企画されたキャラを小説化してみませんか?vol.2
- 1:鶯色:2011/04/04(月)
16:19:48
- ここはキャラ企画つれっどにて投稿されたキャラクターを小説化しよう!というスレです
•本編とはかかわりがなく、あくまでもアナザーストーリーという扱いです
•時系列は本編(2002年のGW4月28日~)よりも前の話が主になります
•本編キャラの名前が名字無しカタカナの為、小説ではそれに合わせた呼び方が多いです
•人様のキャラクターを借りる時は、設定を良く見て矛盾が無いように敬意を持って扱いましょう
詳しい説明などは下のURLをご覧ください
•ナイアナ企画@wiki―「はじめに:企画キャラとは」
http://www22.atwiki.jp/naianakikaku/pages/27.html
前スレ
企画されたキャラを小説化してみませんか?
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/28084/1208562457/
- 301
:しらにゅい:2011/05/22(日) 01:49:01
- ***
すべてを彼女に話し終わって、ふと外を見れば、やはり予想通り放課後になっていた。
夕焼けが保健室内にも差し込み、あたりは段々暗闇へ包まれていく。
話の初めに入れたお茶は結局一度も飲むことなく、冷めたままテーブルの上に残っていた。
ののかさんへと視線を向けてみると、こちらも予想通り、俯いていた。
・・・この話は、純粋な彼女にとって酷だったかな。
そんなことを考えていると、不意にののかさんが呟いた。
「・・・その後は、どうなったの?」
「・・・その後は、あまり覚えていません。ただ、気が付けば本国に戻っていて、
自分はベットの上で目覚めたことぐらいですかね。」
「・・・・・・・・・」
そう、奴を殺した後のことは実の所、あまり覚えていない。
夢かもしれないという願いに未だに縋っていたけれど、生き残りは僕一人だけだと上官から告げられた時は、
現実だと認めざるを得なかった。続けて上官から聞かされたのは、あの村は遺体ごと焼き払われ、
実質存在がなくなったことにされたそうだ。それから僕は軍を退役し、日本に戻ってきて養護教諭、
そしてセラピストの勉強をし始めた。ウスワイヤに戻ったのも、この時だったかもしれない。
人を助ける仕事をしようと思ったのはきっと、彼らを殺したことへの責任、もしくは逃げかもしれない。
「・・・っう・・・」
「ののかさん?」
呻き声のようなものを上げたののかさんの顔を覗くと、彼女は大粒の涙を流して泣いていた。
女子であるのに鼻水まで垂らして、でもそんな恥を捨てて、泣いていた。
「うわぁぁぁぁん!!!」
「え、ちょ、ののかさ、」
「うわぁぁああぁぁあ!!!」
鼓膜が破れそうなほど、ののかさんは声を張り上げて泣いた。
流石にこれ以上泣かせると保健医まさかの女子高生に暴力か!?なんて騒動になりかねないので、
僕は泣き止ませることにした。
「の、ののかさん、落ち着いて・・・」
「だぁ、だって、だってぇ!!うわぁぁん!!!」
「初めに言ったじゃないですか!これは同情を誘う話じゃないって・・・」
「だって、だってたまちゃんなんで泣かないの!?」
「え・・・?」
「大切な人が死んだんだよ!?大切な人が死んだのに、どうしてそんな他人事のように喋れるの!?」
泣いて訴えるののかさんに、ただ僕は目を丸くして驚くばかりであった。
過去でもう過ぎ去った事なのだから、もうすでに自分の中で割り切っていたはずだ。
けれども、話したがっていた自分が、そんなに淡々と喋っていたのだろうか。
・・・ああ、でも、言われてみればそうだったかもしれない。
「ったまちゃ、たまちゃん!っえふ、うぅ・・・!!」
「・・・ののかさんは、優しい子ですね。」
そう言って僕は泣き続けるののかさんを、母親があやすように抱きしめた。
ののかさんはきっと、自分が毛嫌いしている「同情」をしてるのだ。
けど、それはただ純粋に自分が可哀想だからであって、不思議と悪い気はしなかった。
「・・・ののかさん、ありがとうございます。」
だから俺は、自分の代わりに泣くののかに感謝をしたのであった。
- 302
:しらにゅい:2011/05/22(日) 01:58:13
- >>293-301 >>293の冒頭で中編―続。と書きましたが、
キレが悪く、最後まで書かせて頂きましたので、後編でお願いします。
タマキ、シズル、の表記が途中でぶれたのは意図的なもので、
表の優しいたまちゃんが切り替わったと解釈して頂ければ幸いです。
ちなみに過去はいかせのごれに来る前を前提にしていますので、
時系列的にはだいぶ前になるかと思います。
アルバートはホウオウグループ員ではなく、ただそれに憧れた学者です。
ツテ?それは脳内保管で(ry
あれ?ロゼ生きてるのになんでこうなった?云々はびすたさんに
お任せしたいと思います。もちろん彼女は「死んでません」。
改行上の関係、9レスを使ってしまいすいませんでした・・・!
とりあえず、たまちゃんの過去はこれで終了です!
感想はまた後ほど投稿したいと思います~
- 303
:スゴロク:2011/05/22(日) 11:25:30
- >しらにゅいさん
玉置先生の過去ですか……色々と重いですね、色々と。
そして医師。単に進化を求めただけなら言いようはありますが、本音があれでは……うちのヴァイスとどっちが壊れてますかね。
- 304
:砂糖人形:2011/05/22(日) 19:47:11
- 放課後の戦い2の続きです
『放課後の戦い3』
「へえ、フウコでもそんなこと言えるんだあ」
「・・・」
睨み付けるフウコ、見下すユウム
「あの弱虫泣き虫フウコちゃんがねえ、ッハハ」
フウコは俯いた、手は思い切り強く握られていた
「・・・い」
「え?なんて言ったのお?聞こえなかったよお~」
「五月蠅いって言ったの!!」
正面に顔を勢いよく上げ、目を見開いた
「!」
「おおおおおうううりゃああぁぁあぁぁぁあぁ!!!!!」
手のひらで台風を突くってユウムへ突っ込ませた
「っ!あぁぁっ!!」
ユウムはフウコの台風には耐えられなく思い切り上へと吹っ飛ばされた
数秒後にフウコはまた手のひらで台風を発生させて、台風を上から下へとユウムをサンドイッチの具のように挟んだ
「ネーちゃんをこんなに傷つけて!!許さない!!」
「っあ!!、くっ・・・!」
台風はユウムに向かって渦巻いていた
「絶対に、許さないんだからああぁぁあぁぁぁぁあ!!」
台風がやむとフウコは疲れ、息を切らしていた
ユウムは地面に俯せになっていた
「はぁ・・・はぁ・・・」
息を切らしながらフウコはユウムを睨み付けた
すると、後ろのから声が聞こえた
「フ・・・ウコ・・・」
「!ネーちゃん!大丈夫なの?!ネーちゃん!!」
フウコは疲れ切ったネイロを抱きかかえた
「え、ええ・・・一時的なものみたい・・・」
「よ、よかった・・・」
「見苦しいところ見せちゃったわね」
「そんなことないよ・・・誰でもあるよ辛いこと」
「うん・・・、そうね」
ネイロはフウコの腕からすっと抜けて立った
「?ネーちゃん・・・」
「・・・」
- 305
:砂糖人形:2011/05/22(日) 19:47:45
- ネイロはユウムの方へ歩き出した
ユウムはまるで捨てられて猫のように弱っていた
「ユウム」
「な、何・・・」
ネイロはユウムをぎゅっと抱きしめた
「!!」
「ユウム貴女こんなことがしたかったんじゃないんでしょう?」
「何言って・・・」
ユウムは驚いてネイロの顔を見るとその透き通った目に圧倒されてしまった
「命令されたから仕方なくとかじゃない?」
「・・・」
「でも、私達は友達。私達二人を傷つけるのが嫌だったんじゃない?」
「だから、私達をわざと貶して攻撃してきたんじゃない?違う?」
「・・・違わない」
「だと思った」
そういって、ユウムに向かって微笑んだ
「なんで、何で解ったの・・・?」
「ユウムの弾丸にその思いが入ってきた」
「!」
「私の悪い記憶とともに、ユウムの気持ちも入ってきた『辛い』とか『傷つけたくない』とか『嫌だ』とか」
ユウムの顔が歪んだ
「辛かったでしょう」
「うぅ・・・うああ・・・、うああぁぁあぁぁぁぁぁ!!」
ユウムはネイロをぎゅうっと抱きしめて大声で泣いた
「もう大丈夫、もう大丈夫だから、絶対ユウムを傷つけさせはしないわ」
「ネ、ネーちゃあぁぁあん!!」
「うん、何?」
「ごめんね、ごめんねっ・・・!うっ、ひっく、ううぅうう・・・」
暫くしてユウムが落ち着くと、フウコがユウムの近くへ来た
「ユウムちゃん、私いっぱい攻撃しちゃった、ごめんね」
「ううん、大丈夫。私こそごめんね、いっぱい酷いこと言っちゃった」
「大丈夫だよ、えへへ」
二人は安心しきったようにお互いの顔を見て笑った
- 306
:砂糖人形:2011/05/22(日) 20:00:32
- 放課後の戦い誰得なNG集
音「で、何の用なの?」
風「はっ!も、もももももしかして、ユウムちゃんネーちゃんに告白・・・?!」
音「そんなわけ無いでしょ!」
ユ「実は、あたし前からネーちゃんのことが・・・///」
音・風((な、何だってー!!!))
風「え、ネーちゃ「触らないでええええええええ!!!!」
風「アーウチ!!」
ユ「なに人なの?!」
ユ「本当だよ、正直に言うとフウコのこともネーちゃんも大っ嫌いなの
フウコはいつもとろくてさイライラしてたんだよね、ネーちゃんだってお高くとまってて
さ何様なのって感じ!
でも、そんなところもひっくるめてネーちゃんが大好きです!!」
風「私の立場が!!」
ネイロはスティックを出して構えた ユウムは、ピンク色の丸いペンダントを出した
「スタート!」
と同時に、ユウムは丸いピンクのペンダントをピンクのドラムセットに変えた
風「何演奏する気なの?!」
音「もう大丈び・・・大丈夫だから」
風・ユ((大事なところで噛んだ・・・!))
