「…ん?」
隣のクラスから戻って来たスザクは、自分の妹が誰かと話しているのに気付いた。
「確か…財部 希流湖だっけ?」
銀のメッシュが入った黒髪、色気のある目つきと顔つき、頬に貼られた黒い蝶のタトゥーシール。
その容姿はまるで所謂、V系とも呼ばれる「ヴィジュアル系」の様だ。
会話の内容が気になったスザクは二人の元へ向かう。
「アオイ、希流湖。何を話してるんだ?」
「あ、姉様。希流湖さんと新曲について話してた所ですの」
「新曲?」
「バンドのだよ。オレ、V系バンドのボーカル担当だぜ?」
「ああ、そういえばそうだったな」
納得するスザク。
そこでアオイの目がキラキラし出す。
「昨日のライブ! 本当に素晴らしかったですわ!」
「昨日…? あ、それでいなかったのか」
「ええ」
「ははっ、そりゃ嬉しいな。どれが一番良かったんだ?」
「2曲目に披露された『Dark Crescent』がとても気に入りました! あのサビなんか本当に!」
「あれか、実はそこ結構苦労したんだよ。気に入ってくれて何よりだ」
端から会話を聞いていたスザクは、アオイが余程その曲が好きなのが気になったのか、希流湖にこう聞いた。
「どんな歌なんだ?」
「そうだなー…じゃあ実際にサビ部分だけ歌ってみるか」
立ち上がる希流湖。
「あーあー。よし、喉の調子は問題無いな。じゃあ歌うぜ」
希流湖が歌う体勢に入る。
そして。
「♪冥闇に光れ 揺らげ 溶けろ 貴様は黒に浮かぶ者 天に煌めく その姿 女神か邪神か悪魔か 我を救う者ならば 我を救えよ 誘えよ 抱けよ 貴様は黒に佇む者なり―――」
「……」
「やっぱり素敵な歌ですわー!」
激しい拍手をするアオイ。
唖然とするスザクはただこう思うしか無かった。
(やっぱりアオイの嗜好が分からない…)
火波姉妹と美麗なる歌い手
「そんなに気に入ったなら、今度CDに録音してあげるよ」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
「………」
最終更新:2011年10月13日 20:47