夜の海、それは死の海だ。
いつもは青い海も夜になれば黒くなる。
そんな海の岩の上に、一人の少女はいた。少女は、岩の上で歌い出した。
すべてが聞きほれるような声だった。
少女は歌う、詠う、謳う。
そこに、大型の船がやってきた。その船のすべてに声は響いた。
その船は、海賊船だった。
こんな話は聞いたことがあるだろうか。
海には、セイレーンという怪物がいて、海賊船が通ると歌を歌う。その声を聞いたものは自分の意識とは別に、声のすろ方へと向かう。
もちろん、海に道はなく、男たちは海に落ちて死んでしまう。
少女は、セイレーンなのだ。
向こうで、何かか落ちる音が長い間続いた。そして、静かになる。
「……みんなみんな、死んじゃった。男なんて、死ねばいいのよ…!」
セイレーンの歌声は、男しか効かない。
最初は憎々しげだった顔は見る見るうちに泣き顔になっていく。
「男なんて死ねばいいのよ、皆、私が殺してやるっ…!」
少女は死を詠う
目的を果たすまで、ずっと、ずっと、ずっと。
最終更新:2011年07月30日 04:31