「だから俺はウソツキなんだ。」
ひそひそとささやかれる声。
そんな廊下の道を歩く一人の男がいた。金髪で碧眼といった、いかにも美男子だ。
「おぉ、なぜあんなところをわれわれの面汚しが歩いておる。」
「わしの知ったことか。…あぁ、汚らわしい。」
「おい見ろよ、ヒーロー気取りの登場だぜ。」
「ほんとだ。、っち、マジウゼェ。」
「あっち行こうぜ。」
突き刺さるような言葉の数々に、平然と廊下を歩く。
ある扉の前で止まり、中に入る。ここは自室だ。誰も入ってはこない。
ぼすん。とベッドにダイブする。全身に疲労が襲った。
「…………、あー…のど渇いた。」
だが男は、水を飲もうとはしない。水を飲んだところで、この渇きは癒されない。
なぜならこの渇きは……人間の血でしか癒されないから。
テーブルを見やる。テーブルには、親からの金が入っている。受取人は自分の名前―――セロと書いてある。
だが、もはやあける気力もない。ベッドに沈んだまま、手はあるものをつかんだ。
ピアスの穴を開ける道具。おもむろに持つと、無造作に穴を開けた。
びりっ、と痛みが走る。だが、それでいい。この渇きを誤魔化せられるなら。
渇きも、心の闇も、全部全部。
そして今日もまた、自分に嘘をつき、すべてに嘘をつく。
だから俺は、ウソツキなんだ。
最終更新:2011年08月08日 16:25