞いていた。
『正義の味方』を名乗る黒い男。
彼が次々と僕の仲間や人外を襲っているのだ。

罪なき人を傷つける。
それは罪人によくある行為。
でもそれが人外ならば、傷つけるのは罪なき人。
なら悪いのは一体どっち?
そんな答えなんて、出るはずがない。

こんなときだから、僕は焦っていた。
願いは一つ。
もう一度、早く「東」に会いたい。
そして、僕の声を聞いてほしい。

時折足を運ぶ白い闇が、恐ろしくて仕方ない。
恐ろしいものが増えていくということは「全てそろった」のに、まだ秩序を保てていないということなのだろうか?
揃うだけではだめなのか。だから、だから。

『…居続けて。このいかせのごれに。』

たとえ白い闇が消え去っても。
例えこの街に用がなくなっても。
ずっとこのいかせのごれに居続けてほしい。
そして、今まで僕がになっていた役目を、いかせのごれの秩序を守る役目を、果たしてほしい。

我儘?そんなことわかってるよ。
でも僕には、どうしても耐えられないんだ。
崩れゆくいかせのごれを見ることが。
汚れゆく風をこの腕に感じることが。

『――オネガイ――。』

響かない声を振り絞り、僕は「叫んだ」。
濁った風は葉をさらい、赤い果実に触れた。




カレハキヅカナカッタ
ミズカラノ『ウデ』ガ、イシニソッテウゴイテイタコトニ

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最終更新:2011年07月19日 21:59