「……ごほっ」
この独房に入れられて、今日で何日目だろうか。まだ日が浅いようにも、ずいぶん長く入っていたようにも思える。
ここでは時間の感覚が麻痺してしまう。
…いや、囚人が時間を気にする必要はない、ということなのだろう。
まだ体の中が治りきっていないのか、激痛が治まらない。
…あの時に、何か異物を入れられたままだったのだろうか。
まさかとは思ったけど、あの人なら、きっとやりかねない。…何を入れられたのかは、あまり考えたくない。
「……ご、ほっ…」
ここに入れられてから、何度目かも分からない血を吐く。
四肢を拘束され身動きの取れないこの状況では、拭うこともままならず、ぼたぼたと床に落ちて血の染みを作った。
「………」
口の中に、血の味が広がる。
ふと、ここに入れられたときのことを、少しだけ思い出した。
…確かに、僕のしたことは看守としてあるまじき行為だったかもしれない。
でも、傷みに苦しんでいる様子を見て、放ってはおけなかった。
彼らだって人間だ。痛いものは痛いし、痛いのは嫌だろうに…
「………………はぁ」
…どうやら、僕は自分で思っている以上に疲弊しているようだ。
痛みを紛らわせるために何かを考えることが、億劫になってしまった。
まぶたが重い。このまま眠ってしまいたい。
けれど、微かに聞こえる足音が、このまま眠らせてはもらえないだろうということを示していた。
…誰だろう。シギさんか、それともヨスガさんか…
どちらにしろ、落ち着くことは、到底できなさそうだ。
(今回はもう、これ以上何かを深く考えることは、無理かもしれないな…)
激痛で霞がかかったような意識の中で、だんだんと近づいてくる足音を聞いていた。
翼を折られた千羽鶴
最終更新:2011年11月07日 14:28