<やれやれ、どうしてそこで留まるのかなあ>
火波姉妹宅の前にある電柱。
その天辺に立つ灰色の少女が立っていた。
<火波 スザク、それは間違ってない…寧ろ正解さ>
<神江裏 灰音らは、いかせのごれ(ここ)の人間よりもっと現実味を帯びた人間の掌にいるのさ。それも複数のね>
<あ、でも「いかせのごれ(ここ)を含む世界」の方が正しいかな。いかせのごれなんて場所がある時点で、現実味なんか無いし>
<考えてみれば分かる事だよ。未知の土地、特殊能力、人間離れした集団、エトセトラエトセトラ―――まるで空想事の話じゃないか>
<君達はここにいるから、どうであれ生きているから気付かないんだろうけど、全て「現実」の欠片も無い世界なんだ>
<だから何が起こるか分からない、自分達の意思が起こす事じゃないから>
<けど…気付いても無駄だし、悪い事では無い>
<不本意な時もあるけども、その人間らによって神江裏 灰音達は幾多の物語を残す事ができ、幾多の者と出会う事ができ、幾多の価値観を見出だせれるんだから>
<それだけは、感謝すればいいんじゃないかな>
<何にせよその人間らがいるからいかせのごれ(ここ)もあるし、神江裏 灰音達がいるし、ついでに人間らの繋がりなどから生まれる「感動」という物が生まれる>
<それが「いかせのごれ」という世界さ>
(何故それが分かるのかって?)
(そんなの)
(神江裏 灰音が傍観者だからに決まってるじゃないか)
(巻き込まぬ巻き込まれぬ傍観者だから、ね)
(そうだろ? ”わたし”の次にカスな、そこの人間)
(―――――)
最終更新:2011年10月05日 20:31