音「辛かったでしょう」
ユ「うぅ・・・うああ・・・、うああぁぁあぁぁぁぁぁ!!」
ユウムはネイロをぎゅうっと抱きしめて大声で泣いた
音「もう大丈夫、もう大丈夫だから、絶対ユウムには、キムチとか辛口カレーを食べさせたりなんてしないわ」
風「え?!辛い(つらい)じゃなくて辛い(からい)なの?!」
- 307
:スゴロク:2011/05/22(日) 20:20:45
- >砂糖人形さん
お疲れ様でしたー! 一時はどうなるかと思いましたが、丸く収まったようでひとまず安心、ですね。
……と言っていたら最後は何ーっ!? 読んだ瞬間にシリアスな空気が吹っ飛んでしまいました、変な笑いが止まりません……。
- 308
:大黒屋:2011/05/23(月) 20:53:07
- 2泊3日の鬱憤を晴らすがための殴り書きですごめんなさいorz
自キャラオンリーです。前半は過去編、後半の時系列「返還と受諾」の後になります。
「目的を亡くした地獄の審判」
脚を引きずるように、彼は人気の少ない路地裏を歩いていた。
深手を負った右腕を押さえ、壁に寄りかかって歩く。
その姿はまさしく「満身創痍」。
敗れた黒いコートを羽織り、乱れた髪を晒し、頬についた傷の泥を払った。
彼のたどる道に赤い跡はつかない。
「人外」の彼の中に、血は流れていないのだ。
人間にとっての「当然」がない彼は、人間に助けを求めようとはしなかった。
怖がられるのは眼に見えてるからである。
考えてみれば全ての原因は自分の僅かな油断にあった。
明らかなまでの優勢に油断が生じ、その隙に「武器」を奪われたのだ。
特殊な作りとなっている彼の武器は、彼の力を引き出す鍵の役目を果たす。
それを奪われ、一気に力を抑え込まれたのだ。
そこからがあっという間だった。
直接的ダメージを能力で与えられなくなり、形成は逆転され、完膚なまでに叩きのめされた。
ただ、彼にとって問題はそこではない。
その相手は、自分たちを恐れるはずの「人間」だったからだ。
僅かな段差につまずき、抵抗なくアスファルトの上に倒れ込んだ。
起き上がる体力ももう残されていない。
限りなく黒に近い灰色の風景を見ながら、彼の意識は何処かに消えていった。
――どのくらい時間がたったことだろうか。
眼を開けると、ぼやけてはいたが焦げたような茶色の空間が見えた。
ここは何処だろう。回らない頭で考えられるのはそのくらいだった。
だんだんとはっきりしてきた意識は、周りの空間に輪郭を縁取り、そこが暗い洞窟であることを教えた。
もっと周りを見よう。そう思って体を起こそうとしたその時だ。
全身に切り裂かれるような痛みが襲いかかり、また地面に伏してしまった。
仕方がないので首だけを動かし、あたりを見回した。
人の手が加えられていない、自然そのものの洞窟だろう。
左側から光が差し込み、月明かりに照らされた漆黒の空が見える。
やや高い位置にできているのだろう。麓に深い森と思しきものが見えた。
そして彼は右側に首を傾け、あることに気がついた。
壁の色がやや薄いのだ。
それだけではない。削れ方も自然のものではないと見えた。
近すぎてよくわからないが、恐らく遠くから見れば…。
彼は思考を巡らせる。そもそもここに自分を連れてきたのは誰だと。
「裏路地に倒れていた人外」を態々「人の眼のつかないところに」運んだのは一体と。
急に強い風が洞窟内を駆け巡った。
彼のやや長い髪が煽られ、視界が塞がれる。
その風が止み、彼がもう一度首を左に向けた時。
入口には紫の傘をさした女性がたっていた。
「あら、眼が覚めてたのね。」
女性はそういい、動けないこちらに近づく。
「ごめんね、遅くなってしまって。痛かったでしょう?今、薬草とって来たの。」
「…。」
彼はぽかんとして、彼女を見上げた。
- 309
:大黒屋:2011/05/23(月) 20:57:58
- 自らの腕に巻いていた紫色の包帯を取り上げ、薬草を塗った傷口に巻いていく。
「こんなことしかできないけど、仕方ないと思って我慢してね。」
女性はそういうが、面白い風に痛みが引いていく。
「ああ、ありがとう…。」
彼はお礼を言いながらも、疑問を持った眼で見ていた。
「…怖がらないのね、私のこと。」
「え?」
「貴方、やっぱり『妖怪』でしょ?」
「!!」
彼はそう言われて初めて気がついた。
女性の眼も、自分と同じ血の色をしていたのだ。
「ここはね、身寄りのない妖怪が集まってくるところなの。貴方みたいに連れてくることもあるけどね。」
「そうだったんか…。」
「私は『雨と憂鬱と引籠り』。ヒキコって呼ばれてる。貴方、名前は?」
「…名前?」
『名前』というものに、彼はぴんとこなかった。
今まで名乗ることもなかったし、必要もなかったからだ。
強いて名乗るなら『怪談名』なのだ。
そんなことを考えていると、ヒキコが察したのか、片手を振った。
「あ、いいのよ、名乗らなくても。名前を持たない妖怪も結構いるから。」
「…のう、ここに居る妖怪は、お前だけじゃないんじゃろ?」
「あ、分かる?そうよ。ここにいるのは貴方を含めて4人。」
ヒキコは立ち上がった。
「この洞窟の奥に一人。『がしゃどくろ』のガラクさん。とても大きな骸骨の妖怪だから、もともとここに住んでたの。そして。」
彼女は立てかけてあった傘を取り上げた。
「それでもう一人がこの傘。『忘れられた古傘』のブレラさん。この麓で見つけてね。」
親しみをこめて話すヒキコに、最初は警戒をしていた彼も、徐々に心を開いていった。
ヒキコは過去「人間」だった頃酷い虐待にあい、その影響で引きずられるようにして死んだという。
それ以来洞窟…もといガラクの「掌の上」に引籠って過ごし、夜にしか外に出なくなった。
人間に心を開くことはなく、ガラクやブレラとしか話さなくなったそうだ。
しかし、話を聞かせるヒキコは明るくふるまっており、とても生前虐待されたような人には見えなかった。
「昼間はこの入口が閉じられるから、誰にも見られないの。良いところでしょ?」
「確かにのう…。」
「…ねぇ、暫くここで過ごさない?」
思いついたようにヒキコは提案した。彼は素っ頓狂な声をあげてしまった。
「へっ?;」
「その段じゃ誰かにボロボロにされたんでしょ?絶対復讐とか考えてそうだけど、段取り全くたってそうにないし。」
「う;」
痛いところを突かれた。
「それに怪我が治るまではどこにも動けないだろうし。」
「確かに…。でも、わしなんかがおってもいいんかの?」
「勿論よ?ね、ガラクさん?」
洞窟が僅かに揺れ、低い音が奥底から響き渡った。
「洞窟そのものがガラク」。成程、確かにうかがえる。
「ねぇ、ブレラもいいでしょ?」
ヒキコは傘を開きながら訊いた。
開かれた傘の柄の部分に切れ目。そこが動き、声を発した。
「…まぁ、そうね。せいぜい治るまでは、ね。」
「じゃあ、決まりね!」
ヒキコは彼に微笑んだ。
彼の怪我は順調に回復していった。
献身的なヒキコは、身の回りの世話を何でもこなしていった。
彼はそんなヒキコを、黙って見ていることしかできなかった。
- 310
:大黒屋:2011/05/23(月) 20:58:28
- ある日のことだ。ヒキコはブレラを置き、麓まで降りて行った。
彼は洞窟の壁に寄りかかり、ぼんやりとこの先どうするかを考えていた。
武器を奪われた以上何もできないわけだが、このままヒキコに頼るわけにもいかないのだ。
ならばどうしようかと考えるのだが、何も方法が浮かばなかった。
「…何ぼーっとしてるのよ。」
不意に声が聞こえた。そちらを向く。
壁に立てかけられたブレラが、こちらの話しかけてきていた。
「あんたらしくないんじゃない?」
「…のう、ブレラ。これからわしは、どうすればいいんじゃろうか?」
「そんなこと考えてたの?良いんじゃないの、どうでも?」
「このまま頼りっぱなしじゃ、ちいとの…。」
「…何?あんた『地獄の審判』なのに罪悪感感じてたわけ?」
ふっとブレラは息を吐いた。
「罪悪感持ってたら、魂なんて裁けないんじゃないの?」
「…そうじゃけど…。」
「…分かった。自分の存在理由が分からなくなってるでしょ。」
「!」
言われてみて初めて気がついた。
この世に降り立った目的も何もわからないまま模索し、自分自身を失っていたのだということに。
彼ははっとしてその傘を見た。
表情の隠れた傘が、微笑んでいるように見えた。
「それならもうしばらくぼんやり待ってみれば?もうすぐ、時間だから。」
「『時間』?」
「私たちはね、「主」の保護の元ここで生活しているの。月に一度、ここに来てもらえるのよ。彼女ならきっと、生きる意味と役目を教えてくれる。」
そう言った時、遠くから足音が聞こえてくるのを彼はきいた。
「ほら来た。顔合わせておきなさいよ。」
彼は、巫女服に身を包んだ幼い少女を見た。
夜風に吹かれながら彼は空を見た。
「鉄槌を見つける」という、自分の目的の一つを達成し、安心した気持を静かに表していた。
肩にかけていた傘はその口を開き、遠慮がちに彼に訊いた。
「…ねぇ。結果的に鉄槌は、見つかったのよね?」
「…そうなるのう。」
「…貴方、この先私をどうするつもり?」
かねてからの疑問を、彼女は言った。
「とりあえず私が協力するのは、鉄槌が見つかるまででしょ?この後、ヒキコの元に、返すの?」
その声にはどこか、寂しさが紛れていた。
「…のう、わしから一つ頼みごとがあるんじゃ。」
彼はすこし考え、答えた。
「これからも暫く、わしといてくれんかの?」
「…え?」
「鉄槌を見つけたとはいえ、今預かってもらって手元にないのは変わらん。幻覚しか使えない落ちこぼれに変わりない。」
彼は傘の柄を見た。
「落ちこぼれの手伝い、お前は嫌いじゃないじゃろう…?」
「…たく。しょうがないわね。」
笑い声を含みながら、傘は答えた。
「いいわ。あんたが落ちこぼれじゃなくなるまで付き合ってあげる。でも、たまにはヒキコとガラクの所に連れて行きなさいよ?」
「わかっとる。わしにとっちゃ、主以前の「家族」じゃけぇのう。」
彼はもう一度夜空を見上げ、口を動かした。
「このまま、何も起きんことを祈るだけじゃ。わしはできれば、力を使いたくないしのう…。」
- 311
:大黒屋:2011/05/23(月) 21:08:31
- ・追記・
以上の内容は全て獄王の過去になりますが、満身創痍の前は考えておりません
というのも未だに奪った張本人を考えてないのであしからずorz
そして途中に出てきたヒキコとガラクについて書いておきます
その他扱いで構いません。
名前:ヒキコ(雨と憂鬱と引籠り)
春美に呼び出された妖怪の一人。生前は人間。名前は森 妃貴子。
妖怪や春美とは親しく話すが、張り付いたような笑顔を見せる印象がある。
生前の経験上薬草には詳しく、応急手当程度なら簡単にやれる。
物体を「引く」「持ち上げる」時に異常なまでの力を発揮する力を持つ。(「押す」などに適応はしない)
名前:ガラク(がしゃどくろ)
全長が1キロはあろう大きな骸骨の妖怪。春美に呼び出された。
鳥葬された死者の魂の集合体という説があるが、真相は不明。
動くだけで天変地異が起こるので普段は土にもぐっている。
ヒキコをかくまう洞窟になる代わりに彼女にはよくしてもらっているらしい。
- 312
:十字メシア:2011/05/23(月) 21:54:58
- ようやくマキナを出せたがオワットル\(^o^)/
『愛狂いしボク』
「全く…目を離すとこれですね。何故あんな男に惚れ込んだのやら…」
とある一室の前で、ホウオウグループ開発部ゼアは溜め息を漏らし、部屋の中を見る。
簡素な内装の中、V系バンドのポスターやそれに似通った外見のコンポ、その近くに散らばっているCDとバンドグッズが異様に浮いていた。
だがそれ以上に違和感を感じるのは、所々にある乾いた血溜まり。
その血溜まりがある理由を知るゼアは思わず眉を潜め、この部屋の主が時折浮かばせる狂喜の笑みを思い出した。
「ジングウ様ー♪」
その頃別の場所では、ホウオウグループのエンブレムを模したヘアピンをつけた少女―――マキナがジングウ様と呼んだ、メイド服を着た包帯の男の元へと駆け寄っていた。
「おや、また来たんですか」
「ジングウ様が大好きだからね」
「…それ、何回目でしょうねぇ」
呆れるジングウ。
対してマキナは笑顔を浮かばせていた。
「で?また私に求愛しに来たんですか?」
「それもあるけどー、りーちゃんにお菓子持ってきた」
と言って、マキナは手に持っていたお菓子の入った袋を掲げる。
「おやおや、それは口実のつもりでですか?」
「ジングウ様はどっちだと思う?」
「……口実?」
「そっかー。でもそれとは別だよ?」
「そうですか」
淡々と答えるジングウ。
だがマキナの表情は変わらず、笑顔のままだった。
「ところで何してるの?」
「見ての通り、暇をもて余してます」
「じゃあボクと―――」
「デートしようという事ならお断りですよ」
「やっぱり?」
「暇と言っても、私には貴方に付き合う時間がある訳じゃありませんからね」
「それでもボクは構わないよ。ジングウ様に会えるだけでも十分だし」
「なら誘わなくてもいいでしょう」
「ふふふ」
- 313
:十字メシア:2011/05/23(月) 21:55:49
- するとそこに、擬人兵のサヨリがその場に現れた。
「あ、マキナさん」
「サヨリさん、こんにちは」
「昨日も来てましたよね?本当にジングウさんの事好きなんですね」
「当たり前だよ」
満面の笑みで答えるマキナを尻目に、ジングウが小さく溜息を漏らす。
「サヨリさん、これりーちゃんに」
「あら、ありがとうございます。りーちゃん喜びますよ」
マキナがサヨリにお菓子を渡そうとしたその時、マキナの手からお菓子が落ちる。
それを慌て拾おうとしたサヨリは、マキナの異変に気付く。
「? マキナさ… ッ!?」
ジングウが咄嗟にサヨリの服の襟を掴み、そこから退かせる。
と同時にマキナがハンマーを降り下ろし、地面にヒビが入った。
「ジングウさん…これって…」
「間違いなく『ジェノサイド』ですね」
マキナの能力―――ジェノサイド(狂気化)。
精神を狂気に染める事で、恐怖や苦痛から解放され、力を一気に引き上げる。
強力ではあるが、敵味方の判別がつかない上に、自身の欲望を満たすまでは殺害行為をやめないと、リスクはとても高い。
しかも意思とは関係なく、今の様に勝手に覚醒する事もある。
「あひヒハは、…血飛沫飛ばしてよぉッ!!」
