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企画されたキャラを小説化してみませんか?vol.2_ログ-451~500

企画されたキャラを小説化してみませんか?vol.2

1鶯色:2011/04/04(月) 16:19:48
ここはキャラ企画つれっどにて投稿されたキャラクターを小説化しよう!というスレです
•本編とはかかわりがなく、あくまでもアナザーストーリーという扱いです
•時系列は本編(2002年のGW4月28日~)よりも前の話が主になります
•本編キャラの名前が名字無しカタカナの為、小説ではそれに合わせた呼び方が多いです
•人様のキャラクターを借りる時は、設定を良く見て矛盾が無いように敬意を持って扱いましょう
詳しい説明などは下のURLをご覧ください
•ナイアナ企画@wiki―「はじめに:企画キャラとは」
http://www22.atwiki.jp/naianakikaku/pages/27.html

前スレ
企画されたキャラを小説化してみませんか?
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/28084/1208562457/

451キャスケット:2011/06/12(日) 00:36:27
「6人の楽しい(?)訓練」 2


~Bチーム~

イチスケたちと別れた後、ノセたちは機械が多くあまり光が差さない奥の部屋に来ていた。

「で、どうしましょうか。」
「大体兄さんのことだから、一対一に持ち込むと思う。」
「確証は?」
「長年の感。」

きっぱりと言い切るノセに、リナは「なるほど。」と声を上げ、そのままヒトミコとしゃべりだした。
ヒトミコはヒトミコで、いかに楽に相手を倒すかの脳内シュミレーション中だ。

「……あ、」
「ん?どうしたの、ノセっち。」
「もしかして。」
「、兄さんたちが来た。足音が聞こえる…。」
「リナ、さっきの話通りに。いいわね?」
「りょーかい!!」
リナとヒトミコはそれぞれの場所に走っていく。それを見届けた後、ノセも走り出した。



「たしか、こっちに走っていったよな。」
「そのはずなんですけど……、静かですね。」
「ほんと、人がいない見たいっす。」
「ひとが、いない……?」

イチスケが首をかしげる。そのときだった。

パン パン

どこからともなく、手拍子が聞こえてきたのだ。その手拍子の音はどんどん遠ざかっていくのが聞こえる。
とっさにあたりを見渡すが、暗く視界が悪いせいで何も見えない。神経をはりめぐらせ、相手の出方を伺う。

「鬼さんこちら、」
「手のなる方へ。」

「ぬっ、挑発してるんっすか?それなら、手加減はしないっす!!」
「あ、おいこら!勝手に動くな!!」
「イチスケ先輩、僕も行ってきます。」
「こら、マイクまで!?」

完全にばらばらにされてしまった。イチスケははぁ、とため息をつくと改めて前に向きなおした。

「鬼さんこちら、手のなる方へ。………早く来たらどうですか?イチスケ先輩?」
「――――~っ、やっぱりお前かよ!!」
「さぁさぁ早く捕まえてみたらどうです?」
「(イラッ)……上等じゃこらああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



多分まだ続きます。

452大黒屋:2011/06/12(日) 20:59:41
キャラ崩壊の上、完全なる先入観ですごめんなさいo...yz
スゴロクさんより「蒼崎 啓介」「火波 スザク」「火波 アオイ」、しらにゅいさんより「トキコ」akiyakanさんより「都シスイ」、鶯色さんより「エミ」「ウミ」、紅麗さんより「高峰 利央兎」、十字メシアさんより「カナミ」、神威さんより「レオナルド・S」、本家様より「ナオヤ」をお借りしました。


「ちょっ!トキコ、なんだその点数!」
「あーっ!ノア君、見ないでよ!恥ずかしいじゃん!」
「ノア、どうしたのです?そんなに騒いで。」
「聞いてくれよノルン!トキコの奴、数学で赤てn」
「駄目ーっ!!」(トキコ、平手打ち。ノア、吹き飛ぶ。)
「ノアーっ!;」

「人の点数言いふらすなんてサイッテー!」
「くっ…首が…っ;;」
「どうした?騒がしいな。」
「聞いてよ玲央君っ!ノア君が人の点数言いふらそうとして…って、あれ?何その英語の点数っ!」
「あ、これ?英語はいつも良いんだよ。その分国語はできないんだけど。」
「羨ましいよお…。半分点数頂戴!特に数学に!」
「そんなこと言われても…;」

「騒がしいぞトキコ;少し静かにしろ;」
「リオ君~っ!今すぐ点数見せてっ!」
「あ、こら、俺のテストとるな!」
「…玲央君よりいい…。」
「なにがあったんだ、トキコ;」
「皆のテスト見ては落ち込んでる。」
「…?」

「トキコー。学年順位どうだった?」
「あ、一角君。学年順位怖くてまだ見てないんだ;」
「あー、分かる分かる。」
「一角君はいいじゃん。いっつも順位良いんだし。」
「トキコに比べればな。いつもは中の上くらいだよ。」
「十分じゃん!」

「えーっ!なんだその点数は!」
「どうしたの、鳥さん?」
「エミとウミの点数がとんでもないんだって!ほら見て!」
「…えーっ!?全部90点台!?」
「学年順位も一ケタなんだって!」
(…少しカンニング紛いしちゃったけどね…。)

「うう~;なんか悲しいなぁ…。」
「あの、トキコちゃん、私もそんなに良くなかったら、落ち込むことないよ?」
「カナミちゃん…。」
「社会科が全く分からなかったの。それでひどい点数とっちゃって…。」
「…私の数学よりいい。」
「えっ。」

「そういや、ノルン達はどうだったんだ?」
「そうだよ!他人の点数言いふらそうとしておいて、黙秘権は認めないんだからね!」
「それはノアでしょう;…平均70点台ですよ。」
「あれ、意外に良くないねぇ?」
「勉強はできないんですよ。」
「それで、ノアは?」
「…僕の点数から各3、40点ほど引けば…。」

「あ、レーダー君はどうだったの、テスト!」
「ん?まぁ…いつも通りだな。」
「わぁ!10位台に入ってる!いいなぁ~。」
「まじめに勉強すればお前もとれると思うぞ?」
「面白くなきゃ駄目なの!」

「姉様、そろそろ家に…。」
「アオイちゃん!テストどうだった!?」
「え、私ですか?そうですね…。」(アオイ、テストを取り出す。)
「えーっ、意外に英語取れてないね?」
「実は英語は駄目で…。」
「なんか、お嬢様みたいなイメージあったから、英語は得意なのかなぁと思ってたんだけど。」
「英語だけは僕のほうが取れてるんだよなぁ。あとは良い勝負でさ。」
「でもどっちもすっごくいいね。羨ましいなぁ。」
「まだまだだよ。」

「ちょっと失礼ーっ!」
「うぇっ!?誰、誰?」
「あ、確か2-1の…。」
「新聞部の海女海 海海ですっ!ちょっと取材に参りました、っていう!」

「誰に用があって?」
「それがねぇ、今回のテスト、学年順位1位を2-2の誰かがとったらしいのよ。」
「「「えっ!?」」」
「今まではナオヤ君がとってたんだけどね、今回2位だったんで、ちょっと職員室探ってたら、2-2がとったって聞こえてきてさw」
「や、でもエミもウミも1位じゃなかったよな?」
「うん。」
「まさか、環ちゃんとか…。」
「氏型さんは今回テストを受けていない筈です。」
「「「じゃあ、誰が…?」」」

考査の後の御約束

「…のう、ノラ。「考査」とかいうって、意味あるんかの?」
「…あのさ、本当に一回ココアシガレットごと粉砕していい?」

453スゴロク:2011/06/12(日) 21:05:58
>大黒屋さん
おお、なんか微笑ましい感じがしますね。これもスクールライフの一幕、ですか。
こうして見ると、何だか成績の上下幅が大きいような……。

アオイが英語ダメ、まさにその通りです。詳しくは近い内に書く予定ですが、育ちに関係があるので。

454びすた:2011/06/13(月) 20:43:15
大黒屋さんから「シン・シー」をお借りいたしました!
___________________
その日、いかせのごれには大雨が降りだしていた。

雨は激しく降り注ぎ、木々を震わせ、川を濁流と化させた。
その濁流の傍らから一つの黒い塊が岸にあがった。

その塊が一歩ずつ足を踏み出す度、浅い水面に一本の赤い線がなぞられる。
その塊、黒い猫は腹部に傷を負っていた。
川から離れ、草むらに辿り着くとどさりと重力に任せて倒れた。
「っ……!」
じくじくと痛みだす腹部を拠点に地面に赤い池が広がる。
「流石に…やべぇよな…」
そうつぶやいた猫は妖怪だった。
2本の尻尾を生やす猫又という妖怪、名前はシキ。
「俺…死ぬのかな」

____1時間前

「ってめぇ!いい加減にしろ!!」
「嫌だね。せっかく人外に会えたんだよ。排除しなきゃ、でしょ?」
目標に先にさけられたナイフは鈍い音を立てて地面に深々と突き刺さる。
シン・シーと名乗る男がシキに向かって投げたものだった。
「僕は正義の味方、皆排除しなくちゃ、ね。」
そう言ってシンは口角を上げて微笑んだ後、シキを執拗に追いかけ、無数のナイフを投げつけた。
……狂ってる。
人外を見分けられるだの、人が大好きだから人外を排除するだの。
ただの戯言にしては狂気じみていた。
それでもシキがすぐに自慢の俊足で逃げなかったのは。
話し合えばきっと分かりあえる。
そう、人間を信じていたからだ。
いや、人間を疑いたくなかったからだった。
その結果が。
______________

濁流に自ら飛び込んだ時、あぁ、俺死ぬかもって思ったが。
まさかこうしてまだ生きられるとはなぁ…いや、もう流石にきついけど、な。

あぁ腹いてぇし、雨が目に入ってしみるし・・心もいてぇ・・・いてぇよ。
俺にはまだ・・。

『もがいて足掻く』

ぽちゃりと水面を描き近づく2本の足にシキは気付く余地もなかった。

____________________
最後が誰なのかは考えていません。
誰か拾ってくださるのだろうか…。

455サイコロ:2011/06/14(火) 00:03:25
使用キャラは本家様よりアキヒロ、十字メシア様よりシノ、しらにゅい様よりセツナ(シロユキ)砂糖人形様よりポリトワルサーカス団です。


フォレスト・マジシャンとポリトワル・サーカス 【マジシャンの参入】


土曜日。
シュウトはアキヒロに頼まれていた書類を持っていくと、話を切り出した。
「隊長。ポリトワルサーカスを知ってますか?」
アキヒロはじろりと書類からシュウトへ視線を移した。
「いかせのごれで有名なサーカス団だろう?なんでもその団員たちは皆能力を持っているという。
 それがどうした。」
「そのポリトワルサーカス団員から勧誘を受けました。」
シュウトはズバッと本題を切り出した。
「・・・その団員とやらはお前がアースセイバーの隊員という事を知っているのか?」
「いえ、それはどうでしょうか。ウスワイヤに保護されるのを目的としてはいないようでしたから。」
機先を制す。それは、サーカスを保護させないというシュウトの意思を含んであった。
「・・・『潜入』という形にする気か。」
「価値はあるかと。」
「私情を含んでは?」
「・・・無いといえば嘘になります。しかしいざという時には僕が守ります。」
「「・・・。」」
二人とも黙りこむ。強い意志を持った視線が交差する。
やがてアキヒロやれやれと仕草をしながら口を開いた。
「・・・いいだろうシュウト、お前も色々頑張っているみたいだしな。
 サーカス団についてはお前の好きにすればいい。ただし、報告と連絡、相談はしてくれ。」
「ありがとうございます。」


そんなやりとりの後、書類について少し話してシュウトは隊長の部屋から出て来た。
「よし。・・・さて、と。」
時計を見ると18時を少し過ぎたところだった。まだサーカスには十分間に合う。
「二枚あるもんな…誰と行こうか。」
チケットに書かれたピエロを見ながら、夕暮れに遭った女の子を思い返しつつ角を曲がるとシノとぶつかった。
「わひゃっ!」
「おっと!」
チケットが舞う。
「いてて・・・シュウト君じゃないっすか、ちゃんと前見て歩いてくださいよ・・・。」
「すいません。・・・って、曲がり角なんですしこれは両方が悪いんじゃ・・・。」
「まぁいいっすけど。ん?なんすかこれ・・・あーっ!」
「!?」
「最近有名なポリトワルサーカス団のチケット!しかも指定席じゃないっすか!わー!いいなぁ!」
ピン、と来るシュウト。
「シノさん、よかったら今夜行きません?」
「行くっす!」
二つ返事のシノににっこりと笑うシュウト。
「それでは、7時にエントランスで。」
「いっそいで仕事終わらせて来るッすよー!」
懲りずにものすごい勢いで角を曲がると、隊長の部屋に突進していくシノ。
シュウトはまた誰かとぶつからないといいが、と少し思いながらその場を後にした。


