いかせのごれ高校に入学して、数ヶ月が経った。
勉強にもついていけている。クラスにも大体馴染んだ。
相変わらず初対面の人には驚かれることが多いけど。失礼だな。
父さんと母さんは海外に赴任中。いつ帰ってくるかは分からない。
…まあ、別にいいんだけどね。二人とも仕事に誇りを持ってるのは知ってる。
私もそんな二人に誇りを持ってる。
…今日は珍しく、夕食を食べたらやることが無くなってしまった。
お風呂が沸くにはまだ時間がある。いつも見ているテレビは今日は特番のせいでお休みだ。
暇だな。運動がてら散歩にでも行こうか。
何も考えずに歩いていたら、ちょっと遠くまで足を延ばしていたみたい。
気がついたらストラウル跡地だった。
ここってずっと廃墟なんだよね。変な噂とか事件とか絶えないし。
薄気味悪いし、すぐに戻ろうと思った。
でも、できなかった。人影が見えたんだ。
こんな時間に誰だろう?私が言えた義理でもないけれど、そろそろ家に帰ったほうがいいんじゃないかな。
知り合いだったらそう言おうと思って、跡地に足を踏み入れた。
…正直、気味が悪い。
何かろくでもないことが起きそうな気がする。
それに、さっき見たはずの人影もまったく見当たらない。
気のせいだったのかな?確かに見えたんだけど…
まあ、気のせいならそれはそれでいいんだ。さっさと帰ろう…
「うわっ!」
…帰ろうとしたところで、物陰から出てきた誰かとぶつかってしまった。
謝ろうとしたのに、その人は慌てたように跡地の奥へ走っていってしまった。
誰だろう。一瞬のことで顔もよく分からなかったけど、知らない人かな。
というかやっぱり人いたんだ。何してるんだろう、こんな所で。
「…ん?」
ぶつかった時に咄嗟に相手を押してしまった手が、汚れている。
泥?ううん、それにしては砂利っぽくない。
薄暗くてよく見えないけど、赤い感じ。
……そういえば、あの人は去っていく時に肩を押さえていた。
もしかして、あの人は怪我を…
「!!」
考えていた私の前に、また誰かが現れた。
何だろう…穴だらけのフルヘルメットに、大量の武器。
ど素人で一般人の私でも、危険な人物であることが分かった。
でも、足が動かない。
逃げたいのに、後ろを向けない。
そのまま、あいつは、銃を私に向けて、
それで―
…
……
………
ピピピピピピ…
「…うあ」
―目が覚めた。
今までの…全部、夢か。
初めて見たわけでは…ない。
…高1のときに一度見た夢と、シチュエーションがまったく同じ。
いまさらになってもう一度見るなんて、思わなかった。
「…うるさ…」
枕元にあるはずの目覚まし時計を手に取ると、アラームを切る。
時間を見てみると、そろそろ起きる時間だ。
「…あー……支度して、朝ごはん作らないと…」
中途半端な目覚めで、まだ少し眠い。
早く起きて少し動こう。そうすれば目が覚めるはず。
またあんな夢を見るなんて、よっぽど非日常に憧れてるのかな、私ったら。
未知との遭遇には憧れるけど、あんなの、本当に巻き込まれたら私はひとたまりもないや。
…やられる前に目が覚めてよかったよ、本当に。
まあでもこれは所詮夢。実際にあるわけじゃない。
多分これもすぐに忘れるんだろうな。
非現実のような夢
(彼女は知らない、気づかない)
(自分の見た“夢”が“現実”であることを)
(非日常の片鱗を、既に掴んでいることを)
最終更新:2011年09月27日 18:59