さっきまで浮かばせていた年相応の少女らしい笑みは、狂気に歪んだそれへ変貌し、言葉使いには残虐さが感じられた。
「あひひヒハはははッ!!」
呂律が回ってないかの様な笑い声を上げながら、マキナはハンマーを振り回す。
それを避ける二人。
実際、これまでに覚醒した事は何度かあったが、二人が目にしたのはこれが初めてだった。
「ジングウさん!どうすれば…」
「…仕方ありませんね」
息をついたジングウは次の攻撃を避けた後、マキナの首を掴み、壁に叩き付けた。
「ちょ、ジングウさん!?」
「この方法しか無いんですよ」
「だからって!」
驚愕するサヨリを尻目に、ジングウは暴れるマキナを見つめながら、手に少し力を入れて言った。
「マキナさん…私の事が好きなんですよね?」
「アハはは!大好き!大好き!!」
―――まるで、愛に狂ってる様ですねえ。
そんな事を思いながら、ジングウは続ける。
「じゃあ、私を殺したりしませんよね?」
「…しな…いよ」
「そうですか。なら早く正気に戻って下さい」
「……う」
マキナの手からハンマーが落ちる。
それを見たジングウは、首を掴んでいた手を離し、マキナを降ろした。
「マキナさん!大丈夫ですか!?」
「…うん、ごめんね」
「今日はもう部屋に戻って、休んだ方がいいと思いますよ」
「分かった。じゃあまた明日来るね」
「…御勝手に」
ジングウがその場から離れた後、サヨリは小声ながらも強く言った。
「ジングウさん…いくらなんでも、あんな風に止めるなんて酷すぎます」
「いいよ別に」
「え、でも…」
「寧ろ……」
マキナは笑みを浮かばせる。
それを見たサヨリは身震いしそうになった。
「ジングウ様なら、殺されても構わない」
そう言うマキナの笑みには、愛に魅入られた様な狂気が混ざっていた。
お借りしたキャラは、akiyakanさんより「ジングウ」「サヨリ」「レリック」(名前のみ)、あそもりさんから「ゼア」でした。
何か暗い内容だな…orz
- 314
:鶯色:2011/05/24(火) 03:03:24
- 時系列は『寄り道』の後、エミウミが主軸です
―――――
ホウオウグループの基地内
ウミが廊下を歩いていると、童顔で赤眼の少年、リオトがいた
リオトはウミの姿を目で捕えると、駆け寄ってきた
聞けば、エミとウミの2人を探していたらしい
「今日は一人なのか」
「ええ、私達に何か用事?」
「ゼアが呼んでいたんだ」
「残念、エミは今ホウオウグループのお医者さんの所よ」
「お医者さん?…ああ、クランケのことか」
「ええ、この前任務外のケンカで無茶してね」
先日起きたウミの言うそれは、あくまでも情報収集の一環だった
しかしエミはそれによって予定外の傷を負った
と言っても相手が強かった訳でも何でもなく、エミの意識の低さが招いたものである
その事を思い出し、ウミは憂いの表情を浮かべる
エミには後で伝えておくとウミが引き受け、リオトの人探しは完了
だが、リオトには任務外の事より別の事が気になったようで
「そういや、クランケとエミってどんな関係なんだ?」
「あら、気になる?」
「よく一緒にいる所は見るが、クランケはエミの事嫌がっているように見えるからな」
ウミは意外だとでも言いたげにリオトを見る
リオトにとっては純粋に気になっていた話題のようだ
実際、エミは以前からウミと協力してクランケを弄って遊んでいる
ウミにとってはよく飽きないね、と思うほどだが
よっぽど気に入ってるのか、エミはクランケ弄りを続けてきている
クランケも多少は慣れたようで、本来のお人よしな性分もあってかただ迷惑しているわけでもないらしい
といってもこの状態を好き好んでいるということでもないようだが
「どんな関係、ね。傍目からみると不思議かもしれないけど」
「エミはあのクランケの事どう思っているんだ?」
「そうね、あんまり話すと怒られちゃうし、本当の所どうなのかは曖昧。でもしいて言うのなら…」
一呼吸おいて、こう呼ぶのが一番いいだろうと考えた
「玩具みたいな存在、かしらね」
- 315
:鶯色:2011/05/24(火) 03:04:13
- 「いたたっもっと優しくやってよ!」
「ここまで酷ければ痛いのも当たり前だろう、我慢しろ」
「ひどーい、クランケってそんな非道な人だったっけ?」
「…黙って大人しくしていろ」
「はいはーい」
医務室の一画
エミはそういってむくれた顔で治療を受けている
そんな顔をするなら無茶しなければいいのに
エミがこの部屋に訪れたのはついさっき
いつも通りの笑顔と、それに見合わない、真っ赤な包帯を腕に付けて
聞けば、それはわざとつけさせた傷だという
ホウオウグループでは冷酷な演技をしようと努めているが、これには流石に顔をしかめた
そして、その反応にご満悦なエミにも
治療を始めて、傷を目の当たりにしてもそれは同じだった
「随分と派手にやったな」
「そう?腕だけだから大丈夫だと思ったんだけどなあ」
「場所の問題ではないだろう、ヘタをすれば機能しなくなっていたかもしれないのに」
きょとんとしたエミに、ため息を吐きたくなる
「今回の傷はいつもより深い。避けれる攻撃なら避ければよかっただろう」
「痛みも何も分からなくできるから大丈夫だって」
「…それが問題なのかもしれないな」
「へ?」
エミの能力は微弱な電流によって人体にあらゆる効果をもたらす事ができる
自身には潜在能力の引き出し、痛覚マヒなどの有利な効果を
敵には動きの操作や封じ、心臓を止める事も可能だと言っていた
でも、自身の身体能力や耐久力は変わらない
- 316
:鶯色:2011/05/24(火) 03:05:34
- 「痛覚は戦う上でデメリットに働くのはわかるが、同時に体を守る働きもあるんだ、
もし痛みを感じるのなら、わざわざ敵の攻撃を貰いに行くような事も無かっただろう?」
「でも痛みがあったら隙も出来ちゃうし、戦いづらくなるんだよ」
「だから、痛みを感じないのは強さじゃないんだ」
「クランケには関係ないでしょう」
「医者としては患者に忠告するのは当たり前だろう」
「もう、これ使わないと戦えないの!」
反発するエミ、自身の信じて来た戦法を否定されているようなものだから無理もないかもしれない
しかし、最悪命にも関わる問題だから医術を持つ立場としては黙ってもいられない
潜在能力引き出しもリミッターを外すものだから、合わせて酷使すればかなり危うくなる
…素の自分を理解している彼女になら、こう言っても大丈夫だろう
「エミ、もっと自分の体を大事にしてくれ」
「っ!?」
労わりの言葉に、今度は軽く困惑しているようだ
ウミもいないから、こちらが何を考えているかわからないのだろう
…そういえば、こうやって心配する事を言うのはホウオウグループでは初めてかもしれない
素は出さないようにしてたのに、失敗したかもな
でも僕もこの表情を見るのは初めてだから、おあいこだろう
「余計なお世話、クランケの癖に生意気よ」
「癖にとはなんだ癖にって」
「それにね、もし動かなくなっても、千切れても、クランケが治してくれるからいいの」
「まて、いくら医者でも出来る範囲があるんだ、医術は魔法じゃない」
「怪盗って人外なんだからそれくらい簡単じゃないの?」
「それとこれとは関係ない、特殊な技術がつくものではないんだ」
「なんだ、つまんないの」
「あのなあ…」
そうやってまた笑うエミに、拍子抜けする
さっきの話を聞いていなかったのか?
ああ、またペースが狂う。これだからこいつは苦手なんだ
- 317
:鶯色:2011/05/24(火) 03:08:40
- 包帯を巻き終えて、ぽんとそれを軽く叩いた
「終わったぞ」
「なにこれ、ぐるぐる巻きで動きづらいよ」
「あれだけ大きい傷だったからな、しばらくは安静にしていろ」
「もう、こういうときは意地悪なんだもんな」
「なんとでも言え」
むくれるエミを他所に、治療道具の片づけを始めた
「…ねえ」
「ん?」
顔を上げれば、彼女はドアの前に立っていた
さっきまでのむくれた様子は無く、いつもの様子でこちらを見ている
「次もよろしくね」
そう言うと満面の笑みを浮かべ
こちらの返事も聞かずに部屋から出て行ってしまった
「…あいつは話を聞いていなかったのか?」
呆れてため息を吐きつつも、頼られる事にまんざらでもないのは否定できなかった
ホウオウグループのお医者さん
(しかし、次が訪れる事はもうないだろう)
(約半年後、クランケはホウオウグループを脱退)
(それを受けてエミは彼の処分を名乗り出た)
(忠告は、彼女には届かない)
―――――
と言う訳で、大黒屋さんより『クランケ・ヘルパー』、紅麗さんより『高嶺 利央兎』お借りしました
演技中のクランケは見るのも書くのも久々となりますね
そろそろ本題に入っていきたいと思うのですが、書きたいものが多すぎててんやわんやってるので
若干別のお話へと寄り道する予定です、ご了承を。私としても早く書きあげたいのですけどねw
wiki編集などもそろそろ力入れていかないとなあ、更新停滞していて申し訳ないです
- 318
:キャスケット:2011/05/24(火) 20:43:14
- はじめて書かせてもらいます^^
「帰宅中の話」
オツユウ学園からの帰り、虎雪たちはにぎやかだった。
虎「…で!俺超笑っちゃったんですよ!」
李「へぇ、その人も馬鹿だね。そう思わない?瞳子。」
瞳「そうね、余程の馬鹿じゃないとねぇ。まさか、トランプでイカサマしようとして思いっきりばれるって。」
乃「全くだ……。」
上から虎雪、李那、瞳子、乃瀬でズバズバとその相手に対して容赦なく言う。
その中で一人、居心地悪そうにしている人物がいた。人物はいつになくそわそわしていて、はたから見ていて気持ちが悪かった。
虎「あ~れ~?一助先輩、何そわそわしてるんですか~?」
一「ぅえっ!?い、いや何にもないが。」
瞳「何そわそわしてるのよ気持ちらるいわね。」
一「ちょ、ひどっ!!ちょっとひどくないか瞳子!?」
瞳子の言葉にものすごい勢いで反論する一助に、乃瀬はさらに追い打ちをかけた。
乃「その通りだろ、兄さん。…イカサマしたのは兄さんなんだろ?反論なんか出来ないと思うけど。」
一「ばっ馬鹿!言うんじゃない!!あぁ…、ばれないと思ったのにぃ……。」
李「その考えからして馬鹿だとあたしは思うよ、一助。」
瞳「馬鹿。あんたって、本当に馬鹿ね。」
一「もう何も言わないでくれ………。」
へたり、と道に座り込む。一同はそれを邪魔そうに見たあと、その場で話し出した。
李「そう言えば、最近トランプやってないなぁ。」
乃「そう言えば、俺もやってない。」
虎「そういや、俺もやってないなぁ。瞳子先輩は?」
瞳「わっちもやってない。」
ぴくぴくと一助の耳が動く。
虎「じゃ、皆でトランプやりません?」
李「ナイスアイディア!!」
乃「場所は家でいいですか?今度の土曜日で。」
どんどんと話が進んでいく。一助が内心期待を抱いて顔を上げると、そこには瞳子の顔があった。
それを見た一助は後ずさる。
「人の顔を見て後ずさるなんて、最低。」
「す、すいません。」
「もう、こんなに誘ってやってるのにあんたは見向きもしないで…。」
「は?」
すくっと立ちあがって周りを見た。皆一助の事を見て話していたのだ。
呆然としている一助に瞳子は手を差し伸べた。
「ほら、トランプやらないの?一助。」
「……あぁ!!やる、やるよ!!」
その後、ワイワイと話しながら帰っていく一助たちの姿が見られた。
- 319
:樹アキ:2011/05/24(火) 23:50:44
- 素敵なお話に家の子がちらちらいて毎度嬉しい限りです!
今回は十字メシアさんのお話の続きのようなそうでないような…。
蛇足として考えていただければいいなー、なんて。
お借りした子→十字メシア様宅:カナミちゃん、しらにゅい様宅:トキコちゃん
「かなみょんおはよー!」
「あ、ののかちゃん、おはよう!」
「おりょ?かなみょん昨日なんかあった?」
「え?」
「なーんか目が赤い気が…また泣き虫さん?」
「えっ!?いや、そんな、そんなことないですよ!?」
「ほんとー?」
「はい!本当です!」
「ぷぅん……ならいいんだけど」
「でも、さすがののかちゃん、侮れない…」
「あ、やっぱりなんかあった?」
「しまっ…、えーっと」
「んでも、昨日よりかなみょん楽しそうだよね?」
「どっちかと言うと…嬉しい、の方が近いかな…?」
「泣くほど嬉しいこと?」
「泣くほど悲しいことの後にとっても嬉しいことが起きたっていうか…」
「じゃあ最終的に嬉しいことだったんだね!」
「はい!」
「いいなー嬉しいこと、どんなこと?」
「んと…、新しいお友達が増えました!」
「なにぃ!!どんな人!?男の子女の子同い年先輩後輩学校いっしょ!?」
「の、ののかさん…」
「あ…あははー、つい…」
「えーっと、男の子で年はー…聞きそびれちゃいました…」
「男の子なんだー、え、イケメン?」
「そこですか…」
「えへへー、だって女の子だもーん」
「うーん、カッコいいと思いますよ?性格に難ありですけど」
「嫌な人?」
「死にたがりの寂しがり屋さんなんです」
「むう?」
「どうしたんですか?」
「死にたがりさんってどっかで聞いたような…」
「あれ、そうなんですか?前も来た事あるみたいだったし、その時でしょうか?」
「むーん…、どこだったかなあ…」
緋色のあとで
「っくしゅ…!!」
「あれ、風邪でもひいたのー?」
「おかしいな、体の構造上風邪なんかひかないのに…」
「うーちゃん噂されてるんじゃない?」
「トキコさんほど派手に暴れた覚えはないんですが…」
「…最近うーちゃん毒舌だよね」
「そうですね、キャラ立たせないと」
「えっ!うーちゃんそんな努力してたの!?」
「結構必死でキャラ立たせようとしてますよ…」
---------
どうしてこうなtt体調不良からの逃避ですよ…!
せっかくいいお話書いて頂いたのに何かこんなんなってすいません…!
結局ののかは死にたがりさん=ウツロにならないと思います、アホだから。
カナミちゃんとウツロの、不思議な関係が微笑ましいような切ないような…。
ののかにしてもウツロにしても、優しい人が近くにいて本当に幸せ者だと思います。
- 320
:紅麗:2011/05/25(水) 00:12:35
- このスレももう300に達しているだとっ…!?
素敵な読み物が多くてニヤニヤです(^p^)
さて、今日は特別な日と言うことで
さぷらいず!
