企画されたキャラを小説化してみませんか?vol.2
- 1:鶯色:2011/04/04(月)
16:19:48
- ここはキャラ企画つれっどにて投稿されたキャラクターを小説化しよう!というスレです
•本編とはかかわりがなく、あくまでもアナザーストーリーという扱いです
•時系列は本編(2002年のGW4月28日~)よりも前の話が主になります
•本編キャラの名前が名字無しカタカナの為、小説ではそれに合わせた呼び方が多いです
•人様のキャラクターを借りる時は、設定を良く見て矛盾が無いように敬意を持って扱いましょう
詳しい説明などは下のURLをご覧ください
•ナイアナ企画@wiki―「はじめに:企画キャラとは」
http://www22.atwiki.jp/naianakikaku/pages/27.html
前スレ
企画されたキャラを小説化してみませんか?
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/28084/1208562457/
- 351
:(六x・):2011/05/29(日) 21:42:21
- My brother is my prince
冬也の告白をスルーして逃亡された翌日、大事な話があるからとあいつの家に呼ばれた。
「えーと、話って何かな、冬也くん?」
昨日の件があるから気まずい。普段のノリなら男の家→エロ本発掘→養豚(ry→男涙目w的なことでもしてやるのだが…
「あの…昨日逃げちゃったけど、やっぱり俺は凪姉のこと大好きです。」
「!」
「無理に好きになってくれとは言いません。でも…嫌いにならないで下さい。」
なんで泣くんだよ、嫌いなんて一言も…
いや、今まで私がこいつのアプローチ(だと思われること)をスルーし続けた=嫌われた。と思っているのだったら、私はなんてひどいことをしてきたんだろう。
身体的な痛みから守ることはできても、精神的な傷を負わせてしまえば意味がない。
それで『騎士』と呼べるのか。
「凪姉?」
「冬也…私はお前を知らぬ間に傷つけていた、これではナイト失格だ。」
「…俺のナイトは凪姉ただ一人だ。他の誰かじゃ代わりにならないんだ!」
「冬也…」
「だから、失格って思ってもいいから…俺の側にいて…。ナイトとか姉貴分とか以前に、一人の女の子として凪姉が好きなんだ…。」
冬也、目が潤んでて頬も真っ赤だ。
いつもなら「ひでぇ顔プギャー」と言うところだが
「かわいすぎんだよお前はー。」
額にキスしてやった。
「!?//////」
「その次は、お前が心身ともに大人になったら考えてやらなくもない。」
「絶対ですよ。」
「さぁな、それはお前の努力次第だ。」
「はい!」
「話はそれだけだな、私は帰るぞ。」
「え…もうちょっと一緒に」
「また明日も会うんだろ?」
「!////」
多分真っ赤になってるだろう顔とか耳とかを、見られたくなかった。
なんでだろうな?
まぁ、それはおいておくとして
なぁ、王子様
私、今は『騎士』でいたいんだ。
いつか『お姫様』になる時は、改めてよろしくな?
- 352
:(六x・):2011/05/29(日) 21:57:19
- さんざん引っ張った結果がこれだよ!
凪姉が今まで以上にキザ過ぎてごめんなさい。書いててどっちが男だかわからなくなりましたwww
とりあえず「冬也の片思い系列」はこれで完結となりますが、以降はまた普通にみなさんのキャラ達と交流していくのでよろしくお願いします。
- 353
:鶯色:2011/05/31(火) 20:29:54
いかせのごれの町はずれ、そこにひっそりとたたずむ工場がある
そこは一般人にとってはなんの変哲もない製鉄系の工場のように思える
しかしそこは、知る人ぞ知る武器工場
常識から外れた従業員と、噂を聞きつけた契約者達が出入りしている
そんなこの場所に、今日も来訪者がまたひとり
「工場長!面会希望のお客さんですよー」
女性の声が作業室に響く
呼ばれた男、タクミは工場長と呼ばれるにはまだ若いが、白髪と糸目のせいで老けて見えた
そんな彼は今机に向かい、機械のパーツに夢中になっている
「ちょっと待ってね、今いい所だから」
こちらに見向きもしないその返事に、彼女はため息を吐いた
彼は一度作業に入ると、ひたすら熱中してしまう
それゆえに、彼の言う「ちょっと」は下手をすれば2,3時間にまで及ぶことも珍しくないのだ
「もう、出雲寺組の参謀さんを待たせるなんて」
「え?」
彼女の呟きに、作業の手が止まった
「構いませんよ、何せ唐突にお邪魔してしまったものですから」
タクミが振り向けば、彼女の横には緑色の髪の好青年が恭しく微笑んでいるところが見えた
それは、彼も良く知っている人だ
「ヨシヒトさん!」
「こんにちは、タクミさん」
タクミが笑顔で歓迎すると、ヨシヒトと呼ばれた青年も笑顔で返す
ヨシヒトは極道一家である出雲寺組の参謀で、武器工場の契約者でもある
武器の扱いに長け、手入れが趣味ということもあり、タクミからはかなり気に入られている
作業に区切りを付けると、タクミは駆け足で2人の元に駆け寄った
「よく来たね、元気してた?」
「ええ、あなたも相変わらずなようで何よりです」
「元気じゃないと工場長は務まらないからね」
「仰る通りで」
「まあ立ち話もなんだし、お茶でも出すよ」
「ありがとうございます」
「というわけでヒトミさん、応接室使うから用意お願いしていい?」
「はーい」
彼女が給湯室へと駆けていったであろう所を見送ってから、彼らも別室に向かった
- 354
:鶯色:2011/05/31(火) 20:30:47
- 彼女が入れたお茶を一口飲んで一息つくと、タクミはいやあ、と言葉を発した
「それにしても久しぶりだね、いつ以来だっけ」
「確か、あの日の後処理が最後だったかと」
「となると、ずいぶんと長くなるなあ」
しみじみと、呑気に思いだす素振りをする
「アキトを定期的に向かわせていますが、迷惑はかけていませんでしたか?」
「迷惑だなんてとんでもない!彼には学ぶことが多くて嬉しい限りだよ」
「それはよかった。彼もあなたに会うのを楽しみにしている節がありますので」
「出雲寺組さんならいつでも大歓迎だよ」
「恐れ入ります」
「それで、今日はどうしてここに?参謀さんが来ると言う事は雑談しに来たわけでもなさそうだけど」
「実は、とある情報を仕入れましてね」
「ということは、商談か何かかな?」
「いえ、情報量は要りません。あなたに伝えなければならないと判断しましたので」
「へえ?」
「単刀直入に申し上げます」
「先日『白き闇』に動きがあったようです」
「!!」
その言葉に思わず目を見開き身を乗り出すタクミ
ヨシヒトは冷静にその反応を見ている
「あいつ、今回は何を」
「いかせのごれ高校の生徒が数人、狙われたようです。しかし全員無事でした」
「つまり誰も壊れていないって事?」
「はい、詳しい事はわかっていませんけどね」
「…そうか」
そう言うとタクミは俯いた
冷静を装っているものの、明らかに怒りの色が見てとれる
「報復、したいのでしょう?」
「したいさ。でもね、それじゃあ何も守れない。あの日と同じだよ」
「本当にいいんですか?」
「工場長としての責任もあるし、よっぽどのことがない限りは大丈夫」
「そうですか」
「でもね、僕の他に誰かがあいつを倒してくれるなら協力は惜しまないからさ」
「それなら、情報が入り次第また伺いますよ」
「ありがとう」
タクミは頭を上げて、笑顔を見せた
- 355
:鶯色:2011/05/31(火) 20:32:53
- 「それと白き闇が動いているということは、ここもまた危険にさらされる可能性があります」
「あいつはもうこの場所に興味が無いみたいだから、大丈夫だよ」
「しかし、万が一があります。何かあれば連絡して下さい、今度こそ守り切りますから」
「わかった。でもいざとなれば優秀な用心棒もいるからさ」
「用心棒、ですか」
“用心棒”というキーワードに、あからさまに苦虫を噛み潰したような顔をする
「ヨシヒトさんバレッタの事好きじゃないんだもんね」
「はい、アレだけはどうしても生理的に受け付けないんですよね」
ヨシヒトは犬が大の苦手らしい
そして、バレッタはワーウルフ、同一視しているのだろうけど
「オオカミと犬は別物だって聞いてるけど、それでもダメなの?」
「タクミさん、どちらも犬科なんですよ?生物学的に同じようなものです」
「どっちでもいいんだけど、やっぱり仲良くできないものなのかな」
「アレと仲良く?はは、出来る訳もないししたくもない」
笑顔を見せてはいるのだが、それはひきつっていて眉間にはしわも寄っている
いつも落ち着いていて大人なヨシヒトが、バレッタの話題になるといつもこうだ
「バレッタもヨシヒトさんの事好きじゃないし、どうしようもないなあ」
「ええ、タクミさんが飼い主じゃなければ、半殺しにもでしてやりたいですよ」
「あー、それ彼が聞いたらどうなることやら…」
不意に、部屋のドアがガチャリと音を立てた
入ってきたのは、ふさふさとした人狼で
「タクミ、お茶新しいのもってき…あ」
「あ」
「…あーあ」
そう、噂のバレッタだった
なんてタイミングだと、タクミは盛大にため息を漏らした
ヨシヒトとバレッタはお互いの存在に気づくと、そのまま睨み合っている
バレッタは手にもっていたお盆を机に置いて、ヨシヒトに近づいていった
「おいスーツ男、なんでてめえがここにいるんだ?」
「それはこっちの台詞ですよ、部屋に入る時はノックしてから。お母さんに習いませんでした?」
「屁理屈ばっかり言いやがって、大体その優男顔が気に入らねえんだよ!」
「気に入らない?人間様に嫉妬でもしてるのですか犬人間」
「だから犬じゃねえ!ワーウルフだと何回言えば気が済むんだ!」
「どっちも同じですよ犬野郎」
「あんなのと一緒にすんな!!」
- 356
:鶯色:2011/05/31(火) 20:34:07
- お互い今にも殴りかかりそうな勢いで、口論はエスカレートしていく
取り残された工場長は、ただ傍観を決め込んだ
そうしていると、ヒトミがこっそりと開け放しのドアから部屋に入り、彼の傍らに来た
「ごめんなさい、バレッタさんに来訪者がヨシヒトさんだってこと伝え忘れてて、それで」
「もはや日常茶飯事でしょ、お茶でも飲もうよ」
ヒトミはタクミの隣に座ると、バレッタの持ってきたお茶を手に持つ
それにしても、と声を投げた
「2人とも、顔合わせたらいつもケンカ初めちゃうんですものね」
「よく飽きないよねえ、そこだけは尊敬するよ」
「尊敬と言うか、呆れると言うか…」
タクミは、目の前の光景を眺めながら思いを辿った
己の無力さにただただ後悔したあの日
しかし今この工場は平和そのもので、あの日がまるで悪夢のように感じられるほどだ
こうやって日常が続くのなら、報復はまだ必要ない
どこか遠くでそう考えながら、彼女が煎れたであろうお茶をすすった
―――ああ、今日もお茶は美味しいな
白き爪痕と平和なひととき
「ああもう!だからてめえは気に食わねえんだよ!なあ、タクミもそう思うだろ?」
「全く、救いようがないですね。タクミさんからも何か言ってやってくださいよ」
「いやいや、いきなり話振られても答えようないって」
「まだ続くのかな、これ…」
―――――
登場キャラは、十字メシアさんより「亜寺 義人」、名前のみで「九柳 亜樹斗」、スゴロクさんより「ヴァイス」
自宅からは「タクミ」、「バレッタ」、キャラ設定公表前の子で「ヒトミ」となっております
まず、十字メシアさんすみませんでしたあアアアアアアアアア!!!(額を地面に擦りつけながら)
犬嫌い設定から色々と飛躍してこうなりました、バレッタ以外には犬にも絶対こうはならないだろうなあと思っております
と言う訳で壮絶なキャラ崩壊ほんとうにごめんなさい!でも書いてて楽しかっ(自主規制
今行っている連載がひと段落ついたら、当時の事も詳しく書いていきたいなあと思っています
ついでにヒトミについて簡単に。そのうちしっかりしたものをキャラ企画スレに乗せますね
ナルミ ヒトミ(女)
武器工場の従業員、受付や事務などを担当している
工場建設前から工場に携わっている古株
黒髪のロングヘアーが特徴的
- 357
:大黒屋:2011/05/31(火) 20:59:48
- さて、本気で鉄槌奪った人誰にしようかorz 場合によっては自分が考えざるを得ない気がしてきた。
(六x・)さんより「凪」「冬也」、スゴロクさんよりホウオウ兵器「パニッシャー」をお借りしています。キャラ崩壊していなければいいが…;
解放と酷使
冬也と凪はストラウル跡地に来ていた。
何でも冬也が、学校の宿題でいかせのごれを調べるらしく、その一環としてきたのだ。
