アットウィキロゴ

罰の回答

「…くぁーっ、眠い眠い。今日のご飯はさっさとできるやつにして、早く寝ることにしよっと。」
家に向かう海海はそんな独り言を言っていた。
その背後には樹の上に持ち上げられた、眠る白い闇。
彼女はそれを見上げながら、独り言よろしく呟いた。

「とってもいい提案だったよ。僕にとっても君にとってもメリットしかない。喜んでのっていたさ。」
自らゴーグルを取り、蒼く透き通った眼に白い色を焼き付ける。
「でも、君が『僕の兄(ボク)』に、あんなことしなきゃよかったんだ。」

「『彼(ボク)』を自分の利益のために襲った奴に、僕は素直に力を貸せない。僕にとっては『彼』がすべてだ。」
見上げる眼に鋭い光が宿る。
「安心してよ。君の記憶からは、僕に出会ったことはおろか、こんなくだらない事を思いついたことさえ「無かった事」にしてあげてるから。」
その口元には、嘲笑。

「本当に自分のことしか考えないんだね。道理で『彼』と相容れなかったわけだよ。」
踵を返し、彼女は歩き出した。
「だって、僕たちは『正義の味方(ボク)』だもん。あんな悪人じゃない。」
でも、と彼女は付け加えた。
「いいこと教えてくれてありがとう。僕たちの目標がまた一つ明確になった。そこだけは感謝してあげる。」

ゴーグル越しの世界に、白なんて存在しない。
そう分かってて、彼女は白い道を歩いてきた。
兄の黒い背を追いかけ、黒い姿を纏い、黒い力を手に入れた。
その背後に迫る白い闇も知らずに。

「…安心しきっても、いいよね?怖い人だけど記憶は消したから、まさか逆手に取ってくることはないよねぇ…?」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年08月08日 16:35