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怪盗と刑事と探偵と

佑が疲れた顔をして帰って来た。
今日は調理実習があるんだと張り切って出て行き、帰ってくるのは何時もより早かった。
彼女は何でもないようにふるまっていたが、出来合いの総菜をこの時に限って買ってきたのは妙だと思っていた。
何時もより寝る時間も早く、朝は起きるのが遅かった。

俺は何度も彼女を気遣ったが、彼女は「大丈夫ですよ」の一点張りで学校へ。
体を壊さないように俺が気を配ってやらなければと思いながら午後の日課となっている警察署へ。
未だにターゲットを捕まえられないとは、我ながら不甲斐無い。

その帰り道。今日はどうしようかなとその辺をうろついていると、交番が目にとまった。
建物の後ろから見ているから警察官の姿は此方からは見えない。
建物側に顔を向けているのは妙な3人組だ。マスクだの仮面だの、只者には見えない。
が、捜しているそいつらではないことは明白に分かっていた。
こんな姿で意気揚々と歩く極悪犯罪者がいてたまるか。

何をしてるんだ?と声をかけようとして、止めた。
物珍しいものが置いてある交番ではないはずなのに、こんな長時間留まるのはおかしい。
こいつら、何かを探しているのか?
それとも交番の中に何か…『誰か』いるのか?

職務妨害だったらたまったもんじゃない。かといってこのままのうのうと出るわけにはいくまい。
とりあえず近くの建物に姿を隠し、様子をうかがうことにした。
この距離なら会話が聞こえなくても挙動だけで状況が推理できるはずだ。
「万一犯罪者なら…俺が逃がさねぇ。」
内ポケットの煙草とライターを握りながら、俺は観察を開始した。


流也の奴が遅い。
迷うのは何時もの事だが、何度もきてる寺院だ。迷うのだろうか。
私は今、ミナミと海念と共に寺院の前で待っている。
何時もならこんなには心配しないが、事情が違った。

モエギヤマブキが、ボロボロになった流也を運んで帰って来たのは記憶に新しい話だ。
今追っている奴とは別人だが、素性が知れないのだ。また何時出くわすかもわからない。
奴も奴、どう動くか分からない。
やっぱりこっちから呼ぶのは間違っていたのかもしれない。私は携帯を取り出した。

『寺院待機を止めにする。今からこっちが向かうから近くの建物を教えてくれ。』
これでいい。昔から住み慣れた町だから、建物を聞くだけで大まか場所が分かるようにはなっている。
場所によっては海から離れてしまうが仕方あるまい。
海念は無理矢理引っぱりだしたんだ。気分が悪そうなら先に帰ってもらえばいい。

…それにしても、いかんなぁ。
最近頭使ってないせいか、こんな簡単なことにまで頭が回らなくなるとは。
まだ私も未熟者だ。探偵としても、能力者としても。まだ26だから仕方ないんだろうが。
「これじゃあじっちゃんにも、父さんにも会わせる顔がねぇなぁ…。」
まだ見ぬ父を思いながら、俺は二人を引き連れて歩きだした。


怪盗と刑事と探偵と


無意識に、彼がくれた赤い星を握っていた。

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最終更新:2012年01月23日 08:26