「改めてみても、酷い荒れようだな…。」
「もう3年たつらしいからね。おっと!」
「冬也、足元気をつけろよ。足場悪いからな。」
「わかってますよ…っ!?」
「どうした、冬也?」
「…凪姉、前!」
冬也が叫んだ瞬間、眼の前から何かが飛び出し、こちらに迫って来た。
反射的に冬也を庇い、路の端に転がる。
体を起こすと、見たことのある「それ」が、ゆっくりとこちらに向き直っていた。
「『パニッシャー』!?何でここに!」
「…っ!?」
凪は素早くあたりを見回した。
一体だけではない。6、7体のパニッシャーが囲むようになっているのだ。
「どういうこと?パニッシャーは放棄も同然で、1体ずつしか動かない筈じゃ…。」
冬也が一人呟くが、凪はそれどころではないと立ち上がった。
腰に差していたアイスブラスターを抜き取り、冬也を起こして寄り添った。
「な、凪姉…?」
「…逃げるぞ。」
わざとパニッシャー同士の隙間を狙って数発放つ。
パニッシャーがかわしたのを見計らい、冬也の手を引いてその隙間に転がり込んだ。
そして直ぐに立ち上がり、眼の前の路をひたすらに走り出した。
直ぐに反応したパニッシャーが追ってくる。
時折アイスブラスターを発射するが、一向にその差は広まらない。
「大丈夫か、冬也?」
彼女は激しく息切れする冬也を気にした。
「はぁっ…はぁ…、だ、大丈夫…。」
そう答えるが、体力的に限界が近いのだろう。
かといって、ここで止まればパニッシャーに襲われる。
仕方がない、と一言つぶやき、彼女は止まって踵を返した。
「凪姉っ!?」
「冬也!近くの建物に隠れろ!」
そういい、凪は眼の前に迫るパニッシャーに向けて数発放った。
放たれる弾をかわしながら、パニッシャーが徐々にこちらに近づいてくる。
気持ちが焦るほど、手元がぶれる。
銃弾も掠らなくなってきていた。
そして、7体ほどのパニッシャーが動き、一斉に銃を構えたのだ。
「!!」
これだけの銃弾を防ぐこともかわすこともできない。
これは、終わったか…?ああ、でも冬也をどうしよう…。
複雑な心情が渦巻く中、反射的に彼女は眼を閉じた。
その直後、耳元に銃声は届いた。
――のだが、痛みも衝撃も全く襲ってこない。
「…?」
恐る恐る顔を上げる。眼の前に誰かがたっている。
黒いコートとやや長めの髪を持った男。その姿を見るなり、後ろの冬也が叫んでいた。
「ご…獄王さん!?」
「よ、冬也。久しぶり。」
- 358
:大黒屋:2011/05/31(火) 21:00:21
- 振り返って片手を上げる獄王は眼の前に傘を突き出し、パニッシャー達から二人を庇う位置に立っていた。
「…お前が、隣のクラスの…?」
「そうじゃ。会うのは初めてじゃのう。お前が凪じゃな?よろしく。」
「あ、ああ…。」
会話をしている間にも、パニッシャーからの銃弾の嵐は続く。
しかし、こちらに銃弾が届く前に傘の手前で蒸発するように消えていくのだ。
「さっきから五月蝿いのう…。」
傘を畳んで薙ぎ払い、パニッシャーとの間を広げた。
「何でこんなところに…。」
「冬也から聞かなかったかの?彼がわしの鉄槌を預かっててくれたんじゃ。」
凪は冬也を見る。冬也はすぐに頷いた。
「一度返したんだけど、諸事情でまた預かってたんだ。」
「その代わりに何かあれば駆けつけることを約束しとった。」
「そういうことか…。」
獄王はもう一度傘を開くと、しゃがんでいる冬也の近くに立てた。
「そこから絶対に動くな。ええの?」
「分かりました。」
冬也は頷き、仕舞っていた鉄槌を取り出して差しだした。
「…わかっとるのw」
獄王はそれを受け取り、立ち上がった。
「…さて、凪。」
小声で獄王は言った。
「お前も…能力者じゃろ?」
「!?なんでそれを…。」
「それはこの際どうでもいいことじゃ。重要なのはここから。」
「周りの眼を気にするな。能力を酷使し、パニッシャーを払うぞ。」
「で、でも冬也が…。」
「だから傘の下から動くなといったんじゃ。視界がおおわれるから、眼の前は見えん。」
彼は凪に笑いかけた。
「もっとも、守るのが第一じゃけどの。」
その様子に暫く凪は黙っていたが、やがて静かにうなづき、右手にアイスブレードを作り出した。
「成程、氷系の能力者か。幾分寒さにも強そうじゃな…。」
獄王は独り言を呟きながら、鉄槌をしかと握った。
「んでこっちは、機械兵相手なら…6、いや、5割で十分じゃな。」
途端に持ち手から紫色の炎が上がりだした。
「!?」
「…『解放:第一形態』!」
炎は鉄槌全体を覆い、徐々に膨れ上がってくる。
右手を持ち上げ、水平に振う。
風になびく様に炎ははがれ、3周り程に大きく変化した鉄槌が姿を現した。
「…ん。久しぶりでこれなら上出来かの。」
「獄王、そんな武器で大丈夫か?向こうは遠距離攻撃仕掛けてくるし…。」
「大丈夫じゃ、問題ない。わしにはこの位が丁度いい。」
さてそれよりも、と彼は話を切り上げた。
「突撃する心構えはできとるな?」
「ああ。いつでも。」
「よし、なら…。」
「…いくぞ。」
二人同時に蹴りだす。
凪はアイスブレードを水平に振り、3体のパニッシャーに斬りかかった。
しかし、装甲には僅かに傷が入るばかり。
「堅っ…!」
何度も剣を振うが、装甲に入った傷は数えるほどしかない。
1体が振るう剣をかわし、後ろに下がった。
- 359
:大黒屋:2011/05/31(火) 21:01:53
- 「なんだよあいつ、装甲堅すぎる…っ。」
小さく呟き、前方に出た獄王を見た。
長い柄を振りまわし的確に打撃を加えていくが、こちらも損傷は極僅からしい。
「獄王、これは…。」
「パニッシャーが暴れとるだけじゃない。絶対誰かの意思が関わってきとる。でなきゃこんなに装甲は堅く出来ん。」
「じゃあ、どうするんだよ…。」
「…止むをえんのう。」
獄王はもう一度前にたった。
「凪、お前、寒いのは大丈夫か?」
「え?ああ。ある程度なら…。」
「そうか。なら念のためこれを着ておいてくれ。」
獄王は自らのコートを脱ぎ、凪に放った。
「わしが動きを止めるから、関節部を狙ってまとめて斬りつけるんじゃ。ええの?」
「あ、ああ…。」
「念のため言っておくが、常識外の寒さになる。できるだけ早く片付けんと、お前が凍死するからの。」
「一か八かの命がけ真剣勝負ってか…。」
獄王は両手に鉄槌を握った。
鉄部に光る青い記号が浮かび上がった。
「…『召喚:頞部陀』!」
鉄槌を振り上げ、彼は思い切り地面に叩きつけた。
ガラスが割れるような音が響き、灰色の空に一瞬にして水色と白が混ざり込んだ。
周囲の温度が一気に下がり、水蒸気が一気に凍りだしたのだ。
一瞬にして氷と化した水蒸気はあたりに霜と雪となり敷き詰められる。
風も一気に強くなり、寒さに強いはずの凪もこの時ばかりは身震いした。
そしてその霜は、パニッシャーの関節部にも例外なく張られたのだ。
自由を失った機械たちがぎしぎしと音を立てて唸る。
「今じゃ、凪!!」
獄王が叫ぶと同時に、凪は関節部のコードを余すことなく切り裂いた。
鉄片と化したパニッシャーを見送り、すぐに獄王はその「寒さ」を消し去った。
「大怪我がなかったようで何よりじゃ。」
鉄槌を戻し冬也に渡しながら、笑顔で獄王は二人に言った。
「ありがとな、獄王。一人じゃ危なかったかもしれない。」
「ええんじゃ。約束やったしの。さて…。」
獄王は傘を受け取り、パニッシャーの破片を見た。
「人為的に何ものかがこいつを操っていたとなると、無差別である可能性は低いじゃろうな。」
その言葉に、凪も冬也も驚いた。
「そんな、じゃあ僕か凪姉のどちらかが狙われたってことですか!?」
「…。」
獄王は破片を見つめたまま言った。
「狙われたとするならば、冬也か、凪か…。」
一度言葉を切り、獄王は俯いた。
「…わし、か。」
「「え?」」
「…いや、何でもない。」
「それじゃ、わしはこの辺で。二人とも気をつけるんじゃぞ。」
数分後、暫く跡地をウロウロした後に獄王が切り出した。
「また何かあったらすぐ来るけの。それじゃ!」
獄王は片手を上げて振ると、傘を差した。
まきおこった強い風に乗り、飛んでいく獄王を見送りながら、凪と冬也は呟いていた。
「狙われていたって、僕らじゃない可能性があるってこと…?」
「獄王…あんた一体、何者なんだ?過去に、何があったっていうんだ?」
- 360
:鶯色:2011/06/01(水) 01:40:00
- 連投となりますが失礼します
―――――
今日は派遣先でのお仕事もお休み
警察での出来事を報告しに、ジンはウスワイヤに来ていた
そうしていると、誰かが走っているような足音が聞こえてきた
どうしたのかな、と思ってその方向へ行ってみると、きょろきょろとあたりを見回すハヤトの姿が
ジンが声をかけると、手を振りながら駆け寄ってきた
「探し物か何かですか?」
「ああ、でっかい犬が迷い込んだんだよ」
「犬、ですか」
「ゴールデンレトリバーなんだけど、見てねえ?」
「いや、基地内ではリュウ君しか見てないです」
「そっか、あいつどこ行ったかな」
そう言ってまたあたりを見回すハヤト
彼は気付いていないが、先ほどの会話をしてからジンが少しそわそわしている
口角が緩むのを隠しているような、そんな落ち着きの無さだ
「あの、ハヤトさん」
「お?」
「その子、もし見つかったら…」
「きゃああああああああああ!!」
ジンの言葉を遮るように、女性の悲鳴が廊下に響いた
「あの声って、たしかコノカの…?」
2人は花のような少女の姿を思い浮かべ、どこか嫌な予感を感じた
「行きましょう!」
「ああ」
お互いの顔を見合わせると、悲鳴が聞こえて来た方へと駆けて行った
- 361
:鶯色:2011/06/01(水) 01:41:07
- 2人が駆けつけると、仰向けで薔薇の花びらまみれになっているコノカがいて
その上にはハヤトが探していたゴールデンレトリバーが乗っかっている
懐いているのだろう、犬はシッポをぶんぶんと振り回してじゃれついている
本当なら犬も見つかり一件落着なのだが、この場合そうはいかない
コノカは、悪夢を手に入れた時のトラウマで犬が大の苦手なのだ
おかげで彼女は目一杯に涙を浮かべ石化していて、意識を保っていること自体が奇跡なほどだ
うかつに手を出せばどう暴れるかも分からず、また逃げ出してしまうかもしれない
「ほら、こっちおいで」
どうしようか思案していると、不意に男の声が聞こえてきた
男は犬と彼女のそばに近づくと、犬に手を差し伸べた
それを見た犬は彼女と男を交互に見ると、ゆっくりと男の元へ向かった
「良い子だね」
男はそう言うと犬を抱き上げ、頭をなでた
犬はその事に上機嫌で、お返しと言わんばかりに男の顔を舐め回している
「大丈夫ですか?コノカさん」
彼女はその光景を茫然と眺めていたが、声をかけられた事で正気に戻ったのか
声にならない悲鳴を上げて逃げ去ってしまった
「タマちゃん」
「シズルさん」
ハヤトとジンが呼ぶと、男は少し落ち込んだ様子で笑顔を作った
「犬捕まえてくれてありがとな」
「いえ…この子、どうしたんですか?」
「なんかの手違いで迷い込んじまったみたいでな、探してたんだよ」
「そうだったんですか」
「あの、シズルさん?」
「うん?」
もふっ
「このこ、さわってもいいですか?」
そう言いながらも、ジンの手は玉置の腕の中の犬におかれていて
彼は目をらんらんと輝かせながらその感触を楽しんでいる
「良いですよ?と言っても…」
「言う前からさわってるよな?」
その声も今の彼に届いているのか、生返事をしながら一心不乱に犬を触り続けている
触られる事に喜んでいるように、犬もジンの手に頬ずりをしたり、舐めたりしている
ハヤトはその行動を見ながら、呆れたように自分も犬の頭に手を置いた
それは野良犬とは思えないほどふかふかしていて、しばらくその感触を楽しんでいた
もふもふ
(コノカさん、大丈夫かなあ…)
腕の中で幸せそうにしている大型犬を眺めながら、玉置は先ほどの少女を心配した
追いかけたくとも、この状態では叶わぬ願いだったが
「わっくすぐったいよ」
「お前懐かれてんなあ」
犬と戯れている少年達が、今だけ少し恨めしく感じた
―――――
登場キャラは、六水条剣さんより「ジン」、しらにゅいさんより「玉置 静流」、びすたさんより「コノカ」
自宅からは「ハヤト」、名前のみ砂糖人形さんより「リュウ」お借りしました!
ジン君のもふもふ好き設定は、第5回ナス「生」ラジオにて
- 362
:大黒屋:2011/06/01(水) 20:12:00
- ほのぼのは本気で苦手だと思った。でもやりたかった。反省はしている。
しらにゅいさんより「玉置 静流」、樹アキさんより「緑音ののか」をお借りしました。
動物に詳しい人は本気でこういうらしいですよ?