7時。
シュウトとシノはエントランスで合流すると、車に乗ってサーカスを見に行った。
テントの中に入ると、成程特等席というだけあってとても見やすい所に座る事が出来た。
「シュウト君ここ良い席っすね!どうやって手に入れたんすか?」
そう聞かれて、先日の夕暮れ時の会話と今日の隊長の部屋での会話を教える。
「・・・なぁるほどねー。確かに、まだこのサーカス団にはマジシャンはいないみたいだし、
 シュウト君のマジックの腕は折り紙付きだし、良い感じっすね。でも・・・」
少し眉をひそめるシノ。
「もし参加してショウをするのであれば、能力の仕様は控えたり仮面をつけたりとかしたほうがいいっすね。
 いずれバレるとしてもいくらか時間は稼げるはずっすよ。」
「そうですね。おっと・・・ショウが始まるようです。」

456サイコロ:2011/06/14(火) 00:04:13
ポリトワルサーカス団、開演中…。




そして終了後。
「面白かったっすね!いやぁ息の合ったサーカス!うん、面白かった!
「本当にそうでしたね。・・・まさかいきなりマジックをさせられるとは思いませんでしたけど。」
ショーの途中、セツナに「観客の方にも参加してもらいましょう!」と言われ舞台に上げられたのには驚いたが。
「・・・ではシノさん、僕はちょっと団員さんとお話をしてくるので。」
「了解ッス。でもあの女の子、なぁんか・・・」
「?」
「いや、何でもないっすよ。ちょっと周りに出てる出店で何か食って待ってるっす。」
手をひらひらさせながら歩いて行くシノ。シュウトはあの夕暮れで会ったセツナに近寄って行った。
「見させてもらったよ。」
「如何でしたか?」
「面白かったし、素晴らしかった。本当に僕なんかが参加させて貰ってもいいのかい?」
「おっと、それは誘った時点で決まってますよ!」
「・・・それじゃ、よろしく。」
「よろしくお願いしますね!では、また連絡しますので!」
携帯のアドレスを交換し合う。
「それでは!団員との顔合わせ日時や詳しい事はメールで送りますねー!」

こうして、ポリトワルサーカスの団員名簿に森山修斗の名が加わったのだった。
団員全員にと対面する事になるのは、また別のお話。

457大黒屋:2011/06/14(火) 16:02:23
折角びすたさんがシンを使ってくださったので。新キャラも兼ねて。
びすたさんより「シキ」をお借りしました。

彼は猫又である

「…ん…っ。」
真っ暗だった視界に光が差し込む。
木目の天井と、中央にぶら下がる少し古めの蛍光灯。
ここは何処だ?そんな疑問が頭をよぎる。

「…あっ!眼が覚めたんだね!」
直ぐ近くで声がした。若い男性の声だ。
ぱたぱたと駆け寄る音が頭上で止まり、彼の黒い体は抵抗なく持ち上げられた。
「よかったぁ…。もう助からないかと思ったよ…。」

整えられた黒髪と黒眼、細いフレームの眼鏡の男。
若草色の袴姿は、まるで明治時代からタイムスリップした教師のようだった。
誰だ、お前。と声をあげそうになったが、咄嗟に声を出すのをやめた。
恐らく人間だろう。驚かすわけにはいかないと考えたからだ。

「どうしたの?まだ話せないのかな?」
此方を覗き込むように男は言った。
心配そうな眼は同時に「無知」と「無邪気」を思わせたのは、気のせいだろうか。
男は暫く考え込んでいたが、そのうちに「あっ」と思いついたかのように叫んだ。

「ああ、ごめんね。もしかして僕を『人間』と勘違いして警戒していたでしょう?」
「!」
この男、自分がただの猫でないことに気付いている。
いや、尻尾が2本あるから普通気付くはずだが、ただの猫でないと「気づいていて拾ってきた」ようなのだ。
腹部の痛みさえなければ彼は思わず起き上がり、身を乗り出していたことだろう。

男は微笑むと、そっと片手で自身の両目を覆った。
数秒、眼頭を抑え、その手を下ろした。
男の眼は、血の色に変っていた。
「…!」
「『怖がらなくてもいい。僕も「妖怪」だ。君とは生まれも立場も違うけどね。』」


「『やはりまだ傷が痛むようだね。ちょっとまってて。今薬をとってくるから。』」
再び布団の上に寝かされた彼は、「妖怪」の男をただじっと見ていた。
「…あの…。」
「『? どうかした?』」
自分が話しかけても驚かない。嘘をついている風ではないと見た。

「何で、俺のこと…。」
「『そりゃあ、眼の前で生き物が死にかけてて通り過ぎるわけにいかないだろう?それも、同胞がさ。』」
「…そんな理由で、か?」
「『当たり前だろう?』」
男は笑い、彼の腹部に巻かれていた包帯を取り換えだした。

「『しかし、やられたなぁ。訪問計画前にまた被害者が出てしまうなんて…。』」
独り言を呟く男。その声はどこか安心させるような、ひきつけるような響きがあった。
「また…?」
「『このところ、妖怪を中心に人外が相次いで被害にあってるんだ。そこで、仲間と妖怪達を訪問して、注意を呼びかけようと思ってたんだけど…。』」
「そうだったのか…。」

「『…でも、どのみち君は暫く動けないよね。どうする?僕の家にいてもいいけど。』」
「えっ?」
「『いや、その方がいいよ。またいつ被害者が出るかも分からないし、抹殺しに来るかもしれないし。』」
彼は慌てて首を振った。

「そんな、でも、迷惑じゃねぇのか?」
「『ううん。寧ろ久しぶりにいかせのごれに帰ってきて、寂しかったのもあるんだ。』」
「寂しいって…お前男だろ;」
「『まぁね。…とにかく遠慮はいらないよ。どこかの小説でも、野良猫が教師の家に住み込むじゃないか。』」
「教師…やっぱりお前、教師なのか?」
「『うん。復帰はまだ先になるけどね。』」

ふと、男は思いついたように聞いた。
「『ところで君、名前は?』」
「…シキ。前の飼い主が付けてくれた。」
「『シキか。もしかして、春夏秋冬の?』」
「お!分かるのか!四季折々の風景が大好きだったんだよな。」
「『良い名前だね。羨ましいよ。』」

「…それで、お前は…?」
シキはが問うと、男は微笑みを湛えたまま此方を向いた。
「『…百物語組「第一二話 奇怪音と無音」。カイムって呼んでくれるかな。』」

458十字メシア:2011/06/14(火) 16:38:08
ちょっと長編から離れて。
カナミと聖さんの関係をはっきりさせておこうと思ったので。

『ミユカとカナミ(+α)、初の共同ミッション』

ウスワイア、隊長室にて。
ミユカ、カナミ、蒼井 聖の3人に、アキヒロが今回の任務について話していた。

「集合型人工亡霊 A-レギオンを知っているな」
「ああ」
「知ってるー」
「?」

ミユカと聖は答えるが、カナミは首を傾げた。
その様子を見たアキヒロは、「ああ」と声を上げる。

「そういえば、お前はまだ入ったばかりだったな」
「申し訳ありません…」
「いや、気にするな」
「…何でこのガキがいんだよ」
「やーさん」

うんざりした表情で言う聖を窘める様に、ミユカが言う。

「カナミはまだアースセイバーに入って間もない。早いうちに仕事に慣れてもらう。そこでだ」

と、言葉を打ちきり、アキヒロはミユカを見る。

「ミユカ、お前はカナミと一番仲が良い。仕事をこなせるよう、彼女をサポートして欲しい」
「オッケー」

二つ返事のミユカ。
だが聖は変わらず仏頂面のままだった。

「俺は嫌だぜ、こんなガキみたいな奴」
「やーさん! 言いすぎだよ」
「俺は本当の事を言ってるだけだ」
「だからって」

それを見たアキヒロは溜め息をつく。

「お前をこのチームに選抜したのも理由がある」
「あ? 理由?」
「正直、ミユカとカナミだけでは戦闘力に乏しい。だから遠距離系武器をを使える、戦闘能力の高いお前をチームに入れたんだ」
「…別に俺じゃなくてもいいんじゃねえか?」

そこでカナミの声が上がる。

「アキヒロさん、私からも言わせてもらってよろしいですか?」
「…何だ?」

明らかに不機嫌な様子のカナミは、聖に向かって指をさして、はっきり言った。

「私、この人の事嫌いなので、チームから外して頂きたいんです」

カナミの言葉に、面々はそれぞれの表情を浮かばせる。
隣のミユカは「やってしまった」と言うような表情。
その隣の聖は眉間にシワを寄せ、こめかみの青筋がピクついている。
そしてアキヒロは今にも盛大な溜め息をつきそうな表情をしつつ、カナミに先ほどの言葉を注意する。

「カナミ。協調性を高める事も大事なんだぞ」
「結構です。この人に合わせるつもりは、まーったく、御座いませんから」
「……大層な口をきく様になったな。甘ちゃん野郎」
「あら、そうですか? 冷血ヤクザさん」

火花を散らす二人の間で(おまけにカナミは「嫌悪」の感情で雷を撒き散らしている)、ミユカは唯一人オロオロしていた。

「や、やめなよ二人とも…」

すると二人がミユカの方を見て。

「「ミユカ(さん)は黙ってろ(下さい)!!」」
「…はい」

一旦こうなってしまえば、流石のミユカも簡単には止められない。
二人の口論は激しさはないものの、辛辣な雰囲気が漂っている。

「第一、あなたの考えが気に食わないんです」
「奇遇だな。俺もお前の考えが大嫌いだ」

いつに増して火花を散らす二人。
それをアキヒロが中断させる。

「いい加減にしろ、二人とも。そういう事は任務が終わってからにしてくれ」
「…チッ、わーったよ」
「じゃあ早く任務の内容を申して下さい」

一つ間を置いて、アキヒロは任務の内容を話し始めた。

459十字メシア:2011/06/14(火) 16:39:45
「まず、先ほど言った、集合型人工亡霊 A-レギオンについて説明しておく。集合型人工亡霊 A-レギオンは、人工と言う通り、物理的な攻撃も効く。唯、一時間に100匹の霊が増殖する為、迅速に対処しないと厄介な事になる」
「なるほど…」
「本当に分かってんのか?」

するとカナミは炎を閉じ込めた様な氷の笑顔で。

「ご心配なさらずに。あなたよりは分かっておりますので」
「……いちいち気に食わねえガキだな」
「あなたも人の事言えないと思いますけどねえ?」

再び火花が散る。
それをミユカが慌て止めた。

「はいはい、喧嘩なら任務の後って言ったじゃん」
「…後で覚えてろよ」
「あなたも」
「…出現ポイントは中央都市部から離れた森。大変な事になる前に始末してくれ」
「了解」
「はいはーい!」
「分かりました」


「…ここか」

アキヒロから任務を言い渡された三人は、都市部から離れた森に来た。

「カナちゃん、大丈夫?」
「あ、はい。ありがとうございます」
「ハッ、別にこんな奴に気ィ使う事ないだろ」
「…どうやら、あなたは気遣いという物をご存知ないみたいですね」
「お前こそ知らないみてぇだな。身の程知らずって言葉を」

二人の様子を見て、ミユカは冷や汗を流し始めた。
そして、先ほど交わしたアキヒロとの会話を思い出す。

(ミユカ)
(何ー?)
(…正直俺も、あの二人が心配だ。また衝突したら仲介してくれないか?)
(えー……さっきは例外として、あの二人を黙らせるのは至難の技だよ? そもそも隊長だって、あの二人の仲の悪さ知ってるんだから、二人を同じチームに入れなきゃいーじゃん)
(そうしたかったんだが、生憎他の奴も忙しくてな)
(何でこんな時に…)
(とにかく、二人の事頼んだぞ)
(…やるだけやってみるよ)

「…二人とも、今は任務中だから後にしなよ」
「でもミユカさん。この人酷すぎません?」
「そういうお前は甘すぎんだよ」
「だーかーら! そんな事してたら日が暮れちゃうって! 後で何時間でも出来るじゃん!!」
「…はー、わーったわーった。ほら行くぞ」
「……」
(ホントに大丈夫かな…こんなんで…)

泣きたくなるミユカだった。

460十字メシア:2011/06/14(火) 16:48:45
「…!」
「どったの? やーさん」
「レーダーに反応があった」
「!」
「いよいよ、ですか」
「まー、そういう事だ」

三人はそれぞれ戦闘の準備をする。
聖は能力サモンアームズで、ライフルを召還する。
ミユカはダガーナイフを手に持つ。
カナミは感情をいつでもエネルギーに変えられる様、心に少し怒りの感情を持った。

「怖くなったら逃げなガキ。ま、逃げれねえと思うが」
「大丈夫ですよ、あなたみたいな人に遅れは取りたくないので」
「…何か疲れたよ」

それぞれの思い(ミユカは疲労だが)を胸に、三人は敵が動き出すのを待つ。
刹那。

ブォオオッ!!

