「んー……静かな中での読書はいいもんだね。利用者が少ないってのがアレだけど…」
人もまばらな図書室。
図書委員長の佑は、暇をもてあましながらカウンターで本を読んでいた。
と、ページをめくる手がぴたりと止まった。
話し声がカウンターへと近づいてくる。
「いい加減にしなって。そんな本図書室にあるわけないじゃん」
「そんなことはない。この部屋の書物を司る彼女であれば、俺たちが知らぬ書の存在も知っているかもしれん」
同級生の角枚 海猫と阿久根 実良がやってくるのを見て、佑は本から顔を上げた。
「…海猫に実良?珍しい組み合わせだね、どうしたの?」
「ああ、聞いてよ佑。こいつったら闇の書が図書室にあるかもしれないって言って聞かないんだよ」
「?そういった本は図書室にはないかなぁ…禁帯出の本でも見たことないし」
「……そ、そうか…」
「ほら。だから言ったじゃない?」
肩を落とす実良に、呆れたような表情をする海猫。
そんな二人に佑は「あ、そうだ」と声を上げた。
「代わりと言っちゃ何だけど、黒魔術の本なら今私物として手元にあるよ」
「「 マ ジ で !? 」」
「マジで。確か鞄の中に……あ、あったあった。ほら、これ」
そう言って、佑は二人の前に一冊の本を差し出した。
黒い表紙に金色の英字でタイトルが書かれた、分厚いハードカバーの本だ。
「ほ、本当に…」
「佑、あんた何でこんな本持ってるの?」
「この間本屋で見つけてさ、興味があったから買ったんだ。歴史とか魔術の種類とか詳しく載ってて面白かったよ」
「へ、へぇー…」
「実良。私はもう読み終わってるから、これで良ければ貸すけど…」
「え…いや、その…」
「ん?どうかした?」
「い、いや!……そうだな、借りておこう」
「うん。これは図書室の本じゃないから、返すのはいつでもいいよ。汚したり破いたりしないようにだけ、気をつけて」
「ああ、分かった」
図書室のひとコマ~委員長と厨二と格闘家~
(図書委員長、我孫子佑)
(別名「図書室の主」)
(奴に解読できぬ書はなく、全ての書物は彼女の前に平伏す―)
「……そんな別名聞いたことも言ったこともないし、さすがに私にも読めない本はあるよ、実良」
「!?お前、俺の心を…!」
「いや全部口に出てたからねあんた」
最終更新:2011年12月13日 16:12