此処はストラウル跡地。
通称、スト跡地。
今から数年前、超技術開発団体「ストラウル」の基地があった場所であり、壊滅によって周囲が巻き込まれ廃墟になった、ゴーストタウンだ。
数年経った今でも、不穏な空気が立ち込めており、この場に近寄る人間はそういない。
そのストラウル跡地にある一人の足音が。
既にとっぷりと日が落ち、辺りは深い闇に覆われていた。
「ゴーストタウン」と言われるだけあって今にも幽霊が飛び出てきそうだ。
「此処で、いいんだよね」
小さなメモを片手に、有依は呟いた。
そして次に辺りを見回し、ぶるりと身震いする。
今更になってこの場に対し恐怖を感じてきたらしい。
──こ、怖いよぉ…。
嫌な汗がだらだらと流れる。
これはもう、一刻も早く「夜のような少女」を探し出してこの場から離れなければ。
よし、とユウイは意気込むと急に歩くスピードを早めた。
そして、同時に片手を口の横に宛て、大きく息を吸い。
「だっ、誰かいませんかー!」
「…何かしら」
「う゛ぁぁああ!?」
有依はこれでもかという程の叫び声を上げた。
静かな、静かな声が自分の真後ろから聞こえてきたから。
有依は一度大きく跳ね上がると反射的に後ろに身体ごと振り返った。
心臓がばくばくばくと音をたてているのがわかる。
驚きのあまり呼吸も速くなっていた。
真後ろにいたのは、自分と同じくらいの背丈の、女の子。
「あ、あ、あんた…!ななな何──!!」
「…落ち着いて」
「お、落ち着けって言われてもっ!」
「人、探し?」
「うっ…あ、えと…はい」
暴れている心臓を必死に片手で抑えつけるようにしながら、有依は少女の問いに三度頷いた。
一、二回目は無意識に素早く。
三回目は、きちんと問いの内容を理解してゆっくりと。
心臓の動きが落ち着いてきた。
一つ、大きな深呼吸を。
「そ、その…、此処に来れば「夜のような少女」に会えるって教えてもらって」
「……誰から?」
「えっと、確か…
クロウ。そう、クロウって人だ」
「クロウ、…あの時の」
「知り合いなのか?」
「知り合い…そうね。
…きっと私のことよ、それ」
「えっ」
間抜けな声を出す。
こんなにも簡単に、あっさりと見つかってしまうとは。
「夜波マナ」
「よなみ、まな…?」
「私の名前」
「…アタシは、榛名有依だ」
夜波マナと名乗る少女は有依を見上げながら呟くようにして自分の名を名乗る。
一方有依の方もほぼ反射的に名を口にした。
マナは「わかった」とでも言うように一度だけ頷くと、無言で有依を見据える。
流れる沈黙。
ごくり、と有依の唾を飲む音がやけに大きく聞こえた。
痺れを切らしたようにマナが口を開く。
「話」
「っ!」
「私に話、あるんじゃ?」
そうだった。
忘れていた、自分が此処に来た理由を。
咄嗟に有依は真っ直ぐマナを見つめた。
そして始める、今自分を悩ませているモノの話を。
「アタシ、友達に『
ホウオウグループ』っていうのに誘われたんだ。それで、…何もわからないままそれに入っちゃって…。
アタシは…その友達と一緒にいたい。
でもそれだけじゃダメだって、アタシは『ホウオウグループ』に向いてないってクロウさんが…。どうしたらいいか…って、えぁ!?」
ぎょっとしてまたもや大きな声を出した。
マナがくるりと自分に背を向けて、すたすたと歩き出してしまったからだ。
まだ話は終わっていない。
慌てて少女の背を追いかける。
「ちょ、ちょっと…!」
「ついてきて」
「へ…」
有依の言葉を遮ぎりながら、マナは続けた。
「立ったままだと疲れるでしょう。座れる場所、あるから」
夜に相談
最終更新:2011年11月19日 13:56