なんか…変だ。
オツユウ学園いかせのごれ高等学校二年一組の自分の席で、アタシ、榛名有依は今までに無いような違和感を感じていた。
何が変かっていうと、リオの奴がアタシの所にこないってことだ。
…いや別に来て欲しいわけじゃないぞ。本当だぞ。
それに心無しかクラスの友達やトキコとかもアタシに話しかけに来ないような気がする。
……アタシ、何かしちゃったのかな。
ここ一週間くらいの自分の学校生活を頭を抱えながら思い返してみた。
………──
……──
…─
「何も…してないよな」
そうだ、アタシは何もしていない。
強いてしたことを上げるならば、リオのメロンパンとトキコの弁当を半分程食べたぐらいだ。
…天から「それが原因だ」とか聞こえたような気がしたけど、無視無視。
そうこうしている間に校内にチャイムが鳴り響いた。
ああ、やっと帰れる、とアタシは安堵の溜め息をついて鞄を持ち椅子から立ち上がった。
妙にアタシの動かした椅子の音が大きく響く。
……どうやら、放課後だというのにも関わらず椅子から立ち上がって教室から出ようとしたのはアタシだけらしい。
皆4、5人で固まってひそひそと何かを話している。
…気分が悪い。
「ねぇ…あんた達帰んないの?」
「あー、ちょっと用事があって…な?」
「そうそう、ユウイは関係ないんだし帰れば?…邪魔だし」
赤髪の少年、アカヤとその隣にいたナオヤがアタシの質問に答える。
ナオヤをぶん殴りたい衝動を抑え、ちらちらと視線を逸らすアカヤに疑問を抱きながらも
アタシはこの妙な教室から一刻も早く逃げ出したく、扉を勢いよく開けた。
「…なんなの、もう…」
リオと1日話さないだけでこんなに辛いなんて。
クラスの皆と話が出来ないことがこんなに寂しいだなんて。
気づけばアタシの視界は滲んでた。
いつからこんなに弱くなってしまったんだ。
皆も皆で、アタシが嫌なら嫌って言えば良いじゃない。
どーせアタシは数学が出来ませんよ、走り方がおかしいですよ!!
とアタシが心の中でぎゃあぎゃあと騒いでいると、ポケットの中の携帯が突然震えだした。
──だーれよりも速く走り抜けろ!もたもたしてると遅れちゃう!──
リ オ ト だ ! !
光の速さで携帯を開く。
やはりリオからのメールだ!
アタシはサンバでも踊り出しそうな勢いでメールの文章を読む。
内容は、渡したいものがあるから二年一組の教室に来て欲しい、というものだった。
正直、あの変な雰囲気の教室に行くのは気が引ける。
が、リオがアタシを呼んでるんだ。
行かないわけにはいかない。
…だから違うって、好きとかそんなんじゃないって!
アタシは携帯をポケットに戻すと、くるりと先程とは正反対の方向を向いて歩みだした。
- 321
:紅麗:2011/05/25(水) 00:13:22
──二年一組、教室前
……なんか、怖いぞ。
窓から中を覗こうとするが、カーテンのようなもので遮られていて全く確認出来ない。
ま、まさか調子に乗ってしまっているアタシをクラスの全員でぼこぼこにするとか…!?そ、そんな…。
アタシは教室の前で数分間立ち尽くしていた。
その理由は勿論、入るか入らないか、だ。
「……ふぅ」
暫くしてアタシは緊張が解けたように深い溜め息をつく。
悩んでいたってしょうがない。
前に進まなきゃ何も始まらないんだ。
そうやって自分で自分の背中を押すと、アタシは教室の扉をひっぱたくように開けた。
「あんた達アタシが何
『はっぴぃいいばーすでぇぇええゆーいちゃん!!!』
「そげぶ!!」
アタシが扉を開けると同時に、何か柔らかいものが顔全体に張り付いてきた。
それと共に女子生徒…多分、トキコと思われし少女の声が聞こえた。
アタシは奇声を発しながら地面へと突っ伏す。
そして慌てて顔に付いたものの正体を確かめ始めた。
なんだか、甘い。
………甘い?
「ぶっははは!ユウイ!えらい顔しとんぞ!」
「もー…トキコはしゃぎすぎ!」
マサカズの爆笑する声ととケイイチの苦笑が聞こえてくる。
アタシは顔中のケーキが落ちるのも気にも止めずにガバッと身体を上げた。
アタシの目の前にはクラスの皆が。
アタシのクラスの人だけじゃない、隣のクラスである筈のトキコやリオまでいる。
「な…何…皆、何して…」
「今日はユウイの誕生日だろ?だからオレらでサプライズパーティーしようぜって結構前から計画してたんだよ」
「リオ君が半ば強引に、だけどね」
「うっせ!!」
…すっかり忘れていた。
今日は5月25日、誕生日だ…アタシの。
「覚えてて、くれたんだ…」
皆がアタシを避けていたのもコレのせいだったのか。
アタシは身体中から重いものが抜けていく気がして、みっともないがぽろぽろと泣き始めてしまった。
「泣くなよー!プレゼントだってあるんだから!」
リオが小さな箱をアタシに差し出した。
アタシはそれを受け取ると…
「てんめリオ!!アタシがどんだけ辛い思いしたと思ってんだ!!!」
「!?な、なんで怒んだよ!いだだだだだだ!叩くな!」
クラスメートの笑い声が響く。
…皆のおかげで、今日は人生で一番幸せな日になりそうだ。
- 322
:紅麗:2011/05/25(水) 00:17:21
- と、いうわけで
ユウイ誕生日ネタでした!
……べ、別に最後の方手抜きなんかじゃないんだから!
時系列は無視していただけるとありがたいです;
お借りした子は
しらにゅいさん宅からトキコ
本家からケイイチ、マサカズ、ナオヤ、アカヤ君でした!
もっと色んな方の娘さんや息子さんを動かせるようになりたいです…
- 323
:rye@カケラ1/3:2011/05/25(水) 20:30:44
- B子は黙ったまま弥風を見る。
「ていうか途中から私空気かよ」
B子は文句を言う。だが、弥風が気になるのでそっと弥風に近づいた。
そして笑顔で弥風に問う。
「どうしたのさ…急に」
「別に」
(…コワッ)
B子は弥風に驚いて弥風の席から引き下がる。
「おい、チゲ」
B子もついにちg…シゲナガをチゲと呼んだ。
そして眼を鋭くさせ、シゲナガを睨んだ。
「んだよ…あとチゲ言うな」
「弥風どうしたのよ…ていうか、あんたに対して扱いひどくない?どうでもいいけど」
「あのなぁ、…とにかくそれは聞くな」
シゲナガが急に静かになる。そしてB子はよくわからないままうーと言って席に座る。
「あー、シゲナ…」
ケイイチが気になったので、シゲナガに話しかけるケイイチだったが無視された。
(俺じゃあ、弥風を…あの時のように…戻せない…)
シゲナガは心の中でひっそりと思った。そして…。
「B子、後はよろしくな」
「へ?」
シゲナガは耳元でささやいた。それを聞いたB子は不思議そうにシゲナガをみていた。
ケイイチは弥風を心配そうに見るが、なぜか急に悲しくなってきた。
ユウキはいつの間にかケイイチのノートに落書きをしていた。その数分後、ケイイチがユウキをボコったのは言うまでもない事実である。
イオリの姉は本編にいたほうの人であって、あるお方のオリキャラ様ではありません。
あと今回少なくt…ちゃんと書かなきゃ…ごめんなさい。
- 324
:大黒屋:2011/05/25(水) 22:02:24
- 妖怪キャラが増えてきたので、そろそろ定義づけ、本家との矛盾解消、伏線張りを兼ねまして。今回ストーリーに力は入っておりませんorz
自キャラオンリーです。時系列は「トオルカトオラヌカ」と同時進行になります。
守れぬ笑顔
しかしながら、と彼は空を見る。
その前に言葉があったわけではない。ただなんとなく、その言葉から始めたかったのだ。
一人アカノミの元へと向かう彼の足は、獣道に均等に跡をつけていく。
「刷り込まれた」機械的な歩き方を彼は不満に思いながらも、訂正することなく歩を進めていた。
しかしながら、と彼はもう一度その言葉を頭に流した。
生前、自分の運命がこんな方向に転がろうとは誰が予想できただろうか。
輪廻転生から外され「存在」となり、偶然が重なって再び姿を成した。
奇跡ともいえるその路は、恐らくその時審判を務めていたゴクオーにも予想がつかなかったことだろう。
しかし、妖怪としての血を手に入れた彼も、最初は自らの力に戸惑った。
それどころか、逢魔ヶ刻にあたる午後5時55分には力に押し任され、人間を襲っていた時期もあった。
はっきりいえばあの時、完全に主に従えていたわけではなかったのだ。
それでも今、こうしていられるのは主の「妖怪の主」たる力故か。
「…妖怪の主たる力…。」
師範から一度きいたことがある。
一重に「妖怪」といえども、いくつかの種類に分けられると。
既にいる生物が特殊な進化を遂げた者と、語られることで鬼門の奥に作り出される者の主に2種類。
鬼門の方は更に分類が可能なのではないか、と彼は思っていた。
そう。「主に召喚された妖怪」は別に考えるというものだ。
「百物語」で語られた妖怪は100。そのうち姿を成しているのは99。
血の色の眼と辛い過去を持った99人だ。
彼らはその能力により力を制限され、人を襲うことをやめ、平和を守るための役割に徹している。
人を襲うのを止めるよう言いつけたのは勿論主だ。
しかし、全てがすんなりといいつけをきいたわけではない。
そこまで考え、彼はふと顔を上げた。
そうだ。「どうして主に従っているか」を忘れている妖怪がいるのではなかろうか。
彼の頭には、先日のキムナの一件がよみがえっていた。
主とはいえ幼い女の子。力で簡単に抑え込める。そう思ったのだろう。
しかしながら、と彼はまた復唱した。
常に共にいる彼にとって、また、その力を身をもって知った彼にとって、主を恐れないことがどれほど恐ろしいことかは重々承知できていた。
勿論、陰陽師としての素質もある。というより、妖怪達を従えたのはその影響が強いだろう。
だがそれ以上に、彼は恐ろしいものを見ていたのだ。
『私、これを最後に語る「百物語」にする。』
思いつめたような顔で彼女が言ったのは、記憶に新しい。
ホウオウにとらえられ、能力を強要されたのが影響していたのだろう。
彼は黙って、彼女の意志に従うことしかできなかった。
『「百物語」で語られるのは、現代の恐怖を「纏った」100の恐怖。100の妖怪。』
その100を背負うには、彼女にはあまりにも荷が重すぎる気がした。
『もう、決めてるの。運命の鍵を握る「100番目の怪談」。』
ゆっくりと語りだした主の姿は残酷なまでに美しく、喚起するほどに哀れなものであった。
語られた「百物語」が、姿を成すことはなかった。
代わりに生まれたのは、主にのしかかる「苦痛」。
息を乱す彼女に寄り添えば、彼女は片手をあげて制し、こう言った。
『――これで、私も「皆」と同じだよ…。』
どうして止められなかったのか。
その問いかけは自分をさらに追い詰めた。
生前も転生後も、自分は誰ひとりとして守れていないことに、笑顔を生み出せていないことに気付いたのだ。
「…たく。これでは血を抑えてもらっても意味がないようなものでありマス。」
彼は僅かに背をそらし、木の葉で見えない空を見上げた。
背負った鋏が、キィと音を立てる。
この手で、この鋏で、一体何人の「存在」を消してしまったのだろうか。
今も自らの世界を彷徨い続ける「存在」を、外に出すことなど彼にもできはしない。
できることは、罪を償うこと。そこまで分かっているというのに。
何もできない無力な自分が、腹立たしくて仕方がなかった。
「…と、そんなこと考えている場合ではなかったでありマスね。」
彼は軽く頭を振り、眼の前の道に集中することにした。
今できることと言えば、主のために動くことだけ。
それ以上も、それ以下も、彼は決して求めないことを旨とした。
求めれば失うだけ。そう思っているのだから…。
- 325
:(六x・):2011/05/25(水) 23:15:38
- 自キャラのみ。
私の弟分が大変なことになった
「それでな、このthatが何を…って、お前聞いてんのか?」
「はっ!はい、聞いてますよっ」
「わからないとこだらけで頭がポポポポーンつったのはお前だろ。一年生諸君、このアホ片付けたらすぐ出てくから安心してくれ。」
「お構い無く!」
「むしろ大歓迎です。おい冬也、凪先輩に迷惑かけてんじゃねーぞ(げしげし」
「あぅ…すみません…。」
「わかればいいんだよ。さぁ問題解きましょうね。」
「う…はい。(目が怖いよぉ」
一時間後
「ん、正解だ。よく頑張ったな。」
爪ス゚-゚スノ(・o・リWなでなで
「んにゃぁー///」
「…っ///」
「「クッソォォ!リア充爆発しろ!!」」
「「男子うるさい」」
追記
「凪姉」
「なんだ?」
「大好きです。」
「ありがとう。でもそろそろお姉ちゃん大好きはアレだぞww」
「どうして…」
「は?」
「ずっと好きなのに、どうしてわかってくれないの?!」
「お、おい、冬也?!」
- 326
:(六x・):2011/05/25(水) 23:59:34
- 続くよ。
もう逃げられんぞ凪姉…
「王子様はお姫様より騎士♀を選びました」みたいな内容の絵本で、凪の冬也に対する意識がちょっと変わるような話も書きたいと思ってるんですが、そこまでのフラグを誰かにお任せしてもよろしいでしょうか?