「やっぱりそうおもいますよねっ!なんだか先生とは気が合うなぁ!」
「それはこちらの台詞ですよ!ここまで話が合う人もなかなか見かけませんので!」
「あれ?ノラちゃん?何してるの、こんなところで?」
「あ、のーちゃん!今ね、玉置さんと動物談義してたの!」
「たまちゃんと?へぇ、すごいなぁ。たまちゃん、動物にはかなり詳しいんだよ?」
「いえいえ、それが螺良華さんもすごい知識で。」
「それでねっ、今、どの動物が最強かって話してたんだけど、ばっちり意見があっちゃってさ!」
「そうなの!?で、何々?」
「「やっぱり『カバ』でしょ!」」
「…へっ?」
「え、あの…本気?」
「勿論!」
「ライオンとか、クマとか、そんなんじゃないの?」
「だってすごいんだよ?口なんてこーんなに大きいし、瞬発力だってあるし!」
「天敵にもひるまず立ち向かう!この姿勢がすごいとおもいませんか!」
「うーん、よくわかんないけど…;」
「多分ね、動物に詳しい人は口をそろえて言うよっ!」
「ライオンとか言ってたらまだまだ知識は浅いものです!」
「「ねーw」」
(駄目だ、この二人についていける気がしない…!)
「…ののかさん…;」
「あれ、きょーちゃん?今日はベッドから出てこないの?」
「出れるわけないじゃない;迂闊にでていけば、動物談義に巻き込まれるから…。」
「ああ…;」
「動物にも嫌われてて、ろくな思い出がないのよ…;」
「それは…なんというか…;」
「もう、優しくしてくれた動物なんてマサムネだけだから…。」
「わんっ!」
「ったぁ!爪引っ掛かった!!」
「わーっ!たまちゃん大変!ひっかき傷、とっても深いよっ!」
(能力使うんじゃなかった…。)
「なんですって!?氏型さん、こちらに!すぐ手当てしますから!」
「すみません、玉置先生。最早日常茶飯事ですね…;」
動物談義(保健室にて)
「環ちゃん、まだ教室に行けそうにないの?」
「まだ、勇気が出なくてね…。」
「ふーん。もったいないなぁ…。」
「え?何が?」
「うん?何も言ってないよ?」
- 363
:十字メシア:2011/06/01(水) 23:23:17
- カナミとウツロ君の続編的な。
『会いたい人』
最近、私はある人との約束で頭の中がいっぱいです。
時々ですが、授業中でもボーッとしてしまいます。
「カナミちゃん、具合悪いのー?」
放課後にその事を考えていると、クラスメイトのトキコちゃんが話しかけてきました。
「え、どうしてですか?」
「だって授業中、よくぽえぽえしてるもん」
「ぽ、ぽえぽえって…そんな事、無いですよ」
「ふぅ~ん?」
ニヤニヤするトキコちゃん。
……次は一体何を言い出すんでしょうか。
「もしかして、好きな人が出来たとか?」
…………は。
「はいぃぃっ!??」
私は思わず叫びました。
それに周りの人達がびっくりしてこちらを見ます。
「カナミちゃん、声大きいよ」
「ご、ごめんなさい」
「でも、その反応からしているんでしょ?」
「えっ、い、いませんよ!」
「ホントに~? あ、じゃあ恋人出来たの?」
「それも違いますーっ!」
「あれ、そうなの? モテモテなのになあ」
トキコちゃんがけたけた笑います。
うう、一体どこまでからかうつもりなんですか…。
反撃しないと…。
「…そういうトキコちゃんは、最近よく居眠りしてるじゃないですか」
「あれは単に眠いだけだよー」
「………」
全く攻撃になってませんでした。
「ねえねえ、何でなの?」
「ト、トキコちゃんには関係無いじゃないですか…」
「んー? 声に覇気が無いよ~?」
う…もう逃げ切れないみたい…とほほ…。
「あ、あの…その…ある人と、約束したんです」
「え、デートの?」
「だから違いますってば!」
「な~んだ。で、誰と?」
「え、えと…」
私は返答に困りました。
白を切らしてもトキコちゃんには無意味でしょうし、かと言ってウツロ君の名前を出せば、私がトキコちゃんがホウオウグループの一員である事を知っているのがバレてしまいますし……。
実際、トキコちゃんがホウオウグループの人でも、私は敵味方の区別をつけるつもりはありません。
でも知っている事がバレると何ていうか、話しにくいというか……。
「ねー、誰とー?」
…ああもう、ここは素直に言っちゃいましょう!
「…ウツロ君です」
すると私の言葉に、トキコちゃんが微かに反応します。
でも変わらず明るい表情のままでした。
「いつ会ったの?」
「えっと…4日前です」
「どこで?」
「屋上です」
その途端、トキコちゃんの目がキラキラし始めました。
「え、うーちゃんとデートしてたの!? というかいつ付き合ってたの?」
「何でそうなるんですか!? 一緒に夕焼け見てただけです!」
「一緒に夕焼け? ホントに付き合ってないの?」
「ホントですよー!」
「じゃあ何で顔赤いの~?」
「こ、これは違います!」
このままここにいれば弄られ続ける。
そう思った私は、逃げるように教室から出ていきました。
後ろからトキコちゃんの声が聞こえてくるけど無視です!
- 364
:十字メシア:2011/06/02(木) 15:42:30
- 「はぁ…はぁ…」
ここまで来れば大丈夫ですよね……。
息を切らしながら、私は何となく学校を見上げました。
―――屋上。
私とウツロ君が出会った場所。
友達になった場所。
あれから4日。
最近でも、休み時間や放課後に行ったりしています。
でもいつの日もウツロ君に会えませんでした。
「会いたいな」
そう、呟くと、ある事が頭の中に浮かびました。
―――ウツロ君は高い所が好きだと言っていました。
もしかしたら他の場所にいるのかも。
そう思った私は、ウツロ君がいそうな場所に向かって走り出しました。
向かう先は―――ストラウル跡地。
しばらく走っていると、廃ビルが段々近づいてきました。
略してスト跡地とも呼ばれるこの場所は元々、ホウオウグループの統率者であるホウオウの弟だという男、
レイスの拠点だったそうです。
そのレイスはケイイチ君達に倒されましたが、それ以降は奇妙な出来事が多発している為、
アンバランスゾーンと呼ばれるぐらいに不気味な場所となってしまいました。
過去にも大量のパニッシャーが出現したりと、かなりの危険性もあります。
でももしかしたら。
もしかしたら、ウツロ君がいるかもしれません。
私は意を決して、中に入りました。
「階段…階段…あ、あった」
うう、やっぱり心細いし怖いです…。
でも私はアースセイバーの一員。
こういう時こそしっかりしないと―――その時。
ピチョン。
「きゃぁあああ!? …あ、雫かあ…びっくりしたあ…」
な、情けない…頭に雫が落ちてきたぐらいで…。
一般人とホウオウグループを見分けられる勘と洞察力があるとはいえ、どうしてアキヒロさんは私をアースセイバーに選抜したんでしょう…。
考えるだけでも溜息が…ああ…。
とりあえず、今は屋上を目指しましょう…。
- 365
:十字メシア:2011/06/02(木) 16:07:40
- 「これで6階…後1階…」
その時―――。
ゾワッ
「!?」
一瞬、背筋に寒気が走りました。
辺りを見回しますが、誰もいません。
「…気のせい――― ッ!」
再び背筋に寒気が走り、私の頭に「殺られる」という言葉が浮かびました。
咄嗟にそこから退いた途端、そこにグレネードの弾が当たり、爆風が起こりました。
「これは…っ!」
目の前に、複眼の付いたヘルメットの様な頭をした、人型大の兵器―――パニッシャーが姿を現しました。
「どうしよう…」
私の能力、ハートブースターには一応、攻撃になる感情もあります。
主に怒りや悲しみの感情。
ですが、私はミユカちゃんとの共同任務の時しか戦闘経験がありません。
果たして倒せるのでしょうか…。
「ッ!」
パニッシャーが再び撃ってきました。
今度はマシンガンです。
私は再びそれを避けます。
「こうなったら、やるしかありませんね」
私は立ち上がり、一呼吸します。
次に怒りの感情を能力で増幅・エネルギー化し、そして―――一気に放つ!
「立ち退きなさいっ!!」
私は怒号を口にします。
その瞬間、私からパニッシャーに向かって、炎弾が飛びました。
装甲に焦げ目がつきます。
このままやり続けたらきっと倒せるでしょう。
「倒れなさいっ!」
何回も怒号を口にし、炎弾を飛ばし続けます。
焦げ目の数は増え、破損している場所も出来てきました。
でも元から無かった感情を無理矢理に増幅させている為、私も段々と気疲れしてきました。
「はぁ、はぁ…」
炎弾も少し小さくなってきました。
もう限界です。
そこにパニッシャーが再び撃ってきます。
「きゃあっ!」
私の心に浮かんだ「恐怖」が、バリアとなって現れました。
このバリアならどんな攻撃も弾きます。
しかし、元からある感情でも、長時間続けてエネルギーにしていけば、疲労が溜まっていきます。
このままでは……。
「助けて…っ!」
誰もいない事を分かっていても、私は助けを求めました。
いつもならミユカちゃんが脳裏に浮かんできます。
でも、どうしてでしょう。
今、脳裏に浮かんだのは―――ウツロ君でした。
「ウツロ君…っ!」
会いたい―――ウツロ君に会いたい。
そう思った時です。
ガッ!
「え?」
突然響いた音に、私は思わず顔を上げました。
パニッシャーの装甲に、さっきまで無かった小さな傷。
よく見ると、パニッシャーの足元に少し大きめの石が転がっていました。
「大丈夫、ですか?」
いつか聞いた声。
どこか寂しげで、でもどこか優しい。
私が、一番、会いたい人の声―――。
「ウツロ、君…?」
- 366
:大黒屋:2011/06/02(木) 20:59:15
- 結局鉄槌奪った相手は自分で考えました。
(六x・)さんより「凪」、名前のみ「冬也」をお借りしました。
正義と人外と一般人
「やれやれ、まさかこんな所に舞い戻ってくるとはね。」
静まり返ったある日の夜更け。
いかせのごれ高校の屋上に、一つの人影があった。
黒いマントでその姿は隠れ、見えてもいいはずの眼さえも、黒い眼隠しで覆われていた。
「人外は人外らしく扱われていればいいものを。まったく、こりないものだね。」
くしゃりと前髪を握り、彼は呟いた。
彼は「正義の味方」。即ち人間の味方。
それ故か、「人外」を忌み嫌う。
妖怪、生物兵器、怪盗…。あらゆる人外を彼は敵視し、「成敗」してきた。
そう、今回この街に戻って来た「彼」も、その一人だ。
「再起不能になるまで至らしめてやったというのに、生かしていたのは間違いだったかな…。」
彼は「あの時」を思い出すように呟いていた。
「まぁ、いいか。懲りてなかったらもう一度教えてやればいいしね。弱点はもう見抜いているんだから。」
「人間の味方をするのも、楽じゃないね、全く…。」
そういって自嘲的に彼は笑うと、踵を返した。
「どういうことじゃ、そんな…。」
月明かりの下、彼は走っていた。
普段通りに過ごしていた彼の耳に、主からのとんでもない報告が届いたのだ。
「焦らないで!落ちついて!」
背後から聞こえる声も耳には届かず、無我夢中で彼は走っていた。
行き先は、かつて彼が「住んでいた」、誰も知らない土地…。
「ガラク、いるかの!?ヒキコはどこじゃ!」
そう叫びながら、彼は洞窟に飛び込んだ。
同時に彼の眼に前に飛び込んできた光景は、
血を流しながら倒れている、満身創痍のヒキコだった。
「ヒキコ!?」
慌てて彼は駆け寄る。
ヒキコは細く眼を開け、彼を見つめた。
「…ゴクオー、来てくれたんだね…。」
「ちょっとまってろ。」
彼は包帯を取り出し、慣れた手つきで巻いていく。
白い包帯がみるみる赤くなっていくのを、彼は直視できなかった。
「この傷…まさか、「あいつ」にやられたんか?」
「…ええ。気をつけてはいたんだけど、ここまでなんて思わなかった…。」
「くそ…、何処までわしらを忌み嫌うんじゃ、あいつはっ…!」
彼は強く地面をたたいた。
「…ゴクオー、私のことはいいわ。」
「ヒキコ…?」
「急いで。あいつ、いかせのごれにいる「人外」を全部つぶすつもりだわ。」
「!!」
彼は思わず顔を上げた。
「主には伝えたけど、きをつけて。「百物語」組も危ないわ。」
「…。」
「ゴクオー、貴方が蹴りをつけるのよ。」
「えっ…!?」
「貴方にとってあいつは、唯一敗北した相手であり、忌み嫌うべき存在。貴方が倒さなくてどうするの。」
「…じゃが、わしは既に弱点を見抜かれて…。」
「貴方らしくないわね。いつもならホイホイ引き受けるくせに。」
ヒキコは無理やり体を起こした。
「貴方がどう言おうと、貴方が決着をつけるのよ。大丈夫、貴方なら、弱点をカバーする方法を見つけられるから。」
「…わしが…?」
「ええ。…さぁ、早くいきなさい。私は大丈夫。ガラクさんもいるわ。」
彼は彼女の意志に沿い立ち上がったが、後ろ髪をひかれる思いだった。
「…そんなことがあったんだねぇ。」
「そうそう。まさかあそこであいつが出てくるなんて思うか?」
凪と冬也が襲われて数日。ノラは凪にその時の話を聞いていた。
互いに能力者と知っているからこそできる話なので、小声で話しているわけだが。
「いやぁ、でも、二人とも無事でなによりだよっ!」
「いや、推測に寄れば私たちの中の誰かが狙われていた可能性が高いみたいなんだ。次また襲われるかわかんない。」
「そっか。でも、どうしようか。誰が狙われてるか分かんない以上、行動の制限もできないし…。」
「…ねぇねぇ、そこのお二人さん。」
後ろから声をかけられ、振り返った。
「今のはなし、詳しく聞かせてもらえないかな~、なんてw」
「え?な、何で?」
「面白い言葉が聞こえたからね。超常現象は僕の大好物だからっ!」
「は、はぁ…;」
「ストラウルにしょっちゅう寄るけど何にもないからね。もしかしたら良いネタになるかもしれないぞ~w」
後ろにいたのはクラスメイト。
オレンジレンズのゴーグルと腰に巻いたジャージが特徴的な女子生徒。
オカルトマニアの一般人。
新聞部の海女海 海海(アマノ ミエ)だった。
- 367
:十字メシア:2011/06/02(木) 22:49:57
- 呆然とする私をよそに、ウツロ君はパニッシャーに向かっていきました。
ウツロ君に気づいたパニッシャーは、ウツロ君に向かってライフルを撃ちます。
「……ッ!」
私は思わず目を瞑りました。
でも恐る恐る目を開けてみると―――。
「え…?」
何と、ウツロ君の撃たれた傷がみるみるうちに塞がっていきます。
何度撃たれても、傷は治っていきます。
それを見て、私はあの日に聞いたウツロ君の言葉を思い出しました。
―――不死身もどきの体。
恐らくウツロ君の能力は、とても強い再生力なのでしょう。
パニッシャーの近くまで来たウツロ君は、飛び上がってパニッシャーの頭を踏みつける様にして蹴り倒しました。
そして私の目の前に着地すると。
「逃げましょう」
「あ…はい」
立ち上がると同時に、私の手をとってくれました。
そして私たちは階段目がけて走りだします。
ふと後ろを見ると、パニッシャーは立ち上がり始めたところでした。
そこに私はもう一発炎弾を飛ばします。
「こ・な・い・で・下さーいっ!!!!」
いつもより大きな炎弾がパニッシャーに激突しました。
炎に包まれたパニッシャーは、とうとう動かなくなりました。
- 368
:十字メシア:2011/06/02(木) 22:50:42
- 「ふー…」
一息ついた途端、足がふらつきました。
そこをウツロ君が咄嗟に支えてくれました。
「あ、ごめんなさい」
「大丈夫ですか?」
「何とか…でも、どうしてここに…」
「ここ、よく来るんです」
じゃあ、あの時はたまたま屋上にいただけだったんですか…。
「カナミさんこそ、どうしてここに来たんですか?」
「え」
唐突に聞かれて、私は口籠りました。
「会いたかったから」って言えばいいのは分かってますが、いざとなると恥ずかしいです……。
「えっと、その…」
私は一呼吸して。
「…ウツロ君に、会いたかったんです」
「僕に?」
「約束が忘れられなくて…」
最初は首をかしげるウツロ君でしたが、思い出したように「ああ」と、声を上げました。
「ストラウルで夕焼けを見るって約束でしたっけ」
「はい」
「でももう日沈んでるから、無理ですよ」
「え…えええっ!?」
どどどどどどうしよう!?
