企画されたキャラを小説化してみませんか?vol.2
- 1:鶯色:2011/04/04(月)
16:19:48
- ここはキャラ企画つれっどにて投稿されたキャラクターを小説化しよう!というスレです
•本編とはかかわりがなく、あくまでもアナザーストーリーという扱いです
•時系列は本編(2002年のGW4月28日~)よりも前の話が主になります
•本編キャラの名前が名字無しカタカナの為、小説ではそれに合わせた呼び方が多いです
•人様のキャラクターを借りる時は、設定を良く見て矛盾が無いように敬意を持って扱いましょう
詳しい説明などは下のURLをご覧ください
•ナイアナ企画@wiki―「はじめに:企画キャラとは」
http://www22.atwiki.jp/naianakikaku/pages/27.html
前スレ
企画されたキャラを小説化してみませんか?
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/28084/1208562457/
- 201
:大黒屋:2011/05/01(日) 18:09:08
- >しらにゅいさん
長期大作連載お疲れ様でした!!
いろいろな状況やキャラクター巻き込みながらも彼女なりに答えが出てほっとしてます><
自分も首突っ込んだ一人ですけど(
そしてスゴロクさんも共に、スザクとトキコの恋話の決着、お疲れ様でした!
一つ大きなシナリオが終わり、嬉しい様なさびしい様な気分です…。
しかしながらまだまだひと騒動もふた騒動も起こりそうな空気の中、
これからも成長するであろう二人の過程を心待ちにしております。
あらためまして
長期大作連載「籠われた朱鷺」系列及び「火波スザクと恋心のお話」系列の終了、おめでとうございます!
- 202
:十字メシア:2011/05/01(日) 20:12:46
- それは、ミユカが小学4年に進級してから、1ヶ月経った時の事。
バシッ!
「つぅ…」
「あなた!もういいでしょう!?」
「黙れッ!」
ソウマの態度が急変したのだ。
正確に半月前から。
明るく大雑把で、家族のことを常に考えていたソウマが、人が変わった様に冷酷になってしまったのだ。
「お前みたいなガキが、俺の部屋に勝手に入るんじゃねえ!」
ミユカはすっかり口調も荒くなった父を一度見上げた後、
「……ごめんなさい」
と、謝罪の言葉を述べた。
「もう二度と入るなよ、いいな!」
「うん…」
そう言って、ソウマは自分の部屋に戻って行った。
「あの人ったら…只ミユカがコーヒー持って来ただけなのに」
「いいよ、お母さん」
つい先程、父に叩かれた頬を、痛みを拭うかのように摩るミユカ。
「お父さんがいない時に入ったから…」
「でも…」
「それに!」
アミの言葉を遮るように、ミユカが叫んだ。
「きっとお父さん、研究が上手くいかなかくてイライラしてるんだよ」
「ミユカ…」
ソウマの職業は生物研究者。
とは言え、権威がある訳でもなく収入も多くは無い為、他の仕事とアミのパートの給料で生活を賄っている。
「その内、いつものお父さんに戻ってくれるよ」
「…そうね」
ミユカの笑顔に励まされたかの様に、アミもまた笑みを浮かべる。
「そろそろ、お風呂入って寝るね」
「分かったわ、おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
母の笑顔に見送られ、ミユカは入浴を済ませた後、自分の部屋で眠った。
その絵画を見るのが最後になるとも知らずに。
「…お、かあ、さん…?」
翌朝、起床したミユカは目の前の光景に硬直する。
頭から血を流したアミが、リビングの床に眠る様に横たわっていた。
「お母さん、お母さん…お母さんッ!」
ミユカは何度も母を呼んで揺すってみるが、一向に目を覚ます気配は無い。
何度もそれを繰り返した後、ミユカは『その事実』をようやく受け入れた。
いや、受け入れざるを得なかった。
『母の死』を―――。
- 203
:十字メシア:2011/05/01(日) 20:45:39
- 「お母さん…っく、ひくっ」
大好きだった母の死にショックを受け、涙を溢すミユカ。
その時。
「ミユカ」
「!」
突然、自分の名前を呼んだ声に驚きつつも、声の方へ振り返るミユカ。
そこには無表情のソウマが立っていた。
「お父さん…?」
「来い」
「わっ」
腕を引っ張られ、引き摺られるようにソウマの後をついていくミユカ。
連れられた先は、ソウマの部屋だった。
中には様々な機械や薬品、科学備品等があり、部屋というより研究室だ。
「中へ入れ」
「え?」
「早く入れ」
いつになく落ち着いた口調と声の父。
不思議に思いながらも、ミユカは言う通りに部屋の中へ入る。
そしてソウマも。
「ちょっと待ってろ」
「? うん」
すると、ソウマは部屋の中にあった一つの箱をミユカの前に持ってくる。
「お父さん、その箱は?」
「今に分かる」
と言って、ソウマは箱を開けた。
その中身は―――。
「!?」
蛇。
それも毒々しい色をした、50cmぐらいはある蛇だ。
「いいか、そこでじっとしてろ」
「え…ちょ、お父さん!?」
状況を飲み込めずいるミユカを部屋に残し、ソウマはその場を去る。
今部屋にいるのは自分と、蛇。
「シャアアーーッ!」
「ひぃ…ッ!」
突如上げた蛇の威嚇の声に、ミユカは思わず怯む。
ミユカ自身、蛇は好きではないが、恐怖の対象では無かった。
たまに見つけてはいたずらしたぐらいだ。
だが、今時分の目の前にいる蛇は―――。
「こ、怖い…」
他の蛇には無かった、只ならぬ恐怖を感じていた。
何より一番恐怖に感じたのは、自分に向けられている強い敵意。
「こここ、来ないでぇえーーッ!」
たまらず、ミユカは部屋から出ようとドアノブに手をかける。
だが。
「あ、開かない…!?何でェ!??」
何度もガチャガチャと回すが、ドアはミユカを拒むように開かない。
ふと、背後へ視線を向けたミユカ。
そこにはあの蛇が―――。
「ひぃいい!!」
ミユカはドアから離れ、部屋を這い回る。
しかしもう既に逃げ場など無かった。
部屋の隅に身を寄せたミユカに向かって、蛇が再び威嚇の声を上げる。
「……!」
もう声も出ない。
今のミユカには、歯をカタカタと震わせる事しか出来なかった。
蛇が牙を向く。
そして―――。
ガブゥッ!
「っうわぁぁぁあああぁぁああぁあ!???!!」
―――痛い痛い痛いいたいいたいイタイ。
ミユカの体に、蛇の牙から傷口に染み込んだ毒が一気に廻る。
「熱いよぉ…痛いよぉ…」
ミユカの意識はそこで闇に堕ちた。
- 204
:十字メシア:2011/05/01(日) 23:05:47
- * * *
死んだのかな、私。
…やっぱ死んだんだ。
でも私が死んだら、お父さんが1人になっちゃう。
神様、お願いです。
お父さんが心配だから
もう一度、私に生きるチャンスを下さい。
* * *
「な…んだと?」
自分の娘の声が収まった後、部屋のドアを開いたソウマは、驚きを隠せなかった。
何故なら蛇の猛毒で息絶えた筈の娘が、こちらを見つめているからだ。
しかもその蛇は体に小さな穴を開けられて死んでいる。
「お父さん…」
「っ…何故だ」
「?」
「俺が作った毒蛇なんだぞ!?何故死なないッ!!」
「え?」
―――お父さんが作った?この蛇を?
その時、ソウマの両手がミユカの首を掴んだ。
「!? おとうさ…っ」
ミユカの言葉を遮るように、ソウマの手に力が入る。
「おと…うさん…」
「言うな!」
「え…」
「俺を『お父さん』などと言うな!」
ソウマは拒絶するように続ける。
「俺は研究者なんだ!それも才能のある研究者だ!!なのにあいつらは、世間は俺を認めない!!」
「……」
「でもアミとお前といる時はそれを忘れられた」
「!」
気づけば、目の前にいる父の顔には微笑が浮んでいた。
- 205
:(六x・):2011/05/02(月) 00:26:14
- しばらく見ないうちに色々すごいことになってる件についてΣ
さて、私も親父の過去を明らかにするかな
- 206
:(六x・):2011/05/02(月) 00:27:53
- 風真の過去話です。
wikiに入ってから修正するかも…
吹雪と嵐と凪
「なぁ、風真…君もうすぐパパになるんだよね。おめでとう。」
「ありがとな。ちなみに女の子だぜ、お前にも早く見せてやりたいよ。」
「ふふ、ありがとう。ところで名前は決まってるのかい?」
「実はまだなんだよなーw」
俺は、凪が生まれる少し前まで親友の雪斗とフリーの戦闘員をしていた。
雪斗は名前の通り、雪を自在に操ることができる。頭も切れ、雪斗が作戦を立てて俺がそれにあわせて突撃するという戦闘スタイルで今まで何度も勝ってきた。
そして、今日も俺達は正体不明の機械兵器と戦っていた。予想以上に防御力が高く、特に雪斗が苦戦していた。
「く…こいつ、思ったより強いな…。雪斗、大丈夫か?」
「…持久戦は好きじゃない。一気に決めるよ。」
「あぁ。」
俺が暴風を発生させ、雪斗がそれに雪を乗せる。
雪は暴風と交わって威力を増し、猛吹雪となる。
「「クロス・ブリザード!!」」
機械兵がパーツをばらまきながら倒れる。俺達の勝ちだ。
「止まったか。出し惜しみしねーで最初からやっとけばよかったなw」
「全くだな。風真、奥さん怖いんだろ?早く帰らないと。」
「そうだったw帰r」
「-っ!」
- 207
:(六x・):2011/05/02(月) 00:41:11
- 倒したと思った機械兵がビームを放ち、雪斗を貫いた。
「う…っ」
「ゆ…雪斗!てめえ…よくも雪斗を」
手の中に風を集め、一気に放つ。それでもまだ向かってくる機械兵器を空気の刃で切り裂く。
「この、クソ野郎!雪斗に何しやがる!」
「ふ…うま…?」
「立ってくるんじゃねぇ!お前なんか粉々にしてやる!」
雪斗を傷つけられたのと、強い相手をぶちのめせるという状況。この二つが重なったとき、俺は完全にスイッチが入ってしまった。
「くっ…あはははは!どうした?もっと、楽しませろよ!!」
機械兵を本能のままに切り裂く。堪らなく、楽しい。ねじ伏せる事がここまで楽しいとは。
傷つけられた親友の姿は、俺の中に認識されていなかった。
機械兵は完全に沈黙した。
5分もかかっていないだろう。
「はぁ…機械の分際で俺にたてつくからいけないんだよ。さ、雪斗、帰ろうぜ」
返事はない
- 208
:(六x・):2011/05/02(月) 00:43:59
- 「雪斗ー、寝ちゃったか?だったら俺が背負って…ッ!?」
頭にのぼっていた血が一気に下がり、状況が認識される。
「ゆ、きと…雪斗ぉっ!ごめん!今からでも病院連れてくからな!絶対死ぬなよ」
「いいよ。お腹に穴空いてんだから…助からないって。がはっ!」
「しゃべるな!最高速度で行くから」
「…風真、今までありがと。楽しかったよ…。僕の分まで、生きて…」
「そ…んな…おい、雪斗!雪斗ーっ!」
俺の戦友の最期は、雪のように儚かった。
あの時、向かって行かずに雪斗を病院に運んでいれば…
『風真、敵を倒すのもいいけど、大切なものは見失っちゃだめだよ。』
以前、雪斗がこう言った。
全くその通りだよ。敵を倒すことばかり考えて、お前が…一番大切なものが見えていなかった。
俺って本当にバカだよなぁ。
こんなバカについてきてくれてありがとう、さようなら。雪斗。
俺も楽しかったよ。
- 209
:(六x・):2011/05/02(月) 01:11:33
数日後、俺は娘に「凪」と名付けた。
時に優しく、時に荒々しく吹き荒れる「風」
俺はどちらかというと後者の方が大きかったようだ。
そのせいで、大切なものを失ってしまった。
娘よ、お前の父さんは友達見捨てて相手に突っ込んでいくようなバカだ。
それでもお前には幸せになってほしいから、俺と真逆の名前をつけた。
何物にも揺らぐことなく、静寂を保つ「凪」
お前の進む道が、どうか平和でありますように
親父の過去話でした。
他の皆さんの長編に比べたらクッソ汚いわー(;^p^)
あ、雪斗さんは最後に風真といられたから幸せでしたよ!←Notホモ
凪は皮肉にも戦闘員だったよ…親父ェ…
- 210
:しらにゅい:2011/05/02(月) 16:13:33
- 感想投下!
>>178-179
人に近い姿をしているのでまさかとは思いましたが・・・そんな痛切な過去が
彼にあったのですね・・・!(´;ω;`)ブワッ
彼の武器である鋏は生前の母の形見、今は人を守る為の武器であるとはいえ、
それが血に染まってしまうとは、なんだか複雑な気持ちです。
しかし彼の生前の世と比べれば、平和な現代で蘇って(?)よかったと思います!