「! 来たな亡霊ども」
「キシシシッ、かかってきーなよー」
「……ッ!」

三人の前に亡霊もどきの兵器、集合型人工亡霊 A-レギオンが立ちはだかった。
レギオン達は三人に向かってくる。

「喰らいな!」

向かってくるレギオン達にライフルをぶっぱなす聖。
対して、ミユカはダガーナイフを持った方の腕の関節を増やし、それを振り回してレギオン達を凪いでいく。

「キッシシシ! こんなもんなのー?」

ミユカの挑発の様な言葉が頭にきたのか、大量のレギオン達がミユカに攻撃してくる。
だが。

「…シャァアアーーーッ!!!」

蛇の瞳になったミユカが威嚇の声を上げる。
それにレギオン達は怯んだ。

「ナイスだミユカ!」

そこに聖がライフルを撃ちまくる。
一方、カナミは能力による疲労か、やっと倒せているという状態だった。

「おい! ちゃんとやれよ!!」「やってますよ!」

だがカナミの攻撃の勢いを見て聖は溜め息をつく。

「足手まといになってんじゃねーか! これだから俺は、ガキを連れてくのは嫌だったんだよ!!」
「だーから言い過ぎだって、やーさん!」

その時。
カナミから赤いオーラがにじみ始めた。

「……ガキガキガキガキ…黙ってくださーーーいっ!!!!!」

カナミがこれでもかと言うほどの大声で叫んだ途端、赤いオーラが大量の炎弾となって四方八方に飛び散った。

「わあっ!」
「くっ、危ねっ!」

炎弾はレギオン達だけでなく、ミユカと聖にも飛び散った。

「よーっし!」

畳み掛ける様に、ミユカが残りのレギオン達に回転蹴りを放った。
こうして、レギオン達は一匹残らず全滅された。

461十字メシア:2011/06/14(火) 16:50:36
「ふー…」
「片付いたねー」
「ええ、任務成功ですね」
「…どこがだ」

と、聖がいつにも増して、凄みのある声を上げる。
そして―――。

バシッ

「や、やーさん!?」

カナミの頬をひっぱたいた。

「…何をなさるんですか」
「それはこっちの台詞だガキ。俺達にまで火の玉飛ばすとは、どういう事だ」
「別に当たってないからいいでしょう。一応制御してましたので」
「あれで制御した? ふざけるな!!」
「やーさん、もうやめなよ! カナちゃんだって悪気は―――」
「ミユカ! お前は黙ってろ!!」
「ッ!」

聖の怒声にミユカは押し黙る。
そして再びカナミに向き直った。

「いいか、ガキ。俺にだけ火の玉飛ばしたなら、まだマシな方だ。けどな、今お前はミユカまで巻き添えにしたんだぞ」
「!!」
「さっきの怒りが元凶の俺だけでなく、何も関係のねえミユカにまで向けるのは、身の程知らずの分際のくせして偉そうに暴れる奴のやる事なんだよ!」
「やーさん…」
「もっと上手く制御するようにしろ!」
「……」

その時だった。

「ハッ、仲間割れか? 所詮はクズの集まり、という事だな」
「ッ! てめぇは…」
「チネン、だっけ? 中級幹部の」
「ああ」

三人は突如現れたホウオウグループ幹部、チネンに目を向ける。

「で、何でここに中級幹部さんがいるのー?」
「愚鈍な質問だな。まだ気づいてないのか? 自分らに置かれた状況を」
「…まさか」
「ああ、罠だ」

ニヤリと、不敵な笑みを浮かべるチネン。

「レギオンはただの囮だ。お前らは単に兵器の始末をするだけだと、思っていたようだが…とんだ誤算だったな」
「…どうするんですか?」
「やるしかねえだろ」
「クッククク…その通り、やるしかない。お前らをここから逃がさないように、電磁網を張っているからな」
「ったく、めんどくせえ事をする奴だな…」
「でもさー、君の能力は直接攻撃出来ないんじゃなかったっけ?」
「いらぬ心配だな。射撃も得意でな、これでお前らを殺す」
「ほお、俺もなんだよな」

三人は再び構える。
チネンはリボルバー式の拳銃を二丁持った。

「クッククク…さあ、血を撒き散らせ! 壊れろ! そして苦痛の声をッ!!!」

462十字メシア:2011/06/14(火) 16:52:23
チネンが銃弾を撃ち出す。
それを避ける三人。

「とりゃあぁっ!」

銃弾の雨を躱しながら、ミユカはチネンに向かって走りながら、ダガーナイフで凪ごうとした。
しかしチネンはそれをあっさり避ける。

「甘い」

チネンが再び銃弾を放つ。
今度はミユカの肩に当たってしまう。

「く…ッ!」
「ミユカさん!」

ミユカに駆け寄ったカナミはチネンを睨み付ける。

「何だ、やる気か?」
「…よくもミユカさんを……消えてくださいっ!!」

激昂したカナミが炎弾を飛ばす。
だがチネンはそれも避け、カナミの首を掴んだ。

「うぐ…ッ!」
「カナちゃん!」
「…対したことのない能力だな」

そこへミユカがチネンに突進する。

「カナちゃんを離せぇっ!」
「カスは引っ込んでろ」

と、チネンがミユカの足元に向かって銃を撃つ。
それにミユカは怯んでしまう。

「チッ…」
「フン、足手まといが仇となったな」
「ちょ、お前にまでカナちゃんを足手まといって、言う資格ないよ!」
「俺にまで、という事はそいつからも言われたのか?」
「ッ!」

歯ぎしりするミユカ。
チネンは嘲笑うかの様に言う。

「にしても、我々も嘗められたものだな。こんな弱虫をアースセイバーに加入させるとは」
「カナちゃんは弱虫なんかじゃない! その手を離して!」
「弱虫じゃなければ何だ? クズか? それともウジ虫か?」
「……もう一度言う。その手離せ」
「!」

聖はミユカの様子に危機感を覚えた。
ミユカは仲間に対する暴言や冷酷な仕打ちに敏感だ。
それ故にすぐ激昂しやすい。
そうなれば危うい状況になりかねないだろう。
聖はミユカを宥めようとする。

「ミユカ、落ち着け。すぐに激昂するな」

だがミユカは聞く耳を持たず、チネンだけを見ている。
目を蛇のそれに変化させながら。

「こんな平凡の塊の様なカスゴミは消えればいい!」
「くうッ!」

カナミの首を掴むチネンの手に、力が入った瞬間。

463十字メシア:2011/06/14(火) 16:54:13
「ぐおっ!?」
「きゃっ」

ミユカが異常なスピードでチネンの顔を殴り付けた。
その拍子で、カナミの首からチネンの手が離れる。

「けほっ、けほっ…」
「…貴様……」

口から出る血を拭いながら、チネンがミユカを睨み付ける。

「ミユカさん、ありがとうございま―――」
「あぁああぁぁぁああぁあ!!!」

カナミが言い終わる前に、ミユカが吠えながらチネンにかかと落としを放つ。
それをチネンは辛うじて避ける。
だがミユカの猛攻撃は止まらない。

「この…ッ!」
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇえええーーーーッ!!!!」
「ミユカ! 怒りに身を任せるな!」
「五月蝿い黙れぇぇえッ!!」

聖を蛇の目で睨み付けながら、ミユカは威嚇の声を上げる。

「シャァァアアアアーーーーッ!!!!!」
「やめろミユカ!」

聖の必死の制止も空しく、ミユカの暴走はヒートアップしていく。

「うぁああぁあぁあぉぉおぉおおーーーッ!!!!」

ダガーナイフを構え、チネンに 飛びかかろうとしたその時。

ガシィッ!

「「!?」」

二人の間に入ったカナミが、ミユカのダガーナイフを持った方の腕を掴んでいた。
そして穏やかに言う。

「ミユカさん。そんな風にこの人を殺しても、私は全然嬉しく御座いません」
「………」
「だから、いつものミユカさんに、お戻りになって下さい」
「…!?」

聖は二人の変化に驚く。
カナミから薄紅色のオーラが現れ、ミユカも全身からのダガーナイフを持った方の腕にかけて、赤いオーラが消えていく。
蛇の目も人間のものに戻り始めていた。

(感情を抑えているのか…?)
「…カナ…ちゃん」
「ミユカさん! 良かった…」
「…随分と余裕だな」
「「!!」」

カナミは思わず背後を振り向く。
チネンが銃の引き金に指を添えていたところだった。

「死ね!」
「…!」

その時。

ダァンダァンッ!

「ぐあッ!」
「え?」

チネンの両手から二つの銃が飛ばされる。
ミユカが振り向いた先には、ハンドガンを持った聖がいた。

464十字メシア:2011/06/14(火) 16:54:59
「やーさん!」
「ったく、ちゃんと周りを見ろ」
「………」
「さて…チネン。どうするんだ?」
「ハッ! たかが銃を落とさせただけで…」

チネンが銃を拾おうとした時、ミユカがそれを蹴飛ばし、ダガーナイフで切り裂いた。

「な…」
「これで武器ないよ。もう逃げれば?」
「くそ…ッ!」

チネンは何処からか棒の様な物を出すと、それについているボタンを押した。
その瞬間、三人の周りから電力が落ちるような音がする。

「…今回は任務失敗か…くそっ」

次の瞬間にはチネンの姿はどこにも無かった。


「なるほど、ホウオウグループの罠だったのか…」
「まあ追い払ったから結果オーライだよねー」
「楽天家め…いつも暴走するなっつってるだろうが」
「あはは、ごめん」

ミユカのマイペース振りに、聖は溜め息をついた。

「………」
「…何だガキ」

カナミの視線に気付いた聖。
ミユカとアキヒロは再び冷や汗をかきはじめる、が。

「…助けてくれて、ありがとうございました」
「「……」」

カナミの口から出た意外な言葉に、ミユカとアキヒロは目を見開いた。

「それと、私がなりふり構わず炎弾飛ばした時、注意した事も一応感謝しております」
「…そうか」
「制御の練習、もっと努力致します」

カナミは頭を下げる。
それに聖は微笑して言った。

「ま、せいぜい頑張れよ。甘ちゃん」

カチン

「…感謝とそれは別ですからね、冷血ヤクザさん」
「俺もされるのとは別だぜ」
「あなたはどこまで冷血でいらっしゃるんですか?」
「お前はどこまで甘ちゃんなんだ?」

再び火花が散る。

「お二人さん、まだ話終わってないって」
「「…フン!」」
「…まあ、怪我が少なくてなりよりだ。ミユカ、後で報告書かいてくれ」
「はーい」
「話は以上だ」
「カナちゃん、行こうか」
「あ、はい」

ミユカはカナミを連れて、隊長室を出て行く。
その後ろ姿を見て聖が言った。

「…隊長さんよ」
「何だ?」
「あのガキをチームに入れたのは、本当は仕事に慣れさせる為だけじゃねえんだろ?」
「…バレたか」
「確かにミユカは仲間の事となると暴走しやすいからな……いつから気付いたんだ? あのガキが『感情を抑えられる』事に』

一つ間を置いて、アキヒロはいきさつを話す。

「たまたま、スザクとゲンブが揉めていてな、そこへ通りかかったカナミが止めようと二人の腕を掴んだら、あいつらから赤いオーラが消えていったのを見た」
「なーるほど…だからミユカのブレーキ係として選抜した訳か」
「そういう事だ」
「…ガキは気付いてんのか?」
「無意識にやってるみたいだから、それはないと思う」

アキヒロの言葉に嘲笑う聖。

「そうか…やっぱり、抜け目だらけの甘ちゃんだな、あいつは」
「認める気はないのか?」
「認める? 無理だな、あんな能力者にすら優しすぎるガキ…あいつも俺の事認める気は無いだろうよ」

聖の言葉に、アキヒロは深い溜め息をつくしか無かった。


お借りしたキャラは、スゴロクさんから「蒼井 聖」「火波 スザク」(名前のみ)「水波 ゲンブ」(名前のみ)、地獄振起さんから「チネン」、本家から「アキヒロ」、兵器は白銀天使さんから「集合型人工亡霊 A-レギオン」でした!
何かグッダグダな気がしてならないw
カナミは純粋に優しいが故に聖さんの「能力者は全て消えるべき」という考えに賛同出来ず、物凄い彼を嫌っています。

465砂糖人形:2011/06/14(火) 18:26:44
お詫び小説です。キャスケットさんの「マイク・フレイトア」くんをお借りしました。
うちからは「団長」さんです

