某日、
風月堂。
九十九からの言伝により、京都の妖怪達が風月堂に集結していた。
『咲埜子ー!』
「久しぶりやな~皆!」
妖怪の友に囲まれ、笑顔を綻ばせる咲埜子。
妖怪達の表情も喜びに満ちている。
「学校はどうなん?」
「凄く楽しいで!」
「九十九さんはお元気ですか?」
「勿論!」
「一郎太のおっさんもか?」
「あー、お父さんはこの前、ぎっくり腰やらかしてもうたわ…」
「また?」
「お店はちゃんと繁盛してる?」
「大丈夫や胡桃」
「前より背が伸びてね?」
「当たり前でしょう、半分人間なんですから」
「あ、そうか」
久方振りの再会に我先にと言わんばかりの勢いで、妖怪逹は咲埜子に色々聞き出している。
そこへ九十九が現れた。
「遠いとこから来て疲れたやろ? 中でみたらし団子用意してるからお食べ」
「いよっしゃ!」
「あたし、みたらし大好きー!」
中へと入っていく咲埜子と妖怪逹。
その場に九十九と鈴彦が残った。
「…本当に、お久しぶりです。九十九さん」
「ほんまやなあ」
にこりと微笑む九十九。
「どうです? 幸せですか?」
「当たり前やないの」
「…そうですか」
「あの人がおるから今が、私がいるんやから」
「ふふ、確かに…もし、あの男に泣かされたらすぐ言って下さい。懲らしめますから」
「もう、鈴彦はんたら。あの人が私を泣かすやなんて」
「…私はただ、あなたが幸せならそれでいい。あなたの幸せが私の幸せなんです」
「鈴彦はん…」
微笑して鈴彦は言った。
「あなたが悲しんだら私も悲しいのです。だから…」
「大丈夫」
宥めるように遮る九十九。
「あの人が『私といて幸せ』やと、言ってくれる…思ってくれる間は、私も幸せやから。だからそんな心配せんでもええんよ?」
「…はい」
「あー! 胡桃のヤツ、一本余計に食いやがった!」
「いーもん! あげない!」
「そういうの、『はくじょーもの』って言うよね」
「そうやそうや! せやからあんた、もう団子なし!!」
ギャーギャー!
「もう、団子以外にも和菓子あるから喧嘩したらあかんて。
眼眼子も、子供相手に大人気ないんとちゃうの?」
「子供言うけどそれ見た目だけやん!」
「いやそうなんやけど」
「お前ら、もうその辺にしとけよ」
「そうですよ」
「五月蝿いわっ! あんたらは引っ込んでて!! 胡桃! そんなんやったら金縛りに遭わしたんで!」
「やってやれ眼眼子!」
バンダナを外し、第三の目を顕にする眼眼子。
咲埜子、河童の川里、幽霊の
宮重爽が慌て止めに入る。
「おやめになって下さい、眼眼子さん!」
「お前らも煽んなよ!」
「お願いやから喧嘩せんといてー!」
その時。
チリーン…
「鈴の…音?」
「…あっ、鈴彦さん!」
「全く幼稚な…しばらく寝てなさい」
と、鈴の首輪を手にする鈴彦。
その瞬間、喧嘩をしていた眼眼子らの顔がさっと青ざめた。
逃げ出し始める、が。
リィイーーン!!
『あばばばばべべぎげびあああああ!!??!』
けたたましい鈴の音が鳴り響いたと思えば、眼眼子らが奇妙な悲鳴を上げてその場に倒れ伏せた。
どうやら気絶したらしい。
「やっぱり鈴彦の『それ』はつえーな」
「ありがとうなあ、鈴彦はん」
「いえ」
因みに、この4人が目を覚ますのは今から1時間後の事である。
最終更新:2011年09月07日 18:49