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異常大喰漢少女

「こんにちはー」
「どもー」

レストランに入ってきた二人…というより、簀を見るなり千春が慌てふためき出した。

「おま、簀! もう来るなっつったろ!」
「あれ、簀ちゃん来たことあるの?」
「常連だよ。ここの料理は美味しからね、何度も足を運んじゃうんだよ」
「お前にだけは褒められても嬉しくねえ」
「えー」

苦笑する簀。

「そんなに食べるの?」
「ああ…畜生、頭痛がしてきた…」
「お、トキコに簀じゃないか。珍しいな」

奥から出てきたのは隣のクラスの同級生、夏香 由衣だった。

「あれ、由衣ちゃん、簀ちゃんの事知ってるの?」
「知ってるも何も、よくこっちのクラスの奴の弁当の余り物、貰いに来るんだよ」
「そうなの? 簀ちゃん」
「だって残すなんて勿体ないし、第一きちんと食べないとその命に感謝している事にならないと思うんだ。僕はね」
「相変わらず食べるのは好きだなー」
「あはは、そろそろ座ろうか」
「うん」

簀とトキコが向かい合う様にして座る。
それを見た千春は長く、深い溜め息をついた。

「もう俺嫌だ…」
「私も手伝うって」
「お前嫌じゃないのか…?」
「まー…最初はすげえ驚いたし、しんどいけどいつも『美味しい』って言ってくれるしさ」
「…ったく」

諦めたように千春はまた溜め息をついた。

「私はオムライスとオレンジジュース! 簀ちゃんはどうするの?」
「うーんとね…僕はね…」

異常な大喰らいと言われている簀。
トキコは簀の口からからどんな言葉が出てくるのか、実は少しわくわくしていた。
だが簀は彼女を瞬く間に硬直させた。


「サンドイッチ8つとハンバーグ5つとグラタン2つとオムライス2つとペペロンチーノとシチューとスープパスタとエビピラフ4つとサラダとミートパイ4つとカレーライス激辛3つとホットケーキ大3つとショートケーキ6つとアイスパフェとポット入りウーロン茶とペットボトルのコーラ2本にする」


「…え?」

メニュー16種、合計約43個以上という驚異の数に口をぱくぱくさせるトキコ。
そして次の言葉で更に固まり、更に千春がげんなりした表情を浮かべた。


「勿論、デザートと飲み物以外は3人前で♪」


異常大喰漢少女


ズズズズゴゴッ、ゴクゴクッ、ゴゴッ

「…簀ちゃん」

ズゴゴクッ、ズズズズズッ、ズズッ

「ぷはぁ~っ、何?」
「…何で皿に顔つける様にシチュー『飲んで』食べるの?」
「んーだってさ、早めに食べないと他の料理冷めちゃうもん」
(…でもハンバーグとエビピラフ完食してるよね…)

ゴキュゴキュゴキュゴキュゴキュゴキュゴキュゴキュゴキュゴキュッ

「ぷへえ~…あ、お金なら大丈夫。トキコの分も払ってあげるから」
「あ、ありがとう…(うわー…ウーロン茶一気飲みしちゃった…)」

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最終更新:2011年10月12日 13:57