- 327
:スゴロク:2011/05/26(木) 01:13:54
- >(六x・)さん
では、早速私が拾わせてもらいますね。短いですが、「火波スザクと恋心のお話」系列になります。
「はぁ……」
放課後の廊下を歩きながら、僕は盛大にため息をついた。今日一日で何回目になるだろう。
「……はぁ」
理由は簡単。どうも最近、トキコと目を合わせづらいということだ。
ヴァイスの一件の時、高揚した気持ちに任せて告白したはいいんだけど……トキコの方からのリアクションがさっぱりない。
(もしかして、僕はフラれたのかな……)
そんな考えが頭をよぎり、背筋が少し冷たくなった。正直僕は、受け入れるだのなんだの言いながら、そうなった時のことを全く考えていなかった。
(……他の連中を笑えないな、僕も)
アオイに相談したら、「事情がかなり特殊ですし、そうそう答えは出せませんわ」と言っていた。まあ、確かに、それはそうだろう。
大体、最初にアプローチかけたのは僕だ。いや、「あれ」をアプローチと言っていいのかどうかは知らないけど。
とにかくそういうわけで、最近は読書にも何だか身が入らない。行方不明の「幻想物語」第4シリーズも、買い直す気はさすがに起きない。あれのテーマは「愛」だった気がするから、是非とも読みたかったんだけど。
そういえば誰かが愛について語ってたことがあったな。互いに……。
(あれ、僕は何を考えてるんだ)
思考がどんどん別の方向に向かっていた。これはもしかして逃避の一種だろうか?
「あら。姉様、今お帰りですの?」
「アオイ?」
階段を降りようとした所で、下から上がって来たアオイと出くわした。鞄を提げている所を見ると、忘れ物か何かだろうか?
「どうしたんだ?」
「姉様を迎えに来たのですわ。なかなか来られませんもの」
「ああ、そうか……ごめんな、遅くなって」
「いえ、いいですわ。では、帰りましょうか」
「そうだな」
二人連れ立って階段を降り、踊り場を回って下に向かう。と、
「―――してわかってくれないの!?」
「お、おい、冬也!?」
「「?」」
廊下の向こうからそんな声が聞こえた。気になって顔を出した、
「うわっ!?」
「あら?」
その瞬間に、隣を誰かが走って行った。あれは確か……。
「1年の、冬也だっけ?」
「凪さんの……ええと、何と言えばよろしいのでしょうか?」
「弟分と言うか、何と言うか……」
「あっ、スザクにアオイ! 冬也見なかったか!?」
今度は凪が走って来た。随分混乱しているようだけど、何があったのだろうか。
- 328
:スゴロク:2011/05/26(木) 01:15:36
「凪? どうしたんだ、一体」
「いや、それが……」
凪の言う所では、英語がさっぱりわからず困っていた冬也を教えに1年の教室に来ていたらしいのだが、その際のやり取りが、
『凪姉』
『なんだ?』
『大好きです』
『ありがとう。でもそろそろお姉ちゃん大好きはアレだぞww』
『どうして…』
『は?』
『ずっと好きなのに、どうしてわかってくれないの?!』
『お、おい、冬也?!』
だったらしい。
「ワケがわかんない……どうしたんだ、冬也のやつ」
『………』
「あれ、二人ともどうした?」
「……何でもない」
「……何でもありませんわ」
「?」
疑問符を浮かべる凪を横目に、小声で言葉をかわす。
(あれでわからないって……ちょっと待てよ)
(凪さん、これはちょっと……)
(まあ凪の場合、冬也の感情が弟→姉のそれだと思ってる節があるからな……)
(先入観は事実を見えなくする……よく言ったものですわ)
一頻り話したあと、揃って凪に向き直る。
「……仕方ないか。冬也は僕が追っかけて話をする。アオイ、頼むよ」
「ええ、お任せを」
頷き合ったのを合図に、僕は走って行った冬也を探し、階段を駆け降りた。
伝わったのか、伝わらなかったのか。その違いはあっても、僕と彼は似たような存在だったから。
「……スザクはどうしたんだ?」
「その内わかりますわ。ところで、凪さん?」
「ん?」
残されたわたくしは、凪さんに声をかけました。無論、姉様から頼まれた通りにするのですわ。
「聞いた話ですけれど……あなた、冬也さんの『騎士』を自称しているとか」
「だ、誰から聞いたんだ……まあ、そうだけど」
「では、一つこちらをお読みになって下さいます?」
鞄の中から取りだして渡したのは、一冊の本。いわゆる「王子とお姫様」ものの話なのですが、これは少し経過と結末が違います。
「これは?」
「読んでみれば、冬也さんの想いが少しはおわかりになるかと」
「……?」
それぞれの恋路、それぞれの戸惑い
(すれ違う感情、届かなかった想い)
(逃げ出した彼を、朱雀は追う)
(同じく、想いを打ち明けた者として)
余談。
「見たことない本だな……これ、どこで?」
「昔、頂いたものですわ。ツバメ叔母様の作品ですの」
というお話でした。……スザクと冬也の顛末に関しては、そちらで拾って頂けるなら嬉しいですし、でなければこちらで拾います。
「私の弟分が大変なことになった」の続きですが、放課後なのか昼休憩なのかと、前後のシチュエーションがわからなかったので、一応放課後ということで書いておきました。
- 329
:(六x・):2011/05/26(木) 15:54:15
- スゴロクさん
フラグ回収ありがとうございます。
はい、放課後ですねー。
冬也とスザクの組み合わせは珍しいのでそちらでお任せして、凪とアオイの方はこちらで書いてもよろしいでしょうか?
- 330
:スゴロク:2011/05/26(木) 17:07:38
- >(六x・) さん
了解しました! では、アオイの方をよろしくお願いします。
……さて、こちらはどうしよう。
- 331
:サト:2011/05/27(金) 00:17:47
『…ぐわっ…ひどいなこれ』
『気持ち悪ィ…』
ハヤトたちの意識が浮上し、ゆっくりと覚醒した先には
肉片と化した死体たちが辺りに散乱した荒廃した大地
そして、赤い空
異様な空間
『…ぐぅっ』
『由衣、無理すんなよ』
『へーき。ハヤト。それよりここは…』
『ここは彼女の意識であり過去の空間。今彼女はこのどこかにいるの』
『こんな…広いとこのどこかに…?』
エダは辺りを見回してため息をつく。
見渡す限りの死体の山とたちこめる硝煙
見つかる気がしない。本当にこんな場所にスイネがいるのだろうか
『うだってても始まらないわ。探しましょう』
リエがうなだれるエダの背中を支えてあるきだす
ふみしめる土の感触はなんとも気色悪く
由衣には刺激が強いようで常に口許を押さえていた
『さみしい…場所だな』
『シスイもそう思うのか』
玉置はシスイの言葉に同調するように空を仰ぐ
何かに阻まれることなく広がる空なのに、
なぜか自由がないような空
『…?』
見つめていた空の上から、何かが落下してくる
ゴミ?鳥?いや、違うあれは
『ケイイー…!?』
ドサッと死体の山に降り立ったケイイチに皆が目を丸くする
どういうことだというようなケイイチの瞳に玉置が答えた
『見たのか』
『スイネ…虫の息だった』
『ここがどこだかはわかるか?』
『前にも一度スイネの意識に入ったことはある。
…こんな場所ではなかったけど』
『なら話は早いね。…急ぐよ?時間もあんまりないしね~』
春美はにっこりと笑って先陣を切る
その後ろ姿に見覚えのないケイイチは首を傾げたが、今はそれどころではない
歩き進めるうちに、死体の数は増していく
アースセイバーに所属する手前、抗争に巻き込まれたり
駆り出されたりすることは多々あるが
あまりにもグロテスクな光景にとうとう由衣が嘔吐した
『ぐぅ…ええっ…』
『由衣…』
『なんなんだよこれ…こんなの…こんなとこいられるかよ…気が狂いそうだ…っ』
『ケイイチ。なにかわからないのか』
ハヤトが問うと、ケイイチは神妙な顔つきで答えた
『見覚えがある…この場所』
『よかった。君が覚えててくれて。これで再生できるよ』
『…?』
春美が天高く腕を振り上げてなにか呟くと、誰かが走ってくるような土を蹴る音が響く
そこには、少年―――幼い頃のケイイチが、長い青色の髪をはためかせる少女の腕を引いて、何かから逃げるように走ってきた
。
- 332
:サト:2011/05/27(金) 00:21:21
『スイネ…?!』
『そうだよシスイくん。あれはスイネ…彼女にとってはみんなに隠したがった過去だけど、…しっかりみてあげて』
「ここまできたらもう大丈夫かな…?!いま応援を呼ぶから…」
「けいいち…」
「どうしたんですか?どこか痛みますか?」
「ねえ、わたしいいのかな、こんなのなんだか、
わたしはホウオウ様のものなのに…」
「あなたは物なんかじゃない!!…あなたは一人の人間だ!」
『このときの言葉は、彼女にとっては救いの言葉だった』
『なんでこんなにケイイチは逼迫してるんだ?』
『………』
玉置のその問いかけに俯いたケイイチ
ハヤトはケイイチの顔を覗き込むと唇を噛んでいた
震える拳を握りしめるその姿に
『ケイイチ?どうしたんだよ』
『……やめて、くれよ』
『ケイイチ?』
「でも、ホウオウ様はわたししか愛せないって、抱けないって、わたしはホウオウ様に抱かれるために産まれたってきいたのに」
『?!』
シスイが驚愕に目を見開く
どういうことだ、【抱かれる】…?!
『やめろ!!スイネの一番知られたくない部分を見せるな!!見るな!!』
取り乱したように錯乱するケイイチ
その目は殺意さえ帯びていて、リエは怯んだ
こんなケイイチは、ホウオウと対峙していたあの時以来だ
こころが、ふるえる
『落ち着いて、ケイイチ君、君が取り乱してどうするの』
『…お前が…!?』
『まるで、母親の悪口を言われたこどもみたいな怒り方だね』
『……っ?!』
『おとなしく見ていて』
「あなたはあなただ!」
「わたしは、わたし?」
「あなたがしたいようにしなくちゃ…でなきゃ、なんのために産まれたんだよ!」
「…!」
ぐっと景色が歪む
そこは、先ほどの荒廃した大地とはまた違い
廃ビルの立ち並ぶ無機質な町
そこに対峙する二人の女
『こんどはなんだ?!』
「…もどってきなさい、ファスネイ」
「そんな馬鹿げた話に私が乗るとでも思ってるの?」
女は、いまのスイネと、どうやらホウオウ側に産み出されたであろう人工神であった
スイネは強く神をにらみ
神はいとおしげに、そして悲しげに
彼女を見つめていた
- 333
:サト:2011/05/27(金) 00:22:24
『この記憶は…?』
『…スイネがアースセイバーに入ってからの記憶だ』
『ってことはあれは』
『スイネの母親にあたる、人工神だ』
スイネは意識を研ぎ澄まし、巨大な鎌を召喚し、対峙する
その瞳はひどく殺意の籠ったもので、皆が戦慄するほどだった
「ファスネイ…わたしの愛しい子」
「黙りなさい!…わたしは、わたしはケイイチのもの。ほかの誰のものでもないわ!」
その言葉にシスイはケイイチに振り返る
ケイイチは、苦虫を潰したような、そんな表情で唇を噛んでいた
触れられたくないであろうことであるのは明白であるが、今疑問を残したまま行動するのは無謀だ
『お前ら付き合ってんの?』
『…まさか。こっちがマオさんのこと好きなの知ってるだろ』
『…じゃあなんだよこれ』
『………』
『一方的に彼女がケイイチを愛しているだけだよ』
『え…』
シスイは目を丸くして、幻影のスイネを見つめる
スイネがケイイチを…?
いや、ありえない話ではない
彼女を闇から救いだしたのは他ならないケイイチだ
ましてや、ひとりの人間として彼女に接したのは彼だけなのだから
彼女の海
(もうすこしだ)
- 334
:サト:2011/05/27(金) 00:24:55
- もう忘れられているであろう『もどっておいで』の続き物です
もうちょっとで完結…!暫しお待ちを…!
- 335
:(六x・):2011/05/28(土) 01:01:34
- 後半で凪姉ご乱心。途中の顔文字は「本を読んでいる」ことを表しています。手抜きじゃないよ、タブンネ←
スゴロクさんのアオイをお借りしました。
王子と騎士とお姫様
あるところに、王子様が住んでいました。
王子様は隣国のお姫様と結婚することになっていました。しかし…
「城下の町娘Aが好きとか身分の差的なアレか。」
「あながち間違いではありませんわね。」
爪ス゚.゚ス
王子様は、幼なじみで親友でもある女騎士に恋をしていました。
「えっ」
「次行きましょうね。」
爪ス゚-゚ス
『結婚おめでとうございます。私も嬉しいですよ。』
騎士は笑顔で祝福するも、王子様はあまり嬉しくなさそうです。
『僕は…あなたが好きです。ずっと前からあなたが好きなんです。…僕と結婚してください。』
『お気持ちは大変嬉しいのですが…私はあなたに仕える身であって、それは出来ません。』
爪ス゚゙゚スΣ
「子供向けっぽいのに話重くね?」
「とにかく、最後まで読んでみて下さいな。」
「ん…わかったよ」
爪ス゚◇゚ス
『騎士は王子様の想いを受け入れ、二人は幸せに暮らしました。』
「…」
「いかがでしたか」
「ん、冬也の気持ちはわかった。私のこと、ずっと想ってくれてたんだな…。」
「ええ。それで…どうなさるんですの?」
「それが問題だ…。たしかにあいつのことは嫌いじゃない。でもな…」
「でも、何ですか?」
「あれだけスルーしておいて今更『私も好きだよ☆』なんて言えるわけないだろ…。というか、あいつの告白をOKしたらいけない道突き進んじゃうよ!義姉弟で付き合うとか親父の大好きなギャルゲじゃねぇかぁぁ。変態糞親父め全部お前のせいだ!一回氏んで1日くらい経ってから生きかえれ!」
「凪さん…(参考までに、と姉様の件もお話したかったのですが、これではとても言えませんわ…」
- 336
:スゴロク:2011/05/28(土) 02:18:19
- 「それぞれの恋路、それぞれの戸惑い」の続き、スザク&冬也サイドです。
(六x・)さんから「冬也」をお借りしました。
「冬也ー!」
「……スザク、先輩?」
飛び出した冬也を追っかけていたら、体育館の入口にぽつんと座って所在なげにしているのを見つけた。
声をかけたら、どこかよろよろとこっちを向いた。視線の焦点が微妙にあってない。……こりゃ重症だ。
「隣、いいか?」
「は、はあ」
こう言う時に話をするなら、向かい合うより隣。これは基本の一つだ。
「……さっき、物凄い勢いで飛び出してったけど、何があったんだ?」
「………」
黙ってしまった。理由はさっき凪本人から話を聞いて予想(いや、確信だけど)はついているけど、やはり本人から聞いて見ないと始まらない。
……ま、確かにあれはショックだよな。
「言いにくいなら、無理には聞かないけど」
「………いえ、実は……」
口を開いた冬也の語った内容は、9割方僕とアオイの予想通りだった。本人としては意を決しての告白だったのに、ああもさらりとスルーされちゃ、なぁ。
しかも僕の知る限り、冬也のアプローチは今回に限らず、傍から見るとひっじょーにわかりやすい形で何度か行われている。あれで気付かない凪も凪だと思うけど、当人からすればただの「親愛」としか映らないんだろうなぁ。
「………そっか」
「もう、知らないです。凪姉なんか」
ヘソ曲げちゃった。あれだけアプローチしといて総スルー、加えて今回の一件。普通なら諦めるかどうか、ってとこだけど、
「ホントに?」
「………」
本音が透けて見えるぞ、冬也?
