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<いかせのごれ文化祭2>(仮)

<いかせのごれ文化祭>
―文化祭―。
オツユウ学園系列の学校では二日間大規模なイベントが行われる。
ここいかせのごれ高等学校も例外ではなく、本番二日間に向けて二日間準備日が設けられていた。
授業なし、である。

<前日>
「ちょっと男子、廊下の装飾手伝って!」
「そこ、サボってないで机並べて!」
「買出し行くけど何か買ってくるものある!?」
文化祭の実行委員である女子が、ヒステリックに叫ぶ。
少し製作が遅れている2年1組はてんやわんやの忙しさだった。
2年1組の出し物は中華レストラン。一部の男子による意見が、そのまま採用された。
もちろん本物のレストランみたいに本格的中華を生の食材から作るわけにはいかない。
食中毒にでもなったら大変だからだ。
加熱処理済みの食材を調理して客に出す、というものが、世間一般の常識である。
「ガラッ」
チャイナ服に身を包んだ数人の女子とトモコ先生が教室に入ってきた。
まだ済んでいない女子の衣装合わせをしているらしく、衣装担当の女子と話していた。
ケイイチ、見とれてんじゃねーぞ」
「うるさいわい」
マナ達を見ていたケイイチを、ナオヤが茶化す。赤面しながらも、ケイイチは作業に戻った。
ケイイチとナオヤの担当はクラス内装飾係である。テーブルクロスを掛けたり、
中華風の飾り付けをしたりしていた。
「しかしあの先生も物好きだな。生徒と一緒にチャイナ服着るなんて。」
ケイイチが呟くと、いつの間にか隣にいたマサカズ
「祭りだからな!!」
と背中を叩いた。
そんなこんなで、6時にようやくレストランが完成したのだった。

<一日目~校内発表~>
閑古鳥、そんな言葉はどこ吹く風といわんばかりの中華レストランは繁盛していた。
昼ごろは特に腹を減らした教員やグルメを気取る生徒等様々な客で繁盛していた。
クラスは接客班、調理班、宣伝班、ゴタゴタ警戒班、そして休憩班と
班別に分かれていたはずが、今やごちゃごちゃの状態となっていた。
「モコ、しげっち、マサカズ、料理早急げ!ナオヤ、客の見廻りに行くぞ!ケイ君宣伝頼むわ!・・・ああ、だりぃ!」
そんな中、タカユキの指揮の元、皆が動いていた。
こういう時、どっしりと構える人間がいるというのは助かるものである。
中華服に身を包んだ女子と男子が、一斉に動く。ケイイチは看板を手に、
「いっちきやーす」
とクラスを出た。
(どうせ明日は缶詰だろうし・・・)
5分後、ケイイチは他クラスの出し物を楽しんでいた。

<中夜祭①>
5時。
盛大に始まったこのイベントは地域参加型のステージイベントである。
生徒だけではなく、学校周辺地域の人々もステージに上がることができ、
出し物ができる。司会は、なぜかユウキとケイイチが押し付けられていた。
第一部は一般の部で、あまり多い人数の参加ではないが、面白い出し物があった。
トップバッターは「チーム・商店街」。
その名のとおり八百屋、精肉屋、そして町内会長のオヤジが、
ディアボロ、デビルスティック、ボックスと様々な大道芸をやり、
最後に食材を使ったジャグリングをして終わった。
ユウキはいつの間にかコック帽をかぶり、町内会長がなべに集めた材料を煮込み始めていた。
その後、ナスのきぐるみを着たトリオのコントとダンス、町内の婦人会と学校のダンス部によるダンス、
最後にゲストとして本場のサーカス団「ポリトワルサーカス団」が様々な演目を行ない、第一部は終了した。
大鍋一杯に作られていたはずのユウキ特製豚汁はいつの間にか無くなっていたが、誰一人として気にする者はいなかった。


<中夜祭②>
15分後、第二部が始まった。生徒達によるものである。司会は鉢巻を締めた放送部の三年に変わり、
ピエロ(ユウキ)のパントマイム、三年生コンビの漫才、一年生トリオのショートコントと続き、
本題のバンド系に入った。
タカユキ達のバンド「リアル」。
ロック系の音楽が主で、歌ったのは3曲。
柔道部の三年生によるバンド「ロック on the world」(ロックオンザワールド)。
J-POP系の音楽で、2曲。
コヨリたちのバンド「Dark in rainbow way」。(ダークインレインボーウェイ)
女性アーティスト系音楽全般を、5曲。
そして・・・ラストとなった。鉢巻を締めた三年がコールする。
「次は一番人数と曲が多いぞ!ラストステージ!「NA'S(ナス)」!