早くウスワイアに帰らないと!
「え、あ、あの! 助けてくれてありがとうございました!」
「別にいいですよ」
「あの、約束は今度でいいですか!?」
「構いませんが」
「じゃあ、私帰りますね!」
そう言って、走り出そうとした時。
「…送りましょうか?」
「え?」
突然の言葉に驚く私を見て、ウツロ君は続けます。
「家まで、一緒に」
「え、えと…お気持ちはありがたいのですが、私の家はウスワイアですので…」
「なら近くまで」
「…いいんですか?」
「一人じゃ危ないと思いますので」
「あら、大丈夫ですよ。さっき見たでしょう? 私、戦えますから」
「でも能力使った後、ふらついてましたよね?」
う…痛い所を突かれたような…。
でも。
「どうして送ってくれるんですか?」
するとウツロ君は目を伏せて。
「僕の約束のせいで、危険な目に逢わせちゃいましたから」
「そんな! ウツロ君は悪くないですよ! 元はと言えば私が一方的にしてしまったので」
「いや、一方的じゃありませんよ。寧ろ嬉しかったので」
嬉しかった?
どういう事でしょうか?
「じゃあ行きましょうか」
「あ、はい」
- 369
:十字メシア:2011/06/02(木) 23:03:28
- 私達は何も言わないまま歩いていました。
何か喋りたいんですけど…。
あ、そうだ。
「さっき嬉しかったって、言ってましたよね?」
「はい」
「どうしてですか?」
するとウツロ君は笑いました。
本当に、嬉しそうに。
「あの時、言ってくれましたよね。ちゃんとした心を持った人間だって」
「あ…」
私が言った事、覚えていたんですか…。
「今までそんな風に、優しくされた事なくて…」
「…そうなんですか?」
私の脳裏に、トキコちゃん達ホウオウグループの生徒の面々が浮かびました。
それを見透かした様に、ウツロ君が言いました。
「トキコさん達は話しかけてはくれますよ。ただ、そう言われた事はないんです」
そしてまた目を伏せて。
「…僕を作った人達は、出来損ないとしか言ってくれませんでしたから」
また、ウツロ君の心から「悲しみ」が。
駄目です、悲しんでは。
だから私は言いました。
「私がいます」
「え…」
「私が、ウツロ君の『笑顔の理由』になりますから」
「笑顔の…理由?」
「ウツロ君が悲しまない様に…心の底から笑える様に」
「カナミさん…」
目を見開くウツロ君。
でも次の瞬間には、笑顔になりました。
「ありがとうございます」
「いえ」
そうしているうちに、ウスワイアが見えてきました。
「…送ってくれてありがとうございました」
「別にいいですよ」
「じゃあ…さよなら」
名残り惜しく、その場を去ろうとした時。
「3日後…」
「え?」
「3日後、夕焼け見ませんか?」
「え…あ…はい!」
するとウツロ君は笑って、その場を去って行きました。
私も、また。
-その後-
「どこに行ってた! お前は世間知らずだから夜遅くまで出歩くなと…」
(…そんなに見えるんでしょうか…世間知らずに……)
「あ、うーちゃんお帰りー」
「トキコさん。雑用ですか?」
「まあね。で、カナミちゃんに会った?」
「…何でそれを?」
「カナミちゃんから、うーちゃんに会ったって聞いたから、なんとなーく」
「…そうですか」
「で、うーちゃんはカナミちゃんの事、どう思ってるの?」
「どうって、凄く優しい人思ってますけど」
「そうじゃないってばー」
お借りしたキャラは、樹アキさんから「ウツロ」、しらにゅいさんから「トキコ」
本家から「アキヒロ」、兵器はakiyakanさんから「パニッシャー」でした。
ウツロ君のキャラ壊れてないかな…これ;
- 370
:スゴロク:2011/06/02(木) 23:40:25
- >十字メシアさん
カナミとウツロの一コマ、ですかね。最後の方は穏やかな雰囲気が出ていて、読んでいて何だか安心しました。
蛇足ですが、「パニッシャー」は私(スゴロク)の考案メカです。akiyakanさんのは「ギルギガント」「BD」ですね。
- 371
:十字メシア:2011/06/02(木) 23:43:32
- >スゴロクさん
うぇぇえぁぁぁぁぁああああ!?!?!??(落ち着け
何で俺こういうミスをよくしでかんすんだ!?
ツイッターでもオティさんの「アヤ」を剣さん発案だと思い込んでたり!
ほんっとすいませんでしたぁぁぁぁぁああ!!!!orz
- 372
:スゴロク:2011/06/02(木) 23:46:25
- >十字メシアさん
誰にでもあることです、気にしないで下さい。使っていただけてありがたいです。
まあ、夜ですからね、頭も少しは鈍くなりますよ。
しかし、当初の予想を越えてパニッシャーが皆さまの作品に……やっぱり便利なんでしょうかね。
- 373
:びすた:2011/06/02(木) 23:47:45
- 久しぶりの投稿です。
>>362の続きっぽく書きました。おかしなところがあったらよろしくお願いします!
大黒屋さんより「ノラ/野乃 螺良華」、「氏型 環」
ちょい役で申し訳ないですが、
しらにゅいさんより「玉置 静流」、「マサムネ」樹アキさんより「緑音ののか」
ご本家から「ケイイチ」、「リーダー」、「シゲナガ」をお借りしました。
妙な視線を感じていた。
それは保健室に入ってからずっとだ。
なんなんだ?、気味が悪い…。
緑音ののかと何気ない会話をしながら室内をぐるりと見渡す。
そして窓に目が止まる。
それは不可思議な視線だった。
雀が一羽。
春には満開を見せた桜の、青々と芽吹く枝から室内を覗いていた。
雀はノラの注視には目もくれず、ある男を見つめていた。
玉置静流。
ちょうど氏型環の怪我の手当てをしている所であった。
彼の傍ではシベリアンハスキーのマサムネが尻尾を下げて心配そうに見つめている。
保健室にはいつも何かしらの動物がいるのが普通だった。
いかせのごれ高校ではごく当たり前の風景であった。
だから、たかが小鳥が一羽、
保健室の近くにしばらく居続けてもなんの違和感もない。
だがその雀の瞳は紫に光っていた。
あれは、確か…
…バードウォッチャー!?
がしゃああああん
後先考える前に黒妖犬を作り出し放つ。
黒い獣が一匹。
窓を突き破り、バードウォッチャーに襲いかかるべく牙を剥いた。
窓が割れる音に周囲の人間が驚き、振り向いたのと同時に、ガキンっという音が響く。
捕えたかと思った矢先、
数枚の葉が桜の木の上空から舞い落ちる中、
上空を見つめる獣の姿が視界に入る。
あ~ぁ逃がしちまった…。
「こ、こらぁーっ!だめじゃないかぁ!勝手に飛び出しちゃあ!!」
玉置が何やら慌てて黒妖犬に向かって棒読みな台詞を叫びだした。
ん?
「おいシゲ見ろ!犬じゃ犬!!あーんな高い木の上に乗ってて器用じゃのぅ!」
「本当だ。また玉置先生、犬連れてきたのか。雑種かなぁ?どう思うケイイチ」
「さ、さぁ雑種なんじゃないかな。そ、そそそんな事よりさ!早くカラオケに行こうよ!
リーダーが歌う新曲聴きたいし!ね!ね!!」
「なんじゃいケイ、そんなにわいの歌が聞きたいのか。ほな、さっさと行こうかのぅ!」
『タマちゃん怒り爆発まであと数分』
_________
「あら、あなた怪我をしたのね、かわいそうに。」
バードウォッチャーの頭を人撫ですると、
バードウォッチャーはその手に懐くようにすり寄る仕草をした。
機械にあらかじめ入力した動作の一つとはわかってはいても不思議と愛おしいものだ。
「おいで、下で手当てをするわ。」
ロゼは機械仕掛けの小鳥の嘴に軽くキスをした後、
バーの地下室へと降りて行った。
- 374
:びすた:2011/06/02(木) 23:52:24
- う、うわあああ;;ノラのあだ名変換前の文を投稿してしまいました;;
なんて初歩的なミスを!!申し訳ないです・゚・(ノД‘)・゚・。
緑音ののかをのーちゃん、氏型環を環ちゃん、玉置をライオンと変換して読んでくださいなOTZ
- 375
:鶯色:2011/06/03(金) 19:08:20
- 『会いたい人』に絡めた話です
登場キャラは樹アキさんより「ウツロ」、自宅より「ウミ」
名前のみ十字メシアさんより「カナミ」、しらにゅいさんより「トキコ」、紅麗さんより「高嶺 利央兎」となっております
―――――
赤く染まったストラウルの残骸の中、ひとつの廃ビルの階段を私は上っていた
いつも行動を共にしているエミは、急用ができたと告げて置いてきた
その理由は、今日聞こえて来た事が気になったから
『あ、あの…その…ある人と、約束したんです』
『え、デートの?』
『だから違いますってば!』
『な~んだ。で、誰と?』
『え、えと…』
教室で交わされたごく普通の会話
ただの恋バナならいつも通り聞き流しているんだけど、今回はちょっと勝手が違った
会話の中心人物である『ある人』は、私達の所属するホウオウグループで作られた人工生命
異常な事だらけのいかせのごれ高校だけど、こればかりは諸事情で聞き逃す事は出来ない
廃ビルの階段を上りきると、目の前は心地よい風と緋色に包まれた
だけど、別に風や景色を楽しみに来たわけじゃない
目的は、屋上のフェンスにもたれかかっている灰色の死にたがり
「ウツロ」
「…ああ、ウミさんですか」
景色を楽しんでいたであろう彼
興味を持たぬ目で私の存在を確認すると、すぐに視線を夕焼けの方に戻した
「隣、いい?」
「構いませんよ」
彼の横に立てば、逆光で黒塗りになったコンクリートが緋色を更に引き立てている
ここは彼が最も気に入っている場所だと、何度か聞いた事がある
なるほど、普段見るそれよりはきれいで同じものとは思えない
わざわざ通う気持ちはわからないけど、素直にそれはきれいね
- 376
:鶯色:2011/06/03(金) 19:09:41
- 「この景色って、カナミと約束した場所?」
「…なんでそれ知ってるんですか?」
「肯定と捉えてもよさそうね」
「また盗み聞きした情報ですか」
「今日教室で聞いたの。カナミが騒いでいたわ」
「カナミさんが?なんでそんなこと」
「トキコに尋問されてたの」
「ああ、そういうことですか」
「それで、あなたはあの子の事どう思ってるの?」
「別にどうとも。面白い人だとは思いますよ」
「本当にそれだけ?」
「僕からその情報を引き出して何になるんです、意味が無いでしょう」
「そうね、グループには何の利益にもならないわ。でも、私が気になるの」
「…?」
怪訝そうな顔を見せる彼
単刀直入に、今日の目的を告げた
「ウツロ、カナミのことはもう忘れなさい」
「それって強制ですか?」
「いいえ、忠告しに来たの」
「くだらないですね。付き合っていられないですよ」
「いつか不幸になるわよ」
「何のことかは分かりませんが、今よりはずっとマシですよ」
「…そう」
気付けば緋は蒼に追われ始め、漆黒のビルに身を隠している
“早く会いたいな”
ふとそんな声が聞こえてきて、あの子が近くに来た事が分かった
ここで鉢合わせるのも嫌だし、約束を叶えるには少し遅すぎる
「そろそろ帰ったら?」
「そうですね、あなたは?」
「私はもう少しここにいるわ」
「じゃあ…」
ウツロが言い終える前に、爆音と振動が下から響いた
彼は少し驚くと共に、何処か嫌な予感を感じたらしい
「誰かが暴れているのかしらね」
「さあ、ウミさんは何か聞こえたりしていないんですか」
「人の思考は伝えすぎない主義なの、でも」
「でも?」
「あの子はあなたに助けを求めているわ」
「え…!」
こうして話している間にも、爆音は続いている
下にいるのが誰なのか、予感が一致した彼は肝を冷やしたようで
「助けてあげたら?」
「っ、先に失礼します」
そう言って、階段へと駆けて行く
その後、すぐにあの子の思考は安堵に満ちた
- 377
:鶯色:2011/06/03(金) 19:10:22
- 「…何やってるのかしらね、私」
ぽつりと、誰もいない屋上で呟いた
傍から見た私の行動は、2人の邪魔をしたいのか応援したいのかわからないだろう
実際、私自身もどうすればいいのかわからなくて、でも黙っては居られなかった
あの2人が敵同士じゃなければ、素直に傍観していたのに
ウツロは、いかせのごれ高校に通い幸せそうにしているトキコとリオトを羨んでいる
でも彼らは楽しいばかりじゃなくて、沢山の辛さを抱えてきた
その最たる原因は、身分違いの想い人の存在
トキコはウスワイヤに内通している子に想われ、ホウオウ様との二者択一に苦しんだ
リオトは能力者である一般人に想いを馳せ、その子と戦う未来を案じ悩み抜いた
彼らはそれを乗り越えようと足掻き、良い悪いは別として現状から抜け出そうとしている
それほど、身分違いの仲は辛い
では、ウツロの場合は?