「………何で、伝わらないんでしょうか」
「んー………」
凪本人しか知らない事実だな、それは。ただ、予想は立てられる。
「本人からすると、冬也を見る時に『弟分』っていうフィルターがかかるんだろうな。しかもデフォルトで」
「それは………」
「加えて僕の予想だけど……凪、恋愛経験ないよな?」
「多分……そうだと」
で、初めて真っ向から好意をぶつけて来たのが冬也。ところが本人からすると、フィルターにかかったそれは家族へのそれとしか映らない。それ以外の認識がなくなる。フィルターがかかっているということにすら、本人は気付かないんだから。
「……僕の時と、似たようなものかな」
「え?」
そう。僕とトキコの関係も、最初は似たような状態だった。
- 337
:スゴロク:2011/05/28(土) 02:19:01
- 「そうだな……僕は、今、とっても好きな人がいる」
「先輩も、ですか?」
「ああ。……相手に関しては、後でアオイにでも訊くと良い」
「は、はい」
最初は、トキコのことを「敵」としてしか見ていなかった。その頃は僕自身歪んでたし、それと知らず歪んだ自分を見ているようで嫌な気分だった。
ボルカノンの一件での「約束」。遠くて近い、奇妙な関係を続けるうちに変遷した想い、そして昇華された「約束」。
「ま、僕の場合はかなり事情が特殊なんだけど……先に好きになったのも、アプローチかけたのも、僕だった。最初はその事にすら気付かなかったけど、な」
シギの来訪を機にはっきりと自覚した恋心。マナの説得で固まった決意。そして、あの日。
想いの丈を真っ直ぐに打ち明けた、あの日。
僕はあの日―――いや、思えば最初から、ずっと思っていた。
トキコと一緒にいたい、と。ただ、そう思ったんだ。
「その人には……?」
「告白したよ、つい最近。まだ返事はもらってないけど」
「それは……」
「どうかな。返事が来なきゃわからない。でも、どんな答えでも、受け入れる。僕がそう決めたんだから」
「……強い、ですね、スザク先輩は」
「そうでもないよ。僕は弱い。もしフラれたら、当分立ち直れない」
そう、僕は強くなんてない。大切な誰かを失えば、容易く自身を見失ってしまう程度には。
「……俺には、とても無理です。そこまで覚悟するのは」
「……それでいいと思うな、僕は。誰だって、好きな人に拒まれるのは嫌だろ?」
「勿論です」
それでも、すべきことは一つ。
「でもな、冬也。想いは、秘めてるだけじゃ伝わらない。アプローチだけでも足りない。言葉に乗せて、伝えないと意味がないんだ」
「……わかってます。だから、言ったんです。でも、凪姉は」
「凪はこの際いい。冬也、お前はどうしたいんだ? さっきは、伝わらなかったから飛び出して来たんだろ? 凪に振り向いて欲しいんだったら、何としてもそれを伝えないとダメだ。弟分じゃない、一人の男としての、お前の気持ちを」
「………」
そうだ、伝えないと始まらない。想ってるだけじゃわからない。言葉で、文字で、ありったけの気持ちを伝えるんだ。「あなたが好きです」と。
「凪が受け入れてくれるかどうかはまた別問題だけど……こればっかりは僕にはどうしようもない。まさに本人と神のみぞ知る、ってことだ」
アオイが少しでも好転させてくれてればいいんだけど……。
「よしんば伝わったとしても、多分俄かには返事は返せないと思う。凪にしてみれば青天の霹靂だからな、まさに」
全く予想のつかない方向から自転車が突っ込んで来たようなものだろう。ただ、よく考えると僕の場合とは違う意味での壁が一つ。
(これは……さすがに僕が言う事じゃないよな)
- 338
:スゴロク:2011/05/28(土) 02:19:31
-
凪が自分と冬也の関係をどう認識しているか、という問題がある。確か、僕の知ってる限りだと姉弟分、と言った単純なものだった気がするんだけど、違ったかな。
いつだったか冬也のこと「舎弟」って言ってなかったか?
(ま、こればっかりは本人の問題か。……ていうか、こういうのは本来マナの役回りだろ? 何で僕が?)
反射的に飛び出したはいいものの、実は何も考えてなかった。とりあえず自分の経験をヒントに、思いつく限りの言葉を使ってアドバイス……のようなものを送って見た。結論は至って簡単なものになってしまったけど、実際問題、冬也がショックだったのは「伝わらなかった」から。なら、そこをどうにかすれば冬也の方の問題は片付く。後は、凪だ。彼女がどう受け止め、どう考えるのか。そこからは、見守るしかない。
「明日からは、またいつも通りに過ごすことだ。多分、お前たちの関係はゆっくりとしか進まない気がするし」
「せ、先輩……」
困ったような冬也の顔に、思わず笑いが零れてしまった。何か、普段の凪の気持ちがちょっとわかる気がする。
「とにかく、僕が言えるのはそれくらいかな。何か出鱈目な話だったな」
「……いえ、ありがとうございました」
「ん。じゃあ、気をつけて」
さっと立ち上がり、簡単に別れを言って僕はその場を去った。後は本人達の問題だ。
どうか丸く収まりますように、と誰に何にか祈りつつ、アオイを迎えに行くために僕は校舎に足を向けた。
朱雀、共感する
(どうして追ったのか)
(在り方が、想いが)
(自分と彼女に重なったから)
ちなみに超余談。
「メタですがスザク先輩、顔文字はどんなのですか? 俺は
Wリ・ー・)
ですし、凪姉は
爪ス゚-゚ス
で、アオイさんは
川'-'リ
ですけど」
「僕? んー……
川゚-゚リ
かな?」
「……そっくりですね」
「姉妹だからな」
というわけで、スザクと冬也の会話でした。正直、途中から何言ってるのか分かんなくなって来てました……当人も、私も。
半分無理矢理繋げたような話ですが、どうでしょうか。
- 339
:大黒屋:2011/05/28(土) 19:40:20
- なかなかネタが出てこないながらも失礼します。
スゴロクさんより「霧波 流也」「ヴァイス」をお借りしました
発覚
暗く気味の悪い森を抜けると、電話をかけた通り、幹久朗がこちらに向かって手を振っていた。
そちらに駆け寄ると、幹久朗は月光に軽く耳打ちをした。
「言われた通りアカノミには伝えておいた。が、どこまでごまかしとおせるかわからない。」
「大丈夫ぜよ。言い回しが長い分は『思い出している』と解釈させれば暫くは。」
連れてきた流也はアカノミを見上げて感嘆の声を漏らしている。
対するアカノミは人間を滅多に見ないうえ、ここまで見つめられることもないので恥ずかしく思っていた。
打ち合わせにはさほど時間はかからなかった筈だ。
しかし月光はふと、あることに気がついた。
流也の口数が、急に多くなったのだ。
気になって彼は幹久朗をつつき、彼の言葉に耳を傾けた。
『で、でも、僕そんなに人間とかかわってないから…。』
「だからってそうも堅くなるなよw」
『癖になってるみたいでね…。』
「そうかー。なら打ち解けるまでに時間かかるか。」
「…月光、あの二人、会話してる。」
「えっ;」
「アカノミの声と流也?っていう人の言葉がマッチしてる。」
「え、でも、そんな能力あるなんてきいたことないぜよ、何で…;」
幹久朗はそっと流也に近づいた。
「…聞こえるのか、こいつの声が?」
「え?…ああ。」
「成程なぁ。もしかして、『ドリトルエンパシー』かなんか持ってんのか?」
「!」
反射的に身構えるが、そばにいた巨木はのんびりと言葉を吐いた。
『あー、成程。道理で言葉が分かるわけだね。』
「アカノミ、お前も聞いたことがあるだろ。意思のある生物なら、例え植物でも会話をすることができる能力だ。」
「何でそれを知ってるんだ。というか、お前も使えるのか?」
「いいや、俺のは生まれ持った素質。能力じゃねぇ。ただ、似たような力だったから覚えてたんだ。」
「なんだ、それじゃあ幹久朗殿の協力の必要なかったぜよ;」
月光は頭をかいて言った。
「いや、いいんだ。俺自身能力は気になってたわけだしな。」
幹久朗は笑い返した。
「お前、この辺じゃ見かけないけど、よそから来たのか?」
「ああ。一度ここは訪れてるんだけどな。」
「暫くここに滞在するのか?」
流也は少し迷ったが、答えた。
「少なくとも目的が達成されるまでは。」
「そうか。」
幹久朗は微笑んだ。
「なら、またここに寄ってもらえないか?」
『「え?」』
流也はもちろん、アカノミも素っ頓狂な声を上げた。
「アカノミは意思を持つ植物だが、会話できるのが俺しかいなかったんだ。そのせいで友達も少なくてよ。」
「つまり、彼の友人になってほしいと?」
「早い話がそういうことだ。そんなに頻繁に来なくてもかまわない。思い出した頃に寄って、ちょっと話すだけでもいいんだ。」
幹久朗は、いつも自分が寄れないときにアカノミが寂しそうにしていたことに気付いていた。
この提案はアカノミに対する、彼なりの配慮だったのだ。
「…分かった。本当にたまにしかこれないけどな;」
『!』
「それでいいんだ。いいだろ、アカノミ?」
『…いいの?僕の話し相手だなんて…。』
「いいんだよ。それに、仲のいい人は多い方がいい。」
流也はアカノミに、笑いかけていた。
アカノミは二人の優しさに得も言われぬ感動を覚え、呟いていた。
『…ありがとう…。』
「…さて、そろそろ本題に入るか。」
真剣な顔つきになり、幹久朗は言った。
「流也。お前は誰を追ってここに来た?」
「…ヴァイス。ヴァイス=シュヴァルツだ。」
「白」と「黒」。相反する意味を持つ名前に、アカノミは気付いた。
『…いるよ。』
「え?」
『ヴァイス=シュヴァルツ…『白い闇』…。間違いなく、このいかせのごれにいるよ。』
- 340
:十字メシア:2011/05/29(日) 11:40:29
- 3番目の過去話は、シグマです。
『母を奪われた獣』
「ミユカー!」
「おっ、シグたんおはよ」
土曜日のウスワイア、談話室。
朝早くから起きたシグマは、ミユカがいる談話室にやって来た。
「朝から元気だねー」
「おう!」
「あはは」
ついこの間まで、明日死ぬか死なないか、ギリギリの生活を過ごしてきたシグマ。
そんな苦境もあり、こうして仲間と呼べる者とのんびり話せる時間は、シグマにとってかけがえのない物だった。
「あのさあのさ!俺、ちゃんと歯磨き出来るようになったぞ!」
「へえー!すごいじゃんシグたん」
「へへへっ」
獣同然に生きていたシグマ。
それ故に『人間として』の生活を知らずにいた。
周りの者、特にシノや莉絵からその術を教えてもらっていたが、中々上手く身に付けられなかった。
特に歯磨きは、歯磨き粉の味が気に入らないらしく、度々「ちゃんと歯を磨きなさい!」と怒る莉絵から逃げ回っていたぐらいである。
「でも歯磨き粉の味、嫌じゃなかったっけ?」
「莉絵がりんごの味に変えてくれた!」
「ああ、なるほどね」
林檎はシグマがウスワイアに来て、初めて食べた物である。
その時からシグマの好きな食べ物になっていた。
その事を思い出しながらふと、ミユカは前から疑問に感じていた事を聞いてみた。
「……ねえ、シグたん」
「何だ?」
「シグたんって…『お母さん』がいたの?」
「え?」
「私見たの。シグたんがお母さんって言いながら泣いてるのを」
「……」
シグマは押し黙る。
だがしばらくして口を開いた。
「…俺、昔の事あんま覚えてない。でも、『お母さん』の事だけは覚えてる」
「そうなんだ…」
自分よりも幼い時に、家族と生き別れになった少年。
もしかしたら、その温もりすら得られなかったかもしれない。
ミユカはそう思い、ある事を考え付いた。
「…お母さんに会いたい?」
「うん」
「じゃあ、私と捜そう?」
「え?」
ミユカの口から出た突然の言葉に、シグマは素っ頓狂な声を上げる。
「お母さんに会いたいんでしょ?」
「…でも、今どこにいるのか知らないし、無理だよ」
「そんなの問題ないよ! ここには、捜索に長けた能力者が結構いるし! ね、捜そう?」
「……うん、ありがとうミユカ」
「別にいいって」
ニンマリと笑うミユカ。
シグマもつられて笑う。
「とりあえず、助っ人集めから開始ーっ!」
「おう!」
- 341
:十字メシア:2011/05/29(日) 11:54:48
- 「え? 手伝ってほしい事がある?」
シグマの母親捜しの為、ミユカとシグマは捜索に有利な能力者を集め始める。
そこでまず、二人は冬也の元へ訪れた。
「お願い冬くんっ!」
「別にいいですけど…その手伝ってほしい事って何なんですか?」
「俺のお母さんを、捜してほしいんだ」
「シグマ君の?」
「冬くんにばっかり負担はかけさせないからさ! 私もやるし、他の人にも手伝ってもらうからお願い!」
「…分かりました。手伝います」
「ありがとぉ~!我が後輩よ!」
「うわっ、抱き着こうとしないで下さいよ! …いいのは凪姉だけだし」
「え、何か言った?」
