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<汰狩省吾、臆病を諭す。>

ショウゴはケイスケの言葉に驚いた。
まさかソウスケからそんな言葉が出るとは思っていなかったからだ。

(まぁ、既に相当痛い目に遭わせて来たんだけどな。)
ナギ達が取り囲んでいたイジメの加害者どもを殴りかかった時の事を思い出す。
去り際に腰を抜かさせてやって事も。
(・・・おっと、今はミクちゃんの方が重要案件だな。)

「確かに、そんな能力がいきなり身について、驚いたなんて事は俺も良く分かる。
 怪我をさせた事がトラウマになってるのかもしれないな。
 けど、ケイスケが言った通りミクちゃんは考え方を変える必要があるよ。」
ジュースに口をつけ、一旦間を置くショウゴ。
「あくまでそれは『過去の』お話だ。今のミクちゃんはケイスケが言った通り、
 周りを傷付けてなんかいないんだ。ひたすら我慢して、我慢して、我慢して。
 でも、そんなのいつまでも保つもんじゃない。」
ふと、ショウゴは妹のミナを思い出す。そういえばミナも、色々と背負い込むタチだった。
いや、俺が言えた事ではないか。
「今回の事なんてその最たるものだろう。一体いつまで『自分を刺し続けて』いるんだ?」
ミクは俯いたまま、顔を上げてくれない。
ショウゴの言葉は、ミクの心に響いているのだろうか。
「言ったっていい、泣いたっていい、怒ったっていい。
 一人で我慢する事がどれだけ辛いかなんて、皆知ってるんだよ。」
止めてある自転車をぼうっと見ながらショウゴは続ける。
「保健室に出入りしている連中だって、教師達だって、俺たちだって、
 皆色々抱え込んでる。でも、それを抱えたまんまなんてできるわけがない。
 だから、皆相談する。愚痴る。話し合う。喧嘩する。泣き合う。
 ・・・触ると怪我する?上等じゃねーか。その程度屁とも思わず付き合ってくれる連中なんか、
 わんさかいるんだぜ?」
今度は空を見ながら、ショウゴは続ける。
「ケイスケだけじゃない、俺だっている。ナギ達だって、さっき連中をシメてたからな。
 タマキさん達だってそうさ。そう言う連中の事を『友達』ってんだよ。」
再びミクに視線を移す。
「自分から変わるのが難しいなら、いろんな連中とたくさん話して変えてもらったっていい。
 ウチの柔道部とか、文化系の部活に入ってみるのもいいかもしれない。
 何にせよ、今のままなのは一番いけない。」

再び、間を置くショウゴ。

「味方は沢山いる。あとは、ミクちゃん次第なんだぜ。
 その一歩を踏み出す勇気を持つんだ。後押しは皆がしてくれる。」

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最終更新:2011年10月24日 08:59