彼の相手はアースセイバーの一員、トキコやリオトの相手よりも身分の壁は高いのだ
そんな中で何かしらの関係を持てば、それをグループに利用される可能性もある
そうなれば最悪の場合、殺し合う未来が訪れる事も否定はできない
死にたがりはそれを喜ぶかもしれないけど、あの子はそんなこと望まないだろう
なんで、どうしてわざわざ回避できる茨道を進もうとするの?
これ以上、誰にも彼女のような辛い思いはしてほしくないのに
「 」
発した声は夜風となったそれに流されて、静かに消えた
憂いに染まりゆく緋
- 378
:砂糖人形:2011/06/04(土) 13:34:29
- 今回は名前のみなのですが、鶯色さんの「エミ」ちゃんと「ウミ」ちゃん。十字メシアさんの「ユズキ」君をお借りしました。
自宅からは、「ネイロ」、「ショウタ」、「ユウム」、「マナコ」です。
通常営業で四コマシリーズです。
ショウタの告白
放課後
教室にはまだ人がたくさんいた。ウミとエミは相変わらず二人でなにやらこそこそと話しているし、
ユズキはスケッチブックに向かって黙々と絵を描いていた。
そんな中で、キャップを前後反対に被っている一人の男子が、
髪の長い制服をフリフリに改造している女子の元へ少し緊張・・・
というかかなり緊張している様子で向かっていた
彼は、彼女にちょっと来てくれと頼むと人気の無い教室へと向かった
「ネ、ネイロ・・・」
「ショウタ・・・、何?」
「あ、あのな・・・」
ショウタは顔を真っ赤にして拳を握っている
ネイロは、今がどんな状況だかよく解っていないようで、少し首を傾げた
「そ、その・・・」
「いったい何なの?」
「お、俺ずっと前から」
ショウタはネイロの目を、顔を真っ赤にしながらじっと見つめた
「ずっと前からネイロg「そいやっさあああああぁぁあぁ!」
「?!」
どこからとも無く現れて、ショウタに跳び蹴りを食らわした。
ユウムだった。お約束です。
「ショウタ・・・」
跳び蹴りを食らわした衝撃で、少しふらふらと立つ
「言わせねえよ!!」
「言わせろよ、馬鹿!!」
結局ショウタはネイロに何も言えずじまいで、ネイロはユウムとフウコと一緒に帰って行った。
「いったい何だったのかしら?」
「ネーちゃんは鈍感で助かるよ、ハハハ」
「マああぁぁぁあナあぁぁああぁコおぉぉぉぉ!!!」
「ユウムが悪いんじゃないぞ、お前が悪いんだ」
「何でだよ?!」
「可愛いユウムに罪はない」
「お前・・・」
- 379
:砂糖人形:2011/06/04(土) 13:36:39
- 最近、恋愛物の企画キャラ小説が多くてニヤニヤしちゃいますな。
それに便乗して、微妙に恋愛物書いてみました。
いつも通りのゆるい話です。 二人の進展はユウムが邪魔する限りなさそうですww
- 380
:砂糖人形:2011/06/04(土) 14:33:22
- 続けて投下ー
しらにゅいさんから「玉置先生」、大黒屋さんから「ノラ」ちゃんをお借りしました!
自宅からは、「リュウ」です。
ウスワイヤのある部屋に、ミニチュアダックスが暇そうにだらだらしながら寝っ転がっていた
「うあー、暇だ。みんな学校行っちまってるしよぉー」ゴロゴロ
「なんかねぇかなあ」ゴロゴロ
「そうだ!こっそり学校行ってみるか」バッ
リュウは起き上がると、光と共に身体を通常サイズにまで小さくさせた
「よっと、こんぐらいならちょうど良いよな」
後ろを振り返り誰もいないのを確認して、窓から飛び降りた
暫くすると、いかせのごれ高等学校が見えてきた
リュウはそこをめがけて飛んでいった
近くまで行くと保健室の窓から玉置先生が見えたので近くに行ってみた
「おーい、タマー、暇だー」
窓をがらっと開けると、玉置先生は驚いたようにリュウを見た
「うわ、リュウ?!なんでここに・・・」ナデナデ
しかし玉置先生は、そのつやつやした毛並みにみとれて、思わずリュウを撫でた
「いやー、あまりにも暇だったから、チャド達の目を逃れたここまで来たんだよー」
「っていってもここは一応学校だし、ウスワイア以外の人もいるんだから・・・」ナデナデ
すると、玉置先生に近づいてくる足音がした、玉置先生の視線の方をみると犬がいたので思わず声が出ていた
「あ、犬だ!!」
「あっちゃあ、見つかった」
「うわあああ、可愛いなあああああああ」モフモフ
リュウに気づいたのはノラだった。ノラはリュウを抱き上げると顔をリュウに埋めた
「っちょ、ノラやめっおぅふ」
「って、リュウだったのか、まあでもいいや、可愛いし犬だし」モフモフ
「・・・」(モフモフされるのも良いな・・・)モフモフ
ノラは暫くリュウもモフモフすると、モフモフしながら玉置先生に理由を尋ねた
「ねえ、玉置さんなんでリュウがいるの?」
「暇だから、抜け出してきたんだと」
「ふーん、そうなんだー」プニプニ
今度は肉球に手をやり揉み始めた
「・・・」(ああ、肉球プニプニ気持ちいいな・・・)
「ノラ・・・」
「ん?何?玉置さん?」
「俺にも肉球プニプニさせてくれ」プニプニプニ
「もうしてるじゃないですか!!」プニプニ
「・・・」(ウヘー)
気持ちよさそうに、リュウはだらーんとウナギのように伸びた
「ちょっ、リュウがだらーんってなってますよ」
「そういう時はなあ・・・」サスサス
「もっと撫でてくれー」(ウハハハ)
「あたしも撫でるー!!」サスサス
「ウヒー」
キーンコーンカーンコーン
「あっ、チャイム鳴っちゃった、じゃあねリュウ!!」
「おーう、授業がんばれよー」
ノラはリュウに別れを告げると、保健室から飛ぶように去っていった
「リュウの毛並みはいつ触っても最高だな」モフモフ
「いろんな奴が洗ってくれるからな」
タマちゃんとノラとリュウ
- 381
:びすた:2011/06/04(土) 15:47:20
- しらにゅいさんの「とある軍人のお話」に絡めたお話です。
時間系列が今じゃなく過去話になります。
スンマロじゃなくて申し訳ないです;;
しらにゅいさんから「玉置静流」お借りしました!
一通り作業を終え、ふと大きな木の根元に目を見やると、
ちょうどシズルが村の少女にヘアピンをプレゼントしている所だった。
胸がチクンと痛むのと同時にあの無邪気に喜ぶ少女が羨ましく思えてしまう。
つい見とれてしまったのがまずかった。
ゴンと鈍い音と同時に足に衝撃が走る。
「○★△☆…っ…!?」
『Oh…タマキに見惚れて金槌落とすとかもう末期じゃねぇか…ぷくくっ』
痛みに悶えながら見上げると、含み笑いをするソウジが立っていた。
『Fum…これが上目づかいってやつか?これはまた…』
「ソウジ…また脳天かち割ってほしいの?」
『ははっさすがに同じ攻撃を二度くらわねぇぜ』
金槌が虚空を切る、実に残念でならない。
『あのヘアピン確か…あぁ!銃を乱射された時のやつだ!』
「銃?話がみえてこないんだけれど…」
『いやぁ、前にあれを見かけた時、恋人へのプレゼントかい?って茶かしたらさぁ』
「……それはソウジがわるい」
『なんでだよ!ロゼ、まさかあの子に妬いてたりとかしてないよな?まぁそんな事は…』
「ば、ばっかじゃないの?!妬くわけないじゃない!!」
『へいへーい!そんなに怒るなよロゼ、おーい』
「ちーがーいーますーっ! ただ救急箱取りに行くだけよ!」
『はぁ、やれやれ…素直じゃないなぁ』
その場を立ち去るように歩きだしてふと自分の髪に触れる。
…とてもじゃないがピンを止めるほど長くはない。
髪が少しでも長かったら?