「いえ何も。で、シグマ君、どんな人?」
「えっと…俺と同じ巻き毛。あ、でも俺と違って長かった!」
「長い巻き毛、と。他は?」
「目の色が葉っぱと同じ!」
「葉っぱ…緑色って事か…」
「後、白いひらひらしたやつがついてる、『わんぴーす』着てた」
「白いひらひら?」
シグマなりの解釈の言葉を理解していた冬也だが、今度はそれが出来なかった。
「ひらひら…」
そこでミユカが閃いたような表情をする。
「レースの事かも!」
「あ、なるほど」
「それぐらいしか…覚えてない」
「いや、これだけでも充分だよ」
「さっすが冬くん!」
「別にミユカさんに褒められても嬉しくないです」
「むう、可愛いくないなあ~」
「別にいいです。今から捜すので、出てくれません?」
「はいはい。じゃあシグたん次行こうか」
「うん」
「その子の母親を捜して欲しい、ねえ」
「うん」
次に二人が訪れたのは特殊能力を持つ探偵、天河 星の探偵事務所。
捜索に長けた能力者ではないが、彼女は探偵の肩書きを持っている。
「特徴は?」
「えっと…長くて茶色い巻き毛に緑色の目、白いレースがついたワンピースを着た人」
「巻き毛…緑色の目…ワンピース…と」
「急に頼んでごめん」
「いいよ、暇過ぎて退屈していたとこだし」
「…依頼、全然来てないんだね」
苦笑混じりの表情で言ったミユカに対し、星は「うるさい」と反論した。
「これ、私の携帯の番号ね。何か分かったらここに電話して」
「はいよ」
「シグたん、最後行こうか」
「うん」
「? どこに行くつもり?」
星の疑問に、ミユカは悪戯っぽい笑みを浮かべてこう言った。
「極道一家!」
- 342
:しらにゅい:2011/05/29(日) 13:51:38
- 「…んー、あー、もー!!」
深夜のストラウル跡地。
誰もいない廃墟ビルの一室で、私は不満の声をあげていた。
___グループの雑務を遂行せよ。
ヴァイスの一件以来、ホウオウ様に直接呼び出され、かつその命令を受けた私は、
日夜、今までの失態を埋めるかのように仕事に励んでいた。
雑務とはいっても、主な仕事は『後始末』という奴で、使われなくなった兵器の処分、
残骸の回収、また、ノア&ノルン、クランケ=ヘルパーのような反逆者への処罰。
ちなみに今回のクランケの処分についてはエミウミが担当するそうなので、私は関係ない。
そしてもう一つは、ホウオウグループが介したという証拠の隠滅。
無駄な殺人は合理化に反するのは分かっているけど、調査で犠牲0を目指して遂行するのは
意外に難しかったりする。私だけ?そんなことないし!リオくんだってユーイちゃんが絡むと
暴走するもん。
とにかく最近は、ホウオウグループ、というかホウオウ様の為に一生懸命働いていたのだ。
…とはいえ、
「一人じゃ辛いよ…この数。」
私の足元には、破壊された擬人兵の数々。
これは、コヨリことCYR-00Aを元に作られた応用版…のようなものらしい。
戦ってみたところ、実力は本体に引け劣らず、それなりには強かったのだが、
試作段階というのこともあってか、少し本気を出したらあっけなく壊れてしまった。
私的にはパニッシャー、CYR-00Aを足して2で割ったような感じだったと思う。
…とまぁ、こんな風に試作段階の兵器のテストを行い、報告することもまた
雑務の内に含まれるのだ。
測定、解析、その後報告。ほうれんそう!
「疲れたー!」
とりあえず私は床に寝っ転がり、一旦休憩することにした。
崩れかけた天井を見上げると、隙間から星空が見える。
「…はぁ~…」
…鳥さんから告白を受けてから早数日、一応お礼は言ったけどそれっきりで、
肝心の返事はまだ返していない。日中学校にいても疲れでほとんど寝てるし、
放課後はスイネちゃんのおうちに行って花を置き、スイネちゃんの帰りを待っている。
そしてお仕事の時間になったらそこから離れて、遅くまで働いて、家に帰って就寝。
ここ最近はそんな調子だから、鳥さんとはあんまり話していない。…というか、鳥さんが
若干避けている節がある。ちょっと引っ掛かるけど、
まぁ原因は私にあるだろうかそれは仕方が無い。
「…うーん…」
告白に関しての返事はもうすでに私の中で決まっている。
鳥さんの告白は喜んで受けるつもりだ。
もちろんそれはホウオウグループを裏切るという意味ではないし、
依然、私の中で一番大切なのはホウオウ様だ。そのことも、ちゃんと伝えるつもり。
…そう、返事は問題ない。
「何が問題って、シチュエーションが問題なんだよねぇ・・・」
だって、だって一世一代の大告白だよ?
それを日常会話のように簡単に返すって、逆に相手に失礼じゃん。
恋する乙女にとって告白ってそれぐらい大事なんだよ!
さっき眠いからって言ったけど、学校で返事を返さなかったのはそれも理由としてある。
この答えは鳥さんだけ、強いて言うなら影さんに知って欲しいから。
「・・・とはいえ、なんとか上手い具合に二人っきりになれないかなぁ。」
ゴロゴロと転がりながら、ない頭で一生懸命考える。
おうちにしたって、私のところじゃムードがないし、鳥さん家・・・は蒼さんがいるし。
- 343
:しらにゅい:2011/05/29(日) 14:11:29
- 「うーん・・・」
「何しているんだ。」
「ん?」
声がした方を向けば、メガネをかけた男が怪訝な表情を浮かべ立っていた。
左目のレンズに浮かぶホウオウグループのエンブレム、
グループの中でもこんな凝った場所に証を持つ男はあの人しかいない。
「カラスさんだー、久しぶり。」
「・・・」
「あ、もう否定しないんだ。」
「お前には、言うだけ無駄だからな。」
そう言ってカラスさんは、私の横を通り過ぎると壊れた擬人兵の残骸を手に取る。
私は少しだけ起き上がり、彼の背中に声をかけた。
「今日はあともう終わりー?」
「ああ。」
「やった。」
「これの片付けが終われば、な。」
「・・・カラスさんがやってよ、それ。」
「片付けも報告もお前の仕事の内だろう。」
「う、」
人間であれば容易に規制がかかるほどバラバラになったガラクタ。
・・・とはいえ、一つ一つのパーツが重くないわけではなく、その上、
正確なデータを取る為に部品は全部回収しなければならない、
ボルトの一つまでもだ。
一個でも欠けたら確実にゼアが嫌味を言ってくるし、かなりめんどくさい。
げんなりしている私を見て、カラスさんがクク、と喉で笑う。
「まぁ、精々頑張るんだな。」
「そんなせっしょーな!」
うぎゃー!と叫んでもカラスさんは手伝う素振りも見せないで、
壁に背もたれて、傍観し始めた。
・・・なんとなくだけど、カラスさんは私の『監視』役なんだろうなと思う。
裏切りとかじゃなくて、前回のような余計な行動をしないかどうかという程度で、
指示したのはおそらくあの男。
まぁでも、別に私はカラスさんのこと嫌いじゃないから居心地悪いわけじゃないし良いけどね。
「・・・あ、そーだ。」
パーツを拾い上げながらふと、私は呟くとカラスさんがこちらを向いた。
なんともまぁ、いいタイミングで来てくれたものだ彼は。
「ねぇねぇカラスさん。」
「なんだ?」
「カラスさんは告白したことある?」
そう言ったら、カラスさんは漫画みたいにずるっと滑り、
ずれたメガネを直しながら答えた。
- 344
:しらにゅい:2011/05/29(日) 14:13:23
「・・・なんだその質問は・・・」
「だから、好きな人に告白したことがあるのかなーって。」
「そんなの、リオトかユウムにでも聞けばいいだろう。何故俺なんだ。」
「たまたまそこいたから。」
「・・・・・・・・・」
「カラスさん、視線が痛いよ。」
「お前が変な事を聞くからだろうが。」
「・・・」
半ば衝動的に立ち上がってスタスタとカラスさんの元へ。
少し様子のおかしい私に気付き、彼は少しだけ後ずさった。
そして私は一旦息を吸って吐くと、カラスさんを真っ直ぐ見てこう言った。
「あのね、女の子にとって告白はするもされるも大事なことなんだよ?
世間話するのと全然レベルが違うの。ある意味一生を左右する大事な儀式みたいなもので、
それをいい加減にやっちゃえば真剣な気持ちがなくなっちゃって、
後々「あー、なんであんなこと言ったんだろう。」ってなるんだよ。そんなのでいいの?
よくないよね!?第一、告白っていうのは大勢の前でするものじゃなくて二人っきりでひっそりと
行うのが普通なんだよ、じぇーけーなんだよ!でも鳥さんは人気者だから二人っきりになろうとも
そうは上手くいかないし、だからって皆の前で「私も好きだよ。」なんて答えたくないの!
だって冗談にしか聞こえなくなるかもしないじゃん!大事な大事な返事がそんな風に捉えられたら
嫌だよ私!だから参考に、って恋愛経験全然なさそうだけどもしかしたら稀な確立であるかもしれない
カラスさんに聞いてみようと思って聞いたら変な事って言ったよね?言ったよね!?
まずその考え方から間違ってるよ!いい!?恋愛する上で告白っていうのは」
「分かった!俺が分かったから落ち着け!!」
一夜明けても喋ろうと思えば喋られるのに、カラスさんは私を宥めてそれを制した。
甘い、甘いよこの男は!恋愛を舐めきってる!
そう思っている私を余所に、カラスさんはもう一度メガネを直してこう言った。
「つまり、なんだ・・・お前は、その鳥さんと二人っきりになりたいと?」
「うん!」
「で、告白の返事をしたいと?」
「そう!」
「・・・それなら、二人でどこかに出掛けたらいいんじゃないか?必然的にそうなるだろ。」
「・・・・・・・・・」
朱鷺と鴉
「それだー!!」
「・・・(トキコでも気付かなかったのか、その発想に。)」
- 345
:しらにゅい:2011/05/29(日) 14:24:10
- >>342-344 お借りしたのはクロウ、ヴァイス、火波スザク、火波アオイ(スゴロクさん)
ノア、ノルン、クランケ(大黒屋さん)、高嶺利央兎(紅麗さん)、ユウム(砂糖人形さん)
ホウオウ、コヨリ(本家様)、スイネ(サト様)、ゼア(遊び盛りの学生Lv15さん)
でした!・・・といっても、クロウ以外はすべて名前のみですがw
結局肝心の返事はまだです、すいません!
次はデート回かな・・・←
恋愛に関しては意外に五月蝿いトキコです。
クロウさんが若干キャラ崩れしてるかもしれません・・・
スゴロクさんすいません(;´ω`)
- 346
:十字メシア:2011/05/29(日) 15:02:06
- 「はあ?何で俺らがそんな事、しなくちゃいけねぇんだよ」
「まあ亜樹斗、わざわざここまで来て頼みに来たんです。引き受けてやりましょう」
「えー、亜寺さんお人好し過ぎだぜ…」
最後に二人は、『最強の任侠集団』として、裏に恐れられる極道一家「出雲寺組」の下へ来た。
「お母さんが能力者の可能性あるかもしんないしさ、百科事典さんみたいに『裏』で酷い事されてるって事もある」
「だから『裏』の情報収集を得意とする私たちに頼む、という訳ですか」
「うん」
とそこに。
「ミユカさん、ようこそ我が組へ。そして初めましてシグマさん」
艶のある黒い髪に澄みきった赤い瞳。
白い肌の上に纏った優美な花柄模様の着物。
そして凛と響く声。
ミユカのクラスメイトにして出雲寺組の組長、出雲寺 愛澄である。
「こんちわー、アスミン」
「お、おう」
「はい、お茶をどうぞ」
「お、ありがとー」
すると今度は慌ただしい足音と共に、別の声が聞こえてきた。
「愛姐さ~ん!!」
襖戸の奥から、お団子結びにした茶髪の小柄な少女が現れた。
前垂れを襷掛けで締め、明るいピンクの瞳には困惑の色が浮かんでいる。
「姐さんっ、給仕ならあたしがやるのに!」
「冴子、これぐらいの事なら、あなたが手を煩わせなくとも」
「そういう問題じゃないよっ。もぉ~」
冴子と呼ばれた少女が、ぷぅと頬を膨らませて怒るさまに、ミユカは思わずくすりと笑った。
それに愛澄も優しい笑みを見せる。
「ミユカさん、シグマさんの母親捜索は、責任を持って我が組の総力を挙げて行いますので、安心してくださいね」
「流石アスミン、頼りになるねー」
「ハッ、当たりめーだろ。「出雲寺組」の組長なんだからな!」
誇らしげに言う亜樹斗を見て、亜寺と冴子もまた笑みを浮かべるのだった。
「これだけ助っ人がいれば、大丈夫だね」
「ありがとう、ミユカ」
「お礼なんていいって!早く見つかるといいね」
「うん!」
『お母さん…お母さんっ!』
緑に囲まれたとある小高い丘。
そこに茶色の巻き毛の少年と、それと同じ特徴をした髪を持つ女性を肩に担いだ男と、
その者を取り囲む集団が佇んでいた。
『お前ら何だよ!お母さんをどこに連れてく気だ!』
すると女性を担いでる男は、少年の言葉を嘲笑うかの様な表情で言った。
『お前が知る必要はない』
『五月蠅い!返せっ…お母さんを返せよ!!』
少年は男に向かって突進する。
だが。
ゴッ!
