孤独少年と天然少女
「不動さーん」
今日も来た。
俺から声をかけたり、何かを要求したことは一度もないのにほぼ毎日話しかけてくる。
「何してるんですかー?」
「息。」
「息は大切ですよねー。」
「…なぁ、お前なんでいつも俺のとこ来るの?」
「不動さん、いつも一人で寂しそうだから。」
寂しそう…ね。あぁ、罰ゲームとかそれ系で言わされてんだな。じゃなかったら俺なんかに話しかけるわけがない。
「そんな気持ち悪ぃ指示出したのはどこの誰だよ。さっさと、『こんなのもう嫌ですぅ~』って抗議して来いや。俺みたいなのに構って無駄に時間使う必要なんてないだろ。」
「何それ!?美琴が優しいからって調子乗ってんじゃないわよ!氏ねクソメガネ!」
「美琴に謝りなさいよ!」
「こいつに構う崎原も崎原だな。つか、むしろ不動が脅してんじゃね?」
「思った!絶対そうだろ。」
「私はそんなこと…」
崎原…俺といたってまとめて中傷されるだけだからもう来るな。明るくて友達が多い奴と、常に一人で暗い奴とじゃ仲良くできるわけないんだ。
「崎原は関係ないだろ、いい加減にしろよ。俺帰るわ。」
ガチで胸糞悪くなったから帰ることにした。
ちょっと言い過ぎただろうけど、これで崎原がなんか言われるという事はないはず。
玄関まで来たところで、空橋に遭遇した。
「あ、不動くん帰るの?」
「空橋こそまた早退か?もう入院しろよ。」
「バイトだよ。…僕そんなに病気っぽい?」
「うん。」
「ひどいなぁー。崎原さんには優しいのに。」
「何の根拠があってそれ言うんだよ。さっきも言ったけどあいつが来るのは罰ゲームだろ。崎原はそこそこ勉強できて歌もうまいから、ブス共がこいつの良心を利用して俺に近付けて変な噂流そうとしてんだろうな。嫉妬キモすぎね。」
「僕が見た限りでは変な集団はいないからそれは大丈夫だと思うよ。やっぱり、崎原さんのこと大切に思ってるんだね。」
「は?!別に大切じゃねーよ、嫌いでもないけど!」
「よかったね、崎原さん」
「ん?」
「はいー。不動さんに嫌われちゃったかなと思ったから、今の聞いて安心しました。」
「空橋、お前最初から…」
「別に騙したわけじゃないから怒らないでよ。」
「不動さんと仲良くしたいだけですー」
「ね!いい人だし。」
「お前らなぁ…そんなに言うなら、仲良くしてやってもいい。」
もっと素直に返したかったけど、嬉しいのと恥ずかしいのが混ざって我ながらひねくれた言い方に…
「喜んで。」
「不動さん、改めてよろしくです☆」
友達なんかいらないと思ってたけど、この二人ならちょっとは信じてもいいかもしれない。
最終更新:2011年12月13日 16:12