団長と玉乗り

サーカス団の楽屋裏で、マイク・フレイトアは、あまり質がよくないごわごわしたソファで休憩していた
焦げ茶色の扉からコンコンとノックの音がした

「マイクくーん、お疲れ様ー」
「あ、団長お疲れ様です!!」

団長がマイクに声を掛けると彼は笑顔でにっこり笑って答えた

「マイク君、最初の頃より玉乗り上手になったねー」
「そうですか?えへへ、嬉しいな、ありがとうございます」
「だって、乗ってる玉から違う玉へ移るだなんて凄いよっ!」
「団長さんにそういってもらえると嬉しいです。」

彼はまた満面の笑みを団長に見せた
その笑顔を見ると団長は悲しそうな複雑な表情をした

「・・・?団長、どうしたんですか?そんな顔して」
団長は軽く深呼吸をして、マイクの方へ顔を向けた

「あのね、マイク君」
「はい?」
「笑いたくない時に無理して笑わなくて良いのよー」
「え?」

マイクは驚いている顔も少し笑っていた。
そんなマイクを見て団長は、マイクの胸を指さしていった

「顔は笑ってるけどさ、心は笑ってないんじゃないかな?」
「・・・」

マイクは俯いた
それを見て慌てたのか、団長はぶんぶんと手を振りながらマイクに向かって訴えた

「いや、笑うのは駄目って言ってるわけじゃないんだよ、ちゃんとマイク君の気持ちをぶつけてほしいなあって言うか・・・」

すると、マイクが俯き気味に団長の目を見て真剣な顔で話した

「団長、ぼく・・・」
「ん?何?」
「褒めてもらって嬉しいんですけど、ぼくまだ全然上手くないし、もっと練習して玉乗り、上手になっていきたいです」

「うん、そうかー」
真剣な顔を見た団長はほっとしたように、マイクの頭をわしゃわしゃと撫でた
「わっ」
重い腰を持ち上げながら「よいしょ」と呟くと、マイクの顔を見つつ、出口へ向かっていった
「頑張ってね、応援してるよー、えへへ」
「はい」

はいと答えたマイクの顔は、無邪気な年相応の笑顔だった

466十字メシア:2011/06/14(火) 22:55:00
実は関係があったこの二人。

『劇の幕を開ける白い闇、自らの世界に閉じ籠る花菖蒲』

いかせのごれ高校、2年2組の教室。
そのクラスの生徒であるトキコは、クラスメイトのある少女が、この時間になっても来ない事に気付いた。

「あれ? カナミちゃん、今日休みなの?」
「ああ。具合が悪いみたいだけど、詳しくは知らないな」
「ふーん…」

不審に思ったトキコは、その休んでいる少女の親友に会いに行く事にした。


「ミユカちゃーん」
「あれ、トッキーどうしたの?」
「カナミちゃん今日休んでるから、大丈夫かなって思って。…もしかして、何かあった?」
「あー…それが…」

言葉を濁すミユカ。
その反応に、トキコは思わず身を乗り出す。

「やっぱり何かあったの?」
「…実はさ、カナちゃん…どうもボーイフレンド君にフラれたみたいで…」
「…フラれた?」
「フラれた、というより、別れを告げられたって感じ」
「何で? うーちゃんがさよならさせたって、どういう事?」
「ト、トッキー。ちょっと落ち着いて」

トキコの口調に微かな怒りを感じたミユカが宥める様に言う。

「カナちゃんによると、危険に巻き込みたくないし、敵同士だからもう会うなって、言われたんだって」
「……」
「トッキー?」
「…ありがとう。じゃあね」

首を傾げるミユカを置いて、トキコは教室を出て行った。


-ウスワイア-

「…チサト。カナミの様子はどうっすか?」
「……(首を横に振る)」
「そうっすか…」

ウスワイア、ロビー。
先日から部屋に引きこもっているカナミの様子を、テレパシーで調べたチサトの反応に、シノは溜め息をついた。

(ミユカから理由聞いた時は、少しびっくりしたっすけど…やっぱり心配っすねえ…)
「……」
「そうっすね。早く元気になってくれるといいんすけど…」

467十字メシア:2011/06/14(火) 22:55:56
「……」

ウツロ君と、さよならをしてから一日。
それから何だか外に出て、いつも通りに過ごすのが辛い様に思えて、つい学校を休んでしまいました。
……本当は、行きたかったんですけど。

「はあ…」

思わず出る溜め息。
ふと机に視線を向けると、自分の髪と似た色をした花菖蒲が、目にとまりました。
見ていると、ウツロ君と話していた時を思い出し、それが辛くて何度も投げ捨てたくなりました。
でも結局、捨てれなかった。
そうしたら、今までの事が嘘になりそうで怖くて。

「今、何時でしょうか…」

まだお昼の時間じゃないですよね。
2時間目ぐらいでしょうか。

「はあ…」

また出る溜め息。
それに、胸が鈍く痛みます。
まるで『心』が痛んでいる様に。
今の私には喜びは勿論、怒りや悲しみすらもありません。
今の私にある感情はただひとつ―――痛み。
ただひたすら、心が痛い。
涙も出ない程に。
消したいのに消せない感情。

「…外に出ましょうか」

人のいない静かな場所―――確か、明るい森があったはず。
私はそこに行こうと、部屋から出ました。
すると、私が一番嫌いな人物である聖さんと鉢合わせしました。

「ようやく出たかガキ」
「………」

いつもなら強く言い返すのですが、今の私にはそうする気力も感情も持っていません。
私はそのまま聖さんの横を素通りしました。

「…返事ぐらいしろよ」
「………」
「…ったく」

その時、私も聖さんも気付きませんでした。
私の瞳が光の無い、まるで心を失くした瞳になっている事を。



「ふう」

しばらく歩いていると、森が見えてきました。
その中にあった、倒れた巨木に座りました。
さんさんと降り注ぐ太陽の光が、森の中を明るく照らしています。

「…ウツロ君…」

もう会えない。
もう話せない。
ただそれだけなのに、心が凄く痛いです。
もし、敵じゃなかったら―――会わなかったら、この痛みも無いかもしれません。
どうやったら消えるのでしょうか。
……私には、分かりません。

痛い、痛い、痛い、痛い。
じんじんと、痛むこの心。
私の心…こんなに弱かったのでしょうか。

その時―――。

「今日は」

468十字メシア:2011/06/14(火) 22:57:56
不意に聞こえた男の人の声。
俯かせていた顔を上げると、そこには全身黒ずくめ―――いえ、髪だけは真っ白な男の人が。

「…お兄さん…誰ですか?」

するとその人は可笑しそうに笑って言いました。

「覚えていませんか…まあ、まだ小さい時でしたからね」
「?」

この人―――私を知っている?
記憶を探ってみますが、思い出す事は出来ませんでした。

「別に思い出せなくても構いませんよ」
「あ…すいません」
「おや、謝るなんて律儀ですねえ…それはさておき」

すると男の人は、私の目の前に来て言いました。

「ワタシはヴァイス=シュヴァルツと申します」
「…外国の方ですか?」
「まあ、そんなところですかね」
「何しにここへ?」
「散歩していたら、たまたまここへ来ました。それにしてもアナタ…浮かない顔をしていますね」
「え…」
「何かありましたか?」
「…実は、好きだった人から、別れを告げられたんです」
「ほう…それまたどうして?」
「…僕に会ったら、危険な目に逢うかもしれないって」
「なるほど」
「それで、凄くショックで…昨日からずっと、ここが痛むんです」

と言って、私は胸を押さえました。

「心が、傷ついているんですね」
「そう、ですね…」

項垂れる私。
するとヴァイスさんが言いました。

「心が痛くなくなる方法…お教えしましょうか?」
「え……出来るんですか?」
「勿論」

ヴァイスさんがニコリと笑いました。

「どうすればいいんですか?」
「なに、簡単な事です」


「心を閉ざせばいいのです」


「心を…?」
「そう」

ヴァイスさんが私の耳元に口を近づけて、囁くように言いました。

「全ての感情も、意思も、何もかも…閉ざしてしまえばいいのです」
「……」

意識が、若干おぼろ気になっていきます。

「アナタの、『本当の能力』で」
「本当の…能力……」
「そう。それを使えば、アナタの心の痛みは消えます」
「分かりました…ありがとうございます…」
「いえ、構いませんよ」


「お陰で舞台の準備が整いましたから」


意識がおぼろ気になっている私には、その言葉の意味を気にしようとしませんでした。
ただ、ヴァイスさんに言われた事を実行しようと思いました。


『全ての感情も、意思も、何もかも…閉ざしてしまえばいいのです』


心を閉ざす―――私はそれに集中します。
その時。

469十字メシア:2011/06/14(火) 22:58:32
「カナミ!」
「ここにいたんだ…ウスワイアにいないから心配したよ」
「……ミユカちゃん、スザクちゃん」
「今日はたまたま、学校終わるのが早かったんだ」
「とりあえず、ウスワイアに帰ろ?」
「………」
「カナちゃん?」

ミユカちゃんが手を伸ばしたと同時に。


バキバキバキィッ!!

「うわあっ!」
「ミユカ!」

私の周りに、細い蔓の様な樹木が生えてきました。
それも段々増えていきます。
まるで、私を閉じ込めるように。
すると私の足元からも樹木が生え、私を押し上げるようにして伸びていきます。
でも私は逃げようとしませんでした。


もう、心を閉ざし始めているのですから。

「ッ! カナちゃん!?」
「待てミユカ! 危ないぞ!」
「でもカナちゃんが…カナちゃん!」

私を押し上げる樹木と取り囲む樹木が上っていくにつれ、ミユカちゃんの声が遠退いていきます。
視界にある景色も、樹木で覆われてきました。
やがて、私の周りも心も、闇の中に閉ざされました。



「カ…ナ…ちゃん…」

突如起きた親友の異変に、ミユカは茫然とするしか無かった。
全身から力が抜けてへたりこむ。
声も思う様に出ない。

「あ…あ…なん…で…」
「ミユカ! しっかりしろ!」
「しゅざくっち…どうしよう…」
「大丈夫だ! カナミは別に死んだ訳じゃない!」
「そうですよ。折角目覚めさせたのに、そうなったら面白くありません」
「「!?」」

二人は何処からか聞こえた声に驚く。
声の主は木の上に器用に立っている、髪の白が浮いた黒ずくめの『白い闇』と呼ばれる男。

「お前は…ヴァイスッ!」
「お久しぶりですね…まさか生きていようとは」
「え、え? しゅざくっち…あの人、誰?」

状況が飲み込めないミユカ。
スザクの代わりにヴァイスが答える。

「ワタシはヴァイス=シュヴァルツと言います」
「白い、闇…?」
「まあ、どうとでも呼んでください」
「…カナちゃんに何したの?」

静かな怒りを秘めた声で話すミユカ。

「おやおや、お怒りですか?」
「だから…何したの?」

声に怒りが募るにつれ、ミユカの目が蛇のそれに近づいていく。

「フ…あの花菖蒲の本当の能力を目覚めさせただけですよ」
「本当の能力?」

ヴァイスの口から出た言葉に、ミユカは少し驚く。

「ええ。アナタ達は彼女の能力をハートブースター…感情増幅だと判定した様ですが、それは能力の一部に過ぎません」
「一部…!?」
「彼女の本当の能力は『マインドビジョン』。即ち『精神世界』……自分の心にある感情や意思、はたまた複雑な思念を現実に『現象化』させる能力です」
「現…象…て事は!」
「そう。怒りの感情を持った時に出る炎も、激しい悲しみによる涙を流すと渦巻く嵐も。感情を現象として、具現していただけなのです」

そこでスザクがある不審点について言った。

「お前…カナミの能力に詳しいな」
「…そういえば、どうして?」
「ククク…ッ」

二人がそれに疑問を感じるのが可笑しいかの様に、ヴァイスの口から狂気が混じった笑い声が漏れた。

「…まさかお前」
「そうその通り! 花菖蒲の能力を目覚めさせたのは、紛れもないこのワタシなのです」
「!!」

今、目の前にいる男が、親友の人生を変えたきっかけ…?
ミユカは驚きを隠せなかった。

「確か…花菖蒲がまだ5歳の頃でしたかね」

470十字メシア:2011/06/14(火) 22:59:25
-11年前 とある家の庭-

「お花♪ お花♪」

ご機嫌に花が咲き乱れる庭を駆け回る、小袖を通した小さな少女。
髪の色は花菖蒲と同じ、薄紅色をしている。
この少女こそ、カナミである。

「あ、『すいせん』だ」

カナミは何本か咲いている水仙の花に近寄った。

「きれいー」

満面の笑みを浮かべるカナミ。
すると、彼女は庭に誰かがいるのに気付いた。

「…?」

不思議に思ったカナミは、庭にいる人物に近付く。
その人物は、髪以外は全て真っ黒という格好をしていた。
細身ではあるが、体つきからして、どうやら男の様だ。

「…お兄ちゃん、だれ?」
「ん?」

黒ずくめの人物が振り向く。
表情はどこか楽しそうだ。

「アナタは?」
「わたし? わたしはカナミだよ。お兄ちゃんは?」
「ああ、ワタシはこの家の使用人さんの知り合いですよ。ちょっとその人に用事があったので…」
「使用人さん? よんであげようか?」
「いえ、用事は済んでいますよ。ただ、庭が綺麗なもので」
「お兄ちゃんもそう思うの?」