<NA'S>
コールされると、タカユキを筆頭に、シゲナガ、マサカズ、コウスケ、ナオヤ、ケイイチの順で
舞台に出てきた。
タカユキとマサカズがギター、シゲナガがドラム、コウスケとケイイチがベース、ナオヤがキーボード
についた。
1曲目は「赤壁の空」コウスケとケイイチ、そしてナオヤが歌う。
メンバー紹介が入って、一旦アピールタイム。
2曲目は「ハヴァナイスデイ」(Have a nice day)タカユキとマサカズがうまくハモッた。
3曲目は「アメリカンイディオット」(American idiot)タカユキとコウスケがガンガン歌う。
4曲目は「ダンデライオン」シゲナガの独壇場で、方向性が少し変わった。
5曲目はラスト、「ココロオドル」ケイイチが音を外しかけたが、ラストにふさわしい盛り上がりになった。
ラストを歌い終わると、NAシャドウズは舞台から降りた。しかし、興奮した客は
「アンコール!アンコール!」
と煽っていた。

突如照明が最大光量でステージを照らし出し、30秒後に真っ暗となった。観客は戸惑った。
――ざわざわ――   ――ざわざわ――
当然である。目くらまし状態で、ほとんど何も見えなくなった。

鉢巻の三年がコールする・・・。
「聞いて驚け、野郎ども!この方達が来てくれたぞ!Elphind!」
その後大盛り上がりとなったことは言うまでも無い。
1日目はこうして過ぎていくのだった。

<2日目>
一般公開日。レストラン開店である。
午前中はまばらに人が入り、満員になるほどではないが、がらがらというわけでもなかった。
そして昼ごろ。評判を聞きつけた客が殺到して、一気に忙しくなった。
昨日の比でない忙しさに、皆無駄話もせずに働いていた。そんな中、
気力と根性で(?)接客・調理・宣伝していても、どうにもならない事態が一つ起きた。
材料不足、である。
当初の予定を大幅にオーバーして、見る見るうちに材料が減っていくのを見た誰かが
ケイイチに怒鳴った。
「誰でもいいから連れて、材料の追加してきてくれ!」
「わかった!」
ケイイチも怒鳴り返す。
「あ、じゃあ私が一緒に行くー。」
そう言ったのは他ならぬマナだった。
周囲の冷やかしに赤くなるケイイチ。急いで買い出しに出かけたのだった。

結局大した問題も起きずに買い出しから帰って来たケイイチは、さらに冷やかされながらも、
3時くらいまでは忙しく働いていた。
3時を過ぎると店は午前中よりも人が少なくなり、皆ほっとした。

<友の訪問>
6時。オツユウ学園の文化祭は、珍しく「夜間の部」がある。
昼間これない生徒の親や一般の客のためのものだが、昔からの伝統で
クレームが来ることもなく続けているものである。すでにサボりだしているクラスメートもいた。
ケイイチの知り合いもこの時間帯に来た。
というか、この時間帯にしか来なかった。
まず来たのはジュンイチキトシ、そしてアヤとジンだった。
「いいの?こんなところでさぼってて。」
ケイイチが尋ねると、ジュンイチが答えた。
「いーのいーの。見回りっつって来たから。」
そして間髪入れずにマイコがやってきて、ジュンイチの隣に座った。
「しばらくぶりだね、署長さん?」
マイコが茶化すと、ジュンイチも
「ホントっすね、村長。」
と返した。
続いて来たのがアースセイバー組。
「同窓会みたいだな。」
アキヒロがメンバーを見ながら言った。
「ゆっくりしてってよ。この時間帯は客多くないし。」
ケイイチは調理場に行くと、いくつか注文の品を温める。
幾つかの品を持ってテーブルに行った。
「アニキ、メニュー多いッすネー、オゴリですカ?」
「そんなわけないでしょ、各自負担で。」
「所長、経費から落ちますかね?」
「無理だな。て言うかそんな事堂々と言うんじゃない。」
「もちろん私はタダなんだよな?」
「ちゃんと払え。」
「最近どうなんだ、そっちのほうは。」
「警察にも慣れたさ、ウスワイヤのほうは?」
…そんな会話が続いた。良く見ると、部屋の中には見知ったアースセイバーの面々も多かった。