もしかしたら、
もし、
も
_______________
「……っあ!ぐっ…」
背中に痺れと熱さがこみ上げる。
どうやらショックで気を失っていたらしい。
身体を起こそうとすると背中からじわりと血が溢れるのを感じる。
そしてふと横を見やるとそこには。
「…ソウジ……」
うつ伏せになり、横たわる彼の姿がそこにはあった。
胸にぽっかりと空いた空間が彼の即死を語っている。
彼の見開いた目にはもう、光は宿っていない。
本当はあの時、シズルがあの化け物に殺されかけた時、私が飛び出すはずだった。
それはホウオウグループの一員としてあるまじき行動だった。
無意識に彼を、シズルを助けたいと思ってしまった。
なのに、駆け出そうとした身体をソウジに押し返されて、その次の瞬間には。
「ばか…本当にばかじゃないの…なんで助けたのよ…」
彼の私に対する思いを知らないわけじゃなかった。
「人の事、言えないじゃない……何が末期よ…」
胸に十字を切り、そっと彼の瞳を閉じさせる。
そして一通り辺りを見渡せば少し離れた所に、鳥の、あの化け物の死体に目が止まる。
同時にそれがシズルでない事に安堵する。
その死体に近づき、ふと気付く。
見覚えのあるヘアピンを髪に留めていた。
「あなた…」
アルバート=シュタインは
『人間と動物を組み合わせた新たなる人類』という論文に妙な執着心があった。
それは自分の掲げた物を否定されたという為か。
それとも人類の進化について真剣な為かは定かでない。
ホウオウグループの本部で見かけた時も彼の我欲が強すぎて気分が悪かった。
最近では何の報告もなく、こんな辺境で慈善活動に着手しているものだから、
裏切りではないか、実はスパイじゃないかという根も葉もない噂がたっていた。
それを見極め、裁きを下す為にも偵察にて来いと命じられて今に至る。
私はいつまでもここにはいられない。
もうすぐ『迎え』が来る。
ここに来て、かけがえのない友達ができた。
初恋もした。
でも、もう終わらせないと…。
変わり果てた少女の髪をひと撫でした後、まっすぐ通路の奥へと歩き出す。
そうして慣れた手つきで銃を装填させ、隠し持っていたナイフを確認する。
まずシズルを見つけたら真っ先に眠らせよう。
彼にこんな私を見せたくない。
いくら本気を出せない状況だったとはいえ、実験体がまだいたら確実に殺さないと。
じゃないとホウオウグループに連れられて、ひどい実験材料にされかねない。
ここで死んだ方がきっと…彼らの為だ。
証拠隠滅に火を放たないと、それに軍組織の記憶の改竄もまたしないと…。
あぁ、もうこんな事を考えているだけで、頭の中がぐちゃぐちゃになりそう。
こんな気持ちになった事なんて今までなかったのに。
溢れる涙を拭う時間も惜しい。
『とある侵入者のお話』
「アルバート=シュタイン…あなたを恨みます」
- 382
:十字メシア:2011/06/04(土) 21:18:41
- 一応『会いたい人』の続編。
何だかんだで気が合いそうな二人…かもしれないw
『狂女と死にたがり』
今日もいつも通りジングウ様に会いに行った。
そいでいつも通りに話した。
不変はあまり好きじゃないボクだけど、これはまた別。
ボクはジングウ様が大好きだ。
外見、性格、能力、言動、全てがボク好み。
―――欲しい、ジングウ様が欲しい。
その時。
「熱心ですね。あんまり相手にされてないのに」
「…やあ、死にたがりくん」
「ウツロです」
不意に聞こえてきた声は、生きる事を苦とする変わり者。
名前はウツロって言うんだけど、ボクは敢えて「死にたがりくん」と呼んでいる。
「アナタだってそうだろう?」
「どういう意味です?」
「死にたがりな所さ。もう諦めなよ」
「お断りします」
「ふふっ、せっかく生まれてきたのに。勿体ない」
「僕が望んだ事じゃありませんから」
「望んだ事、ねえ…」
ボクだって同じさ―――そう、言いかけてボクは黙った。
ボクだって悩みはある。
それはボクの能力、ジェノサイド。
狂気化とも呼ばれるこの能力、
とても強力だけどコントロールがしにくい。
つまり暴走しやすいのだ。
お陰で他のメンバーに怪我させたりした事もある。
それでもホウオウ様は何故か、ボクを組織から追い出そうとしない。
まあ、ジングウ様がここにいる間は出たくないからいいけど。
「マキナさんは、どうしてあの人に惚れたんですか?」
「ジングウ様に惚れた理由? そんなの決まってるじゃないか。全部がボク好みだからだよ」
「全部が、ですか」
「そう。あんな人はそうそういないだろうね」
「まあ、確かにそうですよね」
その通り。
ジングウ様みたいな人はあまり、いや、全くいないだろう。
ホウオウ様は勿論凄い。
でもそれだけ。
凄いと思うだけ。
だがあの人は違う。
あの人は凄いだけでなく、惹かれる部分をも持ち合わせている。
ボクに「欲しい」という感情を持たせたのだ。
「あの人は、ホウオウ様を越える。きっとその日が来る」
「…来たら、貴方はどうするつもりですか?」
「ついていくに決まっている」
「…どうせ捨てられると思いますけど」
「そうなったら、殺してもらうつもりだよ」
ボクは愛しいジングウ様が望むなら、何でもする。
誰かを殺したりするのは勿論、ホウオウグループを滅ぼすこと、そして―――喜んで殺される事も。
「僕には分かりませんね。そうしてまで愛するという、貴方の気持ちは」
「分からなくてもいいさ。ボクはあの人を愛しているのだから…」
でも、それが暴力となって現れかける時もある。
ジングウ様が欲しいあまりに、ジングウ様を殺したいという時が。
確かに殺してしまえば、自分の物になったという、快楽を感じるだろう。
だがそれは一時的なもの。
殺すことなくジングウ様を手に入れる事で、初めて自分の物になるのだから。
- 383
:十字メシア:2011/06/04(土) 21:20:15
- 「…そういえば、トキコさんから聞いたよ」
「何をですか?」
「最近、アースセイバーの人とよく話してるみたいだね。名前はカナミさんだっけ?」
「…ええ」
「どんな人?」
「…優しい、面白い人。ですかね」
「へえ、是非とも会ってみたいねえ」
その言葉で、死にたがりくんの顔つきが微妙に変わった。
おやおや、誤解させたみたいだね。
「別に殺そうとはしてないよ。純粋に会いたいだけさ」
「…本当に?」
「そりゃあ、死にたがりくんを変えさせるきっかけになるかもしれない人だからね。殺したらつまらない」
「変えさせる?」
「死にたがりなところさ」
「…それは無いですね。確かに、あの人は僕に優しくしてくれますが」
「へーえ」
こんな人に優しくしようとするなんて。
死にたがりくん程じゃないけど変わってるねえ。
「…一応言っときますけど、殺したりとかしないで下さいよ」
「どうして?」
「貴方には関係無いです。とにかく、あの人には手を出さないで下さい」
「ふふっ、分かったよ。じゃあそろそろ部屋に戻るよ」
「…拾った動物、殺しに?」
「まさか。育てる為に拾ってるんだよ」
「でも結局殺してますよね?」
「ボクでも分からないけど、気づいたらそうなるんだよ」
死にたがりくんとの会話を終え、ボクは部屋に戻る。
本人は認めてないけど、やっぱり変わるきっかけになるね。
そのカナミさんという人は。
もしかしたら…ふふっ、とりあえず楽しみだねえ。
お借りしたキャラは、樹アキさんから「ウツロ」、しらにゅいさんから「トキコ」(名前のみ)でした。
組織にあまり興味ない者同士だからまあまあ仲良いかなと思ってww
- 384
:スゴロク:2011/06/04(土) 21:48:39
- 出番の少ないこの人が主役です。
「あれ、ゲンブ? 珍しいっすね」
「たまには顔を出して置かんとな」
水波 ゲンブがアースセイバーに足を踏み入れた時、その姿を最初に認めて声をかけたのは、ロビーをうろついていたシノだった。片手に何やら書類の様なものを持っている。
「それは何だ? 急ぎの案件か?」
「前にシスイが片付けた、ジングウのウイルスの報告書っす。片付けてるとこっすよ」
「ああ、あれか……」
シノが言っているウイルスというのは、以前ジングウが使用して騒動を起こした、「進化誘発ウイルス」のことである。これに感染した人間は、組織が遺伝子レベルで変異し、怪物化してしまう。これに深く関わり、解決の一翼を担ったのが、同じくアースセイバーである都シスイなのである。
そして、その解決に寄与したのは、シスイだけではない。
「と……そーいえばゲンブ」
「ん?」
「赤いお姫様の調子はどうっすか?」
「……………………???」
一瞬、シノが何を言ったのかさっぱりわからなかった。誰の事を言っているのか、全く掴めない。
すると、向こうの方からその答えが来た。
「スザクっすよ、火波 スザク。ゲンブ預かりっすよね?」
「……おぉ! そうか、あまりにあいつと『お姫様』というのが似合わんので思いつかなかった」
そりゃちょっと酷いっすよ、と苦笑するシノ。しかしゲンブの知る限り、スザクという少女は、どう贔屓目に見ても『お姫様』という形容が似合うような少女では断じてない。強い意志と力を秘めたあの姿は、言うなれば「騎士」、あるいは「戦士」。
(少なくとも、守られてばかりの存在ではないな)
そしてそれは、スザクを知る者の共通認識でもある。
それに「お姫様」というなら、どちらかというとアオイの方がしっくり来るだろう。
つらつら考えながら、ゲンブは問いへの答えを返す。
「好調だな。少なくとも、問題らしい問題はない」
「そりゃ重畳。問題も起こしてないみたいっすし、ひとまず安心っすね」
「………ああ」
スザクの恋愛事情がそのまま「問題」であることは、この際黙っておく。その方がいい、誰のためにも。
(それにしても、あれは失敗だったな……)
思い返すのは、それに絡んだ先日の大失敗。
- 385
:スゴロク:2011/06/04(土) 21:49:16
- ―――時間を遡る。
スザクとトキコの恋愛。ゲンブはアースセイバーの一員として、ここに目をつけた。
そして、ストラウル跡地にいつものごとくスザクを呼び出し、その「提案」を告げた。
「……………」
聞いた彼女は、しばしの間沈黙した。やって来た時からどうも上機嫌だった彼女だが(後になってわかったことだが、トキコから後日出掛ける誘いを受けていたらしい)、提案を聞いた瞬間一瞬で表情が消えた。
そして、
「……ゲンブ。つまり、こういうことか」
「今の僕らの関係を利用して、トキコからグループの情報を引き出して伝えろ、と?」
「そうだ。ホウオウグループが何を企んでいるのか、実際のところはわからん。だが、例え末端でも、何らかの情報を引き出せればそれは益となる」
「………」
答えない彼女が何を思っていたのか、この時のゲンブは知る由もない。それでもここまでなら、返事を受けて済んだだろう。
ただ一つの失敗は、口が滑って言ってはならないことを言ってしまったこと。
「そもそも、俺はトキコが信用ならん。お前やマナの干渉で多少は変わったようだが、所詮はホウオウグループだ。出来ることならば、今の内に排除しておきたいが……その前に少しでも情ほ」
言いかけた言葉を、切った。否、切らされた。
咄嗟に飛びのいた、その首のあった場所を、正確に、赤い幻龍剣が薙いでいた。
「ッ、何をする!」
「黙れッ!!」
赫怒の叫びと共に、再び幻龍剣が一閃する。明確な殺意と、敵愾心を以って。
「僕に……僕に、トキコを裏切れって言うのか!! あいつに嘘をつけって言うのかッ!?」
「く、今更何を……奴が敵である事は、お前も承知の上だろうが!! その上で、お前は今の関係を選んだのだろうが!?」
次の一撃を警棒で受け止めて弾き、怒鳴る。が、スザクの怒りはなおもヒートアップする。
「違う! 敵だってことはその通りさ……けどな、僕は何があろうとトキコを裏切らない、嘘をつかない! そう決めたんだ!!」
一方のスザクにしてみれば、ゲンブの提案はまさに論外、到底受け入れられないものだった。
確かにトキコは敵だ。いずれは互いの全てをかけて、戦う時が来る。
―――だが、それは彼女に嘘をついて、裏切っていい理由には絶対にならない。ましてや、彼女がスザクを見る眼には、確かに信頼があった。よしんばそれが錯覚であったとしても、スザクはもう心を決めていた。
誰が何と言おうと、トキコのその眼を裏切るような真似は、絶対にすまいと。
- 386
:スゴロク:2011/06/04(土) 21:50:04
- 「あいつが何を思って、どう変わったのか……何も見ていないお前が、偉そうな口を聞くなァァァッ!!!」
「ぐ、はッ!?」
剣戟の隙をついて繰り出した左の正拳をまともに喰らい、ゲンブがたたらを踏んで後退する。
「僕の監視役だからって調子に乗るなよ……アースセイバーへの戦闘協力、打ち切ってもいいんだぞ!?」
「俺の台詞だ、スザク……いいか、今までトキコが何をして来たか、知らんわけはあるまい!? その手で何人殺めたか、何人傷つけたか、お前が知らんはずはないだろうが!!」
「知ってるよ!! それは許さないし、許すつもりもない。だけど、それを理由に裏切れっていうのは傲慢だろ!!」
「いい加減にしろ!! 俺達が何のために在るのか、忘れたようだな……ならば、強引にでも従ってもらうぞ!!」
異様なまでに湧きあがる苛立ちをそのまま言葉に乗せ、地を蹴ろうとしたゲンブの、
「―――――何を、してらっしゃいますの?」
その背に、氷のような声がかかった。
思わず動きを止めた二人、ゲンブの背後から、スザクの見る先から、一人の少女が歩いて来る。
白い髪、蒼い瞳、スザクそっくりな顔立ちといかせのごれ高校の女子制服。
火波 アオイが、そこにいた。
「アオイ……どうしてここに?」
「誰かが囁きましたの。ここで姉様とゲンブさんがトラブルを起こしている、と」
なぜかはわからないが、スザクにはその「誰か」が誰なのか、予想が付いた。
「さておき……ゲンブさん?」
言われた当人は、それこそ凍りついたように動けない。
「姉様の信頼……一度ならず、二度までも裏切りますの?」
顔は見えないが、対面に立つスザクには見えた。能面のような無表情の裏に、冷厳と揺らめく青白い炎を隠した、アオイの姿が。
「トキコさんと姉様の関係……確かあなたは、もう御承知のはずでしたわね? それなのに、何故今、そんな馬鹿なことを仰いますの?」
ゲンブは、答えられない。氷の檻に閉じ込められたような戦慄が、彼を襲っていた。
「マナさんも、ランカさんも、無論わたくしも、承知の上ですわ。姉様がその想いに、何を誓ったのかも。……それなのに、あなただけは、そんな道理の通らないことを仰いますのね」
スザクとアオイの怒り方は、違う。感情がそのまま表に出るスザクと違い、アオイは言うなれば、相手を凍らせるような静かな怒りを、宿す。そう、今のように。
その手にゆっくりと、蒼い幻龍剣が伸びる。
「でしたら、仕方がありません。姉様の幸せを邪魔する愚か者には、ここで退場して頂きますわ」
今度こそ、紛れもない恐怖に魂を鷲掴みにされる。だが、身体は硬直したまま動かない。
「後のことはご心配なく。お仲間の皆さまには、ヴァイスという男に殺されたと、恙無く伝えておきますわ」
薄い笑みを浮かべ、アオイは迫る。最愛の姉の幸せを脅かす者に、混じりけのない、純粋な殺意と共に。
