若気の至り、と言い訳をつけるしかないだろう。もしくは反抗期か。
俺が生まれたのは「怪盗」という特殊な種族だった。
いや、元々人間だったんだが、俺の親父によって「老」と「死」を奪われ人外の領域に達した人たちだ。
「怪盗」というからには物を奪うのが仕事。
いくらエンターテイメントとはいえ、俺はそれが許せなかった。
だから俺は親父に反抗し、怪盗を脱退した。
勿論、種族としては怪盗だったが、人間の生活を営むことを望んだのだ。
怪盗の名を捨てた俺は刑事となり、普通に結婚し、子供も授かった。
俺から見れば本当に一瞬の出来事だったが、とても幸せだった。
そう、恐ろしいほどに。
転機は本当に突然だった。
完全に縁を切ったはずの親父が、何処からかぎつけてきたのか此処に来たのだ。
俺はなすすべもなかった。経験の差なのか、単純に俺が弱いのか。
微塵も体がうごかせなくなり、俺は無様にも床に倒れ込んだ。
「…約束だったな。お前が負ければ、わしがこの子を連れていくと。」
親父の腕には、まだ生まれて間もない子供がいた。
体の動かない俺にはなすすべもない。
有無を言わせぬまま、親父はそのまま子供を連れさらった。
白いマントが靡くのを最後に、俺の意識は消えうせた。
それまでの生活を俺は捨てた。
妻に別れを告げ、根なし草同然の生活をしていた。
刑事の仕事であちこち異動しながら、能力者の犯罪者を逮捕し、ウスワイヤやカルーアトラズに送還していた。
そしていかせのごれに戻って、佑に出会った。
どうして佑が俺の肩書を知っていたのだろう。
それは今はどうでもいいことだが、これ以上隠しておくのもなんだか悪い気がした。
丁度いい。この際全部吐いてしまおう。
佑はきっと驚きながら受け止めてくれることだろう。
今日の夕食にでも、俺は「
エス・ユー・エヌ」について話すことにした。
陽の陰のS.U.N.
「…いっきし!」
「? 大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。で、千鶴。今日は何の用だ?」
最終更新:2011年10月11日 15:16