『が…っ!』
少年は別の男に蹴り飛ばされ、地面に叩き付けられる。
『行くぞ』
『はっ』
少年を一瞥した後、男は女性を車についてる格子戸の荷台部屋に乗せ、車の座席に着く。
『……いで』
少年は声を絞り出して言う。
『連れて行かないで…!』
だが無情にも、その言葉は現実にならなかった。
発進した車はどんどん遠ざかっていく。
『お母さんを連れて行かないでぇ! …返せよぉ!』
車は豆粒ほどにまでなったが、それでも少年は『返せ』と言い続けた。
『俺のたった一人のお母さんを…返せ…っ!』
しゃくり声を上げて、少年は叫んだ。
『お母さぁあああああんっ!!!!』
- 347
:十字メシア:2011/05/29(日) 15:43:29
- 「…ハッ!」
朝を迎えたシグマは、べットから飛び起きた。
「……夢かあ」
夢の内容を思い出し、俯くシグマ。
そして金色の瞳から涙が零れ落ちた。
「お母さん…」
その時、ドアの向こうからミユカの声が聞こえてきた。
「シグたん!起きてるー?」
「あ…お、起きてるよ!」
「今日、ご飯の後訓練あるから、遅れちゃ駄目だよー」
「う、うん」
ミユカの足音が遠退いていく。
それを聞いたシグマは、ほっと胸をなでおろす。
「……」
(これだけでも充分だよ)
(いいよ、暇過ぎて退屈していたとこだし)
(シグマさんの母親捜索は、責任を持って我が組の総力を挙げて行いますので、安心してくださいね)
(お礼なんていいって! 早く見つかるといいね)
「…皆、ありがとう」
-その頃-
「はあー…ちょっと暇だなあ」
楠原 亜音が経営するレストランのカウンターで、
アルバイト従業員の一条寺 正人はひとり呟いていた。
「まあ、開店したばっかだし、しょうがないか」
その時、店内に一人の女性が入ってきた。
その女性は、外人の様な顔立ちをしていた。
「あ、いらっしゃいませ」
「ごめんなさい。お客じゃ、ないんです。あの…人を捜していまして」
「あ…どんな人ですか?」
「はい、息子なんですけど…」
そう言って、女性は鞄から一枚の写真を取り出す。
「この子です」
「う~ん…知りませんね…」
「そうですか…」
項垂れる女性を見て、正人は慌てて謝る。
「すいません、お役に立てずに…」
「いえ、あなたは悪くありませんよ」
「あの、良ければこの写真をくれませんか? この店には色んな人がいっぱい来るんで…」
すると、女性はさも嬉しそうな表情を浮かばせた。
「いいんですか?」
「はい」
「ありがとうございます。では私はこれで…」
そう言って、女性は店を出て行った。
と同時に、奥から店長の楠原 亜音が出てくる。
「おや、誰か来てたの?」
「あ、はい。女の外人さんが」
「外人? 珍しいねえ」
「何でも、息子さんを捜してるとか。この写真がそうです」
「へえ、どれどれ―――」
受け取った写真が視界に入った瞬間、店長は驚愕した。
「この…子は…っ!」
「姉さん?」
店長の様子に疑問を感じる正人。
だがそれを気に留めず、店長は入り口のドアを勢いよく開け、外に出る。
だが店長以外に誰もいなかった。
「一体どこに…」
店長はもう一度写真を見る。
そこには己が知っている子供によく似た、茶色い巻き毛と金色の瞳を持つ少年が写っていた。
「必ず会いに行くから…待っていて。私の息子―――ウェス」
土曜日、いかせのごれに『魔女』降り立つ―――。
お借りしたキャラは、スゴロクさんの「一条寺 正人」、大黒屋さんの「楠原 亜音」「天河 星」、
(六x・)さんの「冬也」、ネモさんの「三葉 莉絵」(名前のみ)でした!
この話はまだ続きます。
次回はまさかの…!?
- 348
:スゴロク:2011/05/29(日) 15:58:50
- しらにゅいさんの「朱鷺と鴉」の続きです。以前の話でノルンを奪い返した人物について少々。
「おっと、忘れるところだった」
「?」
擬人兵のパーツを抱えたまま怪訝な顔をするトキコに、俺はここまで来たもう一つの理由を思い出した。
懐から写真を出し、見せる。
「これを渡しておく」
「……誰、これ?」
恐らくトキコやリオト、学生メンバーは知らないだろう。この少女は、かなり前に俺と組んでいたメンバーだ。
「生体兵器だ。といってもかなり初期のタイプで、どちらかといえば強化人間と言うべきか」
「ふーん……で? この人が何なの?」
「どこかで見かけたら教えてくれ。ちなみにこれはグループの命令ではなく、俺個人の事情だ」
相変わらず疑問符を浮かべたままのトキコに、俺はやや詳しく説明する。
「そうだな……UHラボは知っているか?」
「………知らない。名前くらいしか」
「だろうな。かなり前の話だが、ジングウ管轄の生体兵器開発チームがあった」
ジングウの名が出た途端、トキコの顔があからさまに不機嫌になった。そんな顔をするな、俺も同感なんだ。
「……続けるぞ。で、簡単に言うと、そいつらはとある事情からグループを追い出されたんだが、成果を出して返り咲こうと、独自に研究を続けていた。その場所と言うのが」
「その、UHラボ?」
「ああ。主に研究していたのは能力者の兵器化。そのために、各地から素質を持つ子供を拉致しては、洗脳・強化を繰り返して最強の『躯体』を作ろうとしていた。……ソースはわからんが、な」
だが、そんな都合のいいことがあるはずがない。
「だがな、それこそまさに非合理的というべきだろう。奴らは総帥の目指す所を理解していなかった。俺よりもな」
「……鴉さんよりわからないってことは、相当ダメな集まりだったんだね、それ」
まったくだ。研究だけが能の「賢い愚か者」達。
「俺は当時、そいつと組んでUHラボの捜索に動いていた。だが、連中隠れるのだけは上手くてな。ほとんど掴めなかった。まあ、当時は今ほど人員もいなかったんだが」
「それで、結局見つかったの?」
「見つけた。いつもの如くコンビで動き、俺は施設を破壊して素質のある奴を何人か連れだした。ま、その後のことは本人次第だったが……っと、話が逸れたな」
本題はここからだ。なぜ、そいつを探すのか。
「その任務以来、そいつの姿が消えた。忽然と、だ」
「……もしかして、裏切ったの?」
トキコの声に剣呑なものが混じる。そうだったら、いっそ楽なんだが。
「いや、違う。本当に忽然と、消息を絶ったんだ。任務を終えて出てきたら、戦闘の痕跡だけ残して、だ。以来、そいつの情報がぱったり途絶えて、それっきりだ」
「………」
「どこで何をしているのか、そもそも生きているのかもわからん。だが、ラボ襲撃の任務の半分はそいつがやった。その顛末を聞いて報告しない限り、俺の任務は終わったとは言えん」
総帥や他のメンバーからは既に終了したものとして扱われている任務だが、俺にとっては未だ継続中だ。
「研究員の半数は取り逃がした。もしかしたら、今でもどこかで研究を続けているのかも知れん。そいつらを全て消さない限り、あの日の任務は終わらん」
「……鴉さん、割と真面目だね」
「俺にはそれしかない。任務が全てだからな」
そう、少なくとも今は。
「……わかった、見かけたら連絡する。鴉さん、この人の名前は?」
「名前? ……コードネームは『レイン』」
「本名は『夜(ナハト)』だ」
鴉の依頼
(探し求めるはかつての相棒)
(消えた理由と、任務の顛末)
(それを聞くまで、探し続ける)
「……鴉さん、本当に任務の事情で探してるの?」
「? どういうことだ?」
「この人、鴉さんのいい人?」
「そんなことはない」
「……と、思う」
- 349
:スゴロク:2011/05/29(日) 17:04:37
- 感想をば。
>大黒屋さん
ゴクオーに何があったんでしょうか……。仲間に出会い、今の家族に出会い、本人は何もないことを望む。
本当に、何もなければいいんですが。
妖怪の類別と力。そして百物語の真相は何か……私にはさっぱり掴めません。色々と深い話ですねぇ……。
>十字メシアさん
この世界の人間には付きものとは言え、シグマもまた重い過去ですねぇ……。最後の方で展開が示唆されてますが、果たしてどうなるのか?
期待してます。
マキナが怖―――ッ!? 正直、その一言が作品に対する率直な感想です、ハイ。
何だか初期の頃のスザクを見ているようで、寒くなりましたね。
>しらにゅいさん
トキコの別の一面ですか。最初期から読んでる身としてはちょっと意外な感じが。
クロウに食ってかかる姿が何だか和みました。……やっぱりあの人は「苦労」なのかな?
続き楽しみにしてます。
感想はまだ書きたいんですが、毎度の如くうまく文章になりません……。
皆さんの作品は全て読ませて頂いてます、今後ともよろしくお願いします。
- 350
:大黒屋:2011/05/29(日) 19:36:07
- 放っておいておりましたが、通常営業に戻すために失礼します。
自キャラオンリーです。
似た者同士
「…店長、ちょっといいか?」
夜遅くに由衣が階下のレストランに降りてきた。
カウンターについている店長は、そっとコーヒーをすすっていた。
「…ああ、由衣ね。どうした?」
「いえ、特に用事はないんですが。」
先日店長が突然店を休んではらはらしていたが、一日もたてば直ぐに戻り、今日もいつも通り仕事をしていた。
「体の調子は大丈夫なんですか?」
「ええ。やっぱり働き過ぎだったのかな。」
はは、と店長は小さく笑った。
「…店長、まだ調子悪いんじゃないんですか?」
「ん?どうして?」
「いつもの元気な顔じゃないです。」
「!」
由衣は店長…いや、亜音の向かい側に座った。
「何かあったんじゃないんですか?」
「…たく、あんたに隠し事はできないね。」
ふっと息を吐き、亜音は言った。
「昔のことを思い出して、ちょっと落ち込んでるだけさ。」
彼女は由衣に心を開き、自らの過去を語って聞かせた。
その間由衣は、驚きの表情を隠せずにいた。
「嘘だろ、そんなことがあったなんて…。」
「全部本当のことさ。幸せな家族が一瞬にして破壊された。その瞬間が忘れられなくてね。」
「情けない話だろ?たかだか20年以上も前の記憶だけで、他人を信じられなくなってしまってるんだ。」
亜音は自嘲する。その眼は深い悲しみに染まっていた。
「もしかしたら私は、あんたたちや…乃亜と乃流のことも信用できないんだろうね。」
「…情けない話なんかじゃないです。」
由衣は思わず呟いていた。亜音が顔を上げる。
「私も、過去引きずってるせいで悩みます。そんな経験したなら、人を信じられなくなって当然です。」
「由衣…。」
「それだけじゃない。過去の行いが今に影響していることだってあります。」
彼女は、すれ違う人が皆冷たい目でこちらを見ることを思い出していた。
「本人がよくなっても、はたから見れば変わらないまま。過去がどれだけ恐ろしいか、普段から身にしみて覚えてます。」
「でも、亜音さんは違う。亜音さんを見る人の眼は、皆温かいです。」
「!」
由衣は亜音を真っすぐ見た。
「皆、亜音さんを見守ってくれてるんです。だから信用できなくとも、笑顔を返すことはできると思うんです。」
「由衣…。」
「…私、知ってますよ。亜音さんがどうして紅に髪を染めたか。」
由衣は微笑んで見せた。
「私と同じです。過去を捨て、新しい自分になるため、ですよね。」
「…そう。そうだったわ。」
亜音も顔を上げた。
「それに、かつていなくなったとしても、今はノアもノルンもいる。私たちだって家族のつもりです。だから、もう悩まないでください。」
由衣はそっと手を伸ばした。
「亜音さんが私の悩みを聞いてくれたように、今度はこっちが、悩みを聞く番ですから。」
亜音は少し俯き、嗚咽のを漏らした。
決してそれは、悲しみの声ではない。
いつの間にか大きくなっていた、由衣の優しさへの、喜びだった。
「…ありがとう。」
亜音は、差しだされた手を握った。
「きっと、私たちって似た者同士なんだろうね。」
「違いますよ。似てるんじゃない。『同じ』なんです。」
炎の記憶を持つ黒髪
血の記憶を持つ黒髪
過去を払拭するため
「色」という新たな自分を持ち
青と紅は前に進みだす
最終更新:2012年02月29日 12:51