ショウゴは携帯を弄りながら購買に向かっていた。
目的は昼飯ではなく、丁度切れたボールペンの替え芯である。
昼休みも中ごろ、既にパンはほとんどが売り切れ状態であるが、
目的の替え芯は入荷したばかりなのか山のように積んであった。
ボールペンの替え芯を買い、購買を出て、
替え芯をとり変えながら階段を登っていた、その時。
ショウゴは、不意にあの匂いを感じた。
そう、血と鉄と、臓物の匂い。
バッと階段の上を見ると、そこには「見慣れたハズの」男が腰掛けていた。
「・・・お前、誰だ?」
「?」
「俺はお前によく似た奴を知ってる。が、
お前はそいつとは違うみたいだな。お前は一体誰なんだ?」
「驚いたなぁ、先輩は分かるんですか。」
「ああ、まあな。で、お前は誰なんだ。」
「アッシュ、ですよ。この間転校してきたんです」
「そうか。俺はショウゴ、柔道部の部長だ。」
「そうですか。よろしくお願いしますね。」
「・・・。」
ショウゴは差し出された手を掴まなかった。
「悪いな、『俺は握手が嫌いなんだ』。」
「・・・そうですか。」
アッシュは手を引っ込める。
ショウゴはその横を歩いて階段を上って行く。
「因みに、どうして僕が
シスイ兄さんじゃないと思ったんです?」
「簡単な事だよ。『シスイがそんな所で飯を
食ってるのを見た事が無いってだけさ』。」
ショウゴは階段を登り切ると、廊下へと姿を消した。
アッシュはショウゴのデータを思い出す。
(彼はタガリショウゴ・・・柔道部部長で、ヤクザの隠し子だったはず。
先の鬼英会と
出雲寺組の抗争で確か…)
思考は止めず、階段から立ちあがると降りて行く。
謀略かそれとも余裕か、口元に微妙に笑みを浮かべて歩いて行く。
ショウゴは教室に戻ると、弁当を開けて喰い始める。
(・・・見分けられなかったが・・・武器を隠し持ってる雰囲気だったな。
それにしてもアッシュとか言ったか、奴の臭いは『強烈』だったな。
・・・チッ、きな臭ぇ・・・この学校まできな臭くなってきやがったぜ。
あんなに血と鉄と臓物臭いの感覚を放つような奴が現れるたぁな・・・。)
弁当を掻き込みながら、ふとショウゴはシスイ達の事を思い出す。
「あいつら大丈夫かな…。」
最終更新:2011年12月18日 21:44