>>180
拾ってくださってありがとうございます!
トキコとはまた違った子供のような子ですが、不思議な感じが伝わったようで
嬉しいですw「東」が戻ってきた後、アカノミがどうなってしまうのかは
これからの展開で分かると思いますが、またこの絡みが見られたらなって思います。
主に私が←
>>194
月光さんが動き出したぞー!これは近い内に再会が見られるのか・・・
楽しみです(*´∀`)エッヘッヘ
>大黒屋さん
ありがとうございました!
ある意味由衣ちゃんがアースセイバーに入るきっかけとなれたのが嬉しいですw
大変ではありますが、また機会がありましたら連載を書かせて頂きたいと思います。
今度はもっと皆でわちゃわちゃするような楽しい感じで!w
その時お子さんをお借りすると思いますが、よろしくお願いしますっ><
>スゴロクさん
その気持ち、分からなくもないですw
・・・が確かに蒼崎兄妹の活躍も見てみたいです・・・!
わーい楽しみーヽ(*´ω`)ノワッフーイ
なんと!名前だけは聞いたことありましたが、スパロボでしたか!
毎回秀逸なタイトルで凄いなぁと思ってましたが、なるほど・・・w
それに比べてわたしゃ地味路線を(ry
>>206-209
あのヲタクなお父さんにそんな過去が・・・!
雪斗と風真、きっとフリーでも名を馳せたコンビだったのでしょう・・・
少し戦闘狂な節があったせいで大事な親友を失ってしまった風真。
自分のような過ちを犯して欲しくない想いを、凪という名に込めたのですね。
お父さん・・・(´;ω;`)ブワッ
十字メシアさんの「蛇が蛇になった日」は完結しましたら、改めて感想を
投下させて頂きたいと思いますっ
- 211
:しらにゅい:2011/05/02(月) 16:50:34
- 「ハセくん、ハセくん。」
「ん?どうしたー、トキコ?」
「突然なんだけど、ここに夢を叶えることが出来る飴があります!」
「・・・無いよな?」
「あると過程するの!」
「ごめんごめん!えーっと、それで?」
「その飴を舐めた時、どんな味がすると思う?」
「うーん・・・夢を叶えることが出来る飴、かぁ・・・
なんとなく甘そうなイメージがあっから、モモとか?」
「へぇ~、モモ味かぁ。」
「で、それがどうかしたのか?」
「んっふっふー、あのねぇ、その飴の味は・・・耳近づけて?」
「んん?」
「あのね、・・・ファーストキッスのあ・じ♪」
「ぶっ!?」
「ハセくんのファーストキッスのお味はモモなんだぁ~?かっわいい~。」
「かっ、可愛いって!!なんだよそれ!?」
「だってこれ心理テストだしー、こういうことを言う前に言った方が
よりリアルな答えを得られるわけで・・・にしてもハセくん可愛い可愛い、
今度からハセたんって呼ぼうか?」
「いらんわ!!」
「ケッチー、じゃあさ、もう一個質問していい?」
「えぇー・・・どうせまたなじるんだろ?」
「解答次第によってはねー。」
「じゃあ断る。」
「お願い、ユウキくん・・・?」
「う・・・・・・い、一個だけだぞ?」
「やったぁー!じゃあ質問!」
「おう。」
「あるところにAという男がいました。
Aは兄と共におばあさんの葬式に出席していました。
そこにいた黒い髪の綺麗な女性に一目ぼれをしました。
ところが、Aはその女性の電話番号を知りません。
数日経ったある日の夜、Aは兄を殺しました。
さて、彼の動機は何でしょーか?」
「・・・いきなり物騒な話だな・・・それも心理テストか?」
「うん、そうだよー。」
「んー・・・そうだな、その兄が実は電話番号を知っていて、
その女性と連絡を取り合ってるところを目撃したから、
逆上して殺したとか?」
「おぉー、なるほどなるほど!」
「で、解答は?」
「えーっとねぇ・・・秘密!」
「「・・・・・・・・・」」
「こんなオチでいいのか?」
「だいじょうぶだ、もんだいないっ!」
「キリッてすんな。」
ハセベとトーキングin教室
「心理テスト」
「そういや、トキコはこの質問に何て答えるんだ?」
「私?えへへ、えーっとねぇ・・・私的にはねぇ、」
「お兄さんを殺せば、女の人が来るんじゃないかなって思ったからだと思うよ。」
- 212
:しらにゅい:2011/05/02(月) 16:55:02
- >>211 お借りしたのは長谷部遊騎(ポケモさん)でした。
初期の頃もこんな感じのお話を書いていた様な・・・
こんな感じでよろしかったでしょうかポケモさん・・・!(;´Д`)
- 213
:大黒屋:2011/05/02(月) 21:59:58
- 月光が空気になりつつあるという危機感から(
仕方ないよね。周りがキャラ強すぎるんだから…;
名前はあがってませんが、スゴロクさんより「霧波 竜也」をおかりしました。いろんな意味でフラグをたてまくってるつもりです
ミチビケ
今更当てもなく出て行ったのを後悔した。
何処にいるのか分からない…というか、来ているのかさえ分からないのだ。
探すにしても何処を探せばいいのかわからず、途方に暮れていた。
そもそも重度の方向音痴だったはずだ。ますます難易度が上がる。
「…はぁ;どうするぜよ…;」
近くの岩に腰をおろし、ため息を吐いた。
膝の上で頬杖をつき、ぼんやりと空をみる。
あれから15年。こんなに空は曇っていただろうか。
「自分は…11だったがか。丁度探偵稼業の真っただ中じゃったなぁ…。」
そう呟くと、自然と過去に思いが馳せられた。
自分の幼馴染とほとんどの人生を共にした日々。
彼女といると何かと事件に巻き込まれた。
皮肉にも、左目の「賢者の石」は、自分と彼女が同じ時間を歩み、同じ時間にこの世を去るために必要な道具であった。
そしてその石さえなければ、自分たちは出会うことがなかったのだろうから。
寺にいれば修行を押しつけられ、浮いた姿は誰にも受け入れてもらえなかった。
彼女と出会えたから、かわれたのだ。
そうでなければ「彼」に出会い、意気投合することもなかったろう。
「…もしいるんなら、どれだけ道に迷おうとも、いかせのごれの中にいるんじゃな…?」
一言呟いて立ち上がる。
空を仰ぎ、眼を閉じた。
大切な幼馴染と離され、修行に明け暮れた唯一の2年間。
実を結ばなかったわけがない。
陰陽師家の師範とされる実の父の血を受け継ぐ者。
才能はなくとも、素質は姪の春美よりあった。
懐から取り出したのは白い布。
包帯のような見た目で、中央には黒い筆字で綴り字のような記号が並んでいた。
数m引き延ばすと、その記号の一つに勢いよく木刀を突き立てた。
その場の空気が僅かに揺らぎ、渦を巻く。
木刀の先が青く光り出すのを確認して引き抜き、弧を描く様に大きく振るう。
残像として残った光がゆっくりと集まり、小さな青い鳥へと変化した。
鳥は一声鳴き、曇り空へと飛んでいく。
それを見送ると、月光は木刀と布を仕舞った。
「捜す体力を考えて、使えるのは1時間じゃろうな…。」
彼は鳥を追うように走り出した。
孤独なる青い鳥の導は
星に焦がれた月を導く
「幸せを運ぶ」その眼差しは
迷える一角に沿うように
『東』の傘へと向けられていた
- 214
:大黒屋:2011/05/02(月) 22:10:54
- >>213
解説です
『皮肉にも、左目の「賢者の石」は、自分と彼女が同じ時間を歩み、同じ時間にこの世を去るために必要な道具であった。』
補足となる小説を後にあげる予定です。
現段階としては、「クランケの年齢不詳にも関係がある」とだけ述べておきます(それでいいのか
『修行に明け暮れた唯一の2年間』
星が弁護士の座からおろされた時期から、クランケによる誘拐が行われるまでの間です。
陰陽師なのにそれらしいことやってないものですから…;
『陰陽師家の師範とされる実の父の血を受け継ぐ者。才能はなくとも、素質は姪の春美よりあった。』
ハーフとクォーターなら、素質はハーフが上でしょうという単純な考えより。
純粋が一番なのはわかってますよ、ええ!(
因みに陰陽師の術は先天性、後天性の能力とはまた別なので能力としてあげることはありません。あしからず
『『東』の傘へと向けられていた』
勿論「東の平原」です。が、続きを全く考えてませんorz
誰か!可能ならフラグ回収を!(
というわけで、全く解説になっていない解説でした。
以下私信
>しらにゅいさん
ぐら子とアカノミは個人的に自分も見てみたいとw
カルーアトラズの皆さんはまたくるんでしょうかね。
来たら大波乱ですが。
長期だろうと短期だろうとどんどん使ってください!
自分の子はオールフリーですから!
そして最新の短編。
心理テストを知っているだけあってトキコの答えにgkbr(
いつものトキコにもどりましたが、なにやらまた不穏な空気が漂ってますね…。
大変なことにならないことを祈ります!
- 215
:十字メシア:2011/05/03(火) 22:05:15
- 「誰にも認められない俺にとって、お前達は幸福の全てだった」
「…じゃあ」
「どうしてこんな事を」と、ミユカが言おうとした時。
「だが違った」
「え?」
「ある人が言った。その幸せが俺の才能を埋もれさせていると」
ソウマの顔から笑みが消えていく。
「それに興じている限り、研究者としての俺の存在が失せると!」
再びソウマ手に力が入る。
そして父が放った次の言葉に、ミユカは驚愕した。
「だからアミを殺した!そしてお前を殺そうと、作っていた毒蛇を使ったんだ!!なのにお前は死ななかった…この化け物がぁあ!!」
―――お母さんを、殺した?
―――私を殺そうとした?
―――そんな理由で?
ミユカの心に怒りの灯が点り始める。
―――ねえ、お父さん。
―――私達の事が大好きだって、言ったよね?
―――大事な研究よりも、もっともっと大事だって。
―――言ったよね?
―――なのにどうして。
―――どうしてお母さんを殺して、私を殺そうとしたの?
