「キングが死んでから僕達ないがしろにされてない?」
地下のとある部屋でパラボッカが突然吐いたのはそんな言葉だった。
無論、アリアは無視するかのごとく黙っていた。
「いや、確かに僕にとってはどうでもいいことだし、君にとってもどうでもいいだろうけどさ。」
一方的な会話は続く。
「このまま忘れ去られたらキングもうかばれないんじゃないかなぁ、と思うんだ。」
「もう十分うかばれないわよ。」
やっとアリアは返事をした。ただし、目線は空を向いたまま。
「息子に逃げられて、孫に殺されて、一番信頼していたクランケが抜けて。」
「ま、そうかもしれないよね。…ねぇ、アリア。」
ふと思い立ったようにパラボッカはいった。
「キングは、何を求めていたんだろうね。」
「生きる喜びを与えるために僕達から『老』と『死』を奪い去ってまで、何を与えようとしたんだろうね。」
アリアからの答えはない。
怪盗全員で生活するこの部屋にざわめきは殆ど耐えないが。
「さほど多くもないこの一家は、もう
ホウオウ様の眼中にもなさそうだしね。どうすればいいと思う?」
「捨てられたらそれまでよ。また前みたいに路上で暮らすわ。自然死はしないんだし。殺されはするけど。」
本当に何にも興味が無いんだ。そう思ったパラボッカはこちらも興味をなくしたように椅子に沈んだ。
しかしやがてがばっと起き上がると、アリアの肩を叩いた。
「…今度はどんな芸術なの?」
言う前にアリアが訊く。パラボッカの言うことは十中八九芸術の事なのだ。
パラボッカは何時ものように笑いながら答えた。
「最高傑作が出来そうな予感だよ。今のホウオウグループに僕ら
怪盗一家が必要かどうかもわかる。」
「そう。で、今度は何にするの?彫刻?版画?石造?」
「さぁ、それは僕にもわからないよ。」
「?」
「今度の素材は、僕自身さ。」
「僕を『
千年王国』に売り込みに行くんだ。勿論君も一緒にね。」
暗躍しだす怪盗
「断られたらどうするのよ。」
「その時は暇な生活に逆戻りだね。」
最終更新:2011年11月19日 13:53