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『ある研究所での、ある男たちの会話』

ブザー音が響く
バタバタと焦ったような足音が廊下にこだまして、バタン!と勢いよく扉が開かれた

息を切らした研究員らしい若い男が、息を飲むかのような声で、そのモニター室の奥にいる男に

『…女がサンプルを連れて逃げました』
『…知っている。見ていた』

破壊されたガラスプール。飛散した緑色の液体
そこに収容されていたはずの『実験サンプル』を抱えて逃げる女性研究員らしき人物が、一番端のモニターに映し出されていた

『殺しますか』
『放っておけ』
『しかし、アレは仮にもプロジェクトFの大切な…』
『いい。あれは所詮【失敗作】だ』
『ですが、まだデータの集約も』
『黙りたまえよ』

コツ、と革靴を鳴らして振り向いた男は、くつくつと喉の奥で笑って、不服そうな研究員をねめつけた

『あの女は長くない。【サンプル】を内に宿した時点で侵されている。それに【サンプル】から得るものも何もない。この2年間でわかりきったことだろう?』
『…』
『持ち場にもどりたまえ』
『はい、クルセ様』






『ある研究所での、ある男たちの会話』
(それは今から10年以上前)
(【サンプル】にとって【彼女】にとっての)
(悲劇の幕開け)

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最終更新:2011年07月19日 22:05