―――そんなの、お父さんじゃない
―――お前なんか。
―――お前なんかお前なんかお前なんかおまえなんかおまえなんかオマエナンカ。
「…なんか」
「は?」
「お前なんか…お父さんじゃないッ!!」
怒号を口にしたミユカの目は、人間のものではなくまるで―――蛇のそれだった。
「!?」
「お前なんか殺してやるーーーッ!!!」
溢れんばかりの憎悪と怒りをぶつけるかの様に、ミユカは父と呼んでいた男の首筋を狙い、牙を向けた。
その後、理由もなく学校を休んだミユカを心配して来た友人達が、気絶しているミユカと死亡している彼女の父、そして毒蛇の骸を見つけたのは、数十分後の話である。
その時、蛇の体に空いた小さな穴に、誰も気づく事は無かった。
- 216
:十字メシア:2011/05/03(火) 23:59:24
- ミユカが中学生になった頃。
両親が死んでから、友人達や近所の人達に助けられ、それに感謝しながら、毎日を過ごしていた。
そんなある日―――。
コンコン
「? はーい」
家のドアをノックする音を聞きつけ、ミユカは玄関へ走る。
ガチャ
「どなたですか?」
目の前にいたのは、キャップ帽をかぶった、やや浅黒い肌をした男だった。
「ウスワイアの者だ」
「ウスワイア?」
聞き慣れない言葉に、ミユカはきょとんとする。
「特殊能力者保護施設、それがウスワイアだ」
「特殊能力…」
そこでミユカはハッとする。
あの日、父を殺した力。
あれこそ普通の人間が持たない力である事に、ミユカは気づいたのだ。
「……じゃあ、私の力が何なのか、知ってるんですか?」
「情報によれば、恐らくお前はナイトメアアナボライザーだろうな」
「ナイトメアアナボライザー?」
「ナイトメアアナボリズム。通称、悪夢と呼ばれる特殊能力だ。一度死んだ奴が生き返り、死因を能力にする」
「死因を…」
自分の死因―――毒蛇による中毒死。
それを思い出すのに時間はかからなかった。
「私は能力者。だから…」
「保護する。最も、理由はそれだけじゃないけどな」
「え?」
ミユカは顔を上げる。
「特殊能力者を狙う組織、ホウオウグループから守るためでもある」
「!!」
ミユカは「ホウオウグループ」という言葉に反応する。
「? 知っているのか?」
「…父の、日記にその言葉が」
「何?」
「日記に、書いてあったんです」
ミユカは亡き父、ソウマの日記に書かれていた事柄を全て話した。
ある日、ホウオウグループの人間に会ったこと。
その組織から、世間や同じ研究者たちから認められなかった、自分の才能を認めてくれたこと。
命令で毒蛇を作っていたこと。
そして―――その組織の人間から、『あの日の言葉』を言われたこと。
「そうか…となると、益々お前を保護しなきゃならない」
「え?」
「ホウオウグループは、自分等の存在が世間に漏れることをよしとしない。そうすると、認知しているお前や周りの人間に危険が及ぶ」
「そんな…皆にも?」
「多分な」
ミユカの脳裏に、友人の顔が浮かぶ。
そして決意した。
「分かりました。でもその前に、友達への手紙を書かせてください」
「…よし、終わったら言え」
「すいません」
ミユカはすぐさま家を出る支度をし、友人への手紙を書く。
『突然でごめんね、ここを離れる事になったの。だからもう皆とは会えない。本当にごめんね。でも皆の事忘れないから、皆も私の事を忘れないでね ミユカより』
「…書きました」
「じゃあ行くぞ」
「はい」
鞄と手紙を持ち、ミユカは両親と共に暮らしていた家を出た。
「…さよなら」
その言葉だけ、言い残して。
- 217
:十字メシア:2011/05/04(水) 00:08:39
- 「…思えば、あの日から『こっち側の人間』になったんだ」
ミユカはぽつりと呟く。
「あの時はお父さんの事憎んでたけど…でも、違うんだよね。初めて認めてくれて…嬉しかったんだよね?」
答えは出ないと分かっていても、ミユカは喋り続ける。
「研究者としての誇りを失いたくなくて、ああしたんだよね…でも本当…は…」
手に持った写真に、涙が落ちた。
「私と、お母さんが…本当に大事だった、から、苦しかったん…だよね。だって、分かるもん…」
そう言って、ミユカは最後に見た父の笑みを思い出す。
「あの時の笑顔…いつものお父さんが浮かばせてた笑顔なんだもん…ッ!」
そこでミユカはたまらず、しゃくり声を上げて泣いた。
今まで溜まった涙を流すように、泣いて泣いて、泣きまくった。
「お父さん、お母さん…今は、二人ともいないけど…でも、でもね」
涙を拭い、写真の中にいる両親に向かって話す。
「友達…いっぱいいるんだ。ケイやリーダーにトッキー、ハヤトちゃんと凪っちにカナちゃんにシーくん…他にも、いっぱい」
いつの間にか、ミユカの顔にいつもの太陽の様な笑みが浮かんでいた。
「私は一人じゃない…皆がいるから。だから心配しないで。その代わり」
一息置いて、ミユカは言った。
「私の事、見守っていて。それだけで充分だから」
その時、ミユカの目尻から涙がまた一筋、頬を伝った。
~その頃~
「あの、アキヒロさん」
「何だカナミ」
「ちょっと聞きたい事があるんですけど」
ウスワイア、某室。
先程起こった戦闘について、カナミがアキヒロに報告していた時だった。
「ミユカちゃんが怒った時に、無意識に蛇の目になる事…知ってますよね?」
「ああ」
「ならどうして、それを抑えないんですか?」
暫しの沈黙。
それを突き破ったのはアキヒロだった。
「ミユカがそうなる理由、知ってるか?」
「いえ?」
「…あいつは悪夢に目覚めた後、父親を殺した」
え、と声を上げるカナミ。
「といっても、死因は父親ではなく毒蛇だがな」
「じゃあ何で…」
「父親に酷い事を言われたらしい」
「酷い事?」
「俺も深くは知らんがな」とアキヒロは言い、話を続けた。
「それを聞いたミユカは、激しい怒りのあまり、父親を殺した。それ以来、怒りの感情を持つと無意識にああなるらしい」
「抑える事は出来ないんですか?」
「駄目だ、能力と怒りが深くリンクしてしまっている」
「そうですか…」
顔を俯かせ、落胆するカナミ。
そんなカナミを励ますように、アキヒロは肩に手を置く。
「そう案じなくてもいい。ミユカ自身は気付いてないし、持ち前の明るさで周りに馴染んでるだろう?」
「…そうですね。こんな事聞いてすいません」
「いや、親友として心配してたんだろ?気にするな」
「アキヒロさん…」
アキヒロに礼を言った後、カナミは部屋を出て行った。
「ミユカ…良い仲間を持ったな」
一人になったアキヒロは、ぽつりと呟いた。
―――少女は愛する両親を失い、蛇となった。
―――しかし、孤独の闇に堕ちることは無かった。
―――それの理由もまた、愛する仲間に囲まれていたからである。
―――そして今も尚、蛇は両親がいた時と同等の幸せを、噛み締めていた。
―――そしてこう言う。
「敵味方なんて関係ない、私は友達の為に戦うんだ。それが私に出来る、友達への唯一の恩返しだから」
ミユカ発症話終わりました!
因みに彼女が頭良いのは、研究者だった父親に、勉強を教えてもらっていたからなのです。
お借りしたキャラは、本家様より「KEA」「アキヒロ」でした~
次は誰だったかな;
- 218
:ポケモ:2011/05/04(水) 12:49:38
- 「う、うーん…」
目が覚めた。どうやらここは家みたいだ。
(そういえば…あの日以来、おかしな夢ばかり見るな…)
あの日。そう。俺が一度『死んだ』日。
なのに、俺は生きている。毎晩、その夢を見る。
「…なんか疲れた。散歩でもするか…」
机の上に置いてある財布を取る。
(ゲッ、小遣い1000円くらいしかねぇ!)
「…まぁいいか。」
1階に下りる。母さんが、夕食の準備に取り掛かっていた。
「母さん、ちょっと散歩行ってくるわ」
「そう…気をつけなさいよ」
母さんの言葉が聞こえた。ちょっとだけ、嬉しかった。
なんか変な感じになった気がする…
- 219
:大黒屋:2011/05/04(水) 20:39:12
- やっと完成しましたので投下!星の過去、最終章です。
しらにゅいさんより「玉置 静流」、スゴロクさんよりホウオウ兵器「パニッシャー」をお借りしました。
天ノ川ノ叫ビ~白ト黒~
誰も知らない、いかせのごれの一角。
そこにぽつりと、白い十字架がたっていた。
彼女はその十字架の近くに、赤い薔薇の花束を置き、両手を合わせて拝んだ後、十字を斬った。
そよぐ風が、彼女達の髪をなびかせる。
一歩引いた彼女の後ろで、男は声をかけ出した。
「…お久しぶりです。そちらの世界で、貴方は何をしているのでしょうか。」
まるで眼の前にいるかのように、彼は言葉を紡いでいく。
「こうしてお会いするのは何時振りでしょうか。いや、彼女と一緒にここにくるのは初めてですね。」
すんなりと声は出るのに、もう帰ってこない姿を思い浮かべ、彼は仮面をとって涙をぬぐった。
「…じっちゃん。」
彼女もまた、誰もいない空間に呼びかけた。
「言いたいことはたくさんあるんだ。私たちの中で、変化はたくさんあった。でも、これだけは先に言わせてくれ。」
白い十字架に彫られた英語――「Guilty=king」を指でなぞり、彼女は呟いた。
「『あの時』はごめん…。ありがとう…。」
閑散としていたストラウル跡地に突如天にも上るように黒い塔が立った。
突然すぎる異変は、世間と隔離されて生活していた星も容易に気がついた。
幼馴染の月光を連れそこに向かう。
一晩でできたその黒い塔は機会独特の高音を放ち、所々で光りながらシステムを動かしていた。
「なんじゃ、あれは…。」
驚く月光。
しかし、星にはあれが何なのか容易に理解できた。
クランケが語った「新たなる計画」。
つまり、あそこには…。
「…月光。アースセイバーよんで来い。」
「え?」
「私は…先に行く。」
重力を味方につけた足は、容易にその重い扉を蹴破った。
黒い塔に光が射すなり、待ち構えていたのであろうパニッシャーが一斉にこちらを向く。
刃渡りたったの5センチのナイフを握り、彼女はその集団へと突っ込んでいった。
十数体のパニッシャーを巻き込んで壁にぶつかると、近くにあった階段を駆け上る。
部下であろうマント姿の人間さえもかわし、ひたすら上に登っていく。
踏みしめる階段の先、顔を上げる。
そこにいたのは見覚えのある白い姿。
仲直りはしたが、仮にも立ち位置は敵。
刃を交えるのかと思い、星はナイフを握りしめた。
しかし彼は何もせずに素通りした。
そのすれ違う一瞬。彼は星の耳元に囁いていた。
「主格はこの上の突きあたりにいる。」
彼女は走りながら振り返る。
彼は仮面越しに「止めてくれ」と無言で頼み込んだ。
彼の意志をくみ取り、星は歩を進めた。
- 220
:大黒屋:2011/05/04(水) 20:40:51
- 彼の言った通り、突きあたりに現れたのは機械仕掛けの重く黒い扉。
簡単には壊れないと判断した星は、50mほど離れて振り返った。
そして、「重力操作」で一気に扉に突っ込み、その扉を蹴破った。
反作用を利用し能力を解除して着地する。
そしてその広い空間の中央に佇む人影を、星は睨んだ。
激しく音を立てて崩れた扉に驚くでなく、その「人影」はゆっくりと振り返った。
彼女の友人と同じ、白いマントと燕尾服。
くすんだ白髪と髭は長いまま整えられ、左目のモノクルの下には、瞳だけがくっきりと浮き上がる白い眼があった。
そして頭にかぶった白いシルクハットには黒いラインが入り、同じ黒で一筋の流れ星が刻まれていた。
彼は顎を上げ、星を見る。
光の反射するモノクルに、ホウオウのエンブレムは刻まれていた。
星は察した。この男が、友人の言う「長」であると。
彼女はその名を、口にしていた。
「お前が…『ギルティー・キング』か…!」
「…よくここまで来たな。会いたかったよ、星。」
彼…ギルティー・キングは微笑んだ。
外国人のような素振りで両手を広げ、こちらに近づく。
「成長したな。わしのことは覚えていないか?」
「覚えてるわけねぇだろ。私は小さいころの記憶がないんだ。」
「そうか…。悲しいことだ。」
キングはそう言うが、口は笑っていた。
「この黒い塔…何に使うつもりなんだ。」
「世界の合理化の第一歩のためだ。今この塔にはあらゆるエネルギーが集束している。」
カツンと靴を鳴らし、彼は語りだす。
「エネルギーがある規定値を超えると、衝撃波として一気にこの塔から放出される。それで汚れた人間を一層だ。」
「そんなことして正しいと思ってるのかよ。」
「ああ。そう思ってるからこそ、わしはホウオウ様よりメインの指揮を命された訳だからな。」
「っ…。」
右手にナイフを握り、低く構える。
彼はそれに動じずに言葉を返した。
「…わしに刃向う気か?」
「てめえがやってることは正しくない。それを気付かせてやるよ。」
「全く…。反抗的な子になってしまったものだ。」
彼はそう言うと、レイピアをとりあげた。
二つの刃が同時に火花を散らしたのは、その直後だった。
互いに一歩も引かない対峙が続く。
同時に刃を離し、間を広げる。
星が飛び上がる。重力を無視し天井に着地すると、そのまま地にいるキングに向けて蹴りだした。
…はずだった。
蹴りだした後に気がついた。
居るはずのキングが、地面にいない。
そう思った時、背中に何かを叩きつけられた。
思わずそこを見上げる。
天井から数十メートルの位置。
居るはずのないキングが、
レイピアの柄をその背に叩きつけていた。
- 221
:大黒屋:2011/05/04(水) 20:41:56
- 「かっ…!」
そのまま思い切り地面に突っ込む。
轟音と土煙をあげ、ひび割れた床に星は突っ伏した。
そのすぐ近くにキングが降り立つ。
伏したまま星は彼を見上げた。
「まさか…お前も「重力操作」をっ…!」
「当たり前だろう?わしとしては使えない方がつじつまが合わないのだがね。」
レイピアの切っ先を下に向ける。
「久しぶりの再会がこんな形になるなんて、とても残念だよ、星。」
一歩ずつ、こちらに向かってくる。
「しかし、敵対してしまった以上避けられない運命。許してくれ。」
体は痛みで動かない。
ああ、もう終わりなのか。
彼女はあきらめたかのように、眼を閉じた――。
『――。』
…?
『――し――。』
…誰だ?
『――の…。』
これは…誰の声だ?
『―…どの…。』
…そうか、この声は…。
『ほ…殿…!』
私の、大切な…!
