一人の女の子がいた
その女の子はとても可愛くて とても優しかった
誰にでも微笑み 誰にでも接し 誰にでも優しくした
親が辛いとき 暖かい励ましをした
親は嬉しさににっこり笑った
悲しい思いをしていた友達を 助けた
友達は泣きながらも何度もお礼を言った
困っていた人に 優しくした
その人は顔を綻ばせていた
虐めをしていた子に 優しさを分けた
その子は「偽善者」と言って女の子を虐めた
盗みをした人に 欲しい物を買ってあげた
その人は女の子をいっぱい騙して消えた
罪を犯した人に 手をさしのべた
その人は女の子を裏切って消えた
色んな人に 平等に優しくした女の子
色んな人から 「偽善者」だと言われ始めた女の子
そしたら 女の子は自分が大嫌いになった
大嫌いで大嫌いで大嫌いだった
でも女の子は 良い人と悪い人の区別をつけるのが 怖くて
優しさしか 分からなくて
自分を変えることは 出来なかった
でもある日
自分が大好きな男の子に ガラスケースの中に閉じ込められた
それでも女の子は笑って言った
「あなたは悪くないよ」
ああ 何て愚かなんだろう
優しさしか知らない 愚劣な純粋さ
変えようともしない その臆病さ
そんな”わたし”なんて
そんなカスなんて
そんな神江裏 灰音なんて
大嫌いだ
”わたし”なんか消えてしまえばいい
”わたし”なんかカスでいればいい
”わたし”なんか殺してしまえばいい
”わたし”なんか
『傍観者』になってしまえばいい―――
(消えろ 消えろ 消えろ)
(君なんか大嫌い)
(「偽善者のくせに」)
(そう 罵られて尚 優しい君が)
(神江裏 灰音はカスに見えているのさ)
(大嫌いな”わたし”)
最終更新:2011年09月27日 10:55