「…あれ?」
「…あっ。先生…。」
「貴方は
ミノリさんでしたね。」
「あ、はい。…あの、御向かい、よろしいですか?」
「ああ、どうぞ。」
「よく図書館には来られるのですか?」
「はい。本を読むのが、好きなので…。」
「その本は、三鷹かもめ先生が書かれた本ですよね?」
「あ、分かりますか?絵本が多いんですけど、私はこの人の本が好きなんです。」
「好きな作家さんがいることはいいことだと思いますよ。」
「…そ、その、先生が読んでいるそれって…?」
「国語辞典ですよ?」
「珍しいですね、それ単体で読まれるなんて…。」
「よく言われますけどね。読み比べとかしていたら、結構面白いんですよ。」
「皆同じじゃないんですか?」
「同じ言葉でも会社や対象者が違えば表現は変わりますし、中にはかかれていなかったりもするのです。」
「そんなに細かく辞書なんて見たことなかったなぁ…。」
「最新版の広辞苑は面白いですよ。若者の間で流行った言葉も細かく載っていますし。今度読まれてみてはいかがでしょうか?」
「時間があれば…。」
「…ミノリさんは、ファンタジー以外にどんな種類の本を読まれます?」
「えっ?」
「ほら、色々な本が世の中にはあるじゃないですか。恋愛物しかり、推理物しかり、ノンフィクションしかり…。」
「面白かったら何でも読みます。…でも…。」
「でも?」
「怖い話だけは、駄目なんですよね…。」
「そうなんですか…。」
「お化けとか私、とにかく駄目で、暗い所一人で歩けなかったりするんです。それ、結構バカにされて…。」
「そういう人は良くいますから。きにすることはありませんよ。」
「ありがとうございます…。」
「…やっぱり、妖怪そのものが苦手だったりするのですか?」
「…はい…、昔、いろいろあったので…。」
「もし、もしですよ。もしこの世に妖怪がいるとして、それが全て居なくなったとしたら…嬉しいですか?」
「えっ?…うーん…。」
「って、行き成り言われても難しいですよね…。すみません、ただ単に聞いてみたくなっただけなので、忘れてくださってもかまいませんよ。」
「…先生って、おかしな方ですよね。」
「はい?」
「昔読んだ本に出てきた『語り部』さんみたいだなぁって、思いました。」
「『語り部』、ですか?」
「本の読み聞かせをしてくれる人なんですけど、本の世界に人を連れ込んだり、逆に本の出来事を現実に持ち込んだり、いろいろと面白い事をしてくれるんです。」
「その方と僕が、似ていると?」
「話の振り方とか特に。悟ったようなしゃべり方ではありませんけどね。」
「そうなのですか…。」
「…あっ、予鈴まであと5分ですよ。」
「あ!本当だ!ありがとうございます!」
「この後の授業でまた、お会いしましょう。」
「はい!」
「…元気そうにしてた様で何より。」
「何だ?今の子、知り合いなのか?」
「元々ウスワイヤに居た子なんだ。僕も昔お会いしたことがあったのだけど、彼女は覚えていなかったようだね。」
「ふーん…。」
御読みですか?
「…あながち間違ってはいないけどね、『語り部』っていう表現も…。」
最終更新:2011年08月08日 16:24