<……あれ、また来たの?>
だって。
<何度言えば分かるかな>
会いたかった。
<神江裏 灰音は君なんか知らない>
ごめんなさい。
<神江裏 灰音は君なんか嫌いだよ>
わたしは嫌いじゃないよ。
<神江裏 灰音は君なんかに会いたくない>
わたしは会いたかったよ。
<………………>
もう行こうよ。
<……帰れ>
嫌だよ。
<帰れ帰れ帰れ帰れ帰れさっさと帰れよ>
ならあなたも一緒に。
<消えろ消えろ消えろ消えろ消えろとっとと消えろよ>
それは駄目だよ。
<神江裏 灰音は”ここ”にいる。これからずっとずっとずっとずっとずっとずーっといる>
……………
<神江裏 灰音(わたし)なんかどっか行け>
……………
<神江裏 灰音は、もう神江裏 灰音(わたし)じゃない>
傍観者?
<そう、神江裏 灰音(わたし)なんかいらない。神江裏 灰音(わたし)なんかいないほうがいい>
いつまでそうするつもり?
<ずーっとずーっと。神江裏 灰音(わたし)さえいなければ、神江裏 灰音は傍観者のままでいられる。だから―――>
<早く消えろカス>
…………………いつも、そうだね。
あなたはいつもそうやって、何に対しても臆病。
だからあらゆるモノを「無価値」とか「いらないモノ」とか「消したい」とか思っている。
それだけじゃない。
あなたはわたしに対しても臆病で、それで見下している。
<……感情、愛情、友情、エトセトラエトセトラ。それらは傍観者に必要のないモノ>
だから―――わたしを棄てた?
<それ以外に何があるの? 臆病で、愚かで、弱虫で、無価値で、カスな君はいらないんだよ>
そんな事、無いよ。
<……散々、血反吐を吐く様な思いしてきたくせに。カス風情が>
そうだね。
<神江裏 灰音(わたし)は嫌じゃないの?>
だって、それで周りにあてついても変わらないから?
<呆れた。とりあえずさっさと死ねよ、神江裏 灰音(わたし)>
駄目だよ。
<五月蝿いなあ。傍観者になったのも、君のせいなんだよ? だから死ね>
…………ごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんね。
<いくら謝っても許さないよ。神江裏 灰音が傍観者になった、カスな理由なんだから>
ごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんね。
<神江裏 灰音(わたし)がそんなカスだから、全部棄てようと傍観者になったのに>
<もう、死んでくれよ。神江裏 灰音(わたし)>
『神江裏 灰音と神江裏 灰音(わたし)』
傍観者が灰色の理由
それは 「わたし」がカスだから
「わたし」が大嫌いだから
だから全部棄てるために
灰色になるために傍観者になった
それからは
全部平気になった
最終更新:2011年08月16日 13:56