『きゃー!!きたあー!!』
ただいま。大ピンチなのであります!!
我がカルーアトラズにて収容していた『13番』が、どういう手をつかってか、脱獄という大罪を犯し、今この砂漠を逃げ惑っているのであります!
『わかってたよおー!わかっててもしかたないじゃん!周りがこんなに何もないなんて無知(しら)なかったんだもーん!!』
しかし、初めて『13番』を目の当たりにしたのでありますが
ワタクシが思っていたような、大男でも、気が触れたような狂人でもなく、ただただ普通の少女なのであります
【能力探知】の能力を持つワタクシは、収容者の能力のレベル、用途、危険性を把握することができるのでありますが
この少女は、至って【ノーマル】であります
カルーアトラズで飼い慣らした、番犬という名のハイエナ『スカーズ』を10匹総動員して、彼女を追跡しているのでありますが
『…くるねっ!』
少女は何かを察知したように、小さな布袋(あっ!ベッドの布を勝手に!)から何か手のひらに収まるような金属を取りだし、小さな出っ張りを指先で弾いた
その瞬間、ガキイン!と大きな音を立てて何かの形に組み上がっていく
驚愕の余り目を見開くと、彼女の頭をすっぽり覆うヘルメットのような形になり、彼女はそれを被って前へ進む
ゴーサインを出そうと指をすべらせたその瞬間
肌と眼球を打ち付ける、痛み
キャイン!という犬のような声をあげてのたうち回る『スカーズ』
『へへーん!この風の流れ、気温。空気の味。ここから読み取れば磁気嵐がくるだなんてすぐ【よそくかのー】だよ!看守さん!じゃあね、楽しかったよー!』
砂漠と、その向こうの街とを隔てる壁
高い高いその石造りの壁に、重たいアンティークの鍵を、まるで鍵穴が存在するかのようにその壁に埋めていく
程なくして彼女の身の丈に合わせた扉が出現し、嬉しそうに手を振りながら、扉の向こうに消えていった
さあどうしたものか
ワタクシ、シギ様に『クビ』にされてしまうかもしれません
ある看守による『13番』脱獄に関する報告書
(…ああ)
(遺書になるかもしれません…)
最終更新:2011年07月19日 22:00