「星殿!きこえるがか!!」
彼はアースセイバーを引き連れて戻ってきていた。
そして、襲い来るパニッシャーを木刀でなぎ払いながら、一階から屋上まで届く音量で叫んでいたのだ。
「もはや時間はないぜよ!ここから駆け上がる暇もない!」
枯れかかった声を振り絞り、伝えようと声を張り上げる。
「この計画をとめるのは、星殿しかおらんのぜよ!だから!」
後ろからのパニッシャーを一斉になぎ払い、あと少しと叫んだ。
「命に変えても、いかせのごれを守るぜよ!」
「星殿をみとめた人々への、精一杯の『恩返し』を、ここで成し遂げるんじゃぁ!!」
振り下ろされたレイピアを、間一髪でナイフで受け止めた。
「!」
その切っ先をはじき、ふらつきながら立ち上がる。
その手からナイフを落とし、左目の包帯に手をかけた。
「…まだ、やれるというのかね?」
「…ああ。」
一気に包帯を引きはがす。
勢いになびく包帯はそのまま形を変え、帯剣へと変化した。
「皆が…私を待っているんだ。」
血の滴りが止まった。
傷が、打撲が、みるみるうちに回復していく。
彼女は赤い眼に映る、白いシルクハットに切っ先を向けた。
「私は負けねぇ。この企みを、ここでぶっつぶす!!」
正面から真っすぐ突っ込む。
見計らったキングが上からレイピアを振り下ろした。
ところが次の瞬間には眼の前に星がおらず、斜め後ろに回り込んで構えていた。
横に払われた帯剣の切っ先から逃れ、そのまま間を開ける。
袖とマントが僅かに切れた。比べ物にならない速さである。
彼は大きく飛び上がった。
同時に星も飛び上がる。
レイピアの柄をしかとにぎり、「重力操作」で同時に突っ込んだ。
刃同士は、力強い重力とともに空中で交りあった…。
地面に倒れる人を見ながら、荒い息を吐いていた。
帯剣は包帯に戻り、地面に落とされる。
地面には少しずつ、血が流れだす。
倒れた人を見ながら、その人物は呟いていた。
「…私の、勝ちだな。」
「…ああ。わしの、負けだ。」
見上げるキングは、不思議と穏やかな表情をしていた。
先程までの冷酷な笑みとは打って変わって。
「暫く見ない間に、本当に成長した…。」
星はその姿を、茫然と見ることしかできなかった。
「記憶を失っているのはちと残念だったな…。いや、それよりも、お前と刃を交えなければならない方が残念だった。」
「な…何を言っているんだよ…?」
星の声も聞こえない風に、彼は続ける。
「…しかし、お前に殺されるのはある意味本望だったな…。」
星はキングに寄り添い、しゃがみこんだ。
「…ありがとう、星。」
キングは腕を伸ばし、彼女の頭に手を置いた。
「我が…孫よ。」
「!!」
- 222
:大黒屋:2011/05/04(水) 20:43:13
- 頭の中に記憶はない。しかし。
体が、心が、その記憶を覚えていた。
山奥で祖母と暮らしていたあの時。
まれに、その家に祖父が帰ってきていた。
犯罪心理学者・天河 光。
それが星の知る「祖父」だった。
彼は仕事の合間に家に帰って来ては、幼かった星と話してくれた。
謎解き好きの彼女の原点も、祖父にあったのだ。
「いいか、星。しっかり頭を使って考えるんじゃ。」
「あたまをつかって?」
「色んな視点から物をみる。これが謎解きの基本。」
「…?」
「例えばそのパズル。ひっくり返してみてみぃ。」
「うん。…あ!」
「そう、そこからこうやって…。」
「わぁ!できたー!」
両手をたたいて喜んだあの時。
眼の前にいたのは、誰よりも大好きな祖父だった。
誰もが嫌った星を受け止め、大切にしてくれた祖父だった。
彼が突然「これなくなった」と言い出したのも、そんな幼いころだった。
仕事の関係で遠方に発たねばならなくなったと言っていた。
彼女は祖父にしがみついて、いかないでと泣きじゃくった。
彼は星をなだめると、きれいな赤い星の髪止めを渡した。
「これがあればいつか必ず会える。約束しよう。わしは絶対戻ってくる。それまで待っていてくれるな?」
「うんっ!わたし、まってるから!」
彼は笑顔で、星の頭をなでた。
そう、あの時の記憶だけ、何もかも思い出した。
「…じっちゃん…。」
その言葉にキングは微笑むと、そのまま眼を閉じた。
頭に乗せられた手は、力なく床に落ちた。
「じっ…ちゃん…っ!!」
堪えようとしているのに、涙が止まらない。
冷たくなった手に、しずくが落ちていく。
罪の重さに、初めて気がついた。
その重圧に星は、耐えられなくなっていた。
「うっ…ああああああああああああああああ!!!!」
下から見ていた月光からも分かった。
激しい爆発音や破壊音と共に、星が飛び出してきたのだ。
「ほ…星殿…?」
その様子は、いつもの星ではなかった。
強いて言うなら、彼女は発狂していたとでもいおうか。
無我夢中で破壊し尽くす。
サーバーは飛び、システムは停止。
それでも彼女は止まれなかった。
壁を突き破る。
高すぎるビルの屋上から、ストラウル跡地に転落する。
力を使い果たした星に、なす術はない。
そのまま地面へと、体を投げ出していた。
砂埃が上がる。地面がへこむ。
星の体は地面に叩きつけられ…なかった。
彼女を抱きかかえたのは、亜音。
自らのナイアナで星をうまく受け止めていた。
「…玉置!星の治療を頼む!いそいで!」
「わかりました!」
アースセイバーの面々より一足早く駆けだす。
亜音は星を見ながら呟いていた。
「全く、無茶ばかりするんだから…。」
「辛かったでしょうに…。」
- 223
:大黒屋:2011/05/04(水) 20:43:43
- 星は小さなパズルを、十字架の前に置いた。
「覚えてるか?私が初めて解いたパズルだ。ここから、私の謎解きは始まった。」
なつかしむように彼女は言う。
「私は謎を解くもの。じっちゃんは謎を「作る」ものだった。そうだろう?」
「…僕も覚えています。貴方のことを。」
クランケは一歩前に出る。
「『わしに盗めないものは何もない。そしてわしは、人々が笑顔になるように物を盗む。』僕を引き入れる時、貴方はそう言ってましたね。」
路地裏の暗い世界で手を差し伸べた白い男。
その時の輝きを、忘れるわけがない。
「そして貴方は配下の怪盗たちから『老』と『死』を奪い去った。完璧ではありませんでしたが、僕らの寿命は格段に伸び、長らくの生の喜びを教えてくれた。ある意味で僕たちは、「人外」の存在になった。」
「その血は私に受け継がれた。でも、私は人並みに成長するし、年もとる。」
星がクランケと並ぶ。そして、左目の包帯を外して言った。
「その理由は、じっちゃんが埋めてくれた、この「賢者の石」だ。」
「生命力を吸い取るこの石が、消えたも同然の寿命と吊りあい、「人外」の私は「人」になれた。泣いてまで従ったじっちゃんの決断は、私の喜びにつながった。」
星は微笑んだ。
「だから私は、じっちゃんを恨んだりしねぇ。ずっと感謝し続ける。私に「人」の喜びを与えてくれたんだからな。」
「その代り、私はじっちゃんの恨みを晴らす。」
凛とした顔つきで、星は言った。
「敵は見えた。かつてのじっちゃんを消し去ったのはホウオウグループ。だからは私は、この手でホウオウを倒す。」
「僕はホウオウと違う方法で、世界の合理化を目指します。」
「「だから。」」
「「見ていてください。」」
薔薇の花弁が宙を舞う。
そこにいるはずの祖父がまた帰ると信じて、
星は髪飾りを握った。
一つの光を消した星は
拭いきれない罪を背負って
一つのけじめをつけ
また千の郷をこえようとする
その先にあるのが
白い光と信じて
- 224
:大黒屋:2011/05/04(水) 20:56:13
- 5スレもしつれいしましたorz
ここでようやく(?)キングのプロフ同時投下です。
その他キャラにでも入れてあげてください;
名前:ギルティー・キング(本名:天河 光(アマカワ ヒカリ))
享年:不明
星の実の祖父であり、クランケ達怪盗一家の長。
盗めないものは何もないとうたわれ、世界をまたにかける伝説の怪盗。
怪盗たちから『老』と『死』を奪い、人外の存在にした。
ホウオウに取り込まれるまでは思いやりが強く、強きを挫き、弱きを助ける存在だった。
能力は『重力操作』
星が使用するものと効果は同じだが、星より効果は強かった。
この能力は後に星に遺伝する。
- 225
:しらにゅい:2011/05/04(水) 23:21:40
- 感想Baaaan!!
>>213
周りのキャラが濃いんじゃない、みんな魅力的なのが悪いのでs(ry
いかせのごれも広いですからねぇ・・・かつ方向音痴な竜也さん・・・
これは見つからないフラグもΣ(;´・ω・`)(ぇ
解説があると読むのが助かりますねwとはいえ、私の足りない頭では
すべてを理解することは出来なかった・・・!orz
早く二人が巡り合うことを祈るばかりです(;´ω`)
>>219-224
ついに怪盗の長で、そして星さんの祖父であるギルティー・キングの登場・・・!
流石キングの名だけあってか、星さんを押してしまうとは・・・
月光さんの励ましによって見事激戦を勝ち抜いた星さんでしたが、
悲しい真実を知ってしまいましたね・・・自分が今しがた倒した敵は、
かつて敬愛していた祖父であったとは。
そして>>213の解説であった年齢不詳の秘密がここで明らかに!
じっちゃんすげぇ!!(;´Д`)
一つの死を越えて、決意を新たにした二人組み。
じっちゃん、二人の願いが叶うところを見ててくださいな・・・!
「蛇が蛇になった日」
ミユカ過去編完結お疲れ様でしたー!
幸せそうな家族だったのに、何故こんなことに・・・(´;ω;`)ブワッ
幸せに純粋に浸ることなく、研究者としての威信を取り戻す為に、
あろうことか妻のアミさん、そして娘のミユカちゃんに
自らの研究作品である毒蛇を仕掛け殺害。
しかし、幸か不幸かミユカちゃんはその時『悪夢』に
目覚め、そしてお父さんの隠していた真実を知って・・・うう・・・。
激昂すると蛇の眼になってしまう原因は、そこにあったわけなのですね。
けど、あの時ウスワイヤに引き取られたおかげか、
今彼女は孤独になることなく、たくさんの仲間、
そして友達に囲まれていますから、きっと幸せでしょう。
最後のミユカちゃんの言葉に全私が涙しましたとも!!(ブワッ
>>218
これは長谷部君のお話でしょうかっ?