「それでは、さようなら」
そして、立ちつくすスザクの前で、全く動けなかったゲンブの背後から、その刃を無造作に一閃させる
直前。
「アオイ。それは、ダメ」
その腕を、掴む者があった。
- 387
:スゴロク:2011/06/04(土) 21:50:48
- 黒い長髪に、小柄な体。小脇にハードカバーの絵本を持った、その少女の名は、
「マナ!?」
「マナ、さん?」
夜波 マナ、と言った。一回り背の高いアオイに合わせ、能力を使ったのか宙に浮いて、その手を掴んでいる。
「あなたがスザクのことをどれだけ愛しているかは、みんな知ってる。だけど、これは明らかにやり過ぎ」
「で、ですけど……」
「ですけど、じゃない。どんな理由があっても、人を殺めていい理由にはならない」
「う……」
頭から水をかけられて冷静さを取り戻したのか、所在なげにアオイが縮こまる。それを見つつ、マナは地面に降りるとゲンブに厳しい目線を向ける。
「それとゲンブ。今更何を言ってるの」
「今更も何も、俺達はホウオウグループを倒すために」
「違う。アースセイバー本来の存在意義は、秩序を守ること。ホウオウグループと戦うのは、比重はどうあれ、あくまでもその一手段にすぎない。組織の存在意義を見失っているのは、あなたの方」
容赦も遠慮もなく、マナは使命を忘れた男を糾弾する。
「まあ、いい。あなたが無茶苦茶を言い出した理由には心当たりがある」
『え?』
「後は私がやっておく。スザク、アオイ、あなた達は先に帰って。そしてゲンブ」
恐る恐る振り向いたゲンブは、そこに、
「あなたは、私と一緒に来てもらう。――――ランカ、完全に『怒髪が天衝く』状態だったから」
とてもいい笑顔を浮かべる、マナの姿を見た。
(我ながら馬鹿を言ったものだ……なぜあんな発想に至った)
今から考えてもわけがわからない。スザクとトキコに関しては既に黙認、というか半ば諦めていたはずだ。しかし事実として、スザクにトキコを利用するよう提言して、結果として恐ろしい目にあった。
あの後マナに連行されて白波家に出向いたゲンブを待っていたのは、
『大さんのぉぉぉ……ッ、大バカぁぁぁぁぁぁ――――――――――ッッ!!!』
そんな怒声に始まる、総計4時間にも及ぶランカの説教だった。しかもマナまで一緒になり、怒りをままぶつけて来るランカの横で、時折理路整然と、冷徹に補足をして来た。
(あれは拷問だった……)
実を言うと、ゲンブ達の中で一番ヒエラルキーが高いのはランカだったりする。彼女を怒らせると、聞いた者がトラウマになるほどに「効く」説教が待っているのである。もっとも、ここまで怒鳴るのはめったにないが。ゲンブ達以外だと、過去に一度聖とクロイがその洗礼を浴びている。
聖に関してはいわずものがなだが、クロイの場合は割と前の話だ。とある一件において、ルナー絡みで判断力を失って無謀な行動に出かけた彼を、当時まだウスワイヤにいたランカが見咎めたのだ。それから後は……言うまでもない。
『あれは効きました………けど、おかげで目の前が開けましたよ』
とは、事件後の本人の言だ。
(とはいえ、何故)
「あのー、ゲンブ? どうかしたんすか?」
シノに呼びかけられて、ゲンブはハッ、と現実に帰って来た。目の前で怪訝な顔をしているシノに向け、取りつくろうように言う。
「いや、何でもない。少し、考え事をしていた」
「そっすか……まあ、無理はしないほうがいいっすよ」
それだけいうと、シノは書類を持って別の部屋へ消えた。残ったゲンブは、息を一つついて踵を返す。
(しばらくは、また名誉挽回のために働かねば、な……)
心中でため息をつくゲンブは、自身を無謀な行動に走らせた原因を知らない。
玄武、短絡的に
(彼は知らない)
(自分の行動が、言葉が)
(誰かの筋書きの上にあったと)
「…………」
別の場所。ハードカバーの本を抱きしめ、マナは虚空をにらむ。
「……逃がさない」
視線の先に捉えるは、雑踏に紛れる道化師。
「……絶対に、逃がさない」
呟きは誰にも届かず、不意に吹き抜けた風にかき消された。
そして、風が止んだ時、そこにマナの姿はもはやなかった。
というわけで、ゲンブの失敗談(!?)でした。
お借りしたのは十字メシアさん「シノ」、YAMAさん「クロイ」、名前のみ「ルナー」、akiyakanさん名前のみ「都シスイ」「ジングウ」、しらにゅいさん名前のみ「トキコ」でした。
- 388
:大黒屋:2011/06/04(土) 21:59:38
- いい加減独壇場ではまずい気がしてきたので(
スゴロクさんより「霧波 流也」、名前のみ「ヴァイス」をお借りしました
とある巨木が語る出来事
白い闇
白い闇
貴方は何人
壊してきたの
追う幾人もの人間は
闇に裁きを下せるの
新たな友人となってくれた「東」に、僕はできる限り語った。
白い闇は間違いなくいかせのごれにいること。
何度もその舞台を失敗したこと。
そして、そのことに少なからず苛立っていること。
『本当に闇みたいに、気がつけばいなくなってしまう。でも、「そこにいた」という実感と恐怖は、強く根付く。』
「つまり、君もヴァイスに会ったんだね。」
『向こうは僕が「意思を持つ」事には気付いてなかった。だから、また此処に来るかもしれない。安らぎを求めて。』
「成程なぁ。」
「東」は腕を組み、真剣に僕の声を聞いてくれた。
なんだか不思議な気分だった。
今まで此方が何もせずに話を聞いてくれたのは友人だけだったから。
だから自然と、「東」にだけは僕の全てをいつか打ち明けたいと思いだしていた。
『僕に話せるのはこのくらいかな。』
「ありがとう。月光。直ぐに戻ってこれからどうするか考えるぞ。」
「わかったぜよ。…って、戻るも何も何処に;」
「とりあえず探偵事務所かな。」
「…分かったぜよ;」
「それじゃあ、またいつか来るよ。」
「東」はそういい、僕に笑いかけてくれた。
『あ、あの…。』
「ん?」
『もしよかったら、今度は「東」一人に聞いてほしい話があるんだ…。』
勢いに任せて言ってしまい、少し後悔したけど、彼は笑顔で返してくれた。
「勿論良いよ。俺にできることは何でもするから。そっちも協力してもらったんだし。」
二人の背を見送りながら、また独り言のように呟いた。
『…まだしんじられないや。友達が増えたなんて…。』
「まぁ、俺もあの能力を見たのは初めてだからな。でもよかったじゃねぇか、友達が増えて。」
友人が僕に笑いかけてくれた。
『それは、君のおかげだよ。ありがとう。』
「おいおい、俺は当たり前のことをしただけだぜ?」
舞台は整った?
脚本は完成した?
その用意周到ささえ
キャストは所詮人間だから
練習なしの本番は
あまりに危険であると
きっと「彼ら」は伝えてくれる
――…のか?
- 389
:鶯色:2011/06/04(土) 22:53:55
- >>384-387
スゴロクさん【玄武、短絡的に】
こ れ で す よ
ホウオウグループと外部の、ウスワイヤなどとの恋愛フラグなどが立ち並ぶ中で
裏からの情報流出などにその仲が利用されないかが心配で
ウミにも言わせましたが最悪の自体に陥ってしまわないかが不安なんですよね
幸い、スザク自身にはその意思は無く、ゲンブの行動も筋書きの上ということで
現時点ではスザクとトキコの間に最悪の事態は起こらなさそうで一安心、なのかな?
復讐に燃えるマナにどこか不安を感じたり、ゲンブが何処か気の毒だったりw
これから彼女達の恋仲が、幸せなものになればいいなあと思っております
それでは、乙でした!
- 390
:鶯色:2011/06/05(日) 17:49:25
- 今日は記念日らしいので、うちのユウト動かしてみました
お借りしたお子さんはびすたさんより「野原コノカ」、十字メシアさんより「シノ」です
今日は何の日
『ユウトさんって、いつも私の事嫌がらずに一緒にいてくれますよね』
『え、そうだけど、どうしたの?』
『私はユウトさんの事恐いから近づいたのに、仲良くしてくれて』
『それでもコノカちゃんは僕に話しかけてくれたでしょ?それでいいんだよ』
『ユウトさん、やっぱり優しいなぁ』
『…コノカちゃん、顔赤いけど、具合悪いの?』
『ううん、それよりね、大事な話があるんです』
『え?』
『実は、私』
『私、ずっと前からユウトさんの事が……!』
「待って!その続きは……」
目を開けると、そこには見なれた天井とふかふかとした感触があって
「……あ」
いきなり別の空間に飛ばされたような感覚と、混乱してまだ覚醒していない頭の中
ゆっくりと周りを見回せばここは布団の中で、ウスワイヤに借りている自分の部屋
何処か現実味の無いような気分も覚醒するとともに薄れてきて
「夢、だったのかな」
それにしても、なんて夢を見たのだろう
コノカちゃんが僕に告白しようとするなんて
彼女が僕に対してそんな特別な感情を持っているはずが無い
それに、僕も別に彼女の事は…
「あれ?」
ふと夢の中の自分を思い出す
必死に彼女の言葉を制して、それで、
僕はコノカちゃんに何て言おうとした…?
そこまで考えると、ぼっ、と顔が燃える様に熱くなった
それは意識した事も無くて、身に覚えの無い感情に一人慌てふためいた
その後廊下を歩いていると、シノさんに会った
なんだかいつもより上機嫌で、話したくてうずうずしてるといった様子だ
「ユウト、今日は何の日か知ってるっすか?」
「何かあるんですか?」
「今日は、告白の日なんっすよ!」
「…告白?」
「そうっす!全日本ブライダル協会が1994年に制定した記念日なんすけどね」
「ということは、バレンタインみたいな思惑があるんですかね」
「でも良い日じゃないっすか?あーあたしもプロポーズされたいっす!」
「…告白かあ」
もしかしたらそれが原因なのかなあ
ぼんやりとそう考えつつも、今日どんな顔で彼女に会えばいいのか悩んでいた
- 391
:大黒屋:2011/06/05(日) 19:35:42
- キャラがつかめたかどうかの確認も兼ねて。
自キャラオンリーです。
消えた赤い鴉
「っあー!また見逃しただと!?」
ストラウル跡地を歩きながら、海海は叫んでいた。
先日の出来事を隠し通そうとするノラ達から辛うじて訊きだせた情報に寄れば、つい最近この跡地で能力者の攻防が起こったらしいのだ。
そんな大事なものを見落とすなんて、オカルトマニアとしてなんたる不覚。
…そもそも、そう言った事件に全く遭遇したことがないのだが。
「もう見逃すものかと思ってたのに、悔しいなぁ、的な。」
上空を仰ぎながら海海は呟く。
当たり前だ。超常現象を求めていかせのごれに来たというのに、何一つとして遭遇していないのだから。
オレンジがかった世界で見ると、青い空が灰色で、灰色の空が赤くなる。
そんな非日常を求めているというのに、と、彼女は黒く見える眼を伏せ、ため息をついた。
その伏せた一瞬の間。
上空を飛んでいた一羽の鴉が、溶けるように消えた。
「…全く持って、忌々しいね。」
ビルの屋上に上っていた黒ずくめの男:シン・シーは、消えた鴉をまだ見るかのように呟いた。
手元には銀色のナイフ。予備で取り出していたものだ。
「空も『人外』のものだとでも言うのかな?」
彼には見えていた。
青い空を悠然と飛んでいた鴉を纏っていた『赤いオーラ』が。
妖怪の術によるものであると判断した彼は、ナイフを放ってその鴉を撃ち落としたのだ。
鴉が消える直前、何か紙のようなものが落ちたのも見えた。
恐らく連絡手段か何かだったのだろう。確認する必要がある。
「…ナイフを拾うがてら、回収しておこう。」
彼はそういい、階段に足をかけた。
段を跳ぶように降りながら、彼はふと思いついたことを口に出していた。
「…そうだ。人外と分かったなら、オーラの跡をたどって捕まえて、一網打尽にしてしまおう。」
「…っ!?」
アースセイバーのロビーにいたノラは、急に右腕に痛みを覚えた。
反射的に右腕を抑えてしゃがみ込む。
それに気がついた由衣が駆け寄った。
「おい、どうした?大丈夫か?」
「…あ、由衣ちゃん…。」
ノラはにっこりと笑って見せた。
「うん、ちょっと腕が痛んだだけだから大丈夫w」
「ならいいんだけど…。」
由衣と別れた後、ノラは少し深刻な表情を見せていた。
痛みの理由は分かる。作り出していた「黒妖犬」が、何ものかの手によって消されたのだ。
「犬」とは言っているが、その姿はいかようにもかえることができる。
小さな鴉を作り出し、主への報告書を託して飛ばしていたはずだったのだ。
「一体、誰が…。」
ノラはそう呟いたが、深くは考えなかった。
主への報告を断たれたので、面倒ではあるがテレパシーでもつかうか、と次の方法を考えていたのだった。
- 392
:スゴロク:2011/06/05(日) 20:40:28
- 歪みのコラボレーションってことで。短いですが。
「むぅ……」
その日、ヴァイスは新たなシナリオに頭を悩ませていた。ここ最近悉く失敗が続き、しかもここに来てスランプに突入してしまった。次のアイデアがさっぱり浮かんで来ない。
「困りましたねぇ……ワタシも所詮は人間ということですか」
左目だけを閉じたり開けたりしつつ、以前も来た大木の枝の上に寝転んで頭を回転―――出来なかった。
機械の右眼は今の所本人の制御を外れ、ギョロギョロとあらぬ方向を見まわしている。
「…………………………出ませんねぇ」
さっぱり案が出て来ない。どころかキャストの構想すら浮かばない。いつもの調子が完全にどこかに消えてしまっていた。
(意地になり過ぎましたかねぇ)
失敗が同じような原因で続き、何が何でも成功させる、とやや焦ったのは確かだ。
いや、思えばそれこそが原因だったのかも知れない。
「どうしますかねぇ……ん?」
右眼の義眼が、視線の先におかしな人影を捉えた。ヴァイス自身、自分の格好がかなりおかしなものであることはわかっているが、右眼が遠くに捉えたものはそれに負けず劣らずおかしかった。
キュィィ、と右目が駆動し、脳裏にその映像が詳細に写しだされる。
黒マントに黒い髪、とどめに黒い眼隠し。自分も変だが、これも大概だ。
(何ですか、確かコイツは……)
確か、ここに来たばかりの頃に2、3度見かけた覚えがある。接触した事はないが、妙な奴だと思ったのは記憶に新しい。
「……おや、この方向は」
歩いている方向からすると、ストラウル跡地から来たようだ。そして、このまま真っ直ぐ行くと、行きつく先は……。
「……行って見ますか」
気配を消すことなら右に出る者はいないし、死角からついて行けば気取られまい。
それに、スランプのこともある。あの男が何をする気かは知らないが、もしかしたら何かの刺激になるかも知れない。
事と次第によっては手を貸す……あるいは邪魔をするとしよう。
(面白いか、否か。ワタシの判断基準はそれだけですからね)
決断から行動までは一瞬。素早く立ち上がって帽子をかぶり直し、足に力を込める。
そして一跳び、枝葉を震わせてその場から消える。
後には、葉の触れあう音の余韻だけが残った。
白き闇、動く
(壊れた脚本家は)
(その男の後を追った)
(「正義の味方」の後を)
というわけで、大黒屋さんの「消えた赤い鴉」の直後の話でした。
大黒屋さんより「シン・シー」「アカノミ」をお借りしました。
- 393
:YAMA:2011/06/05(日) 23:13:31
- 初小説です!!