カナミは嬉しそうに笑う。

「わたしもね、この庭だいすき! いつもきれいなお花が咲いてるから」
「そうですか」

男はカナミの頭を優しく撫でる。
密かに、狂気の笑みを浮かべて。

「じゃあワタシ、行きますね」
「え…もういっちゃうの?」

寂しそうにカナミが言う。
すると男はカナミの目線に合わせてしゃがんだ。

「またいつか会えますよ」
「? ほんと?」
「ええ」


―――アナタの力を目覚めさせましたから。


「じゃあ、ゆびきりしよう!」
「はいはい」

カナミが指した小指に、男の小指が添えられた。

「ゆーびきりーげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます、ゆびきった♪ …やくそくだよ!」
「分かってますよ。では…」
「あ、待って!」
「…何です?」
「お兄ちゃんのなまえ、おしえて!」
「名前ですか。ワタシの名前は―――」


―――ヴァイス=シュヴァルツ。

471十字メシア:2011/06/14(火) 23:04:27
「…そんな事が…」
「そして7年経った頃、影から彼女に会いに行きましたが、なにぶん、『心を放つ』能力でしたからねえ…彼女は家の環境で、感情を抑えていたので能力に気付かなかったんですよ。なので殺そうとしました」

その言葉にミユカの目がまた、蛇に近くなる。
だがヴァイスは戯けた様な素振りをして言った。

「でもやめました」
「え?」
「気付いたんですよ。彼女の感情が膨れ上がっているのに…それで、いずれは能力者になると確信しましてね」
「……」
「恨むのは構いませんが、能力に目覚めなかったら、彼女は不幸なままだったのではありませんか?」
「…それはそうだけど……でもそれとこの状況は別だよ!」

堪忍袋の緒が切れたミユカは、ヴァイスに飛び付いた。

「! 待てミユカ!」
「喰らえぇっ!」

ダガーナイフを握り締め、斬り付ける寸前。

ドカッ!

「が…っ」
「ミユカ!」

逆にヴァイスに殴られ、落下するミユカをスザクが受け止める。

「ありがと…しゅざくっち」
「ムキになって攻撃するな。あいつの思うつぼだぞ」

スザクはふと聳え立つ巨大な樹木を見やる。
ミユカも釣られて樹木を見た。

「…カナちゃん!」

ミユカはたまらず、樹木の方へ駆け寄って叫んだ。

「もう帰ろうよ! 皆カナちゃんを心配して待ってるんだよ!?」
「ミユカ…」
「カナちゃん! …返事ぐらいしてよぉ……」

その時、次に出たヴァイスの言葉に、ミユカは激昂する。


「ククク…ッ! 実に楽しいですねえ。あの花の様な笑みを浮かべた少女が、あんな苦痛の表情をするとは…!」


ピクッ

「ミユカ…?」
「……」

ミユカがふらりと立ち上がる。
そして近くに落ちていたダガーナイフを拾って持ち直した。
そして―――異常な速さでヴァイスに飛び掛かった。
ヴァイスには避けられたが、代わりに木が真っ二つに倒れ、砂埃が舞う。
その中で、二つの金色に光る、蛇の様な目が浮かび上がり、次の瞬間―――ミユカが姿を現した。


「…死ねえぇえッ!! ヴァイスーーーーーッ!!!!!!」


白い闇に唆された花菖蒲は 心を閉ざした

激昂に囚われた蛇は 暴挙しつくす

白い闇は 狂喜に嘲笑う


お借りしたキャラは、樹アキさんから「ウツロ」(名前のみ)、しらにゅいさんから「トキコ」、スゴロクさんから「火波 スザク」「蒼井 聖」「ヴァイス」、本家から「チサト」でした。
しらにゅいさん後は頼みますっ(おま

472スゴロク:2011/06/14(火) 23:09:03
>十字メシアさん
出ましたうちの問題児! ヴァイスの使い方が上手いですねぇ……まさにこの通り。
そしてミユカがキレたーっ!? いや、まあ、そりゃ怒りますよねぇ……ここまで来ては。

473十字メシア:2011/06/14(火) 23:11:37
>スゴロクさん
どうも最近ミユカがキレまくりな気がしてなりませんw

474サイコロ:2011/06/15(水) 03:13:34
さて・・・シリーズになるかと思います。
施設は鶯色さん宅の武器工場とタクミ、ヒトミ、大黒屋さん宅からシン・シーをお借りしました。
若干びすたさんの<もがいて足掻く>派生の話も入っています。


<汰狩省吾に降りかかるモノ>



ショウゴは土砂降りの雨の中を自転車で突っ走っていた。合羽は着ていたが、
フードは被らず後ろに流れっぱなしだった。
土手の上の道を爆走するショウゴとすれ違う人はいなかった。
いたとしても時速40キロ近くで走り続ける彼の顔を見れるような事は無かっただろうし、
例え見られたとしても赤く腫れた目、割れんばかりに喰い縛り続ける歯は、
雨と風でグシャグシャに掻き消されて判別できなかっただろう。

不意に自転車がスリップを起こし、ショウゴは川側へと投げ出された。
土手を転げ落ち川へ突っ込んだが、受け身を取ったため怪我は無かった。


先刻家で受けたテレビ電話の内容など思い出したくもなかった。画面越しに伝わる血と臓物と鉄の臭い。画面の向こうには―――――


ふとショウゴの思考が現実へと引き戻される。川から出ようとしていたら、本当に血と臓物の匂いがした。草むらをかき分けると、そこには血溜りがあった。
「・・・ッ」
刹那、再びテレビ電話越しの光景を思い出し目を背けた。
血の量はそれほど多くない。自力で逃げたのか、誰かに助けてもらったのか。
そもそもこの血が人間のモノであるかさえ微妙だ。
ふとバイトの事を思い出し、その血の跡を跨ぐように川を出た。
血を掻き消すようにグリグリと足で土をこね、自転車を拾おうと手を掛けたところで、
再び血と臓物と鉄の臭いの感覚に襲われた。今度は感覚的なものだ。
さっと前へ飛ぶと、一瞬前までショウゴがいた所にナイフが降りかかった。
「!?」
ナイフの角度から射手のいるであろう方角を見ると・・・そこには、黒いマントに黒い眼隠しという黒づくめの男がいた。
「お前は誰だ。」
「正義の味方さ。名はシン・シー。」
思っていた自己紹介とかけ離れた答えに少しキョトンとするショウゴ。
「・・・背後からの不意打ちは正義か?」
心を落ち着かせるとそう口にした。
「人外なんかを庇うような君には当然だろう?」
ショウゴには勿論訳が分からない。
「人外?庇う?何の事だ。」
「すっとぼけたって無駄さ。君は証拠隠滅の為に血の跡を消そうとしたじゃないか。
 あの人外は別の人外に預けたのかい?」
感情に任せて血の跡を消したのは確かだが、シン・シーとはお話にならない。
相手が会話などする気が無いのだ。弁解のしようもない。
「俺には理解できんね、お前の主張は。俺がそこに行ったときにはもう何もいなかった。それが真実でそれが全てだ。」
「へぇ、そうかい?」
警戒していた攻撃はすぐに来た。・・・すなわち、ナイフによる投擲攻撃だ。
「ったく、ろくなもんじゃねぇな!勘違いも甚だしい!」
半身の姿勢から紙一重で躱し、自転車を蹴りあげると跨って走りだす。
「今日のところはここで終いだ、俺はバイトがあるもんでね!」
シン・シーは深追いはしてこなかった。

475サイコロ:2011/06/15(水) 03:14:08
ショウゴはバイト先まで道を何度も迂回したりして尾行や追跡が無いかを確かめる。
ようやくバイト先である工場に付いた時には、いつもの倍以上の時間をかけてしまっていた。
「おー、今日はまた一段と遅かったなぁ!」
工場長であるタクミが、珍しく外でジュースを飲んでいた。
「いやぁ、少々いろいろあって。」
「みたいだな。泥だらけのびしょ濡れ、風邪引く前に着替えた方がいいぞ。」
「ああ、そうしやす。」
突然ガチャリと窓が開くと、上から布が降ってきた。
「ショウゴ、これ使っていいわよ。」
「お、ありがとうヒトミさn・・・ってこれ・・・」
「うん、試作品の急乾布。」
試作品、という言葉に少し不安になる。
「大丈夫かよ…」
ショウゴが体をふくと、水がほとんど吸収されていた。
「おおっ、こりゃすごい。」
「でしょー。いろいろ使い勝手がありそうだから」
「・・・凄いけど、顔が痛いぞ。皮膚の油までかなり吸ってないかコレ。」
ガサガサな肌になっていた。
「・・・仕事に戻ろっと。」
「だんだん痛くなってきたぞコレ!」

いつも通りのバイト。工場長であるタクミのサポートを始め、細かい雑用を色々とこなしていった。


そしてバイト中も、ショウゴは一度もテレビ電話の事を表に出す事は無かった。


彼が陽気な柔道部の部長で工場のバイト員というのは表の顔だが、紛れもない彼の『本性』だ。
彼の裏の顔、テレビ電話の内容、抱えてる『闇』についてはまだ誰も知らない。
・・・いや、まだ知られてはならない。


はい、という訳で思いっきり意味不明な回です。いろんなところに首突っ込んで大丈夫なのかな・・・(汗
今回の話で微妙に妖怪達サイドの話や武器工場関係に喰い込みました。どこまで広がっちゃうんだろう・・・。
シリーズ名は<抱えた爆弾>です。

476びすた:2011/06/15(水) 21:27:52
十字メシアさんの「御影 咲埜子」、「カナミ」、ご本家様からをお借りいたしました!
十字メシアさんの<劇の幕を開ける白い闇、自らの世界に閉じ籠る花菖蒲>に絡めた話です。
首を突っ込んでみたくなって痛っ石投げるのはやめて痛いっ
お話↓ここから
_______________
「おおきにー!」
風月堂の看板娘、咲埜子の明るい声を背に一人の少女がお店から姿を現した。

野原コノカ。彼女はウスワイヤに保護されている能力者の一人だった。

『カナミちゃん…大丈夫かな?これでちょっとでも笑顔になればいいなぁ』

風月堂の名物の苺大福は一口頬張れば笑顔が止まらないという噂を聞いていた。
そこで少しでも友人、カナミの笑顔を見たくて、
ウスワイヤのリーダー、アキヒロさんに頼み、許可をもらった上で外出してきたのである。

『咲埜子さん優しかったなぁ…ウスワイヤの方だって知ってびっくりしちゃった!
変わった口調していたし…どこの方言なんだろう??
初めて来たお店だけれど、どれも本当に美味しそう!また来たいなぁ…』
彼女は幸せそうに先程買った苺大福を見つめて微笑み、帰路に立とうとした。
が、まっすぐ視線を移した途端その足は止まる。


「あれ?」

それは違和感。
それは簡単な間違い探し。
それはたった一つの、明らかな違いだった。

「な、なに…あれ……!?」

それは巨木。
いかせのごれの街並みに一際目立って緑色の線が縦に走っていた。
距離はここからだいぶ離れては、いる。
だがこうして視界に容易く入る事はその樹の巨大さを物語っていた。
それはまるで幼き頃に絵本で見た「ジャックの豆の木」の挿絵のよう。
空を貫くように巨大な樹が遙か遠くにそびえ立っていたのである。
コノカはしばらくその非現実さに呆然としてしまう。
それから数分も経たない時だった。

巨木が、二つに分かれた。

『能力者っ…誰か、戦っているの…?』

彼女はアースセイバーになったばかりだった。
施設内で訓練は受けてはいたものの、実戦経験は皆無だった。
普通ならばウスワイヤに戻り、応援を呼ぶ必要があった。

だが一瞬、ウスワイヤから外出するカナミの、
ふと見かけた彼女の悲しげな表情が脳裏を横切った途端。
_____

ピシャンと扉が勢いよく開き、中にいた咲埜子に声をかける。
「咲埜子さん!」
「おいでやすー…あら、コノカはん」
「すぐ戻りますので!さっき買ったこの苺大福ちょっと預かってて下さい!!」
「こ、コノカはん?どないしたん!?…あぁもう行ってしもうた…なんなん?」