「一度死んだのに、普通に生きている。」はアナボライザーなりたての人に
よくありそうな現象です・・・が、まだ自分の能力には無自覚なようで、
これからどうなるか今からワクワクしてきますw
>ポケモさん
いえいえ、こちらこそ長谷部くんを使わせて頂きありがとうございますw
あれでよかったかなぁ、というドキドキ感は初期の頃を思い出して、
なんだか楽しかったです(*´∀`)
- 226
:しらにゅい:2011/05/04(水) 23:39:42
君は言う
「善行のためには戦いを犠牲にせよ」と。
私は言う
「善戦のためには万物をも犠牲にする」と。
___ニーチェ「ツァラトゥストラ」より。
「たまちゃーん、遊びにき・・・あれ?」
緑音ののかがいつものように保健室に入ると、養護教諭・・・この学校では
「保健医」と呼ばれている、玉置静流がソファにもたれて寝ていた。
いつもののかが保健室に行くとタマキは、
「あぁ、ののかさん。いらっしゃい。」
と天使さえ顔負けする、とびっきりの笑顔で迎えてくれるのだが、
今日は珍しく昼寝をしているようだ。
「・・・お邪魔しちゃったかな?」
ののかがそーっと顔を近づけてみると、タマキの口から規則正しい寝息が聞こえてくる。
目の前で手を振ってみるが、起きる素振りも見せない。どうやら本当に熟睡しているようだ。
「・・・・・・・・・」
不意にののかが不敵な笑みを浮かべた。
人間とは、実に好奇心旺盛な生き物である。
普段触れることの出来ないものに触れられる機会が出来ると、どうしても触りたくなるもので、
それはののかとて例外ではなかった。
よく彼女はタマキに頭を撫でられているのだが、一度そのふんわりとした髪を撫でてみたいと
ののかは密かに思っていたのだ。
今がまさにチャンスである。
「起きないでねー・・・」
ののかはそう言って、そっ、とタマキの前髪に手を伸ばす。
窓からくる隙間風で、その髪が少しだけ揺れた。
あと、数センチ。
「あと、ちょっとー・・・」
ののかの指先が触れるか否か、その瞬間であった。
- 227
:しらにゅい:2011/05/04(水) 23:48:15
- 「わ!?」
突然、ののかの視界が逆転した。
次にぼすっ、と頭の後ろに柔らかい感触を感じ、それがソファにおいてある枕だと
彼女は分かったのだが、その直後、額に何か固い物が押し付けらる。
「え・・・?」
それは刑事ドラマや映画などでしか見たことのないハンドガンの銃口で、
保健室とはあまりにかけ離れた存在に、ののかは眼を丸くした。
そして妙な息苦しさと、首元の違和感にようやく危機感を悟ったのであった。
___人間とは兎角も不思議な生き物で、意識が視界と結びついていないと、
目の前の光景はまったく頭の中に入らず、何が起こっているかも理解出来ないらしい。
だから、彼女はもっと重要なことに気付けずにいた。
自分が誰に首を絞められ、かつ銃口を突きつけられているのか、ということを。
「・・・っ!?」
逆光に目が慣れ、ようやくののかはその人物を認識することが出来た。
その犯人はいつも優しく自分を出迎えてくれる、タマキであったのだ。
しかし、そのタマキは自分の知っているタマキシズルとは酷く違い、目つきは鋭く、
手の力は強いというよりも絞め殺す勢いで押え付けており、
片手で持っているハンドガンは今にでも弾を撃ち放ち、彼女の頭を吹き飛ばしてしまいそうな、
そんな重圧がののかに重く圧し掛かってくる。
そして何より、濃厚な殺意が雰囲気からも嫌でも伝わってくる。
今にも殺されるかもしれない、そんな緊張感に包まれながらもののかは、
どこかで見たことあるような気がする、こんな人、とそんなことを考えてしまった。
そして彼女は、はっ、と気が付いた。・・・そうだ、今の先生の姿はまるで、
「ぐん、じん、さん・・・」
「!」
か細い声でののかが呟くと、憑き物が取れたかのようにタマキの手の力は弱まり、
鋭い眼からいつもの優しい眼に戻っていた。
そして彼は自分が何をしてしまったか気付くと、慌てて上から退き、ハンドガンを捨て、
彼女を抱き起こした。
「の、ののかさん!すいません、っ僕・・・!!」
「あ、えっと、だ、大丈夫だよ、たまちゃん!ちょっと首痛いけど・・・」
ののかがそう言って苦笑するが、タマキは表情を暗くして俯いた。
何か言わなければ、と彼女は普段使わない部分まで頭を使い必死に言葉を探すが、
何かを言う前にタマキは彼女から離れ、こう言った。
「ごめんなさい・・・その・・・今、治療しますから。」
「たまちゃ、」
引き止めようと伸ばした手は、虚空を掴んだだけでタマキを止めることは出来ず、
彼はそのまま奥へと消えてしまった。
「・・・・・・・・・」
行き場のない手を見つめ、ののかはため息をついたのであった。
- 228
:しらにゅい:2011/05/05(木) 00:00:53
- ***
昔の夢を見た。
そう遠くはないかもしれない、過去の夢。
友人達と共に戦場を駆け、時に人を殺し、時に人を助けていたあの頃。
苦しくとも、懐かしいあの日々。
懐かしいけれども、その夢は途中で途絶え、「僕」は暗闇に突き落とされた。
そして闇の中、かつての戦友が、・・・白骨化した友が「僕」の足を掴み、「俺」にこう囁くのだ。
クルシイ
タスケテ
イタイ
ナゼオマエダケ
タスケテ
ミステルナ
タスケテ
タスケテ
・・・タスケテ、グンジンサン。
そして、背中に貼り付いたあの少女が「俺」を___
そこで目が覚めて、気が付けば「俺」はののかの首を掴み、護身用として持っていたハンドガンを、
まだ幼い彼女の額にへと突きつけていた。しかし、そこで「僕」は彼女が緑音ののかだと気付くと、
慌ててそれを捨てて、彼女に怪我が無いか尋ねた。笑いながら大丈夫だとは言っていたが、
僕はその首につけられた・・・いや、僕自身がつけた傷を見ていられなくなってしまい、
半ば逃げるように薬箱を取りに行ったのだった。
昔の悪い癖だ。あれは、突然寝込みを襲われたらそう切り返せと鬼教官に無理矢理身体に覚えさせられた体術だ。
けれども、それは同じ軍人である者や自身に危害を加える者に対してであって、民間人に使うものじゃない。
だから、ののかさんには申し訳ないことをしてしまった。
こんな些細な事で、彼女に変な勘違いをさせて、酷い場合は、
またあの時のように能力が暴発してしまう事態になりかねない。
自分は、ののかさんのような偶発的に能力者となってしまった者達を守るために、
『養護教諭』としてこの学校に赴任してきたというのに・・・自分が厄を巻いてしまっては、
本末転倒じゃないか。
「・・・はぁ・・・」
僕は薬箱を取ると、ため息をついた。
・・・もしかしたら、もう逃げてしまったのかもしれない。
当然だ、あんなことをされて、また何か酷いことを受けるかもしれない、と考えない人なんておそらくいないだろう。
自分も何かの拍子に、また「俺」になってしまうかもしれないと考えれば、
今不安定な状態で誰かと一緒にいない方が良いだろう。相手の為でもあるし、「僕」自身の為でもある。
いっそのこと、またウスワイヤにお世話になってしまおうか。
・・・ああでも、聖さんの視線が痛そうだなぁ。
憂鬱な気分でそんなことを考え、再び戻ってくると、そこにはマサムネと遊ぶののかさんがいた。
・・・あれ?
「・・・え?」
「あ、たまちゃんおかえり!」
わう!
「た、ただいま・・・って、え?」
特別怒る事も、そして脅える事もなく、いつものように振舞うののかさんを見て、もしかしてさっきの出来事も夢だったのか、
と一瞬思ったが、紅くなっている彼女の首を見れば、それが現実だと突きつけられた。
そんな戸惑っている僕を他所に、ののかさんはマサムネから離れると、ソファに姿勢よく座って治療を待っていた。
いつまでもそうさせては仕方なかったので、僕は彼女の横に座り、テーブルに置いた薬箱から湿布を取り出すとそれを
貼ってあげたのだった。男の力によって締められた首に湿布なんて気休めのようなものだから、後々、
ちゃんと病院に行くように言っておこう。
- 229
:しらにゅい:2011/05/05(木) 00:05:59
- 「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
沈黙が凄く痛い。・・・いや、僕が悪いのは分かってるんだけどね、うん。
どうしようかと言葉に迷っていたら、不意にののかさんが口を開いた。
「たまちゃんは、」
「はい?」
「たまちゃんは、昔何してたの?」
「・・・昔、と言いますと?」
「この学校に来る前。」
「・・・・・・・・・」
「あっ、話したくなかったら話さなくていいんだよ!?だってたまちゃん、私のことだって・・・」
「いえ、大丈夫です。・・・僕がこの学校に来る前ですよね?・・・軍に所属していましたよ。」
「・・・軍?」
「そうです。」
「・・・軍人さん?」
「・・・そう、ですね、軍人さんです。元、ですが。」
「そっか。・・・それって、今さっき見た怖いたまちゃんと関係あるの?」
「・・・・・・ののかさんは、意外に鋭いんですね。」
「意外って何ですかぁー。」
ののかさんが、ぶう、と頬を膨らませて不満げにそう言うと、何故か微笑ましい気分になり、
つい笑ってしまった。
・・・そうだ、そうだった。緑音ののかという人物は本来、このような人物であった。
彼女の持つ和やかな雰囲気で、どんなに暗く、そして辛い雰囲気も一瞬にして変えてしまい、
良い物へと昇華する。正直、今まで自分の過去について話すのは凍りついた口を動かすぐらい
辛いことであったが、彼女になら、話してもいいかもしれない。
どうせ、もう過ぎてしまったことだから。
その時は理由も分からず、そんなことを考えてしまった「僕」であった。
「・・・ののかさん、」
「何?」
「これから話す話は、面白くもないし、かといって同情を誘うような悲しい話ではありません。
あったことを話す、ただそれだけの話です。大変長いですから、
ののかさんの時間をかなり貰うことになりますが・・・よろしいですか?」
「・・・・・・・・・」
ののかさんが保健室を尋ねてきたのはお昼休みだ。
これから僕の話を聞くとなれば、午後の授業はおそらく出れないだろう。
自分の話を聞かせる為に生徒をサボらせるなんて、なんて酷く身勝手で、
自分よがりの大人なんだろう、僕は。
ののかさんは、少し悩んだ後笑って僕にこう言った。
「いいよ。」
「・・・いいんですか?」
「うん、だってサボりはなれっこだもん。」
クスクス、と笑うののかさん。・・・この子は、昔と比べて本当に強くなった。
なのに自分は、こんな子供に縋りたくなるほど弱くなってしまったというのか。
なんだか泣きたくなってしまう。
「・・・ありがとうございます、ののかさん。」
「えへへ、いいよ!たまちゃんにはいつもお世話になってるし、たまには私が力になってあげたいから。」
「・・・感謝し切れませんね。では、お話をする前にお菓子とお茶を用意しましょうか。」
「ほんと?やったー!」
嬉しそうに両手をあげて喜ぶ彼女を傍目に見ながら、僕は戸棚にあるお菓子と緑茶を取り出した。
ぽとぽと、と湯飲みに注げば、緑色の水面がそこに映る。
・・・あの時も、こうしてお茶を淹れたかな。
とある軍人のお話
(それはむかしむかし)
(いかせのごれから離れた地で起こった)
(「俺」の話)
- 230
:しらにゅい:2011/05/05(木) 00:10:34
- >>226-229 お借りしたのは緑音ののか(樹アキさん)でした。
過去話が今ホットなのでよっしゃー私もーと投稿してみたら、
序章で4レスも使うとかどういうこと・・・(;´Д`)
先が思いやられまs(ry
続きは様子を見ながら投稿していきたいと思います・・・;;
この作品はトキコのお返事話と同時進行で製作されています(キリッ
なのでもう少々お待ちくだされウワァァァン!!!
- 231
:スゴロク:2011/05/05(木) 00:18:13
- 流也サイドです。
「ありゃ、ここはさっきも通ったな」
いかせのごれについてから早1日あまり。とりあえずの目的地だったいかせのごれ高校にさえ、霧波 流也は未だ辿りつけてはいなかった。
理由はひとつ。この男、方向感覚が壊滅的におかしいのである。
一人で行動すると、道に迷う、同じ所を堂々巡りするはまだいい方で、最悪の場合来た道を戻ることすらままならない。先天性の病気が原因らしいのだが、当人は気にしていない。「出たとこ勝負、なるようになる」の男である。よく言えば楽観的、悪く言えば投げ遣り。方向音痴についても、「それが現実だ」とすっぱり諦めている。
が、状況は変わらず。
「あーっと、さっきはこっちから来たから……あ、いや、待て、こっちだったか? それともこっちか? やべぇ、本格的に迷ったぞこりゃ」
その事に今気付く辺り、この男も大したものである。さっき赤い髪の少女二人に道を教えてもらったのだが、全く役に立っていない。
「しまったなぁ……月光の奴にでも会えりゃ、案内してもらおうと思ったんだが。ま、そうそう都合よくはいかねぇか」
迷子になった場合の対処法で、一番確実なのは無闇に動かないことだ。……が、それは探している誰かがいればの話。流也の家族や仲間は、あの「白い闇」を名乗る男に崩壊させられてしまっている。
「……ちっ」
嫌な過去に意識が飛び、しかしそれを振り払うでもなく、流也は舌打ちする。否定しても、拒んでも、それが現実だ。それは変わらない。
「目撃情報聞いて飛んで来たはいいが……ここまで広いとな」
流也自身の方向音痴はさておき、確かにいかせのごれは広い。この中でたった一人の人間を探し出すと言う事は、砂漠で一粒の砂金を探すことに等しい。
それは、著しく困難なことに思えた。
「それでも、やらねぇとな。……もう、俺しか残ってねぇんだからよ」
強い口調で呟き、コートの裾を翻してその場を後にした。
―――青い小鳥がその場に到達したのは、それから2分後のことだったとか。
30分後。
「……どこだよここは」
相変わらず、流也は迷っていた。しかも今度は街の中ではない、なんと森の中。地元でも迷う事はあったが、今回はレベルが違う。広い、多い、知らない。
三拍子そろった上に壊滅的な方向感覚、迷わない方がおかしかった。
そもそも、いかせのごれに来て何をしようとしていたのか?
「……………………ありゃ?」
今更のように、流也は自分が何をしようとしていたのか、全く考えていなかったことに気付いた。
ヴァイスがここで目撃されたと聞いて、矢も盾もたまらず飛び出して来ただけだ。
思えば、何をすべきか決めていなければ、行き当たりばったりではどうにもならない。ことに、今回のような場合は。
「……うーむ」
がりがりと頭をかき、周囲を見回す。こう言う時は誰かに相談してみるのが一番なのだが、さて、どこに行って誰に話すべきか? 何にしても、まずはここから出なければ……。
「……………おっ、ありゃ何だ」
巡らせる視線に、一つの建物が留まった。家と言うより小屋、かなり古ぼけた看板。
「ちょうどいい、あそこで道聞いて見るか」
幸い距離は近い上にまっすぐだ、さすがの流也でもこれなら迷わない。ナップサックを背負いなおし、彼はその建物へと歩いて行った。
看板には、こう書かれていた。
―――『天河探偵事務所』。
クロス・ポイント
(迷い人が見出した先には)
(彼の「友」の居場所が)
(二つの道は、そこで交わる)
(……のか?)
