中学生ツナシの一日
学校行事で、その日は丸一日を使って校内清掃をする事となった。
しかし学期末のワックス掛け等とは違い、特別教室や体育倉庫の整備といった、
クラスを超えた単位での行動も有りうる、大掛かりな清掃となる。
ツナシのクラスは、同学年3クラスで池の掃除を担当する事となった。
そんな時の事。
\オラオラ~、どけどけどけ~い/
学年に1人は居るヤンキーが、泥の入った手押し車を持って暴走し始めたのだ。
池から泥を埋める体育館裏への狭い道には、同じく運搬する生徒や、草むしりを担当する生徒も居る。
不良仲間とタイムアタックでもしてるのか、避けるように蛇行するので、
泥は飛び散り、作業も手に付かなくなる一方。
そしてヤンキーは、池への帰り道でツナシに突進する。
ガキンッ「どぉわっ!」 べちょ
「おーワリぃワリぃ~」
泥を捨てる穴を広げていたツナシは、手にしていたスコップを咄嗟に地面に突き刺し、手押し車を防ぐ。
微かに残っていた泥がツナシにかかるも、ヤンキーはすぐに逃げていった。
これで終わり、別の生徒に的が移るかと思えば、今度は空のまま、助走を付けて突進してきたのだ。
どうやらあの攻防が面白かったらしい。
「うおおおおっ突撃ィィィ!!!!」 ガンッ!
「ちょ、やめろって」
「やだね、おもしれぇからw」
「お前な~;;」
周囲に「あ~あ~;」「う~わ~」「流石はバカ」「バカ騒ぎ開始のお知らせ」という空気で満ちる。
ヤンキーは手押し車を左右に振り、再度突撃しては少し離れる、を繰り返している。
ツナシはスコップの位置をずらし、防ぐのでやっとだった。
「そらよっと」ガンッ!「おいおい;」
「もういっちょ」ガンッ!「またかよ」
「それそれっ」ガンッ!「いい加減にしろ」
「まだまだぁ!」ガンッ!「落ち着けって」
「オラオラオラァ!!」ガンッ!「あーもー;」
ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ! 「チッ」
「あ~、そろそろ誰か先生呼んできてー」
そのツナシの一言に、クラスメイトの1人が「了!一番近くの呼んでくるー」と叫んで走り出した。
そんな会話の途中でも突進をやめないヤンキー。無視されてます。
「ついでにこいつの担任も頼むわー」ガンッ!
「推、鬼は職員室だからもう3分耐えろなー」ガンッ!
「ヨロー」ガンッ!「さて、と」
「ウゼぇから止めろや、な?」
雰囲気がガラリと変わったツナシを見て、ギャラリーが総じて距離を取る。
スコップを振り上げ、ヤンキーの体勢を崩す。
そしてツナシは周囲に生徒の少ない方へと数歩下がる。
ヤンキーはその間合いをこれ幸いと走り寄り、再び激突する。
「ハッハァ!」ガンッ!「止めろや、って!」
突撃の衝撃が収まる前に、スコップを無理やり振り上げ、再度下がる。
スコップが顔面をカスったヤンキーは、少し頭に来た様で、更に強く突進する。
「テメェ!!」ガンッ!「だから止めろ、と」
今度は手前に引くようにして抜いた後、左前に進み時計回りに振り回す。
前につんのめる姿勢だったヤンキーの脇腹へ、スコップの面がぶつかる。
尚激昂したヤンキーは、方向転換して突進する。
「この野郎がっ!!」
それに対し。
ツナシは剣先を相手に向ける様に構えた。だけだった。
ヤンキーは咄嗟に急制動をするも、効果は虚しく、
「ぐはぁっ・・・」
真正面の、鳩尾にモロに食らったヤンキーは、その場に倒れた。
「あー、やっとかよ・・・。先生まだかな?」
周囲を見回すと、先程の生徒がこちらに向かって来た。養護教諭が付いてきている。
『またこの2人か』といった表情でヤンキーの容態を診はじめる。
「乙。担任は今ポンプ借りに行ってるから居ないって」
「あー、ごめんね遠くまで;」
「否、そっちもナイス時間稼ぎ。毎度だがツナ氏はお人好しすぐる」
「そうでもないよ。あ、コイツの担任は?」
「朧、居るとしたら離れの校舎っぽい。呼ぼうか?」
「ん~、片付いたからもういい」
そこに、応急処置を終えた養護教諭が割り込んだ。
「ゴメン2人とも、疲れてるついでにこの子運ぶの手伝ってくれるかな?」
「承」
「はいー」
…。
……。
………。
結果:ツナシとヤンキー、2人ともまず怒られた。
喧嘩というよりもサボりになった事で説教を貰ってから、今回の騒動の説明に入る。
周囲に居た生徒の発言もあってか、担任の反応は当然のモノで、ツナシは程なく解放。
尚、サボった分は後片付けに少し居残る程度でチャラにされたとさ。
最終更新:2011年11月15日 18:33