少女が一人施設の門の前に立っている、少女の名は彩香という。
彩香のとなりには銀髪の少年と鋭い目つきの女の子がいる、少年はジン、女の子はアヤと名乗っていた。
彩香はこのとき中学3年生だった。彩香には不思議な力がある。
ジ「つきましたよ彩香さん」
あ「ここがウスワイヤ?」
ジ「そうです」
あ「ここでこれから暮らすのね」
ア「嫌そうじゃないな」
あ「適応能力は高い方だから・・・でもびっくりはしてるかなぁ」
ア「本当に嫌じゃないのか?」
あ「えぇ、全く」
自分でもおかしいと思っていたが嫌悪感は全くなかった。
~
数時間前、家にジンとアヤがきた
ジ「ウスワイヤからきたジンと言います」
ア「お前が彩香か?」
あ「そうだけど、まずウスワイヤって何かしら?」
ジ「特殊能力者保護施設です」
あ「そう、何しにきたの?まぁ予想はついてるけど」
ジ「あなたを引き取りにきました」
あ「そうわかったわ、じゃ、行きましょ」
ジ「え!?」
ア「は!?」
あ「どうかした?」
ジ「えっと、あの、そのあまりにも平然としているというかなんというか(あたふた)
ア「何故素直に受け止められる!?」
あ「私にもわからないわ。それに加えて『私が抵抗する』という先入観を持っているから貴方達には余計にわからないんでしょうね」
ア「訳のわからないところに連れて行かれるんだぞ!!」
あ「そこの彼が説明したじゃない?」
ア「あんなんですんなり納得できるのか?」
あ「わたしはね」
あ、ア、ジ「・・・・・・・・・。」
あ「行かないの?」
ジ「あ、あぁ!そ、そうですねっ。ご、ごあんないしますっ(あたふた)」
~
ここから私のウスワイヤでの短い生活が始まった。
いったんは施設ごもりの生活をしていたけれど
私はまたすぐに元の生活に戻ることになる・・・表面上は
ってことで彩香がウスワイヤに連れてこられた頃のお話でしたー
- 394
:YAMA:2011/06/05(日) 23:14:21
- 公式からアヤちゃんとジン君お借りしましたー
- 395
:(六x・):2011/06/05(日) 23:54:27
- 告白の日に便乗
名前は出てませんが、鶯色さんのハヤトをお借りしました。
告白の日と姉弟
「今日は告白の日らしいな。スイーツ共が騒ぎまくりなのはそういうことか…」
「あははw…だったら、凪姉も俺に好きって言って?」
「好きだぞ、冬也。」
Wリ*・▽・)
Wリ・△・)
「嬉しいけど、なんか違う…」
「言わせといてその反応かよ。はぁ…」
「そ、そういうつもりじゃ…」
「ふん」
「ごめんなさい…」
「泣くなよ」
「泣いてません!」
「じゃあ泣かしてやろうか?w(くいっ」
「う…っ///」
「泣かしてやるってのになんで赤くなるのかな?へぇ、冬也ちゃんはそういう事されたいんだ…(自分の指舐め」
「あ…あぅ//////」
「「キャアアアアア!!(鼻血」」←腐女子の皆さん
「凪、それくらいにしとけ。冬也固まってる。あと無駄にエロい。」
「エロいって何だ」
「なんていうか…ビッチ的というより、男性的なエロさだな。なぁ…ホントは付いてたりしないか?」
「んなわけあるかよ。見る?」
「女の子がそういうこと言っちゃいけません!」
「んだよー。爪ス-◇-ス」
同時刻
「おい、オッサン」
「な…誰がオッサンだ。つか狐がシャベッタアアアア」
「ウチと契約して魔法中年になってや」
「喜んで」
「返事が早いな。でもウチにはもうマスターがおってな、そこでオッサンに頼みがあるんやけど。」
「何かな?あとオッサンじゃなくて風真だよ。」
「じゃあ風真さん、ウチをマスターのとこまで連れてって欲しいんや。」
「えっ」
- 396
:(六x・):2011/06/06(月) 00:08:43
- 後半おまけっぽいですが、一応風真さん主役回始動です。狐の紹介は後ほど。
>スゴロクさん
狐の「マスター」をランカにしたいんですがよろしいでしょうか?
主な役割はランカの護衛です。
- 397
:スゴロク:2011/06/06(月) 00:24:12
- >(六x・)さん
おおッ、それはそれは。もちろんOKですとも。
- 398
:(六x・):2011/06/06(月) 00:32:18
- 許可が出た!ありがとうございます!
ランカの家に風真さんが狐を送り届けた後は、住み込みで護衛するになると思いますw
爪ル・x・)狐ちゃん改めアズールちゃん
名前の由来はマスターにならって、イタリア語で「青」となっております。
- 399
:大黒屋:2011/06/06(月) 19:43:57
- 最後のフラグはスゴロクさんにお任せしたいのですが、様子見次第では自分で回収します;すみません;
名前は出ていませんが、スゴロクさんより「ヴァイス」をお借りしました。
拷問的尋問
夜。ノラにとっては自由行動の時間。
アースセイバーで軽装に着替え、裸足で外に飛び出しても寒くはない。
念のため帽子はかぶり、向かう先はいつもの平原だった。
「今日もアカノミに会うんだもんね。やっぱり他人とお話ししてる時が一番だなぁw」
「へぇ、やっぱり君にも友達がいるんだね。」
「!?」
ストラウルに踏み言った時、後ろから突然声をかけられ、反射的に飛びのいた。
全身黒尽くめの、夜の闇に紛れそうな男。
黒い眼隠しのせいで表情どころか視線さえも分からない。
マントから垣間見える笑った口が、余計に彼女の警戒心を際立たせた。
「…あの、誰ですか?」
「あ、僕?僕はシン・シー。『正義の味方』だよ。」
「正義の…?」
「うん。人間を救ってるんだ。」
「…それで、あたしに何の用?」
「君…、人間じゃないでしょ?」
「!」
頭を探る。いつも通り帽子は被ったままで、耳は見えていない。それなのに何故…。
「何で、分かったの?」
「僕はね、能力をオーラとして見ることができるんだ。だから一目見て、君が人間じゃないと、もっと言うなら妖怪だと分かった。」
「…。」
なんてことはない。ただ能力を教えてもらっただけだ。
なのに、何なんだ、この寒気は…?
「…僕ね、人間が好きだから、その生活に害を与えようとする人外を、皆排除しようと思ってるんだ。」
「!!??」
「だから、その達成のために、協力してほしいんだ。」
シンは変わらぬ微笑みをたたえたまま、迫って来た。
「君のお友達の場所まで、連れて行ってくれないかな?」
「い、嫌だよ!そんな話聞いて、案内できるわけないじゃん!」
「そうか…。なら、仕方ないね。」
シンが懐から取り出したのは、白銀に光るナイフだった。
「実力行使するね。もし死んじゃっても、自分の責任だからね?」
そういい、突然眼の前にせまって来たのだ。
「わっ!!」
反射的に飛びのき、後ろに下がる。
周りに人がいないのを確認し、ノラは両手を前に突き出した。
黒い眼が血の色に染まりだす。
両手が指先から黒く染まって変化していく。
切り離すように両手を振うと、3匹の犬が現れた。
鋭い爪と牙をむき出しにし、唸りを上げる。
「いけっ!あいつを足止めしちゃって!」
ノラが叫ぶと、3匹の黒妖犬が一斉に襲い掛かった。
咆哮しながら口を開き、一直線にシンに向かった。
対するシンは焦らずに、取り出したナイフを飛ばした。
ナイフが黒妖犬に刺さった瞬間、霧のようにかき消されたのだ。
「っ!!」
同時にノラが膝をつく。消えた黒妖犬3匹分のダメージの一部が来たのだ。
シンはまたナイフを取り出す。
「な、何であんなにあっさり…!?」
「言ったよね、僕は能力をオーラとして見ることができるって。だから、能力の欠点も探れるんだ。」
両手を広げ、シンが近づく。
「物体を形成する時には必ず骨組みがいる。今の能力も、核となる個所を突くだけでバランスが崩れて消え去ったんだ。」
「嘘…。でもあの一瞬でそんなこと分かるわけ…。」
「あ、そうそう、思い出した。」
シンは懐から小さな白い封筒を取り出した。
「この手紙、書いたの君でしょ?」
「それっ…!!」
「昼間に撃ち落とした鴉が持っていたんだ。」
そう言われ、ノラは全てを把握した。
昼間鴉が消えた原因。そして、自分は嵌められたかのようにここにむかっていたことに。
- 400
:大黒屋:2011/06/06(月) 19:44:33
- 「…さて、君が知りたいのはこれで全部だろうからね。」
シンが放った幾本ものナイフは、ノラの体ごと壁に突き刺さった。
「っあああああああ!!」
いたる所に走る痛みに、悲鳴を上げる。
それさえも耳に届かないというように、シンは続けた。
「今度は僕の質問に答えてもらおうか。」
傷口から漏れだす血が、アスファルトを赤く染めていく。
「君の友達は、何処にいるの?」
「…っ、誰が教えるもんかっ…!」
「そっか…。なら、仕方ないね。」
一本のナイフを逆手に持ち、振りあげた。
「僕ね、動けない相手を甚振るのは得意なんだよね…。」
「!!」
衰弱していく体に、抵抗する体力は残されていない。
シンは不気味にほくそ笑みながら、ナイフを振り下ろそうとした。
――直前。
「!」
視界の端に赤いオーラを捕えた。
此方に迫ってくるのを反射的にかわす。
オーラは避けられるのも計算していたかのように、ノラの腕を捕えていたナイフをはたき落とした。
「ノラちゃんっ!」
後ろから声が聞こえ、振り返る。
その姿をみとめたノラが、その名前を叫んでいた。
「主っ!キリもっ!」
素早くノラに駆け寄った主…春美はノラの体に刺さるナイフを抜きだした。
キリは先程飛ばした鋏を拾い上げ、シンを見た。
「…どういうことでありマスか。貴方は一体…。」
「あらら、人外が増えちゃった…。」
「人数が多いのは嫌いだからね、おしいけど今回はひかせてもらおうっと。」
独り言を呟き、シンは踵を返した。
「待て!小生の質問に…。」
「…そうだね、何れまた会えるだろうから先に名乗っておくよ。」
「シン・シー。『正義の味方』だよ。」
彼はそう言うと、闇夜に溶けるように立ち去った。
「ノラちゃん、大丈夫!?しっかりして!」
全てのナイフを抜き取られ崩れ落ちたノラに、春美は声をかける。
既に傷は驚異的な回復力で消え去っていたが、力が抜けているらしいノラは一言も発さない。
「ノラちゃん…。」
「…うっ。」
小さな声が耳に届いた。春美がそちらを見る。
ノラが小さく嗚咽を漏らしていたのだ。
そして。
「うわあああ!!」
大声で突然泣き出し、春美に抱きついた。
「怖かったよ!怖かったよ!でも…でも頑張ったよ!うわぁぁ!」
幼い子供のように泣き叫ぶノラを春美は引き寄せ、そっと頭をなでた。
数分後。
とあるビルの屋上に彼はいた。
「…たく、とんでもない邪魔が入っちゃったなぁ。向こうが正義の味方気どりかな?」
取り逃した妖怪を思い返し、彼は呟いていた。
「…でも収穫はあったね。そして謎も発見したね。」
収穫。
それは妖怪の組織ぐるみの可能性。
何らかの能力で繋がりを持っていれば、探っていけば見つかるかもしれない。
そして、謎。
今までに見たことのないオーラの色を見た。
「紫」のオーラが、先程の妖怪に駆け寄った女の子の中にあったのだ。
「未知の人外、なのかもしれないね。これは調べる必要がありそうだ。…さて。」
彼は後ろを見た。
気配を消して常に死角にいるつもりだったのだろうが、強力なオーラは彼の視界の端にちらちらと入っていたのだ。
誰もいない筈の陰に、彼は呼びかけた。
「そこにいる人間は、人外の味方なのかな…?」
-
最終更新:2012年02月29日 12:53