突然の事に驚いた咲埜子が声を返した時には
すでに彼女、コノカは巨木の元へと走り去った後だった。

『苺大福と焦燥』

「一体、どないしたんよ…??」

477びすた:2011/06/15(水) 21:29:05
ご本家からアキヒロお借りしました。脱字すいません;;アキヒロ、抜けちゃってごめんよ…

478十字メシア:2011/06/15(水) 23:23:41
>びすたさん
大変申しにくいのですが・・・
割れたのは巨木ではなく普通の木です;

479びすた:2011/06/16(木) 12:00:07
>>十字メシアさん
(´゚д゚`)なんとー!?てっきりミユカちゃんパワーで一刀両断したものかと勘違いしておりました;;
申し訳ないです…
巨木が割れた所はなかった事にしなくては…っ
>>476「苺大福と焦燥」の修正版です↓
___________________
「おおきにー!」
風月堂の看板娘、咲埜子の明るい声を背に一人の少女がお店から姿を現した。

野原コノカ。彼女はウスワイヤに保護されている能力者の一人だった。

『カナミちゃん…大丈夫かな?これでちょっとでも笑顔になればいいなぁ』

風月堂の名物の苺大福は一口頬張れば笑顔が止まらないという噂をコノカは聞いていた。
そこで少しでも友人、カナミの笑顔を見たくて、
ウスワイヤのリーダー、アキヒロに頼み、許可をもらった上で外出してきたのである。

『咲埜子さん優しかったなぁ…ウスワイヤの方だって知ってびっくりしちゃった!
変わった口調していたし…どこの方言なんだろう??
初めて来たお店だけれど、どれも本当に美味しそう!また来たいなぁ…』
彼女は幸せそうに先程買った苺大福を見つめて微笑み、帰路に立とうとした。
が、まっすぐ視線を移した途端その足は止まる。

「あれ?」

それは違和感。
それは簡単な間違い探し。
それはたった一つの、明らかな違いだった。

「な、なに…あれ……!?」

それは巨木。
いかせのごれの街並みに一際目立って緑色の線が縦に走っていた。
距離はここからだいぶ離れては、いる。
だがこうして視界に容易く入る事はその樹の巨大さを物語っていた。
それはまるで幼き頃に絵本で見た「ジャックの豆の木」の挿絵のよう。
空を貫くように巨大な樹が遙か遠くにそびえ立っていたのである。
コノカはしばらくその非現実さに呆然としてしまう。
そうして思い至る。

『能力者っ…誰か、戦っているの…?』

彼女はアースセイバーになったばかりだった。
施設内で訓練は受けてはいたものの、実戦経験は皆無だった。
普通ならばウスワイヤに戻り、応援を呼ぶ必要があった。

だが一瞬、ウスワイヤから外出するカナミの、
ふと見かけた彼女の悲しげな表情が脳裏を横切った途端。
_____

ピシャンと扉を勢いよく開き、中にいた咲埜子に声をかける。
「咲埜子さん!」
「おいでやすー…あら、コノカはん」
「すぐ戻りますので!さっき買ったこの苺大福ちょっと預かってて下さい!!」
「こ、コノカはん?どないしたん!?…あぁもう行ってしもうた…なんなん?」

突然の事に驚いた咲埜子が声を返した時には
すでに彼女、コノカは巨木の元へと走り去った後だった。

『苺大福と焦燥』

「一体、どないしたんよ…??」

480大黒屋:2011/06/16(木) 21:52:23
話の繋ぎもいいところ。最後は文字が違えど『ボクラッシュ』です。
自キャラオンリーです。読み方指定は最後まで貫いてください。

「…もしもし、『正義の味方(ボク)』。調子はどうかな?」
『上々だよ。そちらはどうだい。『正義の味方』?』
「昨日も2、3人やっつけたよ。」
『へぇ、なかなかじゃないか。』
「でもねぇ、あえて生かしておいたんだ。」
『へぇ、珍しい…。何でまた?』
「珍しいこともあるものでね。どうにも妖怪がグループを作ってるらしいんだ。」
『へぇ!それは初耳だなぁ。つまり、そのグループを聞き出して一網打尽にするつもりかい?』
「そういうことさ。察しがいいね。流石『君(ボク)』。」
『当然だろう。『君』は『正義の味方』なんだから。』
「それもそうだね。」

『そうそう。こっちも報告があるよ。』
「高校の人外の事かい?」
『その通りさ。今度、また教師が一人帰ってくるみたいだよ。人外の可能性があるから、来たらすぐに調べるつもりさ。』
「成程。そう考えるなら、『君』の肩書は役に立っているみたいだね。」
『もう大助かりさ。誰にも怪しまれないんだから。』
「それはよかった。」

『それともう一つ。高校にいるのは人外だけじゃない。』
「生物兵器の成り損ないもいるんだろう?この間きいたよ。」
『そうさ。それも二人。』
「二人…?」
『多分あの「施設」の事件の生き残りじゃないかな。』
「ああ、成程ね。」
『早めに抹消しておいた方がいいんじゃない?なかなか強そうだからね。』
「考えておくよ。ありがとう。」

『それじゃあ、体には気をつけておくれよ、『君』。』
「そっちもね、『君』。」
『時間が空けば、直ぐにでも会いに行くさ。久しぶりに『君』の、『唯一の永遠の味方(ボク)』の、『僕の兄(ボク)』顔が見たい。』
「僕もだよ。『君』に、『唯一の永遠の味方』に、『僕の妹(ボク)』に。」
『…流石『君』。いつでも心は一緒だね。』
「当り前さ。」
『…それじゃあ、そろそろ授業だから切るよ。』
「うん、じゃあね。」

正義の味方による通話の一部始終

「…『僕の妹』、本当に頼りになるよ。僕も『正義の味方』として頑張らないと、ね。さぁて、今日は何人の人外を始末しようかな…。」

481YAMA:2011/06/16(木) 23:58:57
どうもYAMAです小説二つめです今回はもうすぐだそうと思っている
アナザー施設の予告編みたいな感じです、
名前お借りしました!砂糖人形さんの団長さん。


僕の名前はエミール・ジンジャー
ポリトワルサーカスというサーカス団でピエロをやっています。
そんな僕は今団長に許可を取ってある孤児院に向かっています。
そこは僕が半年だけ預けられていた場所です。
何でもそこに来て半年たったある日団長が突然やってきて
僕を引き取っていったんだとか。
僕は一年に2回だけその孤児院でパフォーマンスを披露します。
その孤児院には僕のような特別な力を持った子供達が預けられていて
ある程度大きくなると『特殊能力者保護施設』と言う場所に送られるそうです。
そこのマザーはサーカスにもちょくちょく足を運んでくれていて団員とも顔なじみです。
マザーはかなり前から孤児院をやっているのですが容姿はまだ二十代前半に見えます。
彼女もまた特殊能力者なのです。
~以上、閑話休題~
マ「久しぶり~良く来たわね、レーミル。」

レ「お久しぶりです、マザー。」

孤児院に着くとマザーが迎えてくれた。
いつものことだが全く衰えを感じさせない容姿だ。

マ「さあ、入って入ってあの子達も待ってるわよ?」

僕が舞台に立つと子供達から割れんばかりの拍手、
でも新入りの子はまだとまどっているようだ。
その子達を笑顔にするのが今日の仕事、
まずはジャグリング、3個から初めてどんどん増やしていく。
今日は100個までやった。
もっとできるけどね、
ショーはまだ始まったばかり
玉乗りに火の輪くぐり、ナイフ投げなど、
一つ芸を終えるごとに子供達から
喝采の声が上がる。
全て終わる頃には全員が笑顔になっていた。
この笑顔を見ると疲れなど吹き飛んでしまう。
次はお話の時間、子供達からの質問や賞賛に一つ一つ答えていく

子A「レーミル兄ちゃんスゴーイ!!」

子B「どれくらい練習してるのー?」

子C「玉乗りもう一回やってー!!」

等々、最後に遠慮がちに手を挙げたのは恥ずかしがり屋のシューだった。
シューは他の子達より少し強力な能力を持っている。

シュ「また・・・来てくれる?」

レ「もちろんだよ、シューちゃん」

僕は彼女にそう言って微笑んだ。
僕はこの仕事が好きだ、

482びすた:2011/06/17(金) 22:04:36
こちら大黒屋さんの「彼は猫又である」の続きです。シキ君を拾ってくださりありがとうございますっ。。
会話文オンリーな文章で申し訳ないですOTZ
大黒屋さんの「カイム」お借りしました!

「『今…なんて?』」
「だーかーら!その訪問計画って奴に俺も手伝うって言ってんだよ。」

「『でもまだ傷は塞ぎきれてないんだろう?』」
「そんなことねぇ!……ぐっ」
「『ほ~ら、急に動くから…大丈夫かい?』」
「ん…そこのソファの上でかまわねぇ。」
「『よいしょっと。今の君はは傷を治す事を優先しないといけないよ?ユキ君。』
「だったらこの傷が治ったらこの借りを返させてくれよ。」
「『うーん、猫の手を借りるつもりはないんだけれどなぁ。』」
「……ふざけんな。」
「『え。』」
「てめぇ、俺が何もできねぇって思いこんでねぇか?だとしたら心外だぜ」
「『……』」
「そりゃあ俺はなりが小せぇ、今は傷を負って自慢の俊足が使えねぇ。でもな。
俺だって立派な妖怪だ!何もできねぇわけじゃねぇんだよ、馬鹿にすんなっ」
「『…シキ君?』」
「…何も、できねぇわけじゃねぇよ…ばかやろう…」
「『わかった、わかったよ。僕の負けだ…考えておくよ。だから泣かないで。」
「別に…泣いて、なんかねぇし!」
「…でもこれは僕だけで処理できる話じゃない。主に君の事を伝える事になるけれどいいのかい?』」
「…かまわねぇよ。別に、隠す、つもり、ねぇ、し…」
「わかった。それじゃあさっそく…シキ君?」
「…」

『雨上がりの安息』

「『(眠っちゃったか。)…おやすみ、シキ君』」

483びすた:2011/06/17(金) 22:07:25
またミス発見OTZカイムさんの会話文で「『』」になっていないところが・・。
wikiでは訂正しておきます・゚・(ノД‘)・゚・。連発してすいません

484大黒屋:2011/06/18(土) 20:09:25
『雨上がりの安息』の続編です。「第二三話」は機会があれば近いうちにあげようかなと思います。
びすたさんより「シキ」、名前のみ十字メシアさんより「御影 咲埜子」をお借りしました。

雨上がりの浮雲

「分かりました。それでは、少なくとも怪我が治るまで、僕が保護しておきます。」
『ありがとう。ごめんね、帰ってきて早々に…。』
「いえいえ、僕も寂しかったものですから。」
カイムは自宅の縁側に座り、主である春美と通信をしていた。
シキはソファの上で寝息を立てている。いろいろあって疲れたのであろう。

『でも、それだと大変だね。訪問計画の件もあるし…。』
「僕の担当は風月堂の咲埜子さんでしたよね。大丈夫です。近いですし。」
『明日だけど、シキさんも連れていくの?』
「はい。そのつもりです。彼を一人で放っておくわけにはいきませんし、自分も手伝うと言っていたので。」

『でも、まだ警戒されてるんじゃないの?』
「大丈夫ですよ。彼はもう警戒を解いてくれました。」
『えっ?』
春美は素っ頓狂な声をあげる。
この短時間で打ち解けられるだろうかと思ったのだろう、と解釈し、理由を付け加えた。

「訪問を手伝うと言われた時、一度断ったのです。しかし、彼は喰い下がりました『俺が何もできねぇと思っていたら心外だぜ』と。」
『…つまり…。』
「『自分の身の上をこちらに明かした』。それはつまり、警戒を解いた証拠でしょう?」
『成程ね…。』
「まぁ、こちらも最初は力を使っていたわけですがね。」
面目ない、とカイムは自嘲した。

『しかし吃驚したなぁ。今回の手口も多分シン・シーだよね?』
「そのようです。鋭利な刃物による怪我でしたので…。」
『ずいぶんと行動が早いね…。』
「全くですよ。この前ノラさんが被害にあったというのに…。」
そう言うと、春美は口ごもるように言った。
『…あのね、カイムさん。実はその直後に…。』

「えっ!?彼女は確か第二三話では…?」
『ええ。どうやら能力を見抜けるだけで、片っ端から加害してる傾向があるみたいなの。もっと言うなら、百物語組ばかりが狙われてるわけでもないみたい。』
「第五一話、第五八話ときてたので、その上をいくのではと危惧していたのですが…。」
『とにかく、人外なら油断はできない状況みたいなの。カイムさんも十分気をつけて。』
「分かりました。とりあえず教師として復帰するのはまだ先になりますので。」