お借りしたのは名前のみで大黒屋さん「秋山 月光」でした。
- 232
:大黒屋:2011/05/05(木) 16:05:26
- しかしこの二人、すれ違いが多いのである(
スゴロクさんより「霧波 流也」をお借りしました。時系列としては「天ノ川ノ叫ビ~白ト黒~」の前にあたるつもりです。
ほぼ衝動書きですが;
呼び出しは赤い星から
あちこち走り回って一時間が経過。
「…っはぁ;やっぱり無理じゃったか;」
息を切らしながら月光は呟いた。
青い鳥は既に消え失せ、完全に当てがなくなった。
「やっぱりたかだか2年の付け焼刃じゃ無理があったぜよ…;」
冷たい風の吹く木陰の下。
汗の流れる体を冷やしていく。
回復のためにそこに座っていたが、その休息が中断されたのは直ぐのことだった。
携帯が鈍い音で唸る。誰かからの着信だ。
携帯を取り出し、スピーカーに耳を当てた。
「…はい、もしm」
『月光!今すぐ戻りやがれ!』
言葉を遮って聞こえた声は勿論、星のものだ。
「な、どうしたがか!」
『久しく客がきやがった!…といっても道案内程度だがな;』
「ええ!あの襤褸小屋に誰が!」
『襤褸小屋は余計だ馬鹿;とにかく戻ってこい!』
「しかし、道案内程度なら星殿がやっても…。」
『忘れたか!これからじっちゃんとこに墓参りに行ってくるんだよ!』
「あぁ…、そういや今日、5回忌じゃったな…。」
『クランケも一緒に行くし、まさかミサキにやらせるわけにもいかねぇだろ?;』
「…納得ぜよ;」
「じゃあ、すぐに事務所に戻ればいいんじゃね?」
『頼むぞ。あ、それと。』
思い出したように星は付け加えた。
『帰ったら絞らせてもらうからな、『東』のこと!』
「!な、なんでそれを…;」
『隠し事下手なんだよ、お前は。それじゃ。』
音の消えた携帯を閉じ、月光は立ち上がった。
「…ま、ここからならさほど時間はかからんじゃろ…。」
そう言いながら、ゆっくりと歩き出した。
「…月光の奴、一体どこまで遠くに行きやがった…。」
「まぁ、そんなに時間はかからないと思うけど…。」
「…あの、」
「「ん?」」
「今、『月光』って…いいました?」
- 233
:十字メシア:2011/05/05(木) 17:14:50
- スレ返しと感想。
>しらにゅいさん
まずユズキ話のスレ返し忘れてすいませぇえん!!
ユズキは「子供らしい寂しさを隠した大人っぽい」少年みたいな感じです。
改めて「籠われた朱鷺」系列お疲れ様でした!
最初は予想外かつヤバい展開にアタフタしてましたが、最後はトキコちゃんがちゃんと答えを出せて良かったです!
そして素直じゃないねトキコちゃん(ニヤニヤ
ミユカ過去話の温かい感想に全自分が泣いた!(ぇ
残酷な現実を突き付けられたまま、両親を亡くした彼女ですが、今でもたくさんの仲間達に囲まれて幸せに生きています。
最後の言葉ですが、ミユカにとって友達は、恩人であると同時に大切な宝物なので、例えホウオウグループの人間でも、対峙する事になったら自害するほどなのです。
確かにののかちゃんは周りを和ませてくれますよね~
何で虐められたんだろう…(ぇ
元軍人なだけに、玉置先生の過去は悲惨ですな…
誰にも話さなかった過去を最初に話すのがののかちゃんで本当に良かったよ…!
>大黒屋さん
ギルティー・キングさん遂に登場…!
しかし勝利と引き替えに悲しい事実に星さんが…(ブワッ
「人外」になってしまう血の呪縛から解くために、星さんの左目に「賢者の石」を埋めたキングさん優しいですなあ…。
新たな決意を胸にした二人組のこれからに期待です!
- 234
:鶯色:2011/05/05(木) 18:35:42
- 時系列は「日常と非日常」と同じくらい、本編から約半年のお話です
※グロ表現に付きご注意ください
―――――
ショッピングモールの中を、エミとウミがあるいている
その手には食品の入ったビニール袋。夕飯の買い物に来ていたようだ
2人は、ホウオウグループに籍を置きながらも
マンションの一室を借りて2人暮らしをしていた
生活費などはホウオウグループから援助を貰っての生活
といっても報告などの為、頻繁にグループの基地に顔を出しているので
完全に離れて暮らしているわけではない
ビニール袋と鞄をゆらゆらと揺らしながら、エミは笑顔で提案した
「ねえ、せっかくだから靴見ない?」
「そうね、季節の変わり目だし新しいの欲しいかも」
「今ブーツ欲しいんだ、ねえ行こう?」
「…ちょっと待って」
そう言ってぴたりと立ち止まり、何かを目で追うウミ
「何なに?」とエミもウミの目線を辿る
そこには、3人の男達の歩く姿があった
「良い事でも聞いた?」
「どうかしら、……。」
エミに向き直り、無言のまま見つめる
それなのにエミはふむふむ、と何かを聞いているようなしぐさを見せた
「…なるほど、面白そうね」
「詳しく聞いてみる?」
「そうだね。あ、でもブーツ」
「今買ってたら見失っちゃうわよ」
「むぅ、次来た時には絶対買うからね」
「ええ」
それを聞くと、くすりとも笑わないウミの手を引っ張り
遠くに行ってしまった3人の男達を追い始めた
- 235
:鶯色:2011/05/05(木) 18:36:20
- 男達は、ストラウル跡地のある路地裏に来ていた
「やっと帰って来れたなあ、俺らの陣地!」
「長かったなあ、ここから離れてもう二年たってんだよな」
「そうそう。他の場所行ってもいまいちしっくりこなかったし」
「この前別のグループとつるんでたら、ライオンに襲われたもんな」
「ばーか、アレは人間だよ」
「たとえだっつうの」
「人間と言うよりは化け物だったけどな。ああいうのを百獣の王っつーんだろうな」
「ちげえねえ」
晴れやかな表情で語り合う3人
「良く考えてみれば、ここにいるから化け物に襲われるって事も無いんだよな」
「『スト跡地には化け物が住む』って話、気にしすぎたな」
「あのガキと2人の大男、アレくらいでビビるとか今考えたらバカみたいだ」
「あれ、お前一番最初に逃げてなかったっけ?」
「うっせーな、お前こそ女顔だからって油断してたんじゃねえの?」
「お前こそ『何もない所から大男が出て来た』って幻覚見てたじゃねえか」
「あれはホントだっつーの!」
「お前らその話何回目だよ」
「「だってこいつが」」
「ねえ、オニイサン」
「「「!」」」
ふ、と見れば、一人の女の子がそこに立っていた。高校生くらいだろうか
全く気付かなかった男達と、それを見てにっこりと微笑む彼女
「その『女顔の子と大男』の話、詳しく聞かせてくれないかな?」
それを見て二年前の出来事を思い出し、慌てる
リーダー格であろう体格の良い男がぐいっと2人の肩を掴み引き寄せ、会議を始める
「おい、こんなお嬢ちゃん相手にびびってどうすんだよ」
「すまねえ、ちょっとあの日を思い出してな」
「しっかりしてくれよ」
「とにかく、軽くひねって追いだすぞ」
「「おう」」
ばしっと2人の肩を叩くと、それを合図に彼女の方へ向き直り余裕の笑顔を見せた
- 236
:鶯色:2011/05/05(木) 18:36:51
- 「作戦会議は終わった?」
「ああ、多数決でお嬢ちゃんを追い出す事になったんだ」
「話も聞かせてくれないの?」
「ああ、悪いけど俺ら忙しいんだよね」
「へえ、感傷に浸るのってそんなに大変なんだ」
相変わらず笑顔でそういう彼女に、笑顔を崩しかける男
「ふざけてると俺ら怒っちゃうよ?」
「ふざけてないわ、ただ知りたいだけ」
「お嬢ちゃん、あんまり舐めてっと痛い目見るぜ?」
「どんな風に?やってみてよ」
一人がリーダー格の男を見れば、男は頷いた
彼女の目の色が変わった事にも気付かないまま
「そりゃあな、こんな風に…」
一人が彼女の腕を掴もうとその手を伸ばした
それを見た瞬間、その手は掴まれ思いっきり捻られる
「いだだだたたあああああ!!ギブギブギブ!!!」
いきなり叫び出す男
彼女の体は決してがっしりしている訳でもなく、標準的な普通の体形だ
そんな彼女に、男を悶絶させるような力を持っているとは思えなかった
彼女が手を離すと、その男は腕を抑えて地面に転がり、そのまま痛みを訴える
動揺する後の2人を見ると、彼女は再び笑った
「ねえ、どんな風に?」
その笑顔は、さっきまでと変わらないはずなのに何かが違った
笑っているのに、目の奥はたとえでもなんでもなく鋭い光があって…
「う、うおおおおおお!!」
様々な感情を振り払うように、体格の良い男が飛びかかる
それに続いてもう一人の男も飛びかかろうとして、踏みとどまる
「遅いよ」
冷たく放たれた言葉と同時に攻撃は難なく避けられて、そのまま後頭部に蹴りが入る
男は「うわ」とも「ぐわ」ともつかないような声を漏らし、いとも簡単に宙に浮いた
そして落下した事を確認すると、彼女はその男を何度も踏みつけた
そのたびに、最初は声帯からの音が低く響いていたが
そのうちめき。だの、ぐちゃ。だのといった鈍い音に変わる
「酷いなあ、私はただ話を聞きたいだけなのに」
「まあ、先に手を出したのはそっちだから正当防衛だよね」
やがて男が物言わぬようになると、飽きたようにそれを蹴り飛ばした
「あーあー、後片付けが大変になっちゃったね」
- 237
:鶯色:2011/05/05(木) 18:37:24
- 転がる元人間に、立ち尽くす男は吐き気を覚えた
「あれ、気持ち悪い?」
「…!!」
「その人、オニイサン達のお仲間さんじゃなかったっけ?」
「気味悪がってちゃ可哀想じゃない?好きでこうなったんじゃないのに」
「も、もとはと言えば…!」
「ああ、そうだね。私がやったんだもんね」
からからと笑いながら、男に近付いていく
男は逃げようと後ずさるも、それは叶わない
彼女は勢いを付けて男に接近すると、顔を掴みそのまま持ちあげた
「でも、あなたが助けていればどうなったのかな?」
「もしかしたらこの人はこんな事にならずにすんだかもしれないよ」
答える余裕も無いというように、男はもがき苦しむ
しかし彼女の手から解放される事は無く、更に力は強くなっていく
それをみて、「まあいいや」と呟く彼女
「へえ、あなたの電力ってこんな感じなんだ」
一瞬、「バチッ」という音と主に、男は光に包まれた
電気のようだった。それは彼女の手を伝い、全身を駆け巡った
それを合図に、今まで暴れていた男は動かなくなった
いや、正確には動いている。男の意思とはかかわりなく、びく、びく、と跳ねるように
口からは泡と、ヒュー、という音を噴き始めている
今まで転がっていた男は、仲間達が変わり果てていく姿を眺めていた
そして考えていた。『このままでは殺される』と
死んだふりや逃走したところで、捕まって終わりだろう
今、彼女は自分に背中を見せている、チャンスは今しかない
彼女が掴んでいたものを手放し、地に落としたのと同じ時
彼は、隠し持っていたナイフを手に取り、彼女に突進していった
このままいけば、奇襲は成功していたかもしれない
しかし、彼女はまるでそれを見ていたかのように振り向いた
「!!」
彼のナイフは彼女の腕に刺さる
でも彼女は避けようとする意志も、痛みを訴える様子も全く見せないで、にい、と笑った
「あは、掴まえた」
彼女は彼の腕を掴み、力を込めると「バチッ」という音と共に、彼に光が駆け巡る
さっきの物と、同じだ
彼は尻もちをつく
泡を噴く訳でも、痛みを感じるわけでもない。彼に起きた異常は、「体が動かない事だった」
「すごいすごい、この状況で突っ込んでくるなんて勇気あるねえ」
「どう?攻撃当たって。気持ちよかった?」
腕からナイフを生やしながら彼女は笑う
その結合部からは赤い液体が零れ、水溜まりを作っている
『狂っている』
それと、生きのびるすべはもうないと。それだけは理解できた
- 238
:鶯色:2011/05/05(木) 18:38:01
- 「さて、本題に入ろうか」
「二年前、ここで一体何があったのか」
淡々と話す彼女に答えを返そうと口を開こうとする
しかし、喉が痺れてうまく言葉が出てこない
「へえ、女顔の、迷子の少年に会ったんだ」
今まさに彼が考えていた事を、彼女は口にした
「それでケンカを仕掛けて、あら?3対1なのに負けちゃったんだ」
「そのボスがのされちゃって、2人で逃げて。かっこ悪いなあ」
「あっと、今言ったら可哀想かな」
ありえない
あの日の事を、彼女が知っているはずが無いのに
しかも、今まさに考えていた事を彼女は話している
「な、んで」
「なんでわかったかって?オニイサンが教えてくれたんじゃない」
彼女はさも当たり前だとでも言いたげだ
考えてる事がわかるのか?
