「…なー、闊歩。」
「ん?どうした、由衣?」
「ここって、一応公道じゃないよな?」
「公道もなにも、獣道だけど。」
「…だからってさ。」
「この速度で走るの止めてくれねぇか?;」
人気の少ない山道を、一台のスクーターが行く。
ハンドルを握るのは闊歩。後部に座るのは由衣。
このスタイルも大阪にいた時から変わらない。
そして、道なき道を走るこの「スピード」も。
「今どれくらい出てるんだよ。」
「…150よりでてるんじゃない?」
「スクーターの早さじゃねぇ!;人が出てきたらふっとばすだろ!」
「ひょっとしたら気付かないかもしれない。」
「…お前、一応不良止めたんだよな?;」
普段学校では読書をして過ごし、クラスの中では地味な部類に入る闊歩。
しかし、ひとたびハンドルを握ればスピード狂と化す。
流石に現在は公道は速度規制通りに走っているが、不良時代はこうはいかなかった。
「今は大分収まった方だと思うし、私も慣れたからいいけどよ。いや、良くはないか。」
「あの時は本当に悪さばっかりだったよねー。」
「…あのな、闊歩。今も十分悪いから。」
「ところで、由衣。」
ハンドルを切りながら闊歩は話題を変えた。
「あれから『あの人たち』とは会ってないの?」
「…ああ。でも、完全にかかわってないわけじゃない。」
「あいつら、
ホウオウグループって言うらしいんだ。」
「ああ、このまえ
ケイイチ君、だっけ?が言ってたあの?」
「『おかしな人』の存在を一応知ってるんだ。お前には話しておく。」
「…それで、一応由衣はその組織と対立していると。」
「悪いな。話せてもこの件は闊歩には任せきれないんだ。」
「いいよ。でも頼むから死なないでくれよ。」
「…わかってるって。」
巻き込むつもりはないが、もしかすると闊歩も巻き込まれるかもしれない。
(喧嘩強いのは分かってるんだけど…。)
また私はこいつの保護者に成り下がるかもしれないと、由衣はため息を吐いた。
追記
「…おい、公道でてねぇか?」
「いいよ、誰もいないから。」
「よくねぇよ!!;」
最終更新:2011年09月07日 18:56