<……何とも不愉快な助言だね>
背中合わせの献身者組と別れた神江裏 灰音は今、屋上に来ている。
チェシャといい、全くとんでもない事を。
<まあ…半分は間違ってはないかもしれない>
今まで数えきれないほど”わたし”を殺してきたが、それでもあのカスは神江裏 灰音に会いに来る。
汚らわしい、カス風情が。
<全くいつまでそんな愚劣な優しさに溺れてるんだか。神江裏 灰音から見れば―――言わせてみれば、カスでしかないのにさあ>
んな優しさが気に入らなくて。
そんな不変の自分が嫌いで。
そんなカスのまま生きたくなくて。
神江裏 灰音は傍観者になったのに。
愚かに優しい癖に何故それに気づかないのかなあ。
<こうするしか変われない。そんな君が今も昔もこれからも大嫌いだと言い続けるよ。”わたし”>
こうなったのも自分のせいなんだから。
屋上から出ようと歩き出した、その刹那。
クラッ
<…と>
軽いめまいがした。
何とか倒れずにすんだけど。
<一体どうしたものか…>
昔はめまいどころか体に不調が現れる事など無かった。
でも最近ではめまいが頻発している。
軽いとは言え、何度もあるのはおかしい。
<……まあ、傍観者が考える事でも無いかな>
そう呟いて、神江裏 灰音はドアを開き、屋上から出た。
傍観者の小さな変化
「どうしたの? 来間」
某所。
傍観者に出会った献身者の二人がそこにいた。
「…また未来を?」
胡間の背後の梯子に結ばれた縄が揺れる。
「……それって、さっきの続き?」
また縄が揺れた。
そして胡間は呟く。
「神江裏 灰音(アナタ)は神江裏 灰音(アナタ)でなくなる―――でも
神江裏 灰音(わたし)も神江裏 灰音(わたし)でなくなる……どうなるのかしらね、あの子は」
場所変わって同刻。
「全ての人間は滅ぶべき―――例え『傍観者』でも」
「必ず、消してあげるわ。灰色の人間…勿論、『アナタも”わたし”もね』」
最終更新:2011年10月22日 16:47