あのときの男と関わりがあるんだろうか
「ん?逃げる時に2人の大男が“何もない所から”現れた?」
「もしかして女顔の少年ってあの子の事かもなあ」
「ねえ、他には?もっと面白い事教えてよ」
『スト跡地には化け物が住む』
その言葉が頭に響く
もし、ここに戻って来なければ。
最後に彼は、その事を酷く後悔した
パァン
そして乾いた音と共に、彼は事切れた
頭からは、だら、と赤い液体が流れ出る
彼女は、ビルの屋上にいるであろう妹の方を見て、考えた
“ウミ、なんで殺しちゃうのさ”
“彼はもう情報を持っていなかったわ。これ以上やっても時間の無駄なの”
“うーん、やっと面白くなってきたのに”
“それに、いつまで流血してる気なの?”
“へ?うわっ、こんなになってたんだ”
真っ赤な服と水溜まりに、びっくりする彼女
“そんなに驚くなら避ければよかったのに”
“オニイサンへのご褒美だよ、勇気の証”
“もう。今そっちに行くわ、後片づけしなきゃ”
もう一度よくナイフを見てみる
それは赤く染まってはいるものの、特徴的な装飾が施されていてとても分かりやすい
彼女は腕からナイフを引きぬく。一緒に血も出るが気にも留めない
そして、それを水溜まりの中に投げる
「なにやってるの?倒れちゃうわよ」
「ちょっと偶然が起きるか試してみようと思ってね」
「上手くいけば、面白いことになるかもよ?」
そう笑う彼女を呆れたように見ると、ウミは止血の為、鞄から包帯をとりだした
そんな、偶然の日から少し前のお話
- 239
:大黒屋:2011/05/05(木) 19:06:45
- お前いくつ連載かけ持つ気だという突っ込みはスルーしてください;ほのぼのかきたかったはずなのに、おかしいなぁ;
自キャラオンリーです。
ミナケレバイイノニ
「主?居ないのかしら?」
「あれっ、ミサキ?なんでここにいんの?」
「…ああ、ノラね。吃驚したわ。」
久しくミサキが寺院を訪れたことに意味はない。
クランケは星とともに墓参りに向かったので、定期の報告に向かったまでだ。
たまたまはちあわせたノラはおそらく暇つぶしだろう。
今日は休日。学校にいかなくてもいいはずだ。
「主ならついさっきアースセイバーに行ったよ。」
「そう。ならいいわ。」
「暇つぶし?ならならっ、あたしとお喋りしない?」
「…そうね。いいわよ。」
師範に案内された縁側にミサキは腰を下ろした。
その隣にノラもちょんと座る。
横に座るノラの顔を見、ミサキは微笑んだ。
「…あんた、まだそんな新鮮な気持ちで世界みてたんだ。」
「あたりまえだよっ!あたしにとっちゃ毎日が新しい発見!経験!面白いことだらけ!」
「それ大半すぐ忘れるからでしょ?」
「まあね;一周回って馬鹿だから。」
「純粋な馬鹿なのよ、あんたは。」
「ぶーっ。」
「しっかし便利な力だよね、ミサキの「眼」。」
「ま、この眼がなきゃ「足」も使えないわけだけど。」
「時速360km!うらやましいなぁとか思ったり。」
「あんたも十分速いじゃないの。」
「比べ物になんないのによく言うなぁ。」
「…正直、私にこの眼は必要なかったのかもしれない。」
「え?なんで?」
ミサキは空を見る。ぽっかり浮かぶ雲はゆっくりと流れていく。
そうねぇ、とミサキは呟いた。
「私の「眼」の力、あんたちゃんと覚えてる?」
「当たり前だよっ!えっと…。」
少し思案し、ノラは指を折りながら言っていった。
「『眼を通じての洗脳、情報奪取およびその他の能力を受け付けない』!」
「それは常時発動型だから役に立ってるわよ。」
「『処理能力を上げ、周りの情景をスローモーションで見ることができる』!」
「それがないと「足」がつかえないから必要にきまってるじゃない。」
「『他人の視界を見ることができる』!」
「そう、それ。私が使いたくない力。」
「へっ?」
ノラが顔をを上げる。
「それは私が妖怪になる前…「人間」だったころから使えた力。でも、私には一番必要のない力。」
「何で?他人の視界が見えるから、考えてることとか、どこに攻撃するかとかわかるんでしょ?」
「そう。相手がどんな風に世界を見ているか分かる。」
ミサキは口元を隠していたマスクを取り払った。
隠していたときに綺麗な顔立ちとは裏腹な、裂けた口が現れる。
「あんたはいいわ。同じ妖怪同士、こんな私を見てもなんの偏見も持たない。」
力なく微笑むミサキを、ノラは黙って見ていた。
「でも、私を見る人間たちは、皆私を偏見した。恐怖でしか見なかった。すごく…辛かった。」
「…馬鹿よね。使いたくないなら使わなきゃいいのに、他人の眼が気になって…。」
「…ミサキ、人間皆偏見するわけじゃないとおもうよ?」
ノラが見上げる。
「ミサキがいつもついてる銀髪の怪盗さん。あの人きっと、ミサキを一人の「人間」としてみてくれてるとおもうよ。」
「ノラ…。」
「だから、自己嫌悪におちちゃダメダメ!ミサキはいいとこいっぱいあるんだから!」
「…そうね。ありがとう。」
お礼を言ったが、心ではまだ信じられない気分でいた。
その言葉が事実だと信じて、彼に力を…。
そんな勇気、彼女には出なかった。
自分を否定されるのが、怖いから。
- 240
:大黒屋:2011/05/08(日) 16:33:33
- 自分ばっかり連投しているのは気のせいだと信じたい…orz
とりあえず新参者を先に放り込むことにしました。自キャラオンリーです。
イマニオリタエンマ
カツンと音を鳴らしたのは、鳥居の天辺だった。
夜風吹き抜けるいかせのごれ。彼はそのなかにある、とある神社の鳥居に降り立っていた。
「何年ぶりかのう、ここに来るのは。」
呑気そうな声を吐きながら、彼は夜風にあたっていた。
肩にかかる黒髪。僅かにとって結んだ髪もさらさらと風になびく。
黒い薄手のコートに袖を通している。肌寒い夜のためではなさそうではあるが。
見た目高校2年生の男子。しかしその姿はあまりに浮いていた。
右目の下に赤い刺青。素足に下駄。
首にかかる赤く大きな首飾りには、逆さの「獄」が刻まれている。
なにより人眼を引くであろうものは、彼が差している「傘」だろう。
雨は降っていないのだが、竹の骨組の傘は紫の紙を大きく広げていた。
「ちぃと見ない間にずいぶんかわったもんじゃのう。」
「確かにね。前来た時ストラウルとかあんなにボロボロだった?」
鳥居の上には一人しかいない。しかし、声は二人分。
よくみれば、傘の柄に小さな口がついているのだが、鳥居に上っている以上、よく見ないと気付けない口は誰にも分からない。
「これが無常感、とかいうやつか。」
「それはいいけど、あんた今日は早く寝なくていいの?明日からいかせのごれ高校?に行くんじゃないの?」
「わしらにとっちゃ昼も夜も関係ないから大丈夫じゃ。そもそも何年も寝ずに過ごしてたんだしの。」
手をひらひらさせながら男は言う。
「しかし、「学校」とかいうものは面白いんかのぅ?聞いた話、人間ばかり集まるらしいし。」
「あそこはただの学校じゃないわよ。能力者ばかり。事件とかおこりそうだし、あんたも暇せずに済むんじゃない?」
「ほう!もしかしたら面白い「嘘」とか聞けるかもしれんのう!」
「あんたそればっかり;」
「ンハハ、いいじゃろうが。」
「ていうかあんた、本来の目的忘れないでよね。」
「ああ、勿論。」
彼の目的。
それは彼自身の失態にあたる。
何年前かは忘れたが、僅かな油断がきっかけで彼は「武器」を奪われた。
見た目は小さな鉄槌。しかし、彼は自らの力をその武器により100%引き出すことができる。
その武器を奪われ、力を押さえられたまま行方を追っていたところ、
このいかせのごれに流れ着いたと聞き付け、舞い戻って来たのだ。
「もう暫くの辛抱じゃけぇのう。頑張ってくれや、『ブレラ』。」
「分かってる。あんたの鉄槌が見つかるまでは、協力してやるわよ。」
「ありがとうな。」
そう言い、彼は思い切り蹴りだした。
鳥居から転落することはなく、そのまま宙を歩く様に飛んでいた。
「寺に戻るわよ。なにはともあれとりあえず明日の学校が先ね。」
「『スクールライフ』なるものか。…楽しみじゃのう!」
その飛んでいる姿を目撃したのは、一体何人だっただろうか。
追記
「明日は歩いていきなさいよ;」
「えっ;でも寺から遠くないかの?」
「一応一般人もいるからね、あの学校;飛んでいくとこ目撃されたらどうするのよ;」
――――――――――
ゴクオーの容姿に「右目下に赤いシンプルな刺青」を書き忘れていたことに気付きながらスライデイング失礼します。
上記で「鉄槌」の存在を明記しましたが、誰が奪ったとか今誰が所有しているとか全く考えておりませn(蹴
というか、他の家の御子さんにその役目をお任せしたいのです。
もしよろしければプチフラグも同然なので拾ってあげてください。
拾ったらもれなくこの底辺作家が飛んで喜びます(
- 241
:(六x・):2011/05/08(日) 19:38:07
- >大黒屋さん
鉄槌の件ですが、冬也が所有しててもいいでしょうか?
奪ったというか、「偶然拾った」とかそんな感じです。
あと、ヴァイスの件で「ワイドサーチャー」がパワーアップして「ハイパースキャン」になりました。
レーダーに妖怪も引っかかるようになったのでよかったらお話に役立ててください。
- 242
:大黒屋:2011/05/08(日) 19:47:30
- >(六x・)さん
了解しました!
現保有者がまさかの味方!展開が面白くなりそうです^^
様子を見ながらではありますが、ぜひ使わせていただきます!
- 243
:スゴロク:2011/05/08(日) 19:53:51
- >(六x・)さん
何と、ヴァイスの一件が原因ですか!? うむむ、その点だけは良かったのか……。
意外な形で活用して下さってありがとうございます。
- 244
:大黒屋:2011/05/09(月) 19:50:15
- …なんか自分ばっかり連続投稿してて申し訳ない気分ですorz
名前のみスゴロクさんより「火波スザク」、しらにゅいさんより「トキコ」、鶯色さんより「エミ」「ウミ」をお借りしました。
吠える仔犬と吠えられる閻魔
その転校生は前触れもなく隣のクラスに現れたらしい。
昔からの「仲間」の一人だった彼女は、今日誰が転校するのかしっかり把握していた。
しかし、噂に聞き耳を立てれば、とんでもない失態を犯したというのだ。
その真偽を確かめるべく、彼女は昼休み、屋上へと駆け上がっていた。
「起きろ、馬鹿閻魔ッ!!」
「うぇっ!?」
案の定屋上で昼寝をしていた男に、彼女は耳元で大声を出して起こした。
「な、なんじゃぁ…ノラか。吃驚したわ;」
「なんじゃでもかんじゃでもない!ゴクオー、あんた自己紹介の時なんて言ったの!?」
「え、普通に…。」
「あたしも人のこといえないけど、とんでもないこと口走ったらしいじゃないのっ!」
ノラが聞いた話では。
朝、担任に引き連れられ教室に入ったゴクオーは、皆にこう言ったらしいのだ。
「平塚 獄王。ゴクオーとよんでくれ。好きなものは甘いものと面白い「嘘」。嫌いなものは根性腐れ。」
「「地獄」からきた。よろしく。」
「誰が「地獄」なんて信じるもんかっ!何なの?馬鹿なの?死ぬの?」
「自己紹介で嘘なんてつけるもんかと。」
「ココアシガレットごと粉砕してやろうか!いい加減常識ってものを知ってよ!もう何年ここにいるの!」
罵倒しながらもあきれるノラ。
「一応私たちが「妖怪」ってことは伏せてるんだからね。一般人もいるのに、パニックになったらたまらないじゃん。」
「成程のう…。」
「ったく、フェニさんはぽかんとするし、箱舟君も女神君もリアクションに迷ったし、流石のトキちゃんも引いたってきいたよ;」
「道理でなんか静かだったわけか;」
「あーもー、これで成績が異常なまでにいいから腹立つ;」
「…で、鉄槌探しは進行してるの?」
「とりあえずアースセイバーに協力は要請しとるけの。どの道片っ端から捜すつもりじゃ。」
「ならいいんだけどさ。」
「ま、どうせまたホウオウ絡みじゃろ。急いで動いてもどうにもならん。」
「そりゃそうだね。」
「じゃ、またあとでここに来るよ。どの道学校にいる間はブレラ持ち歩けないし、あたしは学校内にいるからさ。」
「ふいふーい。ありがとうな。」
寝転がったまま片手を上げるのを見、ノラはため息交じりに屋上を出て行った。
「全く、あの人本当に力抑えられている自覚あるのかなぁ?」
階段を降りながらノラは呟く。
「3割の力…『幻覚』と『痛覚神経操作』だけじゃ、何にもならないのにさぁ…。」
追記
「…しかし、エミとウミとかいう双子だけは、興味津々でわしを見とったのう。なんでじゃろ?」
- 245
:(六x・):2011/05/09(月) 20:34:49
- 「騎士の選択、少女の目的」の次のお話になります。
そして大黒屋さんのフラグ回収。
冬也と謎の鉄槌
「ん…」
目が覚めると、俺は自分のベッドに寝ていた。記憶がなんか不鮮明なので思い出してみる。
………
俺が…?