「…それでは計画通り、訪問は明日に行います。」
『お願いね。あと、道中で人外さんに会っても忠告をお願いするね。』
「分かりました。それでは、僕はこれで。」

春美との通信を切り、カイムはシキを見た。
変わらず寝息を立てるシキにカイムは近づき、軽く頭をなでた。
「こうしてみると、普通の猫と変わらないのにね…。」

485スゴロク:2011/06/18(土) 21:58:28
音楽地平線ネタ再びです。スザクが主役ですが、今回は第三者視点です。



とある休日。
アオイはいつもの如く、家の掃除をしていた。限らず、料理などの家事全般も、最近は彼女の仕事だ。

「姉様のためですもの」

と口癖のように言っている彼女だが、実際の理由はそれだけではない。万全なようでどこか抜けているスザクに任せていると、絶対にどこか失敗すると言う経験則からである。
ともあれそんな彼女は、締めくくりに自分の部屋の片づけを始めた。

(服はよし、衣替えも終わりましたわね。さて……)

最後に、引き出しの裏の隠し棚を開ける。そこにあるのは、スザク愛読の「幻想物語」の一つ、「Elysion~楽園~/ABYYS~奈落~」。テーマがテーマなので、現在恋路をひた走るスザクがこれを読むことに言いようのない不安を覚えたアオイは、これを隠したのである。幸いにしてスザクは、いつものドジでなくしたと思っている。
それでも一応、と確認のため棚を開け、

「え?」

硬直した。そこにあるはずの、11冊の本。それが、一冊もなかった。

「え……え? な、ない? ど、どうしてですの!?」

おかしい。確かに自分は、ここに第4シリーズを全て隠したはずだ。鍵こそなかったけれど、ここは引き出しの裏。よほど注意して探さない限り、これには気付かないはず。いや、そもそもなぜなくなっている?
混乱するアオイの頭を、


「―――探し物はこれかな、アオイ?」


部屋の入り口から聞こえた、聞き慣れた声が引っ叩いた。
ギ、ギ、ギ、と壊れたおもちゃのように振り返ったアオイが見たものは、


「す、スザク、姉様……」
「いかにも。さて、どういうことか説明してもらおうかな、『綾歌』?」


明らかに不機嫌な表情で、左手に紙袋を持ち、右手に1巻「エルの楽園-Side:E」を示す、姉の姿だった。

486スゴロク:2011/06/18(土) 21:59:02
スザクが「Elysion~楽園~」を発見したのは、完全な偶然だった。買い物に出ていたアオイが帰宅する少し前、家に郵便が届いたことがきっかけだった。

『一之瀬 ツバメ? ……ああ、ツバメ叔母さんか。アオイ当てか……』

『三鷹 かもめ』というペンネームで絵本作家をしている叔母からだった。母・琴音の双子の妹に当たる彼女は、両親を亡くしたアオイの育ての親だ。最近になって分かった話だが、こうしてたまに、近況を尋ねる手紙が来るのだ。

ともかく、アオイ当てなら当人の部屋に置いておくのが筋だろうと、スザクは妹の部屋に向かった。
とりあえず机の上に置いておこうと、歩み寄る―――のだが、

『! うわぁっ!?』

床の上に落ちていたビニール袋を踏んで盛大に滑り、前のめりに転んでしまったのだ。咄嗟に差し出した手が何かを掴んだものの、結局それごと床に転がってしまう。

『痛たたた……またやっちゃったよ』

ふと見ると、衝撃の走った右手が掴んでいたのは机の引き出しだった。中身が派手に散らばっている。

『あー……片付けないと』

とりあえず手紙を置き、中身を拾って引き出しに入れる。が、今度はその引き出しがなかなか入らない。
何度試行錯誤して、気付く。

『ぁ……枠が歪んじゃったのか、これ。直せるかな』

幸い大きなものではなかったため、力で何とかなった。が、歪みを直してふぅ、と一息ついたスザクは、転じようとした目線に何かを捉えた。無駄に高い視力が、引き出しのあるべき空間、その奥の暗がりにある不自然な部分に気付いた。

『……ん?』

壁であるべきそこに、取っ手の様な窪みが見て取れたのだ。引き戸のようになっているらしい。
アオイのプライベートな何かかも知れない、と一瞬思ったが、こんな分かりにくい所に置く意味がわからない。第一これでは、そこに何か隠してあるとしても、本人ですら簡単には取りだせないではないか。
―――待て。では、そこには何がある? 取りだすことを考えないようなこの扉の向こうには、何がある?

『…………ま、さか』

まさか。そう思いつつも、手を伸ばして扉を開け、手に触れたものを引っ張り出す。
窓から差し込む光を受けるそれは、仮面の男と何人かの少女が描かれた表紙。

『あぁっ!? これ、第4シリーズ!?』

叫ぶや否や、次から次へと棚から本を引っ張り出す。棚が空になった時、スザクの前には、なくしたはずの大4シリーズが全て揃っていた。

『……アオイが隠してたのか……でも、何で?』

確かに腹は立ったが、それよりも疑問が先に立った。なぜ、妹はこんなことをしたのか?
その当人が帰って来たのは、スザクが本を持って部屋に戻った、その直後のことだった。

487スゴロク:2011/06/18(土) 22:00:33
そして、現在。

「申し訳ありません、姉様。心配になってしまって、つい……」
「いや、まぁ、気持ちはわかるけどな」

アオイから事情を聞いたスザクは、呆れとも慨嘆ともつかぬ表情で息をついた。

「自分の恋愛が色々と常識外れだっていうのはわかってる。けどな、アオイ。少なくとも」

言って、手に持った一冊――4巻「Baroque」を軽く振る。

「これよりは、真っ当な恋愛してるつもりだ」
「ど、どっちもどっちのような気がしますけど」
「いーや。僕もトキコも、事情を全部了解した上で選択したんだ。もしトキコにその気がなかったら、あの日即座に断られてた。違うか?」
「それは……はい」
「……心配してくれるのは嬉しいよ。だけど、な」


「人の本を勝手に持って行くのは、どうかと思うぞ?」


「……ごめんなさい」
「わかればよろしい。……ところで、アオイ。叔母さんの手紙、何て書いてあったんだ?」
「あ……まだ読んでませんわ。お待ちくださいまし」

持って来ていた手紙を開き、目を通すアオイ。すると、その目が「え?」と言わんばかりに見開かれた。

「ん、どうした?」
「そ、その……」

しばし逡巡し、アオイは言う。

「叔母様が、今日の午後1時16分21秒23242538、こちらに来ると」
「へ?」

と、間の抜けた声をスザクが返した瞬間だ。


「こんにちはー! 定刻通りにお邪魔しまーす!!」


―――玄関から、どこか母に似た、元気そのもののような声が響いた。


来訪者は突然に


(なくしたものが見つかった)
(心配も溝もなくなった)
(――作家が急にやって来た)


しらにゅいさんから名前のみ「トキコ」をお借りしました。

488十字メシア:2011/06/18(土) 22:40:56
マキナとホウオウ様のある日の会話。

『鳳凰と狂女』

某日、ホウオウグループにて。
とある場所で、一人の少女が腰掛けていた。
独特の形をしたヘアピンがトレードマークの少女の顔は、可愛らしいながらも、どこか狂気を帯びていた。
とそこへ。

「…マキナか」
「あれ、ホウオウ様じゃないか。珍しい」

少女が所属するグループの統率者、ホウオウが姿を見せる。
多くの者達は、この男を崇拝し、敬愛の念を抱いていた。
この少女―――マキナを除いては。

「何しに来たの?」
「それをお前が知ってどうする?」
「別にどうも?」
「なら必要ない…ところで」
「ん?」
「ゼアから聞いたが、ジングウを狂愛しているらしいな」
「狂愛だなんて人聞き悪いなあ。純愛と言って下さい」

しかしケタケタと笑うその表情は、正に狂愛を抱く女の表情そのものだった。

「どうなのか聞いている」
「狂愛じゃないけどー、確かにジングウ様の事大好きだねえ」
「…そうか」
「あれ? ホウオウ様、嫉妬でもしてんの?」
「嫉妬…か。疑問の間違いではいか?」
「疑問? 何の?」
「何故あの男を狂ってまで愛するのか」
「狂ってる、かあ。確かにボク…狂ってるよねえ」

悲しげに言っているものの、その表情はそれとは正反対に快楽に歪んでいる。
ホウオウはこの少女を、『恐ろしい』と思ったことはない。
ただ、『悍ましい』とは思う。
たった一人の狂愛の念を抱く男の為に、どんな残酷な事も進んでやる。
正に、愛に溺れ、魅入られた少女だ。

「でもあの人はボクに、狂ってまで『欲しい』と思わせたもん。凄いよ」
「成る程…だが」
「ん?」
「行き過ぎた愛は、いつか己の身を滅ぼすぞ」
「別に死んでもいいよ。ジングウ様に殺されるならね」
「…つくづく狂った女だな、お前は」
「そうでしょ?」

マキナの目に一瞬、血色がさす。
だがその色はすぐに消えた。
当の本人は知ってか知らずか、無邪気に話す。

「あ、それでねー。ジングウ様にこう言ったんだー」


「ジングウ様の為ならホウオウグループも滅ぼすって」


その言葉を引き金に、二人の間に緊張と沈黙が走った。
ホウオウはマキナを鋭い視線で見据え、マキナは変わらず笑顔のまま。
ただ、先程とは違って、その笑顔は狂気がそのものだった。
するとその空気を緩める様に、マキナは戯ける様に言った。

「ま、今はまだその時期じゃないから、やらないけどさ」
「ならばその時期が来れば、グループを滅ぼすと?」
「…さあね。流石のボクの能力でも、ホウオウ様には勝てないし」
「…賢明な判断だな」
「でなきゃあ、ゼアさんの部下やってないよ」
「そうか」

狂女との会話をやめたホウオウは、その場から離れる。
マキナの狂愛にまみれた呟きを耳にしながら。


「欲しい…欲しいよ、ジングウ様…アナタを殺したいと、思ってしまうほどに…」


お借りしたキャラは、本家から「ホウオウ」でした。
この二人って-45さんの曲が似合う気がしてならないw

489大黒屋:2011/06/19(日) 21:54:18
スゴロクさんの「火波 スザク」をお借りしましたが、過去話に触れております。
設定がずれたり、違うということであればご指摘お願いします。

「枷」の跡

「あれ、獄王?珍しいじゃん、教室にいるなんて。」
「ん、まぁの。いつも屋上に居るんじゃ暇じゃし。」
机に腕を投げ出し突っ伏する獄王。
スザクは物珍しそうにその姿を見ていた。

「全く教室に来ないからな。何してるのかと思ったよ。アースセイバーではたまに見かけるけど。」
「んー、まー、色々あるからの。」
「色々って…、ん?」
スザクは獄王の腕を見、一つ疑問を感じた。

「なぁ、獄王。お前、腕時計は?」
「付けても付けなくても、授業に出ないから意味ないんじゃ。」
間髪いれずに答える獄王に、スザクは更に気になった。
「そんなもんなのか?」
「ん。基本屋上じゃ寝てるだけじゃしのう。まぁ、出席日数足りないのも問題じゃけぇ、形だけでも授業には出ておこうと思ったまでじゃ。」
「そうなのか…。」

その時、チャイムが鳴った。先生が入ってくる。
席に着いたスザクは尚、獄王の「手首」が気になっていた。
その両手首には、擦過傷の跡がぐるりと一周ついていた。
消えていないということは、かなり深い跡であろう。
そして気がついていた。彼は「腕時計を付けない」のではないことに。
推測が正しければ。

彼は「腕時計が付けられない」のではないか?

理由も大まか分かる。
自分にも、もしかするとノルンにも似たような思いあたりがあるのだから。
両手首の擦過傷。もし調べられるのなら、両足首にも同じ跡が見受けられるだろう。
彼女は自らの手首を見た。擦過傷の跡は消えているが、自分も未だに腕時計が付けられない。
いや、腕につけるものはできるだけ避けたいものだ。

(獄王、お前は一体何者なんだ?)
(転校した時の自己紹介。嘘を見抜くという「特技」。そして、その腕の擦過傷…。)

(その腕にかつて付けられていた「枷」は、誰のものだったんだ?お前は一体「何に囚われていた」んだ…?)

