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堕落した怪盗の娘

「なーなー、なんかここんところ毎日メールきてるけどさー、ターゲット毎回増えてきてんの気のせい?」
ベランダで煙草をふかしながら太陽は携帯を握っていた。
今日は休日。佑は階下で昼食をつくっている。
通話の相手はいかせのごれ署の上司だ。腕は明らかに太陽の方が立つが、立場上上司は上司と割り切っている。

「気のせいじゃないよね?じゃ、なにこれ?冗談?冗談だよな?冗談って言えよバーロー!」
通話の用件は言わずもがな、彼の「仕事」である。
いかせのごれ署に赴任する際、巷を騒がせている能力犯罪者を捕えるよう命令をされている太陽。
しかし奴らはなかなか尻尾を出さず、それどころか増える一方だ。
この間にいたってはそのターゲットの一人が死んだと報道されていたが…。

「あ!そういうときに限って上司面する!もういいよ!俺だって仕事しないこともできるんだからな!」
「太陽さーん、お昼の用意ができましt」
「ああもう今度は泣き落としかい!何度頼めば気が済むんだよ!」
携帯片手に罵倒する太陽を見、佑は
(何の話をしているんだろう…。)
と一瞬不安になった。


「あの馬鹿。どいつもこいつも俺ばっかり頼りやがって…。まだジュンイチ署長の方が話聞いてくれたっての!」
「大変ですね、刑事の仕事も…。」
子供のように愚痴をこぼす太陽を佑は慰める。
「俺だってなぁ、俺だってなぁ、時間を自分の為に使いたいときもあるのによぅ…。」
結構自由なんじゃないかと佑は思ったがそれは置いておく。

「そういえば、太陽さんって娘さんがいらっしゃるんですよね?」
「ん?…ああ。生き別れ…なんだが、今は生きてるか分かんねぇ。」
昼ごはんのチャーハンを口に運びながら、太陽は答えた。

「生きてたとしたら今幾つくらいなんですか?」
「もう20…後半か?」
「20後半!?」
佑は純粋に驚く。当然だ。今眼の前に居る男こそ20後半に見えるというのに。

しかし、よくよく考えてみて納得した。
彼は「怪盗」。老と死を奪われた存在。その分成長が極端に遅いのだろう。
ということは。

「見た目はまだ子供なんですか?」
「…って、ことになるんだろうなぁ。」
因みに以前佑は太陽に年齢を聞いたのだが、適当に流された。
ちらっと3桁と聞いたのは信じたくない限りだが。

「ま、とにかく時間があったら娘捜しもするんだろうけどなぁ。」
減るどころか増えちゃたまらないぜ、と彼はため息をついている。
その様子を見、佑は考えるより早く提案していた。

「それじゃあ、学校の皆に訊いてみましょうか?」
「へ?」
「『親を知らない子供』なんですよね。だったら人数は限られてきます。太陽さんの血を引くのなら、特定は難しくないですし!」
いつものやる気ある彼女を見、太陽は暫く口を噤んでいたが、やがて一つ頷いた。

「生きている保証はないから、本当に時間が出来た時だけでいい。それでもいいか?」
「勿論ですよ!頑張ります!」
彼女は笑って見せた。
太陽はその笑顔を見、絶対にターゲットを全員捕えて見せると改めて決心した。


堕落した怪盗の娘


「…親の顔も名前も覚えてないなんて、親不孝だよな…。」

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最終更新:2011年10月28日 21:56