 ――パッ――


電気が消えた。さっきまでのんびりしていたクラスメートも、慌てている。
「停電か…?」
窓の外も真っ暗になている。
「おい、ナオヤ。」
コウスケがナオヤに向かってぼそっと言う。
「俺はバッテリーじゃねえぞ。」
ナオヤはこっそりコンセントに近づくと、針金を二本突っ込んでNAを発動させた。
少し間を置いて、電気がついた。
「便利なもんやなー。」
マサカズがこっそりおだてる。
「調理器壊れちゃったよ!」
コヨリが調理場から出てきて言った。
「あー、しょうがねえ、俺が何とかするよ。」
コウスケが頭を掻きながら調理場に戻った。

<そして>
「ちょっとケイイチ、いつの間に私服に戻ってんのよ、さっさと元の服に戻って
あそこのテーブルに注文聞きに行ってよ!」
B子がKEAに向かって言った。
「俺はケイイチじゃねーよ」
KEAが睨み、コンセントの前でしゃがんでいたケイイチが答えた。
「こっちこっち!今行くよ!」
「ウソ、そっくり…」
「そりゃ、クローンだしな。」
笑いながらアキヒロが言った。
ケイイチは、いちばん隅のテーブルに行くと注文を聞いた。
「ずいぶんと注文を聞くのがおせぇーじゃねーか。」
「まったくだな、油断のしすぎじゃないかね。」
聞いたことのある声での返事に、ケイイチは顔を上げた。
ホウオウサイナ、セキ、バツ、アイが座っていた。
「貴様ら!」
ケイイチは戦闘態勢に入ろうとした。が、ホウオウの一言で思い留まる。
「いいのか?こんな所で。」
「注文は?」
ケイイチが切り返す。
「炒飯。」
「同じく。」
「麻姿茄子。」
「乾焼蝦仁。」
「肉饅頭。」
それぞれが注文し、ケイイチは調理場に戻ろうとした。
「一体いつの間に…」
そう呟くと、セキが言った。
「早くしてくれたまえ、それとも待たせるのが流儀かね?」

アースセイバー組も気付いていたが、場所が悪かった。
「迂闊に手が出せる状況じゃねえな。」
micro uziをコソコソと構えるチャドを止めるKEAが言った。
「oh!あのデベソヤローをブッ倒さなきゃ」
「やめとけ。一般人に被害が出る、迂闊な行動は避けろ。」


結局、ホウオウグループの連中は周囲を気にもせず、出された料理を食べて帰った。
終始2年1組の教室はピリピリとした緊張感に包まれて、息苦しい程だった。
教室を出た所をケイイチが追うと、廊下の電気が消え気配も消え、
まるで誰もいなかったかのようであった。

<後片付け>
教室が元通りになってくると、多くのごみが出た。塗装された段ボールは
廃品回収に出せないため、細かくちぎってと処理しなければならない。
シゲナガのNAで、校舎裏にこっそりまとめて落とし、マサカズのNAで刻んだ。
小物の類は、皆がそれぞれ好きなものを勝手に懐に入れた。
そして、ホウオウグループの連中の置き土産が、片付けの最後に見つかった。
テーブルクロスの下に、数枚のチラシが入っていた。
『ホウオウグループメンバー募集中!』
(・・・・・・。こんな集め方をしてるのか・・・?)
ホウオウの連中が停電中に入り込んだということに気付いて歯ぎしりしたのは、
教室が完全に元に戻った後だった。

だが、ホウオウグループの事である。本来の目的は他にあったのかもしれない。
そして、ケイイチの前に姿や正体を現していないだけで、実際はもっと多くの幹部がいたのかもしれない。
何にせよ、再び対峙する時は近いのかもしれない。

        ≪いかせのごれ文化祭:終≫




※加筆修正有り(2013/06/15)

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最終更新:2013年06月15日 10:31