=某日、一年生の教室=
「ねえねえ、知ってる?怪人:双角獣(バイコーン)の話!」
「知ってる!聞いた聞いた!」
「やだ、こわーい…」
朝から、クラスは「怪人:双角獣」の話で持ち切りです。
とはいっても、盛り上がっているのは大半が女子生徒です。
乙女を汚す背徳の獣が名前になっているからでしょうか。
この都市伝説は、最近のものとはいえ、既に結構広まっているようです。
先輩方が噂しているのも、聞こえてきました。
…でも、僕は正直興味はありません。
知識として軽く知っている程度で十分です。
あまり深く知ってしまうと、人に聞かれることになりかねませんから。
知らないほうがいいのです。僕にとっては。
(…それに、あの双角獣は……)
…ああ、先生がやってきました。
余計なことは考えず、授業に集中して、早く終わらせてしまいましょう。
……授業は好きだけど、このざわめく教室は苦手。
早く一日が終わってほしいです。
=同日放課後、図書室=
「ふーん…双角獣(バイコーン)ねぇ…」
手元のファンタジー図鑑を閉じて、小さくため息をつく。
最近、噂になり始めたという都市伝説。
乙女の純潔を守る一角獣と対を成す、乙女を汚す背徳の獣。
「噂を聞く限りじゃ女性だけを襲うってわけじゃないんだな」
確か、夜道を一人で歩いているといつの間にか足音が一つ増えていて、振り返ると襲ってくるらしい。
ということは、振り返ったなら誰でもいいのかもしれない。
「…見てみたいな、双角獣」
ほんの少しの好奇心で、ポツリと呟きがこぼれた。
でも、すぐに自分の発言に気づいて撤回する。
実際に襲われている人もいるらしい。襲われたら私なんてひとたまりもない。
確実に死ぬ自信がある。うん。
「…けど、結構話題になってるよなぁ」
それが原因だろう、最近ファンタジー系の本がよく借りられる。
主に女子生徒に人気で、返却されたと思ったらすぐに借りられる本まである。ミーハーめ。
こういった都市伝説もオカルトにはならないのかな?
今度新聞部さんに聞いてみよう。何か知っているかもしれないしね。
興味を持つもの、持たぬもの
最終更新:2011年11月19日 13:55