こんなの絶対おかしいよ
「起きたか。」
「な、凪姉…生きてる?」
「私が即死するような奴に見えるか?」
「俺…凪姉のこと殺そうとして」
「変な奴がお前のこと操ってたからお前のせいじゃないよ。安心しろ、そいつはもういないから。」
「…俺、操られてるとはいえ凪姉にひどいことしたんだよ?それでも許してくれるの?」
「非がない奴を責める必要がどこにある。」
「そ、それじゃ…今までどおり凪姉と一緒にいてもいいの?」
「あぁ。また何かあったらお守りしますよ、王子様。」
爪ス-_スo(・д・リW
「あ…っ!?ぼ、僕もう手洗えない…/////」
「ノリでついw衛生上の問題もあるし洗えよww」
「あ、そうですよね…って、凪姉が汚いというわけでわっ」
「わかってるよw(ほんと可愛いな、こいつ…」
- 246
:(六x・):2011/05/09(月) 20:46:51
Wリ・ー・)oΦo
「冬也、何磨いてんだ?」
「結構前に拾った鉄槌。誰かのだと思うからきれいにしてるんだ。」
「ガキじゃないんだから何でも拾うなよ。呪いのアイテムだったらどうすんだw」
「ええ!?やめてよ!ただでさえ妖怪とかレーダーに引っ掛かって困ってるのにーっ。」
「妖怪?お前零感じゃん。」
「ん…そういうのとはちょっと違うんだ。あ、あそこにもいた。」
「オカルトはよくわからんけど、あまり人前でそういうこと言うとマジキチ扱いされるから気をつけろよ。」
「うん…。」
最近、僕のワイドサーチャーは「万象透視(ハイパースキャン)」に進化(?)して一回の発動で見える範囲が拡大。そしてより鮮明に見えるようになった。
しかし、この鉄槌は僕の万象透視が通用しない。研究室に…とも思ったけどバラバラにされでもしたら持ち主がかわいそうだからやめておこう。
まさか、本当に呪いのアイテムじゃない…よね?
「こんなの絶対おかしいよ」は、冬也の性格からして言いそうなセリフであって某作品パロじゃないんだからね!←
- 247
:ポケモ:2011/05/09(月) 22:35:23
- 「この~大空に~翼を広げ~飛んでゆきたいよ~♪」
「何歌ってるんだ?お前はアホか?」
「・・・!兄貴じゃん!」
「よっ。元気にしてるか?」
遊騎と話しているのは兄の『遊斗』だ。
「一体どうしたんだよ?急にきて」
「・・・そろそろ、話してもいい頃だと思ってな」
「『話す』?何を?」
「着いて来い。そこで話す」
「え?あ、あぁ」
遊斗に着いていく
~30分ほど~
「着いたぞ。」
「ここって・・・特殊能力者を保護する『ウスワイヤ』じゃないか!?」
「行くぞ」
「え!?」
「そこで話をするって言っただろ?」
「・・・うん」
- 248
:しらにゅい:2011/05/09(月) 23:38:02
- 感想ですっ!
>>231
筋金入りの方向音痴ですねwww
赤い髪の少女とはもしや・・・とちょっとニヤニヤしてる私がここにいます(*´∀`)
ヴァイスを追う一角ですが、彼しか残っていないとは一体・・・
・・・とシリアスに浸ってたらやっぱりまだ迷ってたwww
段々このお兄さんが可愛く見えてくるのは私だけでしょうか(ry
>>232
すれ違ったー!なんという神のいたずら・・・
しかし天河探偵事務所に彼が訪れたことで、これでほぼ確実に次で出会いますね!
さぁ、ここからどうなるか・・・ワクワクですw
>>239
ミサキさんの能力は口裂け女の特徴をよく捉えてますね。
しかし、他人の眼に映る口の裂けた自分の姿・・・少し酷ですね・・・
妖怪ではありますが、それ以前に彼女は一人の女ですから。
>>240,>>244
個性派揃いのクラスにまたしても個性的な転校生がっ!!
「・・・ちょっと残念な人なのかな、頭が。」
とか言って引いてそうですねうちのトキコは(ry
>>234-238
前半は女の子らしくキャッキャウフフしてたのに、後半黒い、黒いよエミちゃん・・・!
女顔はおそらくハヤト君でしょうね、残りの大男は・・・うーん、気になりますw
楽しげに人を殺すエミちゃんも怖いですが、
それを見て何も思わないウミちゃんもなかなか恐ろしいですなぁ・・・
まさにホウオウグループ・・・!
>>245-246
今流行のあれですね分かりまs(ry
でも流石だ凪姉さん!王子様はあなたでしょう!!w
さて、冬也くんの拾った鉄槌が果たしてどうなるのかな・・・
>>247
お兄さんの登場!アースセイバーであるお兄さんは、
一体遊斗くんに何を話すのか・・・
ちなみにこれは連載でしょうかっ?
もし続きを書く際には、最後辺りにタイトルをつけて貰えれば、
wikiを収録する方が大変助かりますのでよろしくお願いします!
続き楽しみにしてますよ(*´∀`)ノ
- 249
:樹アキ:2011/05/10(火) 01:10:34
- ご無沙汰しております樹です!新生活で日々崖っぷちで過ごしております…。
そんなご無沙汰なのにとっても、暗い、です…!全然楽しくない…です…!
お借りした子、しらにゅい様宅:トキコちゃん
初めて他人の声を聞いたのはフラスコの中だった。
やれ生物兵器だとか、やれ自我があるだとか、やれ出来損ないだとか。
自分達が作ったのに文句ばっかり云われても僕にはどうすることも出来ない。
生まれ瞬間に、僕は、出来損ないのレッテルを貼られた。
生まれた意味を考えても結局は人殺しのためで、恨まれて妬まれて。
欲しいと言った事は一度も無いのに半不死身の体を与えられて。
それで僕が何を得るっていうんだ。僕が生きて何を残せるっていうんだ。
僕は一体何なんだ。
「うーちゃんって死にかけた事あるのー?」
砂糖を沢山入れたコーヒー冷ましながら、赤い彼女が聞いてくる。
ただ興味をもっただけ、悪気も他意も一切無く。
「え?ああ…、ありますよ、最初は」
「最初?」
「一ケタで死んでしまう時期、ですかね。高速で過ぎ去りましたけど」
あの頃はちゃんと心身共に痛くて、辛くて。
でも死ぬのは怖くて、僕を生んだ世界を、組織を恨むしかなかった。
生きるために殺してたのはその時期だけかもしれない。
二ケタを超えて、僕は何も感じなくなって、死にたがりになった。
「その時からうーちゃんは捻くれ者の死にたがりなんだねー」
「…死にたがりは認めますが捻くれてますか?」
「結構捻くれてるよー、ちなみにそれ何歳くらい?」
「トキコさんは天邪鬼ですよね、ちなみに10歳くらいだったと思います」
ふーん、と納得してからマグカップに口をつける、
顔を上げたときにはもう僕に興味を持っていなかった。
昔を思い出すとツンと鼻の奥に薬品の臭いが蘇って気持ち悪くなる。
僕を構成する物質の何割が化学薬品なんだろう、そもそも人型にしなければよかったのに。
鼻の奥に残る薬品の臭いが消えなくて、僕は外に出た。
「散歩?」
「ええ、まあ」
「ついでにお菓子買ってきてー」
「…流血なうですけど」
「グッて力入れれば止まるから大丈夫!」
「…………ああはい、行って来ます…」
風が髪を揺らす、少し肌寒いけど気分が落ち着く。
個人的に好きな場所へと足を運ぶ、高い所、空に近い所。
崩れかけたビルの屋上から街を見下ろすのが昔から大好きだった。
世界はこんなにも綺麗なのに僕はどうしてこんなに曖昧なんだろう。
少し体に力を入れて流れる血を止めて、人間ごっこ。
「……馬鹿馬鹿しい」
ふうと息を吐けば、また体からにじみ出る赤。
青い空が何処までも続き、自分が惨めに見えてしまう。
遠くに見える街は僕にとって別世界で、夢の世界。
同時に拒絶される世界。
トキコさんが羨ましい、リオトさんが羨ましい。
能力者だが人間だ、学校にだって遊びにだって喧嘩だって勉強だって何だって出来るんだ。
学校であった話、街で見た面白い物、美味しい物の話をしてる顔はキラキラしてて、
そんなキラキラした顔は僕には出来ない、そんな心も持ってない。
僕は、どうしても人間になれない。
だったらいっそ、狂気に落ちてしまえればいいのに、やっぱり僕は死にたがりで。
小さな頃から心にある、この感情の名前を僕は知らない、知らないけれど。
僕の両目から、重い思いが水分となって零れていった。
+ No Name +
--------
どうしてこうなった→レポートからの逃避の結果…。
うわあ暗い…!!!!
結局彼はネガティブで死にたがりで、学校や街に出れる皆が羨ましいんだと思います。
もしかしたら解決策が生まれて人間に戻れるかもしれないのに、
最初から諦めてるところがもうね…!ネガティブ!!ウツロくんもう少し頑張ろうよ…。
でも学校に通うウツロとかちょっと想像したら気持ち悪くなりました(笑。
結局図書室とかで独りで居そうですよね、あれ、今とあんまり変わってない。
次は楽しい話が書きたいなあ…!
とか言ってたら多分保健室コンビが暴走するんでしょうね!
- 250
:大黒屋:2011/05/10(火) 22:01:30
- 改めて思いました。演出って難しいね★(蹴
鶯色さんより「エミ」「ウミ」、名前はあがってませんが、(六x・)さんより「凪」をお借りしてます。
嘘と思惑と真実と
放課後。生徒たちは皆部活に向かったり家路をたどってりで、教室前の廊下には誰もいない。
一足遅く屋上から降りてきた「獄王」は、傘立てに立てていたブレラを引っぱりだしていた。
『ちょ、ちょっと!乱暴に引っぱらないでよ;』
(ああ、悪かったの;)
紙製の傘を、しかもこの晴れた日に持ってくるのは獄王位だろう。
「…獄王!」
「ん?」
後ろから声をかけられ、振り返る。
面識はあった。同じクラスのエミとウミだ。呼びかけたのはエミの方だろう。
「部活いかないの?」
「いんや。このまま帰るつもりじゃ。部活も入るつもりないしの。」
「ふぅん、そうなんだ。」
返答する言葉に、興味ありげな響きはなかった。
「ねぇ、ちょっと私たちに付き合ってよ。いかせのごれ案内してあげる!」
満面の笑顔を浮かべながら、エミが提案してきた。
「ついでに家まで送ってあげるし。」
「いや、いいわ。誘ってくれてありがとうなw」
獄王はエミに負けないくらいの笑顔で即答した。
ところがその答えにエミが食い下がる。
「いいの?いかせのごれって結構広いんだよ?見せ場とか沢山あるし。」
「わかっとるわ。案内は嬉しいんじゃけど…。」
「ちいと、「嘘」が気になってのう。」
「え?「嘘」?」
「案内なんて、目的なくぶらぶら歩くつもりじゃないじゃろ?強いて言うなら、目的地があった。違うか?」
獄王の質問に、エミはへぇ、と呟いた。
「何でわかったの?」
「「嘘」を見抜くのは得意での。面白いやつなら食い付くところじゃが、そうでもないみたいじゃのう…。」
踵を返し、正面切って前を見る。
「そんなにわしに興味があるか?「能力者」として。」
「まぁね。自己紹介のときとか、結構おもしろかったし。」
いつもの笑顔のまま、エミは言った。
「どんだけふざけても「地獄から来た」なんて言わないと思うからね。」
「それで?わしを何処に連れていく気だったん?」
「それは…。」
「直ぐには答えられない「やばい」所じゃの。なら尚更ついていくわけにはいかん。あきらめるんじゃな。」
最終更新:2012年02月29日 12:48