由衣はその場で頭を抱えていた。
「あーあ、めんどくさいことになっちまった…。」
「何で?別に悪い事したわけじゃないし、僕自身は…。」
「「おかしな人」じゃないけどよ、絡んじまったからどの道一回ウスワイヤ行かなきゃいけないんだよな。」
「ああ、事情聴衆的な?」
そういうこと、と言って由衣は思考に戻る。
(一般人だと分かっても、どうやってあの栞を説明すっかな…。)
確かに闊歩は喧嘩は強いが、由衣より腕力は劣る。
不良時代、由衣と共に行動していた以外は殆ど外に出ず、人と接触もしなかった。
それが「あんな状態」を引き起こすのには理由がある。
が、能力以外でどう説明してやろうか悩んでいたのだ。
(すっげー不謹慎だけど…。)
「…闊歩。ウスワイヤ行ったら、実践の覚悟しておけ。」
「え?」
闊歩が此方を向く。
「お前は「おかしな人」じゃねぇが、栞が壁に刺さっていたのは事実だ。詮索されるかもしれねぇからな。」
「…分かった。」
随分あっさりとした闊歩に、由衣は滑りそうになった。
「はっ…?;」
「これ以上面倒なことになるよかマシだし。」
「それに、久しぶりに暴れていいんでしょ?」
――忘れてた。
普段無口なシュールキャラを通しているが、実質は違う。
ハンドルを握ればスピード狂になるように。
拳を交えれば喧嘩狂になる。
(…もう成り行きに任せるしかねぇな…。)
一戦すると仮定して誰が相手になるか分からない。
いざというときは私が止めにかかるしかないな。
由衣は頭を垂れ、深く長く溜め息を吐いた。
隠れた狂人
「…でも僕、基本素手じゃなにもできないよ?」
――これも忘れてた…。
最終更新:2011年09月27日 10:31