490スゴロク:2011/06/19(日) 22:12:40
>大黒屋さん
「施設」時代のスザクですか? なるほど、その辺の設定は全く考えてなかったですね……。
ですがまあ、面白そうなのでそれで。想定とちょっと違いましたが、こちらで整合取りますので。

491しらにゅい:2011/06/20(月) 16:08:01
「ミエっぱちゃーん!」
「ウェッ!?って、なんだ、トキコちゃんじゃないですかー!
なーんですかそのミエっぱって。」
「まだあだ名が定まってないんだよねー、めんごめんご。」
「うむむ・・・それもなんだか寂しいですね・・・良いあだ名、何かないんですか?」
「うーん、・・・・・・あ、いいのあった!」
「なんですかなんですか!?」
「パパラッチ!」
「響きが悪い!」
「えー、しっくりきたんだけどなぁ・・・」
「それに私は人間相手じゃなくて、オカルト専門なんですよ?」
「うん、知ってるよ?ケイくんとおんなじくらい電波だよねー?」
「・・・あの人と並べて欲しくないような、なんというか・・・」
「ところで、今日も何か良いネタあった?」
「それが聞くだけ聞くんですが、このカメラに収めることは出来てないんです。
・・・はぁ、いつになったらこの子は活躍するのやら。」
「もういっそ売っちゃえば?」
「な、なんて事言うんですかぁ!商売道具を売るわけないでしょう!」
「あははー、ごめん。」
「もー、・・・用はそれだけですか?」
「ん?んー・・・と、ね!なんかさ、昨日タガリ先輩のとこに遊びに行ったんだけどね、」
「タガリって、三年生のタガリショウゴさんのことですか?」
「へぇー、よく知ってるね。」
「そりゃ知ってますよ、会う人だいたいに部活勧誘してる人ですから。
それで、その方がどうかしたんですか?」
「風邪引いてたんだよ、で、どうかしたんですかーって詰め寄ったら、
雨の中変な人に襲われたんだって。」
「あらら、恐ろしいですねぇ・・・あのショウゴさんにですか。」
「うん、やだねー・・・世も末ってやつ?ミエちゃんも気をつけてね。」
「・・・ふふ、甘いですねトキコちゃん。まさか私が頭を突っ込まないわけでも!?」
「ですよねー。」










ミエとトーキングin教室
「怪異」


(立ち去った後に、朱鷺は呟く)


「・・・でもさぁ、ミエちゃん。本当にやたらめったに頭突っ込まないほうがいいよ?」


「『本当に』取り返しのつかない事態になるんだから。」

492しらにゅい:2011/06/20(月) 16:11:32
>>491 お借りしたのは海女海 海海(大黒屋さん)、汰狩省吾(サイコロさん)
名前のみケイイチ(本家様)でした!

生存報告がてらに一話お送り致しました。
「<汰狩省吾に降りかかるモノ>」に関係してたりなかったり・・・
蛇足的な会話ですので解釈は自由にどうぞー。

493大黒屋:2011/06/20(月) 20:44:35
>スゴロクさん
「施設」時代で間違いありません。過去編でアームに拘束される描写がありましたので、そこだけの憶測です。
手錠や枷を付けられた経験のある人は、腕時計なんかをつけるとそれを思い出すのでつけられないそうです。
同じように絞首を連想させるため、ネクタイがつけられない人もいるそうで。
とはいえ見切り発車も同然だったので反省はしてます。すみませんでしたoyz

>しらにゅいさん
海海を使用していただきありがとうございました!使いづらかったんじゃないかとひやひやしました;
ミエっぱだのパパラッチだの、トキコ、ナイスです★(
後々の展開で少し触れるかもしれませんw

494スゴロク:2011/06/20(月) 20:50:27
>大黒屋さん 
「想定と違う」というのは、スザクは当時のことをおぼろげな印象でしか覚えていないってことなんですよね。「大脱走と~」はゲンブの回想ですし。
まあ、何とかなるでしょう。

495大黒屋:2011/06/20(月) 20:56:10
>スゴロクさん
あー!そうでした;うっかりしてました;
何とかなるようでしたらお願いします;自分も協力できればしますので;

496スゴロク:2011/06/20(月) 21:06:51
>大黒屋さん
では、後日その辺りの小話を投下します。

497大黒屋:2011/06/20(月) 21:52:05
少しずつ訪問開始です。
スゴロクさんより「ブランカ・白波」、(六x・)さんより「アズール」をお借りしました。

訪問実行~仔犬と狐~

アズ―ルと二人だけだったランカの家に、チャイムの音が鳴り響いた。
「ん?お客さんかいな?珍しい…。」
「誰なんだろう…。」
そういうランカの声には、警戒の色が浮かんでいた。

インターホンの受話器を取り上げ、耳に当てる。
「はい。」
『あ、白波さんのお宅ですか?』
「そうですけど、そちらは…?」
『はじめまして、野乃 螺良華と申します!本日、妖怪の訪問活動ということで回ってまいりました!』
「妖怪の…?」

ドアを開けると、自分と同じ位の少女が立っていた。
いかせのごれ高校の制服に身を包み、頭には布製の帽子。黒い髪を高く結い、つぶらな瞳を向けていた。
「ブランカ・白波さんですね?改めまして、野乃 螺良華と申します!」
「その制服、いかせのごれ高校の…?」
「はい。二年生です!」
「あ、それじゃあ、火波スザクさんとかと!」
「同じ学年ですよwクラスは違いますけどね。」

「それで、本題なんですが、アズ―ルさん、いらっしゃいますか?」
「んー?なんや?こっちに用事かいな?」
人間の姿のまま玄関に出たアズ―ルを見、少し首をかしげたが、直ぐに思いあたったかのように顔をあげた。
「貴方がアズ―ルさんですね!はじめまして!「百物語組第五八話」のノラです!」
「…あー!あんたが百物語組の!話はきいとるで!」

「え?アズ―ル、何か知ってるの?」
「最近何かと物騒やから、「百物語組」なる妖怪達が、いかせのごれ中の妖怪を訪問しとるらしいんや。」
「知ってるのなら話が早い!あ、これ、お土産ですw」
ノラが取り出したのは、タッパーに入った油揚げ。気を利かせた主が作ったものだった。
「ゴチになりますっ!!」


「…そんなことがあったんですね。アズ―ルも帰って来る時怪我しなくてよかった…。」
家の中に上がったノラは、ランカも交えて用件を伝えた。
最近の妖怪の現状、特にシン・シーの件を重点的に。
「だから、できるだけ多くの妖怪と知り合っておいて、妖怪としての繋がりを作っておこうということで、今回訪問させていただきました。」
ノラは帽子をとり、床に置いていた。頭に生える耳は、彼女が妖怪であることを裏付けている。

「何かあればここに連絡ください。何もなくても、あたしでよければお喋りでもなんでも付き合いますしw」
ノラは電話番号を渡した。
「ありがとう。態々ごめんね。」
「いいんですよ。あたしも知り合いが多いことは嬉しいですし。」

「そういうことですから、アズ―ルさん。外出の際には十分気を付けてくださいね。」
「分かったわ。ありがとなw」
「それじゃあ、あたしはこれで。スザクさんにはよろしく伝えておきますよ。」
ノラは立ち上がった。

「…ノラっていうたな?」
「はい?」
「ウチの前では敬語使わんでええで。堅苦しいのは苦手なんや。」
「…分かった。じゃあ、これからよろしくね!」
ノラは元気よく手を振り、ドアノブに手をかけた。


「…もしもし、主?ノラですっ。無事訪問完了です。アズ―ルさんとブランカさんと仲良く慣れました。」
『お疲れ様。ごめんね、まだ外に出るのも怖かっただろうに。』
「いやいや、いつまでも怖がってたら成長しないし!ちょっと遠めに外出する良い機会になりました!」
『それじゃあ、詳しい話は寺院でしようか。気をつけて帰ってね。』
「はい!それでは!」

――某日。第五八話、妖狐とその主の訪問完了。

498スゴロク:2011/06/20(月) 22:09:50
>大黒屋さん
ランカの登場ありがとうございました。訪問話の最初に持って来てもらえるとは。

ところで、スザクへの二人称が違うようですが、なにか理由が?

499(六x・):2011/06/20(月) 22:45:09
やっとかけたぜ…


スゴロクさんの「再会と、思い出と」の直後の話になります。
ランカちゃんお借りしました。

火狐と氷狐

「……ねぇ、アズール。そういえば、今まで、何してたの?」
「そうですなぁ……まずは……」


2年前、ウチは手紙を残して旅に出た。直接行ったら絶対止められるからとそうしたけど、結果的には心配かけてしまいましたな。


妖怪とわかるや否や暴力ふるってきた奴は、数えきれんくらいおりました。
まぁ、人間の妖怪に対する意識なんてそんなもんや。怪我なんか3日もあれば治る、その点は人間より得やんなぁ。でも、心に受けた傷はどれだけ経っても治らへん。
マスターのために強うなると考えたのに、ウチの精神が不安定なままでええんやろか…そんな時、ウチはある人に会うたのです。


自らが傷つくのを省みず、友のために戦う黒緑色の髪の少女。


ウチの何分の一しか生きていないような小娘なのに、「この子は強い」と確信しました。

それからですわ、人間形態にあの子の姿を借りるようになったのは。

他にも話したいことは山ほどあるんですが、何日かかるかわからんからまた次の機会にでも。

「へぇ、大変だったんだね…。ところで、アズールが姿を借りた人、私知ってるかも。」
「マスターのお知り合いでしたか…!そりゃ強いお方ですなぁ」





「お前が冬也か。探したよ。」
「誰…!?」



最後のは誰か拾って下されば幸いです。冬也ちゃん戦闘もしくは活躍回を書きたいがネタが出ないという←

500サイコロ:2011/06/21(火) 00:23:37
ショウゴの日常と不穏な気配のお話です。

お借りしたのは、
武器工場からタクミ、バレッタ(鶯色さん宅)
出雲寺組からアキト、アスミ(十字メシアさん宅)
です。


<汰狩省吾のアルバイト。>




ショウゴのバイト先は工場だ。工場といっても、車の部品や半導体を作っているような普通の工場ではない。幅広いモノを取り扱っている。車輛も一から組むし、奇抜な発明品を製作したりもする。工場長であるタクミが気に入った人物からの注文なら、どんなモノでも形にしてしまうのがこの工場なのだ。
勿論、『どんなモノでも』という看板には武器や兵器の類も含まれる。アースセイバーやエイジ博士の研究所からの注文で製作する事もある。そのノウハウがあったからこそ、ショウゴは改造モデルガンや特殊弾丸を作る事が出来た。

そしてそんな工場だからこそ、裏社会の情報が多く流れてくる。事実、今日も出雲寺組のアキトが、ショウゴとタクミと3人でバイクを組みながら『裏』の話をしていた。


「でさ、大体その手口が悪質なんすよ。なんせいかせのごれはまだまだ謎が多い、誘拐や売春をやろうとするヤツがたまにいる訳。」
「なるほどねー。怪異に見せかけられる程度に少しずつやってんだな、外道め…。ズズーッ」
フレームにエンジンを積んでいるタクミを手伝いながら、キャブを調整しているアキトの話に応えるショウゴ。アキトは続けた。
「つい最近までカラオケ店を中心に活動しててさ、その連中。んでたまたまそこにアスミが友達付き合いで行った時に・・・」
「現場を見つけて、組長さんの逆鱗に触れちゃったわけだ。」
恐るべき速さでエンジンを固定し終わったタクミが言った。
「ああ。逃げ出そうとした女の子とバッタリ。」
「外道とはいえ、そいつらに少しだけ同情するぜ。なんせ相手が組長さんじゃ…。」
「アスミも相当強いからな。けど、奴らは外道だった。あんまり大きくは無いが、いかせのごれにも裏社会がある。俺も極道だけれども、やっぱああいう外道働きは許せんよ。」
「そうだな。・・・ぶえっくしょい!」
咄嗟に顔をそむけてくしゃみをしたが、その方向にはペットボトルのお茶を持ってきたバレッタが。
「何盛大にくしゃみしてくれてんだよォォォォ!」
「いやすまんちょっと風邪気味でうわちょやめ!」


・・・。


ショウゴには裏の顔がある。それは誇れるようなものではないし、自分のやりたい事でも好きな事でもない。


工場でおこなわれるこんな日常の会話にも、裏社会の実情が沢山流れてくる。ショウゴは一つ一つを拾い掻き集め、知識として蓄えていた。


既に出雲寺組の組員構成や活動範囲なども大体把握しているし、裏社会の活動場となる賭博場や娯楽地、風俗などの情報も事細かく手に入れていた。


手に入れた情報は、集約・整理して一つのノートにまとめてある。


元はといえばショウゴの親父がアルバイトの様に簡単にショウゴに頼んでいた事だが、状況が変わってしまった。


バイトを終えて家に帰ると、ショウゴは隠してあったノートを広げ今日手に入れた情報を整理する。そして、目的が変わってしまったノートの、中間あたりのページを開いた。
そこには真新しい文字で物騒な見出しが書かれている。



『いかせのごれ裏社会及び出雲寺組制圧について』


スタンド光だけの部屋に伸びる影は、どこまでも暗く沈んでいた。

